もしあたしの鼻がもう少し高かったら歴史が変わってたかも・・・

あたしの鼻は低い。
低いし、鼻筋ってものがないんだよね。
鼻が低いと顔全体がのっぺりして見えて、凹凸のない顔なんだ。
低い鼻、それが小さい頃からのコンプレックスだった。

もちろんコンプレックスを打破すべく、子供の頃はいろいろ試してみた。
若草物語の四女を真似て洗濯バサミを鼻に挟んでみたりもしたよ。
痛くてすぐにやめちゃったけどね。
とてもじゃないけど、洗濯バサミなんてしたまま眠れるかっての。

雑誌の相談コーナーにも投稿した。
鼻が低いのが悩みです、って。
そしたら採用されて、イラスト付きで答えてくれてた。
それによると、何でも鼻は成長と共に高くなっていくらしい。
横顔のイラストには成長と共に高くなっていく鼻の絵が描かれてた。
なんだ、そっか。
この最後に高くなってる鼻があたしの未来形ね。


が、しかし、待てど暮らせど、あたしの鼻は一向に高くならない。（涙）

短大時代に入ってからはさすがに諦めがついた。
いっそのこと整形でもしようか、そんなふうに考えたこともあった。
でも金額も高いし、やっぱり怖いし、ブラックライトに透けちゃったら嫌だし。

鼻のことも半ば諦めたそんな頃。
行きつけの本屋に行った。
そこは近所の本屋さん。
おじさんが一人でやってるような小さなお店。
無愛想なおじさんなのだが、なぜかあたしは小さい頃から仲良しだった。
ある日、本屋のおじさんにこんなようなことを言われたの。


「あげはさんは、その鼻が可愛くて長所だよね。」


目からウロコ。
そうか、そんなこと思ってもみなかった。
この低い鼻が可愛いなんて♪
実はこの鼻って可愛いのかも。
コンプレックスなんて思ってるのはあたしだけだったのね。
単純なあたしは、今までのコンプレックスなんてそんな一言でふっ飛んじゃった。

救世主はずいぶんと身近にいたもんだ。
ありがとう、おじさん。
雑誌の悩み相談よりもイケテル。

それからはますますその本屋が愛しく思い、わざわざ在庫のない本は注文して買ったものよ。
小さな本屋だからさ、品揃えも豊富ではないわけなのよ。
大きな本屋で見かけて欲しいと思っても、そこでは買わずにおじさんに注文して頼むの。
あたしって義理堅い女だから。

そんなおじさんとのラマン（笑）付き合いも数年。
あたしも年頃の乙女。
そろそろ結婚が気になるじゃない？

で、最近本屋へ行った日のこと。
「あげはさんは結婚しないのかね？」っておじさん。
イタイとこ突きやがるな、このおっさん、と思いながらも、
「結婚したくても相手がいないんだよ～。」（涙目）って答えるあたし。
すると納得したようにおじさんは言った。



「あ～、あげはさんは恋愛するなら楽しそうだけど、結婚には向いてないもんね。」


もう２度と本買わね～ぞ、じじい。
うわ～ん。（号泣）