言論・表現の自由について、海外の友人達に質問をしていましたが、フィンランドの友人によると、フィンランドには、「宗教を冒涜してはいけない法律」が存在するようでした。
彼は、
「西側の国々では、この自由は何よりも大切なもの。一方、大抵の国では、これは完璧ではなくて、何かしらの規制がある。とくに、プライバシーと宗教の正当性。
フィンランドではPeace of Religionという法があって、これはいかなる宗教を嘲ることは許されないという法律なんだ。他宗教を嘲ることは、暴力を生み出す。暴力を生み、社会を不安定にさせることへの規制。
また、自由とは、他人のvalueへの尊敬があることが前提で、何でもして良いということではない。」
というようなことを書いてきてくれました。
この意見を、同じ質問に回答してくれている外国人の友人たち(先のブログで書いたクリスチャンの友人以外)にしたところ、この法律や考えに否定的な意見の人も当然いましたが、「自分の国は、そうした法律がないけど、その精神は社会で守ろうとしている」という友人や、そうした法律があるフィンランドに対し(好意的に)驚く友人もいました。
ところで、このフィンランド式、大手メディアでも自主規制という形を行っているところがあります。 それは、AP通信。
今回はその自主規制に従って、シャルリ・エブドの風刺画を掲載していなかったAP通信(※英米メディアでは、ボカシを入れて対処したところもあった模様。)、彼らが1989年にキリスト教徒を侮辱する作品を掲載していたままでいたので、これを指摘され、ただちに削除したそうです。
Christian Today (2015.1.10)
シャルリー・エブド風刺画掲載拒否のAP通信、キリスト教徒侮辱の写真も削除 ダブルスタンダードと指摘受け
http://www.christiantoday.co.jp/articles/15021/20150110/photo-removed-ap-double-standard.htm
AP通信は7日、あるジャーナリストからダブルスタンダードを指摘されたことを受け、公式ウェブサイトから美術作品「ピス・クライスト」の画像を削除した。AP通信は、「故意に挑発する画像を掲載しない」というポリシーに従って、預言者ムハンマドの風刺画が先日の殺人事件の原因となったフランスのシャルリー・エブド社の漫画を掲載することを拒否してきた。
デイリー・ビースト紙の7日のインタビューでAP通信のスポークスマンは、これまでシャルリー・エブド紙の風刺画を掲載したり引用したりしなかった理由を説明した。
「故意に挑発的な画像を掲載することを控えるというのは、長年にわたるわが社のポリシーです」とスポークスマンは語った。
その日の遅く、ワシントン・エグザミナー紙のティモシー・カーニー氏は、AP通信が1989年に発表されたアンドレス・セラーノ氏の写真作品「ピス・クライスト」の画像を掲載していることに言及し、同社のダブルスタンダードを指摘した。「ピス・クライスト」は、セラーノ氏が自らの尿で満たしたビンにキリストの磔刑図を入れ、その写真を撮影したもの。多くのキリスト教徒にとっては侮辱的であり、故意に挑発するような作品だ。
カーニー氏はAP通信の公式ウェブサイトのスクリーンショットを撮り、サイトを訪れた人がいまだセラーノ氏の作品を購入できることにも言及した。
カーニー氏がこれを公表した前後、AP通信は「ピス・クライスト」の画像を削除した。
(中略)
セラーノ氏の作品も同様に物議を醸すものだ。この作品は一度破壊され、セラーノ氏とギャラリーのオーナーが殺害予告を受けている。
ところで今回の事件を受け、そして意見交換をしていて、エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』をきちんと読みたくなりました。(恥ずかしながら、この本のことはずっと前から知っていても、私はまだ読んだことがありません。)
当時の社会情勢に加えて「ナチズム」と「過剰な自由がもたらしたもの」の関係が、私には現在の状況に重なって見えます。