Notes3~ヨミガタリストダイアリー

名古屋市在住の俳優/朗読者・ニシムラタツヤの演(や)ったり読んだりの覚え書き

幻想朗読会@豪徳寺について、他。

2008年04月26日 | 朗読・声の周辺
☆1週間のタイムラグが出来てしまったが、20日に久しぶりに東京に出て、小田急線は豪徳寺にあるスタジオにある朗読会に観客として参加してきた。寡聞にしてこちらでは、こういう形での催しに接することが少なかっただけに非常に期待感をもって、珍しく名古屋駅から在来線の新快速に乗り込んだ。浜松から新横浜までは「ひかり」の自由席。横浜市営地下鉄をあざみ野まで乗って東急、昔の新玉川線で三軒茶屋。世田谷線のLRTに乗り換えて山下駅の踏み切りを渡れば昔ながらの豪徳寺駅前…、では全くなかったことに驚く。そう言えば11年前に1度来た時には小田急も高架ではなかった。築堤の上に築かれた駅から、すり鉢をひっくり返したような階段が広がっていて、その真ん前にあるコーヒー屋で夜行バスで眠れなかった目覚ましにと思い注文したら、380円なのにモーニングサービスが何ひとつ付いて来なかったことにムッと来て目が覚めたという、実に名古屋人的な理由があったことを思い出した。その店も既になく、マックと高架下のサンマルク、デニーズという、実に典型的な都心の駅頭になっていた。
★住宅地をすり抜けて、マンションの地下に潜る。京浜東北線で人身事故のため遅刻してくる客が数人いるという話が受付回りで起こっていた。でも所定の時間に遅れず始まったということは、あまりにそれが日常のことと化しているということなのだろうと思う。榊原忠美さんの顔は名古屋の人間のほとんどは知らなくても、声を聞いたことがないという方は結構少ないのではないか。30年近くに渡ってCMナレーションやテレビ・ラジオで活躍して来られた、いわば「声の顔」的存在だ。
○高い低い、強い弱いという表層的な要素の他に、声には「深い/浅い」という物差しがある。それは呼吸そのものというより、テキストに表れている作品世界の理解度を指す。俳優、ナレーターの朗読はむしろそちらが勝負所だと私は思っている。「潜水生活」を再開して実質1年。数多くのテキストに当たってきたが、全く模索のもの字も過ぎたかどおか心もとない状態だ。そういう自身の状況下、しかも20名弱というキャパシティの中で構成作品「初恋」を聞くことが出来たのは本当に贅沢かつ、示唆に富んだ体験となった。作品世界が単なる字面だけのものから、平面構成の絵画、そして立体的な映像に立ち上がっていく、その過程をまんま見させてもらったような気がしたのだ。もちろん、いい意味で。
◎終演後、榊原さんに身分を明かし、しばらく話をする。主催したNPO法人「現代朗読協会」のウェブログには、2日間に割わたった今回のライブについて、演出の水城雄さん曰く「2日間のライブは、私たちにとっては25年間の延長線上にあったものかもしれませんが、なぜか私には、今回のライブはこれから特別な意味を持ってくるものであるような気がしてなりません。」という言葉があった。それは私もほぼ同じ気持ちでいる。自分が読むことの可能性を改めて考えよう。1人の表現者として、何が出来るか、どこまで行けるかということを。これから、このスタジオでもう少し足しげく通うようになるかもしれないし。

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