Notes3~ヨミガタリストダイアリー

名古屋市在住の俳優/朗読者・ニシムラタツヤの演(や)ったり読んだりの覚え書き

「KYのどこが悪い!」

2008年09月12日 | 日々の雑感
チャイルド・ライフの世界―こともが主役の医療を求めて
藤井 あけみ
新教出版社

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■休憩時間。ふととった新聞のある欄に目が止まる。千葉県こども病院の藤井あけみさんという方のコラム。曰く、誰しもKYと呼ばれることを恐れるが、それは何も大人の世界の話だけではない。子供もまた、携帯電話のメールの『「3分ルール」(3分以内に返信を書くこと)を破らないよう』緊張している。ボス的存在の子の顔色を常にうかがい、波風を立てず、目立たず、自分の言いたいことややりたいことはじっと我慢して、大人の想像以上にしんどい毎日を送っている。
■そして彼女は続ける。そういう子どもの世界は実際の大人の社会の引き写しだ、と。『KYを嫌い、出るくいを片っ端から打とうとしているのは、まぎれもなく大人です。そうしてつくり上げた社会の中で、大人は自らの首を絞め苦しんでいます』そしていっそのこと、KYこそ素晴らしいという常識が作られるべきだ、と。
■他人の顔色をうかがう前に、自分の心に聞くことです、とも藤井氏は述べておられるが、これを言い代えるならば、うかがうべきは他人でも表面的な顔色ではなく、もっと深い心の内実ということになるだろう。そうするためにはおのずと自身の心の内面にもまた、降りてゆく必要に駆られるはずだ。そうすることでしか、自らを律する生き方を見つけることはできないということなのだ。
■何だか読んで安心する文章だった。確実に、3連休を過ごすヒントになるだろうと思う。その藤井さんの(たぶん)唯一の著書をご紹介。

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