世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

鳩山代表、なぜ寄稿論文?

2009年08月30日 | 日記

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漸く40日と云う呆れるくらい長い準選挙期間も終わり、投票日を迎えました。昨日の評論コラムに書いた通り、民主党の第一党は揺るがないだろうし241議席の過半数も軽く超える結果となりそうだ。
筆者の夢、森喜朗、町村信孝ら清和会重鎮の落選願望を知っていたわけではないが、あの小沢代表代行が石川2区小松市で同党新人の田中美絵子の応援に駆け付け、選挙戦最後の最期の日を狙って数少ない街頭演説を行った。

この小沢の街頭演説は田中候補への応援であると同時に、衆議院同期生の自民党キングメーカー町村派オーナーである森喜朗を落選させると云う強いメッセージが込められた街頭演説だったらしい。
大都市池袋の麻生演説に1万人が詰めかけたそうだが、一地方都市である同市での小沢演説の聴衆が6千人だったという事は驚くべきことである。もう1か所小松駅前での演説ではバスターミナルが一時動けない聴衆で埋められたそうだ。小松市取材中の男の情報によると、これで田中美絵子が僅差勝利の目が出たと声を上ずらせていた。

すこし横道にそれたが、民主党鳩山代表が何故かこの時期にニューヨーク・タイムズ紙に論文を寄稿した。まぁ首班指名を受けてからの寄稿より適切だったということも言えるだろう。海外メディアが民主の圧倒的勝利を疑わず、鳩山の人となりを憶測されるより、事前に基本的政治哲学を披露することは正統派の鳩山として筋道の通ったものだったと思える。

以下がその寄稿論文に対する米国の反応らしいが、必ずしも賛同されているとは言い難いようだ。


『 民主党の鳩山代表が27日付の米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に寄稿した論文をめぐり、米国内に波紋が広がっている。「米国主導」の世界経済の体制を批判的にとらえ、アジア中心の経済・安全保障体制の構築を強調した内容が、米側の目には「現実的でない」と映るようだ。専門家らの間には日米関係の今後に懸念を抱くむきもある。 鳩山氏は論文のなかで、「冷戦後、日本は米国主導の市場原理主義、グローバリゼーションにさらされ、人間の尊厳が失われている」と指摘。自ら掲げる「友愛」の理念のもと、地域社会の再建や、東アジア地域での通貨統合と恒久的な安全保障の枠組みを作る考えを強調した。 これに対し、日本政治に詳しい米外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員は27日、朝日新聞の取材に「グローバリゼーションは米国式の資本主義、との批判だが、これはG20における日本の役割にとって、何を意味するのか。民主党政権は国際通貨基金(IMF)体制の支援から離れて、他の体制を見いだすのか。経済再生の努力から優先順位を移すのか。米ドル体制の支援とは、別な立場をとるのだろうか」と疑問を投げかけた。 元米政府関係者は「オバマ政権は、(鳩山氏の)論文にある反グローバリゼーション、反アメリカ主義を相手にしないだろう。それだけでなく、この論文は、米政府内の日本担当者が『日本を対アジア政策の中心に据える』といい続けるのを難しくするし、G7の首脳も誰一人として、彼の極端な論理に同意しないだろう。首相になったら、評論家のような考え方は変えるべきだ」と批判した。 別の元米政府関係者も「グローバリゼーションについての米国への批判は一方的に過ぎるし、日米同盟の重要性に触れたくだりも、非常に少ない。鳩山氏はもっと日米関係に理解のある人だと思っていたが、変わったのだろうか」と話す。 ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストは、いずれも27日付で、日本の総選挙に関する記事を掲載。いずれも民主党が勝利して政権交代が起きる可能性が高いことを伝える内容で、今回の総選挙に関する米国の関心の高さを示している。 』(朝日新聞)


正直賛同どころかぼろ糞の扱いに近いと言っても良いだろう(笑)論評した彼らは市場原理主義者ではないだろうが、行き過ぎた市場主義を未だに信奉する米国人であり、オバマ政権自体が国際金融グループと手を握っているのだから、当然の論評だと言える。
親米いや米国の属国としてしか豊かさを味わえないであろう日本の次期首相となりそうな男が真っ向から市場原理主義や金融資本主義を否定し、返す刀で『「友愛」の理念のもと、地域社会の再建や、東アジア地域での通貨統合と恒久的な安全保障の枠組みを作る考えを強調した。』のだから堪らない。

この論文の寄稿がそれでは政界にマイナスにだけメッセージを発信したのかといえば、そうとは言えない。米国一極支配構造は完全に崩壊している。中国とG2外交が最も重要だとクリントン国務長官は発言している。中国は早晩我が国を抜き去りGDP世界第二の国になる。
東シナ海を挟んでGDP第2位と3位が東アジアに生まれるのである、ドル以外の通貨を考えるのは必然と言える。EUもユーロに移行しているのだ。金融経済の咎めがサブプライムで露見しても、未だに米国経済の牽引は、その金融経済に依存している。
米国人の米国人の為の米国産グローバリゼーションがいつの間にか姿とその趣旨を変質させ、本来の意味する世界各国経済の為のグローバリゼーションになってしまっているのだ。もう後戻りは出来ない。
日本や中国やインドを自国の工場地帯とさせ、そこのマーケットを育成し自国製品の顧客とする戦略は一時功を奏したが、自国の製造業を崩壊させたのである。
おそらく米国に残されたものは金融資本主義に基づく投機という経済と農業そして軍事力の有効利用の組み合わせで生き残りをかけるものと思われる。

そのような米国に対し、鳩山の哲学的「友愛の理念」など「座禅」に近い観念であり、米国人が最も理解困難な論文でもある。
ということで、鳩山論文が米国で不評である(理解できない)ことは当然であり、ぼろ糞に論評したくなるのも理解できる。
しかし、日本の首相として国連で演説を行い、オバマ大統領と会う時初めて鳩山の哲学を披露するのは得策ではないだろう。事前に、その「友愛の理念」なるものを米国人の頭で考えて貰う時間を与えたとも言えるだろう。
それに対して、オバマがけしからんと云うのであれば、三角外交の角度に歪みが生じ、正三角形ではなくなるというだけのことに過ぎない。より中国ロシアとの友好外交を促進、米国の焦りを引き出すことも不可能ではないだろう。

自民党麻生太郎が安全保障と騒いでいるが、おいそれと大国が戦が出来る状況ではなくなっているのだ。
大国と小国の戦いは起きるだろうが大国同士、まして国連常任理事国同士の戦いは地球の滅亡に繋がるわけで、そこまで米国も血気盛んだとは思えない。

おっ!あと2時間半で運命の投票所が開きます。今日は午後8時以降、テレビにくぎ付けになろうと思います。好物のコーラと煎餅、さきイカ、煙草と一緒に楽しませていただきます。 

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