日本の伝統的な遊びとして誰もが慣れ親しんだ折り紙。幼少の頃に日本人なら一度は鶴を折った経験があると思います。そんな身近な折り紙の世界を芸術の分野に進化させたユニット折り紙の女王が布施知子氏です。
今回の展覧会では近年制作している数多くの作品の中から、「ユニット折り」をはじめ、「スパイラル らせん 折り」、「平折り」、「無限折り」、「ノット(結び目)による造形」など、多種多様な折り方によって無限の形と美しさを見せる折り紙の数々が展示されています。
先ず会場入り口から白い折り紙の枯山水の紙の庭がお迎え、ガラスケースには一枚の紙を巧みに折りながら作られた立体作品の数々が展示され、美術館が誇るアールヌーボ期の調度品の床を赤や金銀のジャバラに折られた蛇が床を覆うように這い、巳年の今を祝福しています。世紀末美術の中に点在する折り紙の数々は、時空を超えた無限の時間を感じさせます。
壮大な創造力を駆使して巧みな計算で折られる作品を目にすると氏の頭の中を覗いてみたい衝動に駆られます。明治の名工により世界に広まった超絶技巧のDNAを持ちながら、未来に続く豊かな発想力を兼ね備えた氏の作品にただただ感嘆した展覧会でした。
会期は3月23日まで、無限の形と美しさを見せる折り紙の世界をぜひ鑑賞してみてください。