Notes3~ヨミガタリストダイアリー

名古屋市在住の俳優/朗読者・ニシムラタツヤの演(や)ったり読んだりの覚え書き

本日の朗読は残念ながら中止いたします!

2015年03月27日 | 朗読・声の周辺
■やってきました毎月最終金曜日(たまに土曜日)、岐阜・柳ヶ瀬商店街の「いしぐれ珈琲」でお送りしている私のひとり朗読「三十代の潜水生活」、おかげさまで【第67回】を迎える、はずだったのですが、今回は都合により急きょではありますが中止とさせて頂きます。あんまりいらっしゃらないかもしれませんが、次回を4月29日(水)昭和の日の夕方とさせていただきますので、是非その時にお越しくださいませ!
■その、次回からはちょっといろいろ、装いを変えてお送りする予定です。どうぞお楽しみに!!さて、仕事に戻りますです……。

一読の夢/大阪へ

2014年10月04日 | 朗読・声の周辺


■8月に連絡をもらって、まばたきを2、3度したらもう本番の朝になってしまった、という心境です。新幹線に乗って大阪に向かっています。「第6回 青空文庫朗読コンテスト」(http://www.roudokukentei.jp/aozora/)は本日正午開始、自分は、30名の出場者中、21番目ということですので、13時半までには多分終わっていると思われます。あと4時間の後には、ということですね。
■稽古の途上で考えたのは、突拍子もなく聞こえるかもしれませんが「快楽原理」という言葉でした。自分が気持ちよいように、ひたすら独りよがりに読むことは、欲望に即したものですから、楽に決まっているのです。だが、これは俳優の演技とも一部重なります(2つは完全に一致するものではないと思っています)が、そうやって客観性を失うことで
こぼれ落ちるものは余りに多い。朗読においては、個々の言葉をゾンザイに読み飛ばすことで、立ち上がるはずの世界も立ち上がらなくなる、その瞬間に何度も見舞われ、とても落ち込みました。

本の中に生きる、彼や彼女とそれを取り巻く世界。
その読み手として、現在に生きる自分。
その自分が操ったり操られたりする言葉。

■どこか一方にも引っ張られることなく、何とか無事に綱渡りを乗り切った時に、良い朗読というのは生まれるのではないか?そんな風に現時点では結論づけています。ともに読み、ともに生きるのだ、と。
■あれ、どこかでこのフレーズ聞いたことがあると思わないでもありませんが、とりあえずそんなところで。まもなく大阪に着きます。行ってきます!

文部科学省後援「第6回青空文庫朗読コンテスト」本選に出場します

2014年08月11日 | 朗読・声の周辺


■2ヶ月と少しぶり、またしても久しぶりの更新になってしまいました。Facebookとは連携をしておらず、細かいお知らせはTwitterの方が早いし使いにくいということになりますと、なかなかウェブログを動かすというのが億劫になりがちですが、その分中身は考えて行こうと思います。
■さて、今回はみだしの通りのお知らせです。再び、普段とは全く違う、多くの方の前で読む機会を頂きましたというご報告です。実はこの「青空文庫朗読コンテスト」は、2年前の2012年にも予選を通過し、座・高円寺(東京都)で開催された全国大会に参加していますので、それ以来のこととなります。聞けば、今回は過去最高の応募者数であったということで、その中でもMP3データを送付する形での予選を通過することができたのは大変嬉しく思っています。時の運や巡り合わせと言う以上に、そういう状況の変化に耐えうるくらいには自分は進化しているのかもしれないな、というのが初っぱなの感想でした。傲慢かもしれませんが。
■このコンテストについて、前回と今回が違う点が大きく2つあります。前回は各自がこれと思う作家の作品を「青空文庫」から探し出して読み応募、という形でしたが、今回は6編の課題作品から1つを選んでという形態でした。その中で自分は、中島敦の「悟浄歎異(ごじょうたんに)」の抜粋で挑みました。おそらく今度の本選までそれを用いるということになるかと思います。そしてもうひとつは、会場がこちらになったことです。



■まもなく再開発によって取り壊されるという運命にあるとの噂がある、大阪心斎橋の大丸内にある、「大丸心斎橋劇場」です。実に立派すぎる構えで臆さないように、これから少しずつ研鑽を積んでまいろうと思います。大阪市内の皆様、はたまたお近くの皆様、是非10月4日の午後、応援を宜しくお願いいたします!
■さあ、日付も変わりましたのであさっては「いい年した大人向けッ!ひまわりホール水曜の庭」の本番です・1ヶ月が二度寝のようにすぐやってきます、。こちらは1,000円で実はワインが飲み放題です。そしてさらなる特典も…。その中で私はラフカディオ・ハーンの「怪談」より「ろくろっ首」を読ませて頂きます。こちらもどうぞふらりとお越し下さい!よろしくおねがいいたします。

2つの僥倖(ぎょうこう)2-「ギャラクシアンエクスプロージョン3」について

2014年05月19日 | 朗読・声の周辺


■あっという間に1週間でした。報告したいことは他にもたくさんありますが、続きます。先のの「#女川歴史民俗紀行」が、いわば遠くの友人たちとのかけがえのない時間であったとすれば、これから書き残しておくこのイベントは、自分が生きて来た名古屋の街と、そこで舞台に立つ「近くの仲間」との豊かな時間であったな、と思い返しています。去る5月10日、11日の2日間は、名古屋市の劇場「名駅裏通スタジオナンジャーレ」にて開催された「ギャラクシアンエクスプロージョン3」に参加させていただきました。
■「ギャラクシアンエクスプロージョン」とは、3年前に始まった、名古屋を中心とした東海地方で活動する俳優が参加する、15分間という短い時間のひとり芝居のショーケースイベントです。これまで2回開催され、参加者の延べ人数は20名強。それが3回目の今回、応募者が殺到し、急遽前夜祭という形でさらに短い10分の枠を設け、総勢27名の陣容で3日間にわたって開催されました。
■しかし、当初自分は参加の申請等を行いませんでした。特に俳優としてこれといった実績があるわけでもなし、申し込みをしたところでおそらく通らないだろうし、そもそもひとり芝居に余り興味が起きなかったというのが正直なところでした。5月の開催なら4月中旬からはすくなくとも準備が必要だし、できれば女川行きの準備期間として空けておきたかったので。…ところが、わからないものです。締め切りが過ぎ、参加者の名前が漏れ伝わるようになった3月の中旬でした。知多市のある施設で、こちらも付き合いの長くなった劇団、試験管ベビーの通し稽古を見学していた私の携帯が鳴りました(正確には留守電通知のバイブ)。空宙空地のおぐりまさこ女史からでした。
■これまでよほどの親しい間柄でも「のっぴきならないお願いがあるのですが」などと問いかけられたことは、正直記憶にありません。しかしそう表現されても決して大げさではありませんでしたし、実際されました。聞けば、おぐりさんと組んでエントリーしていた我らが名古屋の兄貴分こと岸★正龍氏の、仔細は省きますがその代役を務めてほしいという依頼でした。
■相当悩みました。役者としてのスケベ心からすれば出たい。出て名前を売りたい。しかしひとり芝居だ。ひとり朗読は慣れていても全く未経験だ。そもそも台詞は覚えられるのか、というのは冗談ですが、やはり不安の方が先に立ちました。結局引き受けた理由を今から振り返れば、やはり新しい観客と、新しい相手と創作をしてみたいという気持ちが引っ込み思案を上回ったということになるかもしれません。そして、映像で出てくる岸さんとの掛け合いという、初体験の演出プランを聞いて、思わず楽しげな感じに握り拳を心の中で握ってしまったのでした。
■演出を務めて下さったにへいたかひろさんは、もう10年近く互いに知り合いでいた割に、これまで創作の同じ現場にいたことはあっても作品を一緒に作ったことはありませんでしたし、岸さんも期間は短いながら同じような感じ。映像を担って下さった平野隆さんに至っては今回、初めてまともに話をさせて頂いたくらいです。年かさはいっているがこの面子ならば何か面白いもんはできるだろうと思えたのです。そういう意味でこれはまさに「ひょんなこと」。予期していなかった機会、まさに僥倖(ぎょうこう)でした。
■そして、12回の稽古を通じて、自分の読む行為がこういう風に受け止められるのかという発見の連続でした。裏返せば、自身の癖に無頓着な状態が相当長期間に亘っていたというべきかと思います。それの錆び落としから始まったようなところが実際ありましたし、それが本番までの期間で完全に、盛んな勢いで舞台に立っていた7~8年くらい前までの自身の状態に持って行けたかというと甚だ心もとないのですが、終演後のアンケートをチラ見した限り、評価して下さったお客様が多く少し安心しました。もうこれは脚本の二朗松田さん(はちきれることのないブラウスの会)の才覚に負うところ大です。二朗さん、ありがとうございました。まだお目にかかっていないのですが。
■そして、やはり時間は流れているのだな、と痛感したのは、若い才能がどんどん出て来ているということでした。そりゃあと5年も経てば大方のメンバーは入れ替わって、また続く若い世代が出てくるし、残っていく人々には今からぼんやり見ていて何となくの予感を抱いたりもするのですが、やはりやっていることに違いはあれど、ジャンルやカテゴリにあぐらをかいていては進歩もないし腐ってゆくだけなのだと思うことができただけでも、今回の参戦は自分にとって大きな意味があったと思いました。
■先に挙げた皆さんに加え、本催事の運営に尽力された名古屋演劇アーカイブの長谷川公二郎君を始め、スタッフの皆様にも深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

2つの僥倖(ぎょうこう)1-「女川歴史民俗紀行」について

2014年05月11日 | 朗読・声の周辺


■4月下旬から、全くの偶然から幸運としか言いようのない機会に連続して恵まれたので、これは記録しておかなくては、と思いました。ごくごく簡単でありますが、まずは4月27日から2日間にわたり参加させていただいた、「女川歴史民俗紀行」について、です。きっかけは、確か宮城県の民謡「大漁唄い込み」のことをつぶやいていたら、その時にTwitter上で知り合った井上リサ @JPN_LISA さんにお誘いを頂き、参加させて頂きました。宮城県の東端、牡鹿郡女川町および東松島市にお邪魔しました。東日本大震災で深く傷つき、復興途上にある町を巡り、その気候や風土、産業、そしてそこに住む方々から直接話を伺うことで、報道や通り一遍の情報では知り得ない地域の実相、と言うんでしょうか、それらに深く触れることができました。
■名古屋から女川まで、夜行バスと新幹線、路線バスを乗り継いで12時間。地元サッカーチーム、コバルトーレの試合を観戦し、NHKのドラマ「ラジオ」でも知られた蒲鉾本舗高政さん、おながわ災害FM、ど根性桜、東松島市の高砂長寿味噌本舗にお邪魔しました。私はそこで1日目の夜(ツアーとしては2日目の夜)、参加者の皆さんを前に、高村光太郎が若き日に石巻を発ち、三陸地方を北上した際に遺した紀行文「三陸廻り」、そして遥か平安期の東北における地震の史実を記録した「日本三大実録」の一部、そして東北電力女川原子力発電所の建設時において、作業員さんの間で歌われたと伝わる「女川建準行動歌」の3篇を読ませて頂きました。
■唐突ですが、私は原子力発電について、漸進的、段階的に使用しないように進めるべきだという考えを持つ者です。これまで自分からはっきり申し上げたことはありませんでしたが、だからといって現在問題になっているような、放射線や放射能に対する無知と無理解に基づく「風評被害」には反対し、自分がそれらを振りまかないように動く、と心に決めている者でもあります。そして被災地がどのような事情を抱えているか、そこに思いを至らせず、もしくは最初からそのつもりもなく、愉快犯的に被災された人々をセカンド・レイプする夥しい事象に、ずっと怒りを抱えてきた者でもありました。その意味で、今回の1泊2日という短い期間でありながら、一般の旅行者ではなかなか触れることが難しかった、地元の、そこに住み、働き、生きる人々の声を直接聞くことができたのは、単に震災云々という前に、表現に携わる者としても、本当に幸運なことだったな、と。
■風土、身体、そして音声と言葉。この4者がどのように結びあい、何を生むことができるのか、そこで自分は何をすべきか。そのための新たな出発点にしたいと強く感じています。今回のツアーをご案内頂いた井上さんを始め、参加されて私の朗読を聴いていただいた皆様、そして女川町、東松島市の皆様に深く御礼申し上げます。
■なお、今回読んだ3編については、近日きちんと公開できるよう準備を進めます。いずれもすでにパブリックドメインになっている(か、どうかも確認できない程古い)作品ばかりですので。

「AfroWagen 10th project」終了ー心から、ここから。

2013年06月30日 | 朗読・声の周辺
■月日は百代の過客にして、なんていう「おくのほそ道」の冒頭を諳んじようとしたら、1週間経ってしまいました。芭蕉上人はまさにそのようなことをおっしゃられているわけですから当然過ぎるほど当然のことなのですが、改めて流れる時の無情さを感じているところです。そう、ちょうどTwitterのタイムラインと同じです。
■そういうわけで、終わりました。私、AfroWagen(アフロワーゲン)が旗揚げ、というか活動を開始して10年を区切りとしたプロジェクト。昨年に引き続いて「林英世ひとり語り2013」、名古屋では2年ぶりとなった朗読会「三十代の潜水生活vol.6」、そして名古屋にはほぼ初めての招聘となりました春野恵子さんの「Roukyoku Rock You!」をひとまとまりとしてお送りいたしました。正月の松の内があけてすぐの頃からぼちぼち準備を始めてたのですが、最後はいつもの調子、大方に漏れず、あれもしなきゃこれもしなきゃとるものもとりあえずと言った感じ、バタバタのまま本番まで突っ込んでしまいました。毎度毎度本当にお恥ずかしい限りです。そんな状態にも関わらず、最後までお付き合いを頂いたすべての方、そして当日会場にお越し下さったお客様皆様に、深く、深く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
■ごくごく簡単ではありますが、振り返りたいと思います。まず6月9日(日曜日)は、文化のみち橦木館の蔵(西)にて行われた「林英世ひとり語り2013」。



今回は松本清張の「二階」をお送りいたしました。会場となった蔵のもつ、独特としか言いようのない空気と、林さんの生み出す声、所作、そして彼女自身の閾(いき)とでも言うべき何ものかが混じり合い、徐々に化学変化を起こしていく瞬間を目の当たりにしたような1時間でした。お客様からも非常に好評を頂くことができました。ただ惜しむらくはこちらの宣伝周知が行き届かなかったのではないか、と思われる点でして、こればかりは深く反省するところです。もちろん、少人数に限られる、狭い空間で感じていただけるものも確かにあるとは思うのですが、これは言い訳にするわけには行きませんので。また、今回は当初予定していたワークショップ「声と言葉の表現教室」を中止せざるを得なかったことも次回以降への課題となりました。
■続きまして6月22日(土曜日)に開催しました、私のひとり朗読「三十代の潜水生活vol.6」。今回はクリアレイズ所属で中京テレビアナウンサーでもある柏田ユウリさんをゲストリーダーにお迎えしました。写真は現在データ整理中ですので、もうまもなく一部をお見せすることができると思います。多少画質に難がありますが、柏田さんの公式ブログ「Pallete」にすでにアップされているものがありますのでそちらをご覧下さい。稽古中の1カットをこちらでは。



■この「潜水生活」というシリーズは、基本的にお相手して頂くゲストの方と「何を読むか」「どう読むか」ということのディスカッションを重ねて本番の構成を決めて行くのですが、今回ほど密度の濃い作業が続いたことは、正直申し上げてありませんでした。約5年ぶりに朗読も含めて舞台に立つという柏田さんが、本当に高い熱量を持ったアイディアを数多く持ち込んでくれたおかげで、作業自体がとても楽しく有意義なものになりました。と、同時に、互いの考え方の差異が際立つことで、私自身も今更ながら、たくさんのことを学ばせて頂いた気がします。根本的な部分、「朗読とは何か?」ということを1からとらえ直す作業も、これから必要になってきたなと思わせるくらいに。それだけこれまでの自分に甘さがあったことの証左かもしれませんが。
■普段、テレビの画面上でしか柏田アナウンサーを知らない方が大半であるからこそ、実際に舞台に臨んでテキストに向き合う彼女の姿は、もっと多くの方に知ってもらいたい。そう強く思いました。そう「知りたい」と思われたお客様に幸いにもたくさんおいで頂き、「潜水生活」シリーズ過去最高の動員を記録することができました。カッシー、本当にどうもありがとう!と、馴れ馴れしくもそう呼ばせて頂きます。また何度でもやりましょう。
■そして最後、6月23日(日曜日)は、「春野恵子のRoukyoku Rock You@NGY」となるのですが、これは改めてお知らせすることもできましたので、一旦ここで切らせて頂きたいと思います。大まかに言いますとですね、

「ケイコ先生」、8月にまた名古屋においで頂きます!!!

今回見逃してしまわれた皆様におかれましては、ゆめゆめこの機会を逃されませんよう。お待ちしております!
□では、また後ほど。

いよいよまた上陸「ひとり語り2013」in名古屋(@文化のみち橦木館)

2013年06月08日 | 朗読・声の周辺


■みなさま、約5ヶ月、彼の訃報に触れて、喪に服するわけではないですが、このブログをお休みするような形になってしまいました。その他にもここには記しませんが大小いろいろありましたので。ここで心機一転、さっそく明日のご案内をさせて頂きたく思います。約10ヶ月ぶり、名古屋にあの方が帰ってきます。

いよいよ明日上陸「ひとり語り2012」in名古屋(@文化のみち橦木館)
http://blog.goo.ne.jp/afrowagen/e/e1a143ad973a02e28471aa536468a258

■昨年の8月、こんなことを書き残しておりました。林英世さんは、かつて劇団M.O.P.の主力として、そして近年ではNHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」の岸和田弁指導担当として活躍されている方ですが、それらの活動と並行して、2001年から、古今東西の小説家の作品を「まんま読む」活動ー「ひとり語り」を続けられています。読み、語り、朗読のイベントは全国あまたに数多くあり、私のやっている「潜水生活」だってそうですが、「ひとり語り」には、会場となる空間とのコラボレーションを目指すという特徴があります。



■作品の持つ時代や背景、人物造形や心象風景の描写に最適な場所を探して決める。つまり、会場も作品の一部として捉える、「借景」というべきものかもしれません。今回もその借景には、昨年に引き続き、名古屋市東区の「文化のみち橦木館」の「蔵(西)」を選びました。




■その橦木館での読む作品は、松本清張の「二階」です。昨年の江戸川乱歩「芋虫」と同じく、偶然にも床に伏せっている夫と、彼に関わる妻の関係の変容と瓦解を濃縮されたタッチで描ききられています。加えて、どちらの作品にも共通するもの、それは「見えない空間」に対する恐怖ろして、階上の部屋の存在を出していることです。橦木館の「蔵(西)」もまた、実は2階建ての建造物です。上演会場の隅から、当日は上がっていただくことはできませんが、細い階段で上へと進む通路がはっきりご覧頂けると思います。その階上の存在を、女優の「読み」の力だけで、お聴きになる皆様に幻視していただこうというのが今回の趣向です。
■いつもこういうご案内をする際に付け加えることですが、日常の空間で、動画やDVDを再生して得られる「臨場感」とは似ているようで実は全然違う「生」の実感を体験して頂けると思います。それや温度や湿度や空気のよどみ方や、会場外から漏れ聞こえてくるさまざまな音、その他、「居れば必ず触れてしまう」要素ととも作品をお楽しみ頂ければと考えております。
■ごく狭い会場ではありますが、チケットはまだまだお出しできます。情報があまり広がっていないのは私の力不足であり申し訳ない限りですがご予約は、AfroWagenのこちらのページか、もしくはお電話で(06-6647-8243)お願いいたします。もちろん、当日でも全く構いません。予定がキャンセルになったなど、ふとしたタイミングでのご来場をお待ちしております。

■では、あと24時間後に開演です!

明後日になりました。オレンヂスタ @orangesta_now USTリーディング

2012年11月23日 | 朗読・声の周辺


■Facebookの方では何度かお知らせしてきたのですが、いよいよ3連休となりまして本番まであと2回の稽古を残すのみとなりましたので、直前にこちらでもお知らせをさせて頂きます。名古屋拠点の劇団「オレンヂスタ」が今年度1年間にわたって実行している、12ヶ月連続の動画共有/生放送サイト「Ustream」公演に出演させて頂きます。11月25日(日曜日)午後8時から。リーディングです。こちらからお越し下さい。
■1週間前にはリチルさんでの新美南吉作品をお送りしたわけですが、その翌週にはテイストのまるで違う、こちらも名古屋拠点のユニット、刈馬演劇設計社の刈馬カオスさんの書き下ろし戯曲「シャベル男女」という作品です。これにまつわるニコニコ生放送をして気勢を上げるぜ!というタイミングがあったのですが、気がつけば小学生時代のおねしょの話をして終ってしまいましたので、こちらに改めて書かせて頂きます(なお、Facebookにもほぼ同じ内容がアップしてあります)
■普段岐阜でやっている朗読は、だいたいが自分ひとりで読んでいます。だからこうして誰かと「読む空間」を共有することはあまりないことでして、こういう機会を頂けることはまず、非常に有り難いことだと感じています。その上で考えるのは、端から見ればただ「読む」という行為が、一体どれほどの可能性を持っていて、自分はそのうちのどれだけのものを聴く方に届けることができるか。その質量をできるだけ多くするにはどうするかということでして、これは普通の演劇公演みたく、全身を自由に使うことができない分、音声は、演じる「私を構成する一要素」から、ほぼ「私そのもの」として捉えられるわけです。あ、読んでいる私の映像はこの際置いといてですね。
■当然、そうなると他の誰かへの投げかけ方、他の誰かからの受け方、全て変わってきますし、テキストとして書き込まれた情景の説明の仕方もそうです。例えば雨の音を効果音でもなく、もちろん雨降りの映像でもなく、ぬかるんだ地面をゴム半の長靴で踏みしめつつ喋る言葉の調子で表現しなければならない、とか。そんなの知らねえよとはきっと多くの方には感じられるかもしれませんが、私(の役)としては、そういう実感を抱いたということで、このかりそめの時間をお届けする必要がある。必要というか、とめどなく届けざるを得ない。今回の刈馬氏の戯曲は、そのような豊かさに溢れた素晴らしい素材であると、最初の稽古でひと読みして確信しました。
■確かに舞台上での役者はそれぞれが唯一無二の存在ではあるでしょうか、例えば山の中を懐中電灯片手にああして時間を過ごす男性は、ずっと数は少ないにせよ、絶無というわけじゃない。そういう時間をテキストから聴き取るように読むということが、今回の私が目指すところです。聴くように読み、読むように聴く。皆さんの聞き耳のお役に立つことができれば、読み手としてこれ以上の幸せはありません。お時間がありましたら是非、生で立ち会って頂きますようお願い申し上げます。
■では、これから岐阜に折り込みに行き、我が父、西村巧の生誕を祝ってから、稽古場へ向かいますねん。

「新美南吉ナイト」@litir_books 終了ご報告

2012年11月17日 | 朗読・声の周辺
■雨ですねえ名古屋。洗濯物干せません。困りました。困りましたが昨夜、お知らせしていました「リチル」さんでの5回目の潜水生活、今までにない多くの方に聴いて頂くことができました。ありがとうございました。後ほど、写真なと上げてみたいと思います。これからもお蔭さまで続けることができそうです。おいでになれなかった方も次回はぜひ。お待ちしております。
■さて、雨の名古屋から雨の大阪日本橋へ。福岡発の今、たぶん1番面白い芝居をつくる「万能グローブガラパゴスダイナモス」の公演にお邪魔しました。すごいセットです。ジャングル、割と大きいはずなのに…。観たら速攻帰りましてオレンヂスタUSTリーディングの稽古。そして、夜は生放送でお目にかかります!