11月29日に令和5年度決算反対討論を行いました。以下がその時の討論です。
..................................................
認定第1号 令和5年度決算審査反対討論
令和5年度一般会計歳入総額785億、歳出総額754億円、財政力指数1.42,財政調整基金も前年より17億円増えた91億円、これらの数字だけを見れば何ら問題ない自治体だと思われがちですが、市民の為に市政はあるのだとの見地に立った時、果たしてこんなことで良いのかと思う事業がいくつもありました。
勿論評価できる事業があったことは否定はしませんが、決して看過できない事例が多すぎました。
以下具体例をいくつか示しますが、これは氷山の一角でしかないと私は確信しています。なぜなら、私は自分の能力や時間的制約からして市が行っている全ての事業など見ることは到底できず、私が取り組んだ令和5年度の数少ない事業ですら、「問題アリ」と判断せざるを得ないのですから。
令和4年度まで指名競争入札で業者選定をしてきました市内公園トイレ清掃事業、令和5年度から一般競争入札に変更しました。ご存知のようにこの事業、入札で同一事業所が長年落札し続けてきた事業です。そして、長年浦安市が令和4年度まで支払ってきた時給単価が法外に高いものであることを市は認め、令和5年度から設計金額を大幅に変更せざるを得ませんでした。
この点は評価できるのですが、依然合理的理由もなく入札参加資格に市内要件を課していました。「同種同業の清掃業務の実績がある、過去5年間に。それで市内に本店または営業所がある」と尤もらしいことを要件にしました。そしてこの要件を満たす事業所は28あると、本会議場、この場です、で答弁を繰り返しました。事実を歪曲した答弁でしたので、数回に亘り議会で質問として私は取り上げざるを得ず、最終的には令和6年6月に市側はこのように答弁せざるを得ませんでした。
「令和5年6月定例会、また同年12月定例会では、必ずしも十分とは言えない確認状況の下での答弁であったと思っております。 この点につきましてはおわびを申し上げますとともに、今後は、より正確かつ簡明な答弁に努めていきたいと考えております。」(6年6月25日)
一般質問は事前通告制です。私はこのルールを厳守して事前に通告しての質問をしているのに、この根拠ない「28」の数字に市は固執し、私の持ち時間を無駄に使わざるを得ませんでした。最終的にこの要件を満たす事業所は数社しかないのに、十分な競争性を担保しているのだと言わんばかりに28の数字を議場で繰り返しました。
この行為は、市民無視議会軽視としか言いようがありません。
議場で事実と異なる数字に私が疑問を呈しても平然としている、もし私が途中で諦めていたら、この28の数字は未だに生き続けたでしょう。間違った答弁を市に認識してもらうのに、何故これほどまでに時間を要するのですか。
いみじくも議場で認めたように、「必ずしも十分とは言えない確認状況の下で」と市は間違い答弁を繰り返したのです!
市が保有する情報は膨大なものです。一方私達市議、或いは市民が知り得る情報には「情報公開手続き」が要求され、限られたものでしかありません。この限られた情報の中ですら、28の数字の欺瞞性は直ぐに見抜けました。市は豊富な情報を持っているのですから、「十分とは言えない確認状況の下で」などと議場で言って謝罪することを恥とは思わないのでしょうか。簡単に確認できる状況にあるのですから、このような理由を述べることは仕事の怠慢としか言いようがありません。
確たる根拠もなく、28社の実態を調査することもなく、28と言う数字を議場で答弁する。その姿勢は厳しく断罪されなければなりません。議会答弁は永久保存のはずです。このような根拠ない数字の答弁は、浦安市の汚点として永久に残るでしょう。
また、この由々しき事例が発覚した後、市はどのように反省したのか、全くその跡が見られません。同じような事例は他にもあるのではないですか。それらの見直しをしましたか、問題はこの公園トイレ清掃事業だけですか?
湾岸緩衝他4地区緑地植栽管理業務委託を巡っても、あり得ないことが発覚しています。
作業日報と記録写真が一致しない事例が多発していました。最終的に「記録写真に日付の記載がないことにつきましては、受託業者の記載漏れとなっております。業者に対しては指導」との答弁でしたが(3月議会)、つまりこれは、提出された作業日報や記録写真をきちんと担当が精査して来ていなかったことが露呈した話です。
日常の業務を怠って来た証左です。
また、植栽管理業務委託を巡っては、契約変更して返金を求める事態にまで発展しています。これは、市民の方が住民監査請求や訴訟を提起し、市が追い込まれた結果です。市民の方のご努力の賜物ですが、裏を返せば、日常業務の怠慢だっただけなのです。大事な市民のお金を扱う立場の仕事として許されるのでしょうか。
日常のチェック体制に緩みがあるとしか言いようがありません。
令和5年8月4日、市職員は浦安市宅地開発事業等に関する条例第8条に基づき「周辺住民等」に説明を行いました。条例に義務付けられた方法で行ったと市は言っています。計画の概要、工事の施工方法等を書面で説明をしたの事です。(8条)
その書面には、工期・安全対策・工事完成後に生ずる周辺への生活環境に及ぼす影響とその対策等が記載されていなければならなかった筈です。市の公式発表によりますと、該当する15自治会1軒にかけた時間はたった9分とのことでした。9分で必要十分な説明など出来るはずがありません。
つまり、条例や規則に則った対応は物理的に不可能だったはずなのに、市は条例には違反していないとの認識を示しています。
この事例は、正に行政の無謬性の事例だと思えます。
道路形態を大きく変更するのに、該当する自治会にも事前連絡がなく、条例に該当する市民にも条例が求めている説明責任を果たしたとは到底思えないのに事業を強行している姿勢は、市政への不信を煽るだけです。
以上、令和5年度に発覚した事例を数例挙げましたが、最初に述べたように、これらは氷山の一角です。同事例は枚挙にいとまがありません。
これらの事例は、私が日ごろから問題提起している、入札制度の在り方、情報公開の在り方で、市政運営の根幹に触れる問題です。
また、非常に残念なのですが、令和6年3月の「浦安市事務事業評価等の総括・報告書」では、私のこれらの指摘にに関する記述は皆無でした。具体的・個別的事業の根本的な見直しを行わなければ、真の意味での「最少の経費で最大の効果を挙げる行政運営」など出来るはずがありません。
以上、令和5年度、決算カード上は大変恵まれた自治体に思われる数字が出ていますが、一皮むけば、行政への信頼を損なう施策展開がありすぎた年度だったと判断し、反対討論とします。