たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

宙組『FLYING SAPA』日生劇場公演を観劇(9)

2020年11月29日 16時17分51秒 | 宝塚
宙組『FLYING SAPA』日生劇場公演を観劇(7)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/6a8f938ab8346f9d30f4479d0cb491ab


宙組『FLYING SAPA』日生劇場公演を観劇(8)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/78592e8890200021f6903f43e4aeb998

 第1幕では声だけが聴こえ、総統01@汝鳥玲さんがようやく観客の前に姿を現すのは第2幕7場になってから。総統01となった難民ブコビッチは、SAPA中心の地下基地にこもって、全人類の意識データ”ミンナ”をミレナの意識と融合させることを目指していたのでした。そうすることで人類の平和は恒久的に保たれる。「違い」によりひきおこされた大世界大戦によって娘たちを殺され、科学者であったために地球を脱出する難民船に乗ることができたブコビッチがつくりあげた完璧にみえる管理社会。その社会の中に身を置くことなく、自分自身は研究室にこもって誰にも邪魔されることのない次元から見守り続けていました。


 ナウオンステージ、オンデマンド配信の視聴期限が明日で終了するので、最後に京三紗さん@キュリー夫人、総統01@汝鳥玲さん、専科のお二人が稽古場で役としてすごいのに素になるとめっちゃ可愛くてそのギャップに心癒されているという話、文字起こし。

真風さん;ほんとにすばらしいのひとことで、お二方とも。京さん毎回お芝居させていただくたびにエネルギッシュですごく勉強になります。

キキちゃん;いっちゃんさん(京さん)がリアルにそこにいてくださるからちょっとたわいのない役としてのアドリブをしただけでも新しい自分の役が出てくる、そこはこう感じるんだとかそういうのが楽しいし、最初から最後まですごいパンチで・・・。

真風さん;いやほんとにちょっとこう男前な感じっていうのがまたすごい粋で素敵。

すっしーさん;ホテルのオーナー、女主人、素敵ですね。

キキちゃん;(ウエクミ)先生がもうちょっとこうしてほしいということにどんどんどんどん表現は変えられるのにキュリー夫人としての芯はまったくぶれないのがすごいと思う。

まどかちゃん;本読みの時点から生きてらっしゃる、はじめて台本を読んで人生が伝わる、ポルンカに来る前のバックボーンも手にとるように伝わる感じが稽古場で日々伝わってくる。

真風さん;最後の最後まですばらしい。ゆーちゃんさん(汝鳥さん)は最初は全貌がみえずほんとうにちょっとこう核となるシーンで出てきてくださるんですけど世界がいっぺんするといいますか、総統ですよね。

すっしーさん;本読みの時点からほんとうにもうねしか言えない。

真風さん;ゆーちゃんさんは特にねもう、いろいろと鍵となる・・・・。

キキちゃん;いちばんゆっちゃいけない・・・。

真風さん;なので何とは言えないけど、そこへの説得力がすごい。絶対に嘘がないというか、ほんとうにその瞬間に全ての台詞だったり動きだったりがビシビシと出ていらっしゃるので、一緒にお芝居させていただいていてもとにかく勉強になるのひとこと。

すっしーさん;ひとこと発するだけでもすべてを制するというか、ほんとにすばらしい。

真風さん;次のシーンで後ろに板付かれた瞬間にああもう次総統のシーンだということをぐっと感じるくらい・・・。

キキちゃん;重みがね、すごい。

瑠風くん;わたし一緒にお芝居をさせていただいているとき坐られていることが多いんですけど、あまり動きがないのに圧とか、台詞も長いこと話されているんですけど、それをきいているだけで自然と毎回違うのが伝わってくるのがほんとに勉強になります。

真風さん;それなのにお二人ともふだんめちゃ可愛らしいそのギャップにとりこです。日々心癒されております。

すっしーさん;その大きさに・・・。

真風さん;その大きさにすべて助けていただいています。

 ウエクミ先生のネタバレしたくない意向をふんでなかなか言えないナウオンステージの中で、芸の道をきわめるとはこういうことなのかとうなる話。サパのへそにいけば願いが叶うというのはホテルの客を増やしたいキュリー夫人が流したでたらめでしたというオチ、ペロッと舌をだす京さんすごくお茶目、カーテンコールではサングラスをかけてすごくカッコよかったです。京さん、いっちゃん(一路真輝さん)のトップスター時代雪組組長、月組『カンパニー』で久しぶりに拝見したとき変わらずいてくださることに安心感と嬉し味。汝鳥さん、涼風真世さんのトップお披露目公演『ベルサイユのばら-オスカル編』の時月組組長でルイ16世でした。それからどれほどの舞台で拝見していることか。調べてみると京さん、汝鳥さん共に1969年、57期生として宝塚歌劇団に入団、半世紀ずっと宝塚にいらっしゃるということですね、すごいとしか言いようがありません。お二人の熟練の芸と存在感が支えたサパという世界。緑色に光る生命維持装置が、劇場という照明がおちた空間だと不気味に色鮮やかで、日生劇場の天井、匂い、赤いじゅうたん含めて丸ごとサパの世界観がより深まっていると感じました。

 「違い」を排除し、恒久的平和が保たれているようにみえるアンドロイド的なポルンカとサパ粒子に守られる総統の支配が及ばないサパの人間的な無法地帯。真風さんとキキちゃんが話しているように言いたいことは実はシンプル。根底には上田久美子先生の、どうしようもなくドロドロの中で生きて生きていかなければならない人間へのあたたかい眼差しがあるのかなと勝手に思います。互いの違いを認め合うことができず争いを繰り返す人間。権力を手にすれば手にするほど大いなる金銭的な旨味を享受することができるので自分の立場を守るため利己的となる人間、人はほんとうに自分勝手なもの、立場が変わればいうこと180度見事に変える、上にそういう芯のない人がくると下は振り回されて大変だということを10数年就労した大会社で学んだのはわたしのリアルな現実体験。今またそんな上に振り回されているだけだとわかってきたという現実、保身のためなら平気で嘘をつくんですよね、人間って。ほんとうにどうしようもないですが、そのどうしようもない人たちは何も気づいていないからサパの世界に出会うこともないですかね、そういう人たちにこそみてほしいサパの世界。どうしようもないに振り回されてあえぎあえぎ生きている人間が訪れるサパの世界。最後は希望をもって終わるところが宝塚、希望のみえない真っ暗な世界に、ただただ生き続けることなどできませんからね。一日一日パンを求めて、命を繋いでいくことだけに精一杯だった時代があったことを思えば、世界にはそういう地域もあるのだということを思えばわたしたちはまだ恵まれているといえると思いますが、生きるってむずかしいですね。

 明日月末、まだ11月が一日あるのだという感じですがあるんですね、まだ一日。ただただ振り回されているにすぎないとわかったドロドロの世界にいくために、通勤定期券をまた購入するしかないですかね。うまーく都合の悪いところはぼやかされましたが実はそこが肝心でそのためにやり手がなかなかいないところへ飛び込んできたわたしを逃すまいとぼやかしたわけで、わたしが苦手であまりやりたくない方が実はメインだったというね、そのための要員だったというね。生活のためには購入しないという選択肢はないですかね。なんだか哀しいですね、人間って。それでも希望を信じて生きていくのも人間・・・。

 大劇場公演『アナスタシア』、楽しそうです。チケットあるので心は飛んでいきたいですが、財布と時間と体力がそろわないのできびしい、東京宝塚劇場で会えることを祈りばかり。その前に14日のライブビューイングを目指して生き延びていかなければなりません。苦難の一年の終わりはみえず、今は14日を目指す、5日間フル稼働は果てしなく長い、気が遠くなるような長さ、どっさりと天引きされなければもう少し楽なのにね、ほんと苦しい。それでも生きることをあきらめてはいけないか、生きていればこその観劇・・・。







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