熟メン茶々丸の「毎日が美びっとカルチャー」

北大路魯山人展 千葉市美術館7月2日~

 
先日時間ができたので、碧南市藤井達吉現代美術館で開催された「没後60年北大路魯山人」展を鑑賞しました。最終日に6月9日に鑑賞しましたが、7月2日より千葉市美術館で巡回開催されます。
 
会場は、年配の方から30代の方も多く鑑賞されていました。一般に北大路魯山人は、陶芸のイメージがあると思います。美食家としても知られ、陶芸の世界に足を踏みいれたのも、その源にあります。ほかにも書や篆刻、絵画などにも才を生かし、芸術活動の幅広さでも、異色の芸術家といえます。また、古美術の世界にも精通し、その見識においても優れた存在です。
 
来場者を見て思ったのは、現在の北欧ブームや民藝ブーム、グルメブームなどから若い人にも認識されているように思います。また、年配の方は、グルメ漫画の世界で人気を博した「美味しんぼ」の海原雄山のモデルとなったことでも知られていて、器も広く知られるようになったと思います。
 
今回の展示は、魯山人ゆかりの料亭八勝館の所蔵品と世田谷美術館の塩田コレクションから構成され、同時代に生きた川喜多半泥子、石黒宗麿、荒川豊蔵、八木一夫などの作品に中国、朝鮮の古陶磁を並列して並べることで、制作のの源がわかる展示でした。
特によく目にする桃山陶の作品はもとより、六古窯も含めた各地の窯元の作陶と漆芸など、あまり目にすることのない作品も展示されていて、魯山人ファンにとっては、この上ない展示です。
 
魯山人の作品は、現在でも高値で取引され料理の器として使われるのも少なくなりました。会員制の美食倶楽部や高級料亭の器として使われていることもあり、庶民には程遠い存在です。ただし、芸術は多かれ少なかれ、庶民とはかけ離れた存在になることは確かで、一部のブルジョアしか目にしなかった作品が、美術館を通じて巡り合えることは美術愛好家にとっては喜ばしいことです。
 
また、魯山人の伝統を踏まえた上で、独自の解釈を加えた創作美は、どの作陶家もかなわない魅力を持っています。晩年、織部焼で人間国宝に指定されるも辞退されたことでも、伝統文化に縛られない自由な心意気によるものではないかと推測しました。
 
器に対する認識が高まっている現在、他方面でその才を極めた魯山人の世界は、様式美や器への造詣を深めるには最適な展覧会ではないかと思います。
 
 

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