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2008年日中共同開発基本合意は本当に「合意」?日本が上海沖ガス田を開発しない理由

2015年07月24日 | 国際・政治

※前回の記事の続きです。

中国ガス田問題、政府はこの件を急に持ち出し、「2008年に日中両政府で発表した共同開発の基本合意を中国が反故にして一方的に資源開発を進めたことや、海洋プラットフォームが軍事拠点として活用される恐れがあることから公表に踏み切った」と言っていますが、この日中共同開発の合意は、どういうものだったのでしょうか。 

以下は当時の記事からです。
(diamondなのに、文中と表題は、ちょっとビジネス誌っぽくない表現がありますが。) 

Diamond Online (2008年6月24日)
福田首相の人気取りと中国の資源不足で利害一致したガス田共同開発
By 柏木理佳(中国経済ジャーナリスト)
http://diamond.jp/articles/-/4358 

中問題の根底は、歴史的問題と、ガス田による領土問題である。その一つであるガス田「白樺(中国名・春暁)」の問題に大きな発展があると報道された。 

 6月18日、高村外相と甘利経産相が、東シナ海のガス田問題で一部のガス田やその周辺区域を共同開発することで合意したと発表した。域内で最大の埋蔵量を持つといわれている白樺では、出資比率は中国側が過半で収益は中国側に厚く配分される見通しだが、甘利経産相は今度、日中双方が開発費を折半し、生産したガスの収益も等分する方向だ」と、さも日本側に有利になるかの発表を行なった。 

 一方でこれを受けて、いつも淡々として厳しく冷たい口調で話す中国側の姜報道官は、「東海(日本名:東シナ海)の問題は双方に利益をもたらすものだ。しかし中国の境界問題についての一貫した主張と立場に変化はない。日本とのガス田共同開発と主権問題は無関係であり、境界線問題で日本が主張する「中間線」は認めない中国の立場に変化はない」と述べた。さらに、「ガス田の主権は完全に中国にあり、共同開発は主権と無関係」としている。 

 日本側も根本的な境界線問題には触れていない。一刻も早い資源の開発に取り組むことを優先し、「境界線画定までの過渡期間に、双方の法律的な立場を損なわない状況のもとでのもの」としている。 

今回、日中が合意した具体的内容は、(1)中国がすでに開発着手しているガス田「白樺(春暁)」に日本側が出資。(2)「翌檜(龍井)」の南側の海域に共同開発区を設ける、の2点が柱となる。本来、日本側が懸案としている東シナ海のガス田はあと2ヵ所あり、今回合意した以外の区域での共同開発については、今後も協議を続ける、としている。 

(中略) 

そもそもガス田問題は、双方の法律や国際法を棚上げし、利益追求を優先した交渉が行われてきた。国連海洋法条例に基づく排他的経済水域(Exclusive economic zone:EEZ)の基本ルールである自国沿岸から約370キロメートルを適用したのでは、日本の南西諸島と中国大陸との距離が約740キロメートルに満たず、両国に重なる部分が出てくる。このところ台湾でも領海の主張が台頭しており、早期解決できる問題とはいかなそうだ。 

 中国大陸には資源開発が可能な地域が、まだ多く手付かずのまま残されている。世界から批判を受けながらも資源獲得のために続けているスーダンやベトナムへ対外投資よりも、自国内での資源開発を進めたほうが、運搬コストなどの面でもメリットが高い。 

 一方、日本側には、本当に資源を必要としている必死さがなく、中国ほど将来のことを深刻に考えていないことが、今回の交渉の甘さにはみられた。日本の外交、福田総理の頑張りを評価したいところだが、その成果はまだ遠い。 

・・・「共同開発合意」といいながら、「どこが合意なんだろう?」と思えます。 

なお、この中国ガス油田には、最初はユノカル(米国の会社)とダッチシェル等が共同開発していましたが、撤退。この理由について、元毎日新聞記者の坂東太郎氏が、 

「実は05年9月の日本側提案も相当なくせ球だった。そもそも「春暁」など開発中のガス田が本当に有望なのか謎なのだ。気になるのは、開発に当初携わっていた国際石油資本(メジャー)のロイヤル・ダッチ・シェルと米国のユノカルが、04年9月に「商業上の理由」から撤退してしまった点にもある。この行為を、シェルやユノカルが、日本と中国およびアメリカとの緊張が高まるのを嫌った政治的配慮とする見方もあった。しかし国家の政策さえ左右する国際石油資本が、そんな生やさしい「配慮」で利益を見逃すはずもなく、文字通り「商業上」利益がないと踏んだとの説も有力だ。」http://www.wasedajuku.com/channel/bando/detail.php?itemid=115 

と書いていらっしゃいますが、私もこれはあり得ると思います。 
このガス田はお金だけかかりすぎると。

ところで、私が昨日この中国ガス田のことを書きましたが、検索キーワードに「中国ガス田 日本はなぜ開発しない」で検索してこの記事にたどり着いてきた人が案外いるのに気が付きました。

私自身は、「日本の本土からこの地域のガス田をからパイプラインをひくのだってお金がかかる」と思っていましたが、その上ガス田自体が割りに合わないものだったとしたらなおさら開発・発掘には及び腰になりますよね。 

しかし、このガス田が割りに合わないとすれば、「中国だって本当は海底ガス田より、(近隣であれば)ロシアから大量に買い取ったほうが手っ取り早そうなのになぜ?」という疑問がでてきます。 

(もし仮定が正しいとしたなら、)「このガス田開発にもう中国は多大なお金を費やしていること、そして、これの撤退はメンツの問題(かかわった人の責任問題にも)」、「他国からの資源の輸入は政治のネックにもなるのでできるだけ自国で賄いたい」というところでしょうか。 

日本政府が言う中国の軍事拠点については・・・安倍政権が騒げば騒ぐほど、私はこのガス田開発とは関係がないと思います。が、これ以上日中を拗らせればこの先どうなるかわかりません。 

日本も、中国を睨んで、米国とオーストラリアと自衛隊の軍事演習などもやっていたり(オーストラリアでも一部の議員がこれを問題視)、米国と一緒になって中国の前で牛に赤い布を振るようなまねをしていますし。 

どの国の政府も「自分は正義」と言うばかりで、都合の悪い事は言いません。 

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