~ストーリーテリング「愛依の風」ainokaze~

絵本・素語り・わらべうた
ストーリーテラーやえはたのりこ(やえちゃん)の徒然便り

「辿りついて」

2009年01月24日 | 創作
今日は「天草ディナーショー」のリハ。
音と合わせての練習です。

天草の自然が、まだまだ鮮明に瞼に浮かびあがり、
今日の天気のように雨があがり、澄んだ空気と青空のごとく
気持ちよく稽古ができました。

天草の民話を語っていると、やはり、天草との最初の出会い
「パーテルさん」に想いが馳せていきます。


     「辿りついて」     八重幡 典子


「五足の靴」の話を知ってるかい?
五人の若き文学者が 
遠い遠い天草へ 大江天主堂目指して 
訪ね歩いた話だよ。

なぜなぜそんなに揺り動かされた?
知りたかったんだ 声を聞きたかったんだ
どうしても
遠い遠い天草にいる
パーテルさんに会いたかったんだ

パーテルさん?
それは誰?
大江天主堂のガルニエ神父
フランスから天草に降り立って
その命を捧げた人
天草の民になり土になり風になった人

辿りついたところは
天草の青い風が吹き抜ける小高い丘の上
辿りついたその人は
白く可憐なすずらんをこよなく愛する
優しい神父

五人は皆、感動した
純粋に一心に
ただ使命を全うする愛の人を見て
人に会い、これほど心が震えることがあろうか

文学の灯火の火種は
彼らの血潮に波をたてた
真の文学者としての夜明けの時
文学の深き明るい希望の道が見えたのだ

「五足の靴」の彼らは
そのボロボロになった靴を愛しく眺めた
この道を歩いてきて良かった
この長き道のりは
新しき世界の入り口へ

そう、書くのだ
綴るのだ
語るのだ
この境地を!

ああ、ガルニエ神父
あなたに逢えて本当に良かった
あなたはフランス人
だのに、天草で天草の民のために祈り続け
そのすべてを愛してくださった

この無償の愛の姿は
まぶしい光になって
五人の心を照らした
そして、五足の靴は足踏みを揃えてまっすぐ歩き始めた

それぞれの使命を見出して

                 (2009.1.23 作)

*「五足の靴」:与謝野鉄幹・北原白秋・木下杢太郎・平野万里・吉井勇










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