Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

非グローバルスタンダードの愛国者

2014年04月26日 | Nationalism

先日、イギリス人社会学者のD氏に20代の若者二人が作った日本紹介ウェブサイトのMATCHA http://mcha.jp/ とともに、こうした若者たちについての期待を書いて送ったところ、彼は「今の日本の若者たちに自分は期待できない」と言い、彼のもとに届いた右傾化する学生に頭を悩ます日本の大学関係者の手紙の抜粋のコピーを送ってきてくれました。

『日本に誇りを持つ若者』=『国粋主義の若者』という図式がD氏の頭にあったようだったので、私は、

MATCHAの運営者の若者や、彼らの周りにいる若者たちは、外から日本を見てきた体験を持っている子が多いこともあってか、「日本は美しい」「日本は偉大」と言って、中国や韓国を貶める発言をしている若者とは対極にいます。

彼らは海外に出てきて、自国を愛し自国の文化に自信を持っている外国人に触れたり、外国人から日本のことを訊かれたりしても自分が自国のことをあまり答えられなかったことで反省したり、といういろいろな経験をしてきています。

とにかく、「海外における日本の評価が高さ」を感じてきた彼らには、隣国の悪口を言って貶めることで自国を優位に立たせようとするようなことをする必要がありません。

また、「右だ」「左だ」と騒ぐより、時間を有効に使いたい。

「バカな学生や大人がふえてきたからこそ、そうした本当に軸を持った若者が出現してきた」ともいえるかもしれません。」

というようなことを書きました。

ところでこれを書きながら、私はふと、

「国粋的な言動をする人だったら本来、自国の伝統や文化を愛するものだと思うけど、現代の国粋主義者には自国の伝統文化に対して関心さえない人(ネット右翼含む)が多いのではないか」 

という気がしてきました。

 

以前、『伝統芸能を学校のイベントで鑑賞させてくれたことに感謝』 

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20120728 

で、2012年の橋下徹大阪市長の文楽補助金打ち切り騒動について書きましたが、本来自国を愛するという人間がこの程度。

 

橋下氏は異例なのかもしれませんが、勇ましいことを言っている最近のウルトラ国粋主義政治家のなかで「日本の伝統芸能、文化」に興味がありそうな人、私はひとりも見つけられませんでした。

 

さて、伝統云々については、私は学校の授業の一環で歌舞伎と狂言を観、付き合いで落語に行ったことがあるだけなので私も偉そうなことは言えないのですが、それでも、書道、華道(和風会、古流)は習い、伯母の家に行くとせがんでお茶をたててもらったり、俳句の先生もしていた伯父や、川柳の先生をしていた高齢の友人の勧めで俳句や川柳を作ったり・・ということはしていました。

 

興味があって、ふと友人達にも伝統芸能や文化へのかかわりを質問したところ、30代以降の女性の友人達は100パーセントの確率で華道and/or 茶道and/or 書道and/or 和楽器を学んでいます。そして男女含めた友人のなかでは、歌舞伎や能、狂言を観に行ったことがあるのは三分の二。

 

華道や茶道については、私の年代以下78歳くらいまでは、「花嫁修業的要素(女性のたしなみ)」として華道や茶道という習い事をした女性が多かったです。

今も華道や茶道を習う人はいますが、ただ前者に関しては、「カルチャー教室、フラワーアレンジメント」とされたりして、「油絵教室」「編み物教室」と単なる趣味教室になってしまった分、西洋風フラワーアレンジメントを教えるところも少なくないと思います。なので、本来の華道を習う人口は、230年前から激減している気がします。

 

歌舞伎や狂言、能、和太鼓、落語等々・・・現在これらに行ったことがある30代半ば以前の日本人の割合、私の周りの人のなかでもたぶん何十分の一ではないでしょうか。

 

230年前は日本の伝統芸能、文化の敷居は今より低く、そして風習(話は違いますが、息子が子供だった時代、ゴールデンウィーク前になると鯉のぼりが近所をはためいていましたが、今はあまり見ませんね・・・。)も今より残っていましたので、昔と今の若者を取り巻く環境が違います。

 

更に、ネット、SNSの普及、娯楽の多様化、経済的、時間的制約等があって、機会があってもそういうものを観に行ったり、習おうとする若者はそう多くないのが現状だと思います。

 

(例えば、MATCHAに関わっている「単純に日本を好き」という若者たちにしたって、日本の伝統芸能や文化に対して興味を持っている人は多くないと思います。が、深い敬意を持っているようです。(だいたい、このサイトの名前が、マッチャですからね。))

 

若者たちの伝統離れを憂う国粋主義的な政治家たちは、「剣道や柔道を必須科目に」などと言ったりしていますが、強制するというのも、ましてやその対象が武道だけというのもおかしいし、諸外国と比べて劣る文化芸術関連保護、なんとかすべきでしょう。

 

文化庁 

文化芸術関連データ 

http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/50/pdf/shiryo_10.pdf

 

さて、話が脱線してしまいましたが、話を元に戻せば-

 

冒頭に書いた、D氏の『日本に誇りを持つ若者』=『国粋主義の若者』というような発想。

 

D氏は常々「日本人はもっと自信を持って」と発信し続けてきている方なので、おそらく数年前であれば、単純に、MATCHA のようなものを作り上げる若者を称賛してくれたでしょう。

 

D氏に「日本を誇りに思い、海外に日本の情報を海外に発信する若者」を「ナチス政権下のヒトラーユーゲント」と同レベルにまで勘違いされてしまったのは、私の言葉不足のせいでもありましたが、実際、そういう若者たちが日本に増えているからこそ。

 

日本を誇りに思うのであれば、他国の誹謗中傷をネットに書き込んだり、大学などで教授や講師を悩ませたりする時間があるのなら、日本の文化、伝統について体験したり、外国人に説明できるくらいになってほしいです。

 

日本のことに対する知識もなく、知識も増やそうともしない人ほど「日本は偉大」と言い、攻撃的で非建設的。 

ま、これは日本に限らずではあると思いますが・・・。 

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