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西成バンクシー文化の土壌

2020年05月13日 16時18分00秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ

 

ツイッターに大阪・西成あいりん地区の落書き写真が上がっているのを偶然見つけました。そこには、放置自転車や無許可の露店営業を禁止する行政の張り紙の上から、「やかましい 山にう(埋)めるぞ六甲の」と落書きされた写真が上がっていました。その投稿に「やっぱり西成はガラが悪い」「生駒と漢字で書けず六甲でお茶を濁したバカの書き込み」「いや、俳句のように5・7・5の韻を踏み、おまけに『埋めるぞ六甲に』と、倒置法の技法まで使っている。実はバンクシー(英国に現れた覆面芸術家)の仕業では…」と、さまざまな感想が寄せられていました。

その落書きが書かれた場所が、私の今住んでいるマンションの近くだったので、今日早速確かめてきました。すると、落書きされた張り紙は既に撤去され、代わりに新しいオブジェが一杯置かれていました。

(1)オブジェ系

この落書きが書かれた場所は、阪堺線の通称「しょんべんガード」の近くです。身長150センチぐらいの人がやっと潜り抜けられるほどの背の低いガードの横に公衆便所があるので、「しょんべん(小便)ガード」と呼ばれています。その「しょんべんガード」の前の、フェンスで囲まれた三角形の狭い土地です。中は庭園みたいになっています。土地の所有者は誰か分かりません。そこには昔からぬいぐるみや意味不明のオブジェが一杯置かれていました。私が行った時は「コロナ来るな」「おやつの前に手を洗おう」「発酵食品たくさん食べて善玉菌を増やそう」「加油(ジャーヨウ:「頑張れ」という意味の中国語)」「中日友好」などのプラカードがオブジェに掲げられていました。大阪市内で引き取り手のない遺体が多く見つかったという新聞記事の切り抜きも貼られていました。

ここは以前から「不気味な場所だ」と思っていたのですが、落書きがあるのは実はここだけではありません。西成・あいりん地区は昔から落書きの宝庫なのです。とりあえず、それらの落書きを、このオブジェも含め5つに分類して、順次紹介して行きます。なお、この分類は、あくまでも私がここで紹介する為に、適当に振り分けただけです。正確な分類ではありませんので、ご注意下さい。

(2)アート系

実はあいりん地区では、WAN(ウォール・アート・ニッポン)と言うプロジェクトの名称で、落書きをアート(芸術)として積極的に街の復興に取り入れようとする動きが最近広がっています。不法投棄や落書きを監視カメラで規制するだけでなく、むしろ行政の方からアートとして推奨する事で、町を明るくして不法投棄や落書きを封じ込めようとする動きです。南海電鉄のガード下や町中の壁やシャッターに、それらのグラフィックアートが描かれるようになりました。しかし、中にはアートか落書きか区別のつかない物もありますw。

(3)運動系

西成のあいりん地区で野宿者支援の取り組みを行って来たのは、新左翼系の労働組合とキリスト教団体です。この①新左翼と②キリスト教団体、③日雇い業者、④日雇い賃金の上前を撥ねる貧困ビジネスのヤクザや覚せい剤の売人。この4つが、あいりん地区の主要勢力です。落書き(みたいなプラカード)が目につくのも、新左翼の一部が立てこもっている旧あいりんセンターの建物です。あいりんセンターは耐震化工事の為に、現在建て替え工事の真っ最中です。建て替えが終わるまでは、南海のガード下にある仮設のセンターで業務を行っています。その建て替え移転に反対する人たちが、旧あいりんセンターの前にテントを張って、自らの主張を旧センターの壁に貼っています。なお、新左翼系団体の全てが建て替えに反対している訳ではありません。「建て替えやむなし」の条件闘争派の人たちも、自らの主張を壁に貼っています。それらの掲示物の中には、同じように建て替えの問題を抱える横浜・寿町の仮設センター見学の報告もあり、一般の方にとっても非常に勉強になります。

(4)教会系

新左翼と並んで、炊き出しなどの野宿者支援の活動を行って来たキリスト教団体も、拠点となるあいりん地区の教会の建物(大阪救霊会館)に、聖書の教えなどを掲示しています。この掲示も一種の落書き(プラカード)と言えるのではないでしょうか。この教会では、礼拝の後に食パンなどの配布を行っています。同じ野宿者支援でも、礼拝が中心のキリスト教団体と、運動が中心の新左翼系団体とでは、運動の進め方が全く違います。しかし、全く対立している訳ではありません。キリスト教の牧師の中には、労働組合が行う炊き出しや夜の見回りにも、積極的に参加している人たちがいます。

(5)人情系

上記のどれにも分類されないのが人情系の落書きです。落書きと言うと、いかにも不良っぽい言い方ですが、決して書き殴られたものではありません。実際はシャッターや工事中の壁に、それなりにレイアウトも考慮して、きれいに書かれています。中には「釜ヶ崎ブルース」の歌詞などもあって、結構癒されます。でも、その文面が「義理・人情を忘れるな」とか「居酒屋で覚せい剤を売るな」では、やっぱり菅原文太みたいな人以外は、皆引いてしまいますw。

以上、(1)から(5)に分けて、西成あいりん地区の落書きについて紹介しました。このように、あいりん地区では、落書きと言えども一つの「文化」なのです。その個性の強さが、あいりん地区の魅力でもあります。ここの人たちは、他の下町のように、貧乏を恥じたりはしません。それどころか、過去には「暴動」という形で、行政に異議申し立てをして来ました。1961年に起こった最初の暴動も、警察が、交通事故で自動車にはねられた野宿者を、まだ生きているのに死体として道路に放置したのを見て、周囲の労働者が騒ぎ出したのが発端です。

その暴動の大半は、単なる「暴発」に終わりましたが、決して何も成果を生み出さなかった訳ではありません。その「暴発」によって、日雇い労働者の賃金が引き上げられ、特掃(特別清掃事業)のような失業対策事業も行われるようになりました。その歴史が、あいりん地区の街並みや住民の強い個性となって現れているのです。

私が最初、この街に来た時は、単に「ガラの悪い町」としか感じませんでしたが、今ではその個性の強さに魅力を感じています。ここでは野宿者や生活保護受給者も、他の下町のように、下を向いてうつむいて歩いてなぞいません。堂々と胸張って歩いています。何せ4人に1人が生活保護受給者なのですから。少なくとも私にはそう感じられました。だから、私みたいな非正規労働者でも、何の引け目も感じず前向きに生きていけるのです。

これだけ格差が広がっても、何でも自己責任で片付けられ。安倍政権がこれだけしたい放題しているのに、それには何も言えず。庶民には「自粛」や「忖度(そんたく)」する事ばかり押し付けられ。生活保護受給者や在日朝鮮人などの弱者叩きでうっぷん晴らすしか能のないネトウヨ(ネット右翼)が大手を振ってまかり通る。そんな世の中では、むしろ前述のような気持ちでいる方が、ちょうどよいのではないでしょうか。

446 & SHINGO★西成 / 「生きる」っていうこと 【MV】


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1 コメント

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Unknown (ハードボイルド茹で蛙)
2020-05-14 19:08:29
>この4つが、あいりん地区の主要勢力です。

 こ、これがSHINGO★西成の「こっちいくか、あっちいくか、韻踏むか、真面目に働くか、それともなんやろ、わからん」の内訳なんですね。

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