脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

かくしゃくヒント36ー同窓会で認知症予防

2018年10月09日 | かくしゃくヒント

母校戸畑高校の天籟総総会関東支部の総会が、10月6日に無事終了しました。私はその支部長を務めています。お受けするにあたって「同窓会の意義って何だろう」と考えて、同窓会の会報「天籟」にこんなことを書きました。
「・・・同窓会は戸畑高校という共通の基盤を持った老若男女の集い。参加する人たちの思いはそれぞれですし、意味を見つけられずに参加しない人たちもいます。何ともったいないこと!同窓会は前頭葉を活性化できる認知症予防の場でもあるからです。日常生活の中で寂しさがふっとよぎることがある方、出席してみませんか?時を超えて同窓生や同期生との話が楽しめますよ。後輩たちには出会いから生まれる異業種交流も魅力的ですね。・・・」

私は認知症の予防活動をやってきました。
始まりは脳外科でした。脳が壊れた人はその場所によってどういうことができなくなるのか、あるいは治療してどの程度よくなり、どのような障害が残ったかなど脳の働きを調べる仕事をしてきました(神経心理機能テスト)。
そして前頭葉に損傷を受けた人たちは、従来用いられてきた
左脳や右脳の能力を測定する知能テストではその損傷具合が測れないことがわかり、その開発に関わりました。Photo_3
前頭葉はその人らしさの源、十人十色といわれる時のその「色」を決める脳の機能です。
上図でわかるようにどんなに優れた左脳や右脳を持っていても、それを駆使できるかどうかは御者(前頭葉)の能力次第です。左脳や右脳の機能を高次機能という言い方がありますが、それに倣えば、前頭葉機能は最高次機能といわなければいけません。
実は「ボケるくらいなら死んだ方がいい」といわれるほど怖がられているアルツハイマー型認知症は、もう治すことができな程手遅れになって診断されているだけだと皆さんはご存知ですか?
「治らない」とか「アミロイドβのせいだから」などと言われていますが、正体を説明してみましょう。
基本には脳の老化があります(若い人にはアルツハイマー型認知症はない)。
それでは、齢をとった方はみな認知症になっているか考えてみてください。お元気な方がたくさんいらっしゃる。

脳の老化のスピードが違うのです。老化が早まっていく人たちが小ボケ、中ボケそして大ボケと認知症への道を突き進む。大ボケに至るまで6年以上もかかります。
次になぜ老化が加速するかということになりますね。
人生の大きな変化や出来事をきっかけに、その変化に負けてしまって、生きがいも趣味も交遊もなく運動もしないナイナイ尽くしの生活になってしまう人たちは、脳をイキイキ使わない生活を続けることになります。使わないから老化が早まり(廃用性機能低下といいます)徐々にその人らしい生活が送れなくなっていくのです。
認知症は脳の使い方が足りないという意味での生活習慣病と考えるとよくわかると思います。

ちょっとまとめると「」内は家族による、生活状態の一言表現です。

小ボケ(御者だけ元気なく居眠り):「指示待ち人」回復容易
家庭生活は問題ないが社会生活がこなせない。世話役ができない。趣味をやめてしまう。無表情。意欲がない。
中ボケ(御者に加え、馬たちの脚も弱まった):「言い訳のうまい幼稚園児」回復可能
話していることを聞けば、変わりないがやることは幼稚園児のようになる。家庭生活に支障が出てくる。日付がわからない。服薬管理ができない。味付けが変。
大ボケ(御者も馬も横になって寝てしまっている):「脳の寝たきり」回復困難
セルフケアにも問題が出てくる。通常はここからをボケと思っている。徘徊。家族がわからなくなる。夜中に騒ぐ。食べられないものを食べる。
一足飛びに大ボケにならないということは、「正常から認知症への移り変わり」のカテゴリの中にたくさん書きました。

今回の同窓会では、私たちの考えを立証してくれるような出来事が重なりました。旧制中学8期生上木原孝志先輩が乾杯の発声をしてくださっています。88歳。
 
突然の指名にもかかわらず、堂々と壇上へ移られて、「現役時代は、もちろん仕事。退職してからもゴルフとマージャンはかなりやりました。ただこれだけ長生きをすると、仲間が集まらない。健康の秘訣は、OB会、同窓会、老人会にもれなく参加することなんですよ」と背筋を伸ばし、力のこもったお声で挨拶されました。的を得た的確な内容のご挨拶を、短い時間でピシッとお決めになりました。
大きな声で唱和するように付け加えられましたから、「乾杯」の
大きな声が会場に響きました。
上に説明した老化を加速させてしまう生き方と対極にあると思いませんか! 上木原先輩の生きがいや楽しみごとをもっと詳しく伺えなかったのは残念ですが、きっと前頭葉が「生きているという実感」を感じながら生活していらっしゃると思います。

自撮りしたことはありませんが、時間切れのため川嵜先輩と初めての自撮り。
かくしゃくヒント27-「ボケ予防に俳句を始めたよ」
2014年の総会の後に川嵜先輩のことを投稿しました。それからまた4年もたってしまいました。
「もう何年になるかなあ。(2010年だったみたいです)高槻さんの講演を聞いてから俳句を始めたんだよ。あの時老後には趣味がどうしても必要だってわかったから。それで続けてるよ。そして俳句を始めてほんとによかったと思ってる」
「それはよかったです!」スマホを広げて見せてくださったページには、写真の横に五七五がレイアウトされているすてきな作品がいくつもありました。
あとからメールで送ってくださいましたので追加します。

もしかしたら、写真クラブにも参加されているのかもしれませんね。

「英文俳句はなさらないのですか?」
「もちろんやってるよ。後から送るから」といわれました。
メール到着。
「昨日はご苦労様でした。
お約束通り俳句をメールします。9月の句会の句です。
1.glittering
 in  the  rays  of  morning  sun
   a  crape  myrtle
   キラキラと 朝日に匂う 百日紅
2.hanging  down
 a  gift  of  hot  summer
 darkish  grapes
 垂れ下がる 暑さの恵 黒葡萄
又、お会いしましょう。」
総会の席上では慌ただしくて詳しいお話は伺えなかったのですが、俳句の会からのお付き合いも広がっていらしゃるようでした。こういう生き方が大切なのです!何だかお若くなっていらっしゃるのではないかと思いました。

九州から参加してくださったT田さんからメールをいただきました。これにもうれしいことが書いてありました。 
「同じテーブルでご一緒させていただいた二期上の先輩が、高校の体育大会の時の同じ色の応援団長さんでした。25年ぶりの再会に感激いたしました。」
脳機能から考えると、この時の前頭葉はフル回転。
「あれ?もしかしたら…」から始まり、記憶を鮮明にする作業が続いたでしょうね。同じ時間を共有したことがはっきりした後は、懐かしさや応援に熱中したその時の気分までもが湧き上がってきたのではないでしょうか。25年間という時の流れが吹き飛んでしまうような感覚はありませんでしたか?応援合戦を離れた話題にも飛び火したかもわかりません。
考えてもみてください。このような脳の働きは動物にはないのです。人間たるゆえんの前頭葉のなさしめる技。脳の活性化の見本のような出来事でしたね。
今年の本部同窓会のTシャツ。福引の景品としてご寄付いただきました。

会も終わりに近づいた時、卒業年次でテーブルが決まっているのですが、若い人たちのテーブルから若者1人が壇上に招かれました。59回生!29歳!T巣さん。
このような溌溂とした青年を見るだけでも、気持ちの良いものです。しかも同窓生ですもの、よりうれしい。
「たまたま訪問した会社に先輩がいて、その先輩から出席してみるといい」といわれてきたのですってね。
そして「いろいろな先輩がいて同窓会に来てよかった」って言ってくれました。
ほら、同窓会って異業種交流の場にもなり得ます。先輩後輩の間柄がありますから教育的配慮も効くはずです。この記事の一番最初に書いたこととちょっと重なりますよね。
前ブログに書いたように、MORI BARは総会時以外の交流の場の役を担ってくれています。どうぞ行ってみてください。居心地よさにびっくりするでしょう。
ご自分の話や同窓会へのご希望などもっともっと話をしていただけばよかったと、とても残念に思っています。また来年、同期生を誘って参加してください。
景品のワイン
若い方たちのテーブルにちょっとお邪魔しました。
MORI BARでご一緒してライン友だちになっている30年後輩48回生のS谷さんとは、「同窓生ですものね」とファーストネームで呼び合う仲。子育て奮戦中の後輩に何かしてあげられることはないかとよく思うのですが、子育てを楽しんでねと伝えること位しかないのです。
たまにかわすラインのやり取り、お会いするのはもっと稀なのですが、そのときいつも心温まってますよ。ラインで会ってる子供たちの成長も楽しみの一つです。同窓会から生まれたこういうやりとりは、まちがいなく私の前頭葉を活性化してくれているのです。

総会出席者の最年少。ミニミーちゃん。52回生のママ、T田さんに連れられて参加です。平均年齢をしっかり下げてくれましたね。はなれた席だったので、連れてきてくれるまで気がつきませんでしたが、きっとまわりの方々をプレおじいさん、プレおばあさん気分にさせてあげたことでしょう。ちょっとだけ抱かせてもらったぷくぷくした感触がまだ感じられます。

6日には天籟同窓会総会出席。翌7日には牛久シャトーカミヤでベスパブランチにマイ車両で参加ですって。(意味が分からなくてググってしまいました。ベスパはイタリアのバイクのことでした。楽しそうです)
ミニミーちゃんの脳は今から信じられないくらいの成長をしていきます。アナログ情報を処理する右脳も大切。デジタル情報を処理する左脳も大切。もちろん運動の脳も鍛えてあげましょう、一歳になる前からマイ車両に乗ってるんですからこれは大丈夫ですね!
そして何より大切なのは、たくさんの経験をさせてあげて前頭葉を育てることです。それも今から100年もつような前頭葉を。今から広がってゆくその素晴らしい可能性に乾杯。
前頭葉そのものの説明がなかなか難しいところがありますから、興味があったら右欄カテゴリーの「前頭葉の働き」を読んでみてください。
「同期会なら楽しいけど・・・」とよく聞きますが、年代層が広い同窓会しかもってない刺激も体験してみていただきたいと思います。想定外に年齢層を広げてくれたミニミーちゃん、ありがとう。

 

 


 

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