エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

ふがいないマルティン

2015-09-01 07:34:13 | アイデンティティの根源

 

 子どもたちを悪い良心から守ることも、大人の大事な仕事になります。

 今日から新しい第7章に入ります。

 

 

 

 

 

 信頼と激しい怒り

 

 

 ルターが30台始めに走り書きした大切な日記や聖書注解は、ルターが説教者であり伝道者だった時のことですが、手書きの文書の中に埋もれていました。それらが存在することが分かったのは、ドイツ王立図書館とヴァチカンを調べていた、確固たる信念と幸運を兼ね備えた学者らが二十世紀になって初めて探したからです。ルター自身によるロマ書講義の原稿は、ベルリンの王立図書館で「見つかりました」。それは、ガラスケースに入った、「詠み人知らず」で展示されていたのです。これ程まで、ルターは、自分の前史を、1517年の事件の背後に隠してしまっていたのでした。

 

 

 

 

 

 ルターは1517年以前の自分を、あまり表にしたくない事情があったのでしょう。不安と不満に満ちていた自分でしょうからね。あまりカッコいいものではありません。

 しかし、エリクソンは、クリニカル・サイコロジストとして、そのマルティンがどうして、あのルターになったのかに関心を抱かざるを得なかったのは、当然と言えば当然です。

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日本人の心の平均値は、幼稚園生未満!?

2015-09-01 04:24:39 | エリクソンの発達臨床心理

 

 高い目標のもと、合意を作り出したいものですね。

 The life cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』、p71の第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 若者の礼拝を、なんにも生み出さない風刺画にしてしまいがちな、形ばかりの礼拝、形ばかりの関わりとは、elitism エリート主義「俺様の方が上だ、とすること」です。elitism エリート主義「俺様の方が上だ、とすること」は、群れと派閥を増長させますし、それは、イキイキ、ピチピチした生き方にはならず、強い者にはおもねり、弱い者にエバルことが特色になります。

 

 

 

 

 

 さっきのブログの、東芝や多くの日本の組織人に共通するところですね。強い者にはおもねり、弱い者にはエバル態度。それは奴隷根性だと言えるでしょうね。オートノミー自律は、幼稚園生くらいの年齢の子どもの発達危機ですから、日本人の心の平均値は、幼稚園生未満ということでしょうか?

 私どもはイキイキ、ピチピチ、生きたいものですね。

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組織の規律と個人の自律

2015-09-01 02:51:42 | エリクソンの発達臨床心理

 

 
軍隊の様な学校は要らない、話し合い重視の学校こそ必要!
創造性の源 アインシュタインの連想遊び2013-08-31 02:06:10 | エリクソンの発達臨床心理 アインシュタインが自...
 

 

 東芝が7年間で1518億もの不正会計をしていました。粉飾決済です。ウソとゴマカシです。損して赤字を出していることが恥ずかしかったんでしょう。それを先送りして会計処理しなかった。簿外債務と言われるものらしい。株をやる人や、取引先を欺く組織ぐるみのウソとゴマカシ。これは、「有価証券報告書虚偽記載」と言う違法行為でもあるようです。法律違反をやったわけですね。

 しかも、東芝と言ったら、創業140年という老舗企業ですし、大手電気8社(大手の、電気製品を作る日本に本社のある会社)の内、日立に次ぐ2番目に売上高の大きい企業のようですね。また、いち早く社外取締役を置くなど、従来「コーポレート・ガバナンス」corporate governance 「企業統治」の優等生と言われていたらしいですね。でも、それもミセカケだったことが、今回の事件で明らかになりましたね。

 不正会計の責任者は、歴代の3人の社長、西田厚聰(あつとし)さん、佐々木則夫さん、田中久雄さんで、不正会計を始めた張本人は、西田厚聰さんです。2008年リーマンショックで、東芝も赤字に転落した時かららしい。さらに、2011年の東日本大震災のため、利益の柱だった原発事業が低迷したそうですね。NHK「クローズアップ現代」(29,07,'15)が、元幹部から聞き取った取材によれば、「西田さんの頃から、社内の空気ががらりと変わった」と言われます。社長が目先の利益を現場に過剰に要求し、それに異を唱えることがだんだんできなくなっていった。本来会計を適正に処理すべき経理や財務までが、社長の言いなり、その子分となって、製造部門に圧力を掛けるほどだったと言います。「会計操作で利益は出せる」と社長がウソを言いだす(であると同時に、)と、それを誰も止められなかった。その結果、今年7月21日まで、7年間もウソとゴマカシを東芝はやり続けることになりました。

 「クローズアップ現代」で解説を担当した、沢邊紀生さん(京都大学大学院教授・会計がご専門)によれば、

1)「社長が『利益は会計操作でどうにでもなる』と思ってしまったこと」

2)「不正会計を防げなかったのは、『会社のため』、『上司のため』以外には働かない『会社人間』が東芝の社員の大勢を占めていたからだ」、

3)「エリートであればあるほど、社内独自の狭い倫理観に染まっていき、社会の倫理感からずれてしまっていることに気付かない」

それを防ぐためには、「会社のため」よりも、「社会のため」を優先する人に、トップにも、トップでない人も「発達」することが必要です。

 今日、やはりNHKの「視点・論点」では、「問われる企業統治」と題して、弁護士の久保利英明さんが、東芝不正会計問題を話題にしていましたね。大変大事にことを教えてくれてましたので、シェアしたいと思いました。

 それは、日本で、会社と言ったら社長だけに権力が集中しますでしょ。それに対して、欧米では、「ゼネラル・カウンセル」という内部統制組織のトップがいるようです。このゼネラル・カウンセルは、弁護士で、久保利英明弁護士によれば、「上級副社長級で、強烈な権限を持っている」とのことです。すなわち、権力の分権化と、チェック・アンド・バランスですね。日本の組織にも、内部に社長や上司に迎合しない独立機関を持つことが大事なようですね。

 でも、それだけじゃないんですね。久保利英明弁護士は続けてこう言って下さいました。

「ことの本質は、自律した個人が確立せず、ことの是非を判断せず、空気に流され、組織内の軋轢を避けて、もたれ合いを是とする日本企業や日本人のあり方が問われているのではないでしょうか? 福沢諭吉が『一身の独立なくして、国家の独立なし』と言ったように、一身の独立がなければ、企業の自律もあり得ないのです」(「視点・論点」31,08,'15)と。

 独立、自律した個人として、生きたいものですね。

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