子供の頃、森永のハイクラウンチョコレートに入っていた妖精カード(Cicely Mary Barker画)を集めていました。
これは30代後半以降の方なら目にしたことがあるでしょう。残念ながら妖精カードはもう持っていませんが、今もなお、私は妖精・小人というモチーフを使った絵や物語にはひきつけられます。
さて、妖精や小人ものといえば西欧が本家本元ですが、日本にも素晴らしい作品がいくつかあり、中でもいぬいとみこの『木かげの家の小人たち』などは名作です。この作品はフランスで“Le secret du verre bleu”という題名で翻訳されているようですが、反応はどうだったのか気になります。(これはドイツの児童文学に通ずるものがあると思っているので、私はドイツでも翻訳、出版して欲しいと思っています。)
昨日はクリスマスでしたが、一昨年のこの時期ドイツに住む友人の幼い息子さんに不思議なことが起こりました。
息子さんは当時4歳。
ある日突然彼に3匹の"何か“が見え出したのです。
息子さんに見えるもの・・呼び名、“ミミ(友人の親戚の犬の名前)”、“キャメル”、“モータン”から察するに、それらは犬、ラクダ、牛のミニチュア版のようなもののようだと、友人は想像していましたが、当然彼らにそれが見える筈がありません。
息子さんはあたかもそれが本当に存在するように話しかけ、そして両親にも、「今ここにいる」とか、「何処そこで寝ている」と報告までするようになりました。最初は面白がっていた友人夫妻も、案外長くこれが続くので少し心配するようになっていました。
この話をフィンランドのペンフレンドJにしたところ、彼はフィンランドに伝わるいくつかの妖精(精霊)について教えてくれました。
そのなかでフィンランドで古くから伝わるノーム(英語でgnome、フィンランド語ではhaltija もしくはtonttu)については、Jもお気に入りのようでした。
「ノームは各家庭にいて、家人の留守のときに、家や動物を守ってくれるんだよ。だからたとえ家に誰もいなかったとしても、フィンランド人は挨拶をしながら家に入る習慣があるんだ。留守番をしてくれていたノームに、感謝の気持ちと愛情を持っているからね。」
フィンランドの人達が本気でノームを信じているわけではないにしろ、家庭用サウナにおくノームの陶器の置物などもあって、ノームは国民に親しまれているようです。
さて、前述の友人のところはドイツなので各家庭用のノームはいませんが、息子さんが見ていた動物の妖精達はいったいどうしたのでしょう。あのあと数週間くらいたってから友人から報告が来ました。
「うちの子によると、昨晩までに”ミミ”と”キャメル”は『帰っていった』そうです(一体どこに帰ったんだろう?)。”モータン”は未だいて、昨晩は我々と一緒のベッドで寝たようです。ともあれ、お蔭様で動物も一匹に減ったので、家も広くなった感じがします。」
2匹に去られて、友人も寂しそうでした。