Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

ダボス会議での渡辺謙氏のスピーチ-追記

2012年01月26日 | 国際・政治

追記:

2012年ダボス会議ビデオ

Videos: World Economic Forum Annual Meeting 2012

http://www.weforum.org/events/world-economic-forum-annual-meeting-2012?idvideo=99977

※渡辺謙氏のビデオが何故かうまく映りませんが、他の見えるものからどうぞ。(1月27日)

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ダボス会議での渡辺謙氏のスピーチ

2012年01月26日 | 国際・政治

今月25日にスイスのダボス市で開会した、世界経済フォーラム年次総会で、俳優の渡辺謙氏がしたスピーチ原稿を。

東京新聞(2012126日)

『渡辺謙さん、ダボス会議スピーチ全文

渡辺謙さん、ダボス会議でスピーチ 原子力からの転換訴える』

http://www.tokyo-np.co.jp/feature/news/davos.html

(前略)

 私は「戦後はもう終わった」と叫ばれていたころ、1959年に農村で、教師の次男坊として産まれました。まだ蒸気機関車が走り、学校の後は山や川で遊ぶ暮らしでした。冬は雪に閉じ込められ、決して豊かな暮らしではなかった気がします。しかし私が俳優と言う仕事を始めたころから、今までの三十年あまり、社会は激変しました。携帯電話、インターネット、本当に子供のころのSF小説のような暮らしが当たり前のようにできるようになりました。物質的な豊かさは飽和状態になって来ました。文明は僕たちの想像をも超えてしまったのです。そして映画は飛び出すようにもなってしまったのです。

 そんな時代に、私たちは大地震を経験したのです。それまで美しく多くの幸を恵んでくれた海は、多くの命を飲み込み、生活のすべてを流し去ってしまいました。電気は途絶え、携帯電話やインターネットもつながらず、人は行き場を失いました。そこに何が残っていたか。何も持たない人間でした。しかし人が人を救い、支え、寄り添う行為がありました。それはどんな世代や職業や地位の違いも必要なかったのです。それは私たちが持っていた「絆」という文化だったのです。

 「絆」、漢字では半分の糸と書きます。半分の糸がどこかの誰かとつながっているという意味です。困っている人がいれば助ける。おなかがすいている人がいれば分け合う。人として当たり前の行為です。そこにはそれまでの歴史や国境すら存在しませんでした。多くの外国から支援者がやって来てくれました。絆は世界ともつながっていたのです。人と人が運命的で強く、でもさりげなくつながって行く「絆」は、すべてが流されてしまった荒野に残された光だったのです。

 いま日本は、少しずつ震災や津波の傷を癒やし、その「絆」を頼りに前進しようともがいています。

 国は栄えて行くべきだ、経済や文明は発展していくべきだ、人は進化して行くべきだ。私たちはそうして前へ前へ進み、上を見上げて来ました。しかし度を超えた成長は無理を呼びます。日本には「足るを知る」という言葉があります。自分に必要な物を知っていると言う意味です。人間が一人生きて行く為の物質はそんなに多くないはずです。こんなに電気に頼らなくても人間は生きて行けるはずです。「原子力」という、人間が最後までコントロールできない物質に頼って生きて行く恐怖を味わった今、再生エネルギーに大きく舵を取らなければ、子供たちに未来を手渡すことはかなわないと感じています。

 私たちはもっとシンプルでつつましい、新しい「幸福」というものを創造する力があると信じています。がれきの荒野を見た私たちだからこそ、今までと違う「新しい日本」を作りたいと切に願っているのです。今あるものを捨て、今までやって来たことを変えるのは大きな痛みと勇気が必要です。しかし、今やらなければ未来は見えて来ません。心から笑いながら、支え合いながら生きて行く日本を、皆さまにお見せできるよう努力しようと思っています。そしてこの「絆」を世界の皆さまともつないで行きたいと思っています。

私は『ダボス会議』で俳優がスピーチと言うのに驚いたのですが、借りてきた猫のように小さくなって用意された日本語の原稿を読んだり、想定問答にのっとった発言をする政治家などよりは(今年は菅前首相が再び出席)、渡辺謙のスピーチのインパクトは大きく、意味もあったことでしょう。http://www.weforum.org/

最近、ドイツのペンフレンドトーマスさんに、「日本では最近政治的発言をする作家はいますか?」と質問されて、「そういえば、有名どころでは大江健三郎や、イスラエルでスピーチをした村上春樹くらいしか浮かばないな・・・」と首をひねっていたところでした。

「作家ではないですが、異なる分野のアーティスト達(俳優、歌手を含む)が、原発問題に限らず外交関係でも、『静かなる戦い(太陽型)』をする人たちが増えてきて、これが下手な政治家より効果をもたらしているような気がします。」とトーマスさんに答えたいと思います。

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