観客席から

落語と芝居を熱く語ろう

海の夫人

2015-05-27 14:14:07 | 芝居・ミュージカル



HPの紹介文:個人の自由意志と夫婦の繋がりを描き1888年に出版された本作は、
       翌年ノルウェーとドイツで同時上演され大成功をおさめ、
       北欧諸国でも相次ぎ上演されました。

       自由を求め、海のような強い生命力を秘めた神秘的な主人公エリーダには、
       独特の存在感でますます輝きを放つ麻実れい。(中略)
       そして、エリーダを大きな存在で包み込む夫ヴァンゲル役には(中略)
       村田雄浩があたります。


イプセン原作..に惹かれて観に行きました。
テーマは基本的には「人形の家」と同じ...

自由と一個の人格としての尊重を求める妻、ノラとエリーダ。

「人形の家」では、夫が「一人の人間」として自分を見ていないことにノラは絶望し、
ついに夫の制止を振り切り、家を出る。

「海の夫人」のエリーダは、必死で妻を自分の手元につなぎ留めようとする夫に
「私の体は束縛できても、私の精神、思いの数々、魂のあこがれや願望まで
縛り付けておくことはできない」と言い放つ。
ついに夫は絶望の中で彼女の気持ちを理解するに至り、妻を解き放つ言葉を絞り出す。
「君は自由意志で、自分の責任において選ぶことができる」と言ったとき逆転がおこる。
彼女は、六年前の選択の余地のない選択とは違い、今こそ「完全に自由な立場」で
夫とともにこの地に留まることを選ぶ。

自由の象徴 "海"に焦がれる妻と
愛に溢れ、全身で愛を伝える夫。

麻実れいのエリーダも適役で説得力があったけれど
村田雄浩の演技のすばらしさもあって、夫ヴァンゲルに共感し泣いてしまいました。


2015/5/22 新国立劇場 小劇場 (バルコニー席.LB6)

團菊祭五月大歌舞伎

2015-05-26 21:57:42 | 歌舞伎


初めての歌舞伎座でした。
まず、ついに行けたことに感激。




[ 夜の部 ]

一、慶安太平記(けいあんたいへいき)
       丸橋忠弥

 酔ったふりをして濠の深さを測る忠弥(松緑)
 その様子を、通りかかった老中松平伊豆守(菊之助)が見届ける場面...
 あそこがまず「ご両人!!」と拍手のところですね。
 捕物の場での激しい立廻りは、若い俳優陣の技の見せどころで
 夜の部の皮切りとして最高でした。

二、歌舞伎十八番の内 蛇柳(じゃやなぎ)
 私の一番のお目当て!
 亡き妻への思いを語り嘆き悲しみ、ついには狂乱の体となる助太郎(海老蔵)、
 荒れ狂う蛇柳の精魂(海老蔵)、
 目にも留まらぬ早変わりで花道からさっそうと登場の金剛丸(海老蔵)。
 最後の押し戻しで、歌舞伎十八番ならではの荒事を見せ、
 拍手喝采の幕引きとなりました。

三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
       め組の喧嘩

 私は品川宿の遊廓の場から観たのは初めてかも...。
 「火事と喧嘩は江戸の華」の言葉の通り、男と男の命をかけた真剣勝負を粋に描いた..
 とは分かっていても、随所に理解しがたい展開が。
 とくに辰五郎(菊五郎)の女房お仲(時蔵)が喧嘩をけしかけるところなど..。
 命より男の義理や意地が大事..という価値観をムリにでも頭に置いて観なければならない話ですね。
 大詰めは鳶と力士が勢揃いして大立ち回り。
 颯爽とした菊之助のかっこよさが光りました。
 菊五郎は、もう走るのがつらそう...。
 そろそろ辰五郎を菊之助に譲っても良いんじゃないかな〜。。。
 菊五郎でなければ・・・という役は、まだいくつもあるはず。
 

2015/5/23 歌舞伎座 (4列33.34/友人と二人で)

柳家三三 独演会

2015-05-26 21:03:54 | 落語・寄席


公演名:J亭落語会「白酒・三三・一之輔 月替り独演会」起笑転結「起」シリーズ 柳家三三独演会
公演日:2015年5月21日(木) 19:00 開演
会場:東京都港区虎ノ門 JTビル-2F( JTアートホール アフィニス)
料金:全席指定 3,600円


会場に入っての第一印象...
ホールの作りが固いので、どうも客席も固い感じ..
落語に気分が乗り切れるかな..と。

三三さんが上がってほんの数分で杞憂は吹っ飛びました。
まさにそこはノリに乗った三三の世界。


『人形買い』 
  長屋の神道者の赤ん坊が初節句で、ちまきが配られたので、
  長屋中で祝いに人形を贈ることになった。
  人間がこすからい松つぁんと馬鹿正直な甚兵衛の人形買い。
  余得を狙っての買物だったが...


『提灯屋』 
  町内でチンドン屋が、広告を配って歩いている。
  無筆の長屋の連中には、何屋の広告か分からずあれやこれやと...。
  そこに米屋の隠居が来たので読んでもらうと提灯屋の新規開店の広告。
  「・・・開店祝いとして、提灯のご紋、笠の印等は無代にて書き入れ申し候」
  おまけに万一書けない紋があるときは、お望みの提灯をタダでくれるというので、
  一同、一計を思いつき...


『橋場の雪』
  「橋場の雪」 柳家三三 - YouTube
   www.youtube.com/watch?v=BLi1m2_fmTw
  亭主の夢の中の浮気まで妬く若女房が、なんともかわいいのです。


『提灯屋』が終わって、これで打ち出しかと思いきや
つづけて『橋場の雪』にすうっと入って...
おもいっきり、たっぷり!で、幸せでした。

ART

2015-05-20 08:58:46 | 芝居・ミュージカル



演出:パトリス・ケルブラ
作:ヤスミナ・レザ
美術:エドゥアール・ローグ
出演:市村正親/平田満/益岡徹

 長いつきあいで、友情を深めてきた中年男3人。
 ところがある日、そのうちの1人が現代アートの“真っ白な絵”を買ったことがきっかけで
 お互いの友情観や人生観のズレが浮き彫りになり、それぞれの本音の衝突が止まらなくなる。

 1999年に市村正親、平田満、益岡徹というキャスティングで上演され、熟練俳優陣ならではの
 スリリングな会話劇が大好評を博した『アート』が、16年ぶりにオリジナルキャストでの再演

・・・という芝居だそうで、あいかわらずなんの前知識もなく行きましたが、
息をつかせぬセリフの応酬で、気付けば幕間なしの2時間弱が終わっていて、
拍手とスタンディングオーベーションの中でしばし呆然.. の私でした。

☆三人の服装がすべて黒一色だったのが大変よかったと
 そんなことに感心したり。。。(スタイルは三人三様)


2015/5/19 福岡市民会館 (8列38.39)