たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

プリンス・エドワード島の夏の夕暮れ

2013年07月14日 12時36分15秒 | プリンスエドワード島への旅
プリンス・エドワード島の夏(7月)は、9時を過ぎても明るいので、キャベンディッシュに泊まると、晴れていればゆっくりとサンセットを楽しむことができます。


『赤毛のアン』の舞台、アヴォンリ-村のモデルとなったキャベンディッシュ(北海岸)のサンセットを始めて見た時には、赤い土の荒削りな崖と紺青色の海とだいだい色の夕陽、銀色に輝くようにみえる海にゆっくりゆっくりと陽が沈んて行く様子に、夢の中にいるような心地でした。


宿から海辺まで、緩やかな丘をくだって、また登って、私の足で20分ほど歩くとようやく銀色の海が見えてきます。





だいだい色の陽が赤土を照らしながら沈んでいきます。





夏といっても夕暮れになると風が冷たくて寒いので、ずっと海岸で過ごすのはちょっと大変なのですが、他では見られないであろう美しい光景に、名残惜しくてとっぷりと暮れてしまう少し前までねばりました。







'We are rich,'said Anne staunchly.

'Why,We have sixteen years to our credit,
and we,re happy as queens,and we,ve all got imaginations,more or less.
Look at that sea,girls-all silver and shallow and vision of things not seen.
We couldn,t enjoy its loveliness any more if we had millons of dollars and ropes of dianmonds.

 
   ANNE OF GREEN GABIES   L・M・MONTGOMERY


「私たちだってお金持ちよ」アンは、はっきりと言った。この十六年間を立派に生きてきて、女王様みたいに幸福だわ。それにみんな多かれ少なかれ、想像力を持ち合わせているもの。ねえ、あの海を見て。一面が銀色に輝く光と影と、そして目には見えない幻に満ちているわ。たとえ何百万ドル持っていても、ダイヤモンドの首飾りを何本も持っていても、あの海の美しさをもっと愉しめるということはないのよ。」


松本侑子訳『赤毛のアン』(集英社文庫)、第33章「ホテルの演芸会」より引用させていただきました。

この場面は、映画『赤毛のアン』にも描かれています。



モンゴメリさんの最期は自死によるものであったと2008年にカナダ政府が公式に認めたという雑誌の記事をたまたま読んだ時には、自分のことに引き寄せて考えてしまい辛くって、高校生の頃から20代の始めてかけてあれほど好きだった『赤毛のアン』、繰り返し繰り返し読んだ自叙伝『険しい道』を自分の中で封印し、二度と読むことはあるまいと思いました。
でも、「3か月トピック英会話」がきっかけで『赤毛のアン』と再開し、今は松本侑子さんの原文で読むセミナーにも参加し、大切な心の支えの一つとなっています。

『赤毛のアン』の原文を、難易度が高いですが翻訳を頼りに読んでいると、モンゴメリさんは心からこの作品を楽しみながら書いたんだろうなということが伝わってきます。

プリンス・エドワード島=『赤毛のアン』ばかりではないのですが、島を訪れると今もモンゴメリさんの描いた世界が息づいているように感じます。





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