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覚悟の違いが票数に出た大阪ダブル選挙

2019年04月10日 22時21分04秒 | 都構想・IRカジノ反対!

大阪府知事選挙の投票は腰痛治療のついでに実家のある高石まで行ってきて行いました。何故、地元の西成区ではなく高石市くんだりまで行って投票しなければならないかと言うと、訳あって住民票を実家の住所地に今でも置いているからです。そして、腰痛治療も実家時代からのつながりで、今でも実家近くの腕の確かな鍼灸院で隔週日曜ごとに診てもらっているからです。治療の帰りに投票所の小学校に行って、都構想反対を掲げる小西禎一(ただかず)候補に投票して来ました。なお、私は大阪市西成区には住んでいるだけで、住民票が無いので、大阪市長選挙の投票はできません。

投票所の小学校は私の母校でもあります。もう投票する時しか訪れる機会は無くなりました。母校の様子もすっかり変わってしまい、もう昔の面影はほとんどありません。それでもやはり、私の母校には変わりありません。母校では、裏門の横にある桜がちょうど見頃を迎えていました。

その大阪ダブル(クロス)選挙ですが、予想以上の大差で小西候補が負けてしまいました。大阪市長選挙の方も同じく大差で、都構想反対を掲げた柳本顕(あきら)候補が負けました。大阪府知事には前大阪市長の吉村洋文、大阪市長には前大阪府知事の松井一郎が当選し、議会選挙でも府議会は維新が過半数を取り戻しました。

今度の統一地方選挙でも都構想の是非が一大争点になりました。都構想の是非を問う住民投票を再び行うかどうかを巡り、都構想推進の松井・吉村コンビが、それぞれ大阪府知事と大阪市長の職を勝手に投げ出し、都構想という自分達の野望実現と任期延長だけの為に、互いに立候補先を入れ替えて(クロスして)再び出馬するという、党利党略に基づく選挙を強行しました。それに待ったをかけるべく、府知事選には小西氏、大阪市長選には前回と同じ柳本氏が、それぞれ出馬表明しました。

松井も吉村も現職の府知事と大阪市長ではありますが、支持しているのは維新一党のみです。それに対し、小西候補や柳本候補は、自民党だけでなく他の野党や労働組合もこぞって支持に回りました。各政党の基礎票だけで考えれば、小西・柳本両氏の方がはるかに有利です。ところが、ふたを開ければ、予想以上の大差で松井・吉村コンビが勝ってしまいました。

都構想だけでみれば、維新と自民は激しく対立していますが、その他の国政レベルの政策では、維新も自民も大差ありません。憲法改正や安保法制については両党とも推進の立場です。維新なぞは、むしろ自ら推進の鉄砲役を買って出ている有様です。その為、安倍首相も、表向きは自民党系の小西・柳本候補を応援していますが、本音では維新公認の松井・吉村コンビの方にむしろシンパシーを抱いていると言われて来ました。

だから、私も、自民党支持層のかなりの部分が、自分たちの党の候補ではなく維新候補に流れるだろうと思っていました。無党派層も、府知事選挙については、行政官としてのキャリアは抜群でも、政治的には無名の小西候補よりも、知名度に勝る現職知事の松井に流れると思っていました。しかし、大阪市長選挙については、柳本候補も市議としてのキャリアがあり、今までも都構想反対のリーダー役を務めてきたので、接戦か、ひょっとしたら今回は勝てるのではないかと思っていました。

ところが、出口調査の結果によると、自民党だけでなく野党支持層からも、少なく見積もっても3割以上が維新陣営に流れました。固い支持層を持つと今まで言われてきた公明党や共産党の支持層からも、3割ほどが維新候補に流れています。私もここまで票が目減りするとは思っていませんでした。

でも、よくよく考えると、こんな結果に終わるのも当然かも知れません。なるほど、維新以外の党は全て都構想反対を訴えていました。しかし、その訴え方たるや、もうバラバラでした。統一した選挙母体で都構想反対を訴えるのではなく、それぞれの党の名前で、てんでバラバラに都構想反対を訴えるだけだったのですから。そして、議員選挙では、候補者調整も行わないまま、それぞれ自分たちの党の宣伝だけに終始していました。

そして自民党の選挙戦術も、腰が定まっていませんでした。野党の前では「自分たちは大阪党だ。都構想反対の為に共に頑張ろう」と言いながら、支持者の前では「自分たちはあくまで自民党だ。共産党なぞは勝手に我々を応援しているだけで、むしろはた迷惑なくらいだ」と言っていたのですから、お話になりません。これでは、せっかく都構想反対の一点で、「たとえ自民党でも応援してやろう」と思っていた共産党支持者も、「こんな事言われるぐらいなら、棄権するか、むしろ維新に入れて自民党に一泡吹かしたい」と思う人が出ても不思議ではありません。それが、この出口調査の結果に表れたのです。

その良い例が大阪市議選西成選挙区の状況です。ここは定数4に対し9名が立候補していました。候補者の内訳は、維新が現職と新人の2名で、後は自民新人、公明新人、共産現職、諸派新人、立憲元職、無所属元職、無所属新人です。それで結果は、維新現職が1万票以上集めてダントツのトップ当選、後は公明新人が8千余票、自民新人が5千余票、維新新人も5千余票の順で当選が決まり、共産現職は3千余票で次点落選の憂き目を見てしまいました。ここで共産と立憲との間で候補者調整が行われていたら、立憲元職も3千余票集めているのですから、維新の新人を落として都構想反対派(自公共)が3議席確保できたはずです。

何故こんな事になるのか?一つには、自民党の腰が定まっていない事が原因です。せっかく都構想反対で足並みをそろえながら、支持者に良い顔をしたい為に、まるで「都構想に反対しているのは自分達だけだ」と言わんばかりの態度を取り、「他党の応援なぞ有難迷惑だ」と切って捨てるような態度を取っているのですから。これでは、せっかく「応援してやろう」と思っても、「そんな事言うなら、もう自分達だけで勝手にやれ」となるのは当然でしょう。自分達だけで都構想を阻止できるなら、それでも良いでしょう。ところが、実際は自分達だけでは自党の候補者1人当選させるだけで精一杯。そんな事だから、幹事長も落としてしまうのです。

もう一つは、野党のふがいなさです。都構想反対の候補者選びも自民党任せで、自分達は何もしようとしなかった。常に自民の返事待ちで、自民党が決めた候補者にただ乗りするばかり。これでは、いくら「都構想反対に大義あり」と言われても、一般の有権者からすれば野合にしか見えません。「何だ、国政でいくら自民党を批判しても、肝心な時には自民党がいなければ何もできないのかよ」と思われるだけです。

私は何も「自民党を排除せよ」と言っているのではありません。たとえ国政では対立していても、地方政治では一致する政策実現の為に協力しあうのは当然です。しかし、それには前提があります。①共通の政策、②共同歩調、③団結の意志。この3つは最低いるでしょう。たとえ、共通の政策があっても、団結する意志がなければ共同歩調も取れません。いくら「協力します」と表では言っていても、裏で「あいつらは信用できない」と言っているようでは、団結なんて無理です。

今や、大阪府議会(定数88)では、維新51議席に対して、自民は公明と同数の15議席。他の野党はもっと酷くて共産2議席、立憲民主1議席のみ。大阪市議会(今回より定数86→83に削減)でも、維新40議席に対し、自民は公明にも後れを取り17議席と第三党に転落。他は共産4議席のみ。もはや、大阪では自民党なんて、かつての社会党ぐらいの力しかないのです。共産党は更に酷くて、もう諸派と同じ扱いです。他の野党は議席すら取れずにいます。いくら力を合わせても過半数も取れないのです。そんな中で、呉越同舟・疑心暗鬼で、足の引っ張り合いばかりしていて一体どうするのですか?自民党も、共産党も、他の野党も、本気で都構想を阻止する気があるのか?

これでは、いくら都構想反対で大同団結しようと訴えても、誰も付いて来ません。この後も、自民党議員の死去に伴い、衆院大阪12区で補欠選挙が行われます。ここでも大阪ダブル選の二の舞になるのではないかと私は危惧しています。今回、共産党の宮本岳志(たけし)氏が、衆院議員の職を辞して、無所属の野党統一候補として出馬表明されました。しかし、この人、もともと生まれも育ちも岸和田でしょう。それで地元・岸和田の大阪18区から野党統一候補として出馬するなら分かります。しかし、それまで縁もゆかりもなかった北河内の衆院12区に、既に候補者も決まっていたのに、何故その人を押しのけてまで出るのですか?勝てるかどうかだけで出るというのでは、松井・吉村のやっている事と一体どこが違うのか。

今回、和歌山県御坊市の県議選で、定数1の選挙区で、共産党の新人が自民党の現職に勝ったという事で話題になっています。実は、私も今年2月に御坊市を訪れ、その共産党新人の活発な活動ぶりに驚かされました。ちょうどその時は、たまたま鉄道ファンとして紀州鉄道の写真を撮りに来ただけだったのですが、沿線を歩いているうちに、共産党のポスターが、自民党現職候補のポスターと掲示枚数を互角に競り合っている事に気付きました。私のような一見の観光客にも、「保守王国で、しかも二階俊博・自民党幹事長のおひざ元にも関わらず、共産党、意外と頑張っているやん!」と言うのが、ひしひしと伝わって来たのを覚えています。

その新人当選のニュースを聞いた時に、私は驚くと同時に、「ああ、だから通ったのだ!」と思いました。相手の自民党候補は確かに8選のベテランですが、そのうち7選は無投票当選で、実際に選挙を戦ったのは1度だけ。しかも、市長選挙で保守分裂の片棒を担いだ事で、他の保守政治家との折り合いも悪い。人望もなく、ただの二階の腰ぎんちゃくでしかない人物でした。それに対し、共産党の新人は、県議候補としては新人でも、市議としては8選のベテランでした。地元の区長も務め、人望もある。前回の衆院選にも出て、御坊市内では二階幹事長の7千票に対し5千票にまで詰め寄っています。

だから、保守県で定数1の選挙区でも、自民党の現職に勝てたのです。その共産党新人の方も、「定数1の御坊から出たのでは、さすがに当選は難しいから、隣の定数3の選挙区から出たらどうか?」と、支持者からアドバイスされたそうです。しかし「私は生まれも育ちも御坊で、御坊に骨をうずめる覚悟で選挙を戦っている」と言って、その支持者の申し出を断ったそうです。ここまで本気だったからこそ、自民党や保守の人にも支持を広げる事が出来たのです。小西氏や柳本氏、宮本氏、自民党や共産党、他の野党の関係者に、ここまでの覚悟があるのかどうか?もしあるなら勝てるかも知れません。しかし、無ければ、この先も当選は難しいでしょう。

(参考記事)

二階氏の地元で自民現職敗北 共産新顔に 和歌山県議選(朝日新聞)

和歌山県議選の御坊市選挙区(定数1)で、共産新顔で元市議の楠本文郎氏(64)が自民現職の中村裕一氏(59)を破り、初当選を果たした。当選の知らせが入ると、事務所は大きな歓声と拍手に包まれた。

楠本氏は「市民が政治の主人公なんや。それを取り戻そらよ、と言ってきた。その答えをいただいた」と力を込めた。「共産党支持ではない人からも応援をいただいた。その声を必ず生かしていく」と語った。

中村氏は、3年前の市長選で現職の対立候補を応援したことで市長派とあつれきが生まれ、保守層をまとめきれず、自民党幹事長の二階俊博氏のおひざ元で議席を失った。「これが市民の皆さんのご判断だと思っております。本当に申し訳ありませんでした」と目を伏せた。

橋下徹”なぜ大阪維新はこんなに強いのか” 吉村・松井がクロス選を決断した夜(プレジデントオンライン)

(前略)

投開票日の4月7日の数日前、大阪維新の会の選挙対策本部長・今井豊は、独特の泉州弁で、維新の会のメンバーに大号令をかけた。

「よっしゃ! 都島(大阪市都島区)の花谷(はなや)(注:花谷充愉・自民党府議団幹事長)を、いてもうたらんかい! 国会議員とその秘書、無投票で当選した府議、それに情勢調査で当確(当選確実)の府議らは、都島に入ったれ!」

いてもうたらんかい! とは、いってまえ! やってまえ! というニュアンスである。それでも大阪以外のみなさんには分かりにくいかもしれない。やっつけてしまえ! という感じか。

この今井の風貌はいかにもの大阪泉州のおっちゃんである。メガネの奥の眼は優しく笑っているが、62歳とは思えない、顔の張りと色艶である。エネルギーが漲っている。100%の泉州弁でとにかく話が面白く人間関係を大切にするが、自分だけ走り過ぎて周囲がついていけないという事態も多々生じる。

(略)

こんな花谷が、今回の府議会議員選挙戦では苦戦している。公明党は全力をあげて花谷を応援しているが、有権者の維新支持のベクトルに勢いがある。今井は、このベクトルを的確に掴み、そして組織的な大号令をかけた。大阪維新の会は、この今井の大号令によって一気に動く。国会議員やその秘書、その他手の空いている維新メンバーや関係者が続々と都島区に入る。そして、全員一丸となった街頭演説を繰り広げる。

花谷は焦りに焦りまくる。

(略)

4月7日の投開票日。花谷落選。

花谷は民意を侮った。自分が活動する府庁舎・府議会、そしてお付き合いしている支援者の間という狭い狭い世界の中で、自分の感覚こそが絶対的に正しいと錯覚してしまった。しかし大阪の有権者は花谷の態度振る舞いにノーを突き付けたのだ。

話し合いがどうしてもつかなければ、相手をこのように選挙で落選させて、物事を進めていく。これが選挙であり、政治である。

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