アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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逃げるは恥だが役に立つ

2017年05月14日 21時52分01秒 | 職場人権レポートVol.3

【言語難民】日本語がしゃべれず、ひとりぼっちの子ども達を助けたい
 

 つい最近、「言語難民」という言葉があるのを知りました。職を求めて来日した外国人の子どもが、日本語が全然分からない為、学校の授業にもついていけず、周囲から孤立している。そういう状態を指す言葉なのだそうです。今、日本で働いている外国人は約100万人。その子どもの大半が、そんな状態に置かれていると言います。1ヶ月ほど前にニュースになった、千葉県で殺された小学校3年生のベトナム人の少女も、ひょっとしたら、そんな子どもだったかも知れません。

 上記の動画に登場する夜間中学生の中国人の男の子も、そんな「言語難民」の一人です。1年前に中国人の両親と一緒に来日したが、日本語が全く分かりません。鉄道の運転士になるのが彼の夢だそうですが、その為には高校卒業の資格が必要です。そこで、夜間中学に通いながら、NGOが運営するスクールで日本語や英語、数学の勉強を見てもらい、公立高校の受験に挑んでいるとの事です。そんな子には、何としても高校に受かってほしいと思います。

 しかし、実際はそんな外国人ばかりではありません。私の勤め先で働くベトナム人バイトの中には、もう日本に来て1年以上になるのに、いまだに日本語をひとつも覚えようとせず、仕事でも同じミスを何度も繰り返したり、私たち日本人がベトナム語が分からないのを好い事に、周囲にはお構いなしに、同じベトナム人同士でべちゃべちゃ喋り、仕事は手抜きし放題の奴も少なくありません。社員も、ベトナム語が分からないので、どう注意してよいか分からず、通り一遍の注意でお茶を濁すのみです。

 もちろん、まじめなベトナム人バイトもいます。たとえばハン君(仮名)なんかはそうです。おとなしい彼は、他のベトナム人バイトとは違い、作業中の私語もほとんどせず、まじめに仕事をこなしてくれるので、私たちも大いに助かっています。その邪魔をするのがミン(仮名)という女です。せっかく、他のベトナム人バイトがまじめに仕事をしているのに、誰彼なしに横から話しかけて来るので、一向に作業がはかどりません。私語だけでなく、仕事も手抜き放題で、自分だけ楽なほうに楽なほうに回ろうとします。

 そのしわ寄せが、全部、一緒に働いている日本人バイトに来るので、日本人バイトの間に不満がたまっています。いわく、ベトナム人も日本人も時給は変わらないのに、ベトナム人が軽い商品ばかり仕分けしようとする中で、なぜ俺たちだけが重たい商品を仕分けさせられなければならないのか?ベトナム人が、仕分けなどの最低限の仕事や言われた事だけしかしない中で、なぜ俺たちだけが、後片付けや備品の整理・発注・補修などの付帯作業に追われなければならないのか?なぜ、たった時給900円台かそこらの低賃金で、日本語もろくに分からない外国人に仕事を教え、社員の肩代わりまでさせられなければならないのか?

 そう思うのも当然です。別に何国人であっても構いませんが、少なくとも日本で働こうとする以上は、最低限度の日本語は理解できるようになっていないと、お話になりません。本当は、平仮名・カタカナだけでなく、小学校で習う程度の漢字ぐらいは読めないと、掲示物や伝票の文字も読めず、商品の仕分けも検品もできないはずです。ところが実際は、平仮名・カタカナも読めず、片言の日本語も喋れない人もいるのです。そういう人は商品名が読めないので、商品にはさんである伝票に記載されている出荷個数や出荷先番号の数字だけ見て、商品の仕分けをしています。誰かが伝票をはさみ間違えたら、もうそれで一巻の終わりです。

 それでも、まだまじめに仕事をしてくれていたらまだしも、その上に私語や仕事の手抜きばかりされたら、誰だって頭に来ます。もし、その結果、その外国人が嫌われても、それは自業自得であって、外国人差別でも何でもないと思います。仮に、それが外国人ではなく日本人だったとしても、同じ事ですから。誰だって、仕事の全くできない人間や、すぐ仕事をサボる人間と、一緒に仕事なぞしたくないでしょう。

 前述のミンについては、私の上司である正社員のノブ太(仮名)と、日本語の分かるベトナム人派遣社員(ミンの担当者)、そしてミン本人の三者で後日話し合いがもたれ、そこでミンに、①仕事中に私語はしない。②もし仕事で聞きたい事があれば日本語で私やノブ太に聞く事。③その点も含め、ここは日本なのだから、仲間内でしか通じないベトナム語で仲間内とばかり喋らない。一緒に働いている日本人がそれを見てどう思うかという事も考えろ(もちろん、これは逆に日本人にも言える事だが)。④以上の点が守れなければ、日本人とは気質が合わないという事だから、また別の国で就労してもらう―以上の4点について申し渡しました。そのかいあって、今はミンも、ひと頃よりは大人しく仕事をするようになりました。

 はっきり言って、外国に定住したり就労しようとする以上は、その国の日常会話ぐらいは喋れるように、事前に言葉をマスターしておく位は、常識だと思います。外国人にそれを求めるのは差別でも何でもありません。なぜなら、それは外国人に限った事ではなく、日本人が海外で定住したり就労しようとする場合も、お互い様だからです。別に何国人であっても構いませんが、その国で働く以上は、その国の言葉をある程度マスターしておかなければ何もできないはずだと…。そのように、私は今までずっと思ってきました。

 その考えは今も変わりません。しかし、その一方で、「今はもう必ずしもそうではないんじゃないかな?」という事も、うすうす感じ始めています。それが証拠に、今はもう、日本語を全く理解できないベトナム人であっても、日本人からは疎まれながらも、何とか仲間の助けを借りて生活していけてるじゃないですか。

 日本は島国で、異民族に支配された経験もないのでピンと来ないでしょうが、地続きの外国では、中国、インドにしてもヨーロッパにしても、何度も他の民族に支配されたり他の民族を支配したり、そういう歴史が繰り返されてきました。たとえば東南アジアのフィリピンがそうです。最初はスペイン人に支配され、せっかく独立しようとしても、米国に邪魔されて今度は米国の植民地にされてしまい、第二次大戦中は日本軍にも軍事占領され、第二次大戦後にようやく独立する事ができました。

 そんな国では、私のような感覚でいたのでは、支配者が代わるたびに、スペイン語も英語も日本語も、また一から覚えなければなりません。そんな事をする位なら、外国人との折衝は誰か村役人か部族長にでも任せ、自分たちは別にそんな言葉なぞ覚えなくても、今まで通り生活しておれば良いじゃないか。そして、覚える必要が生まれた時に、初めて覚える様にすれば良いじゃないか。そういう考え方もできるのではないか…という事に気づきました。

 これは何も言葉だけに限った問題ではないと思います。例えば、少し前に電通で過労自殺させられた女性新人社員のニュースについても、同じ事が言えるのではないでしょうか。この女性社員も、逃げようと思えばいつでも逃げられたのに、「私はもうこの会社から逃げる事はできない、仕事から逃れる事はできない」と思い込まされ、うつ病を発症して自殺にまで追い込まれました。もちろん、一番悪いのは電通という会社ですが、この女の子も、「別に会社だけが人生じゃない」と開き直る事が出来たら、もっと違った道を歩めたかも知れません。退職するのも一つの手だし、退勤時間をこっそり手帳につけておいて、労働組合や労働基準監督署に駆け込むという事もできます。今はもう、たとえ会社に企業別の労働組合が無くても、一人からでも入れる組合もあるのですから。

 この事は、電通だけでなく、日本という国全体を一つの巨大なブラック企業と考えた場合にも、充分応用できる処世訓ではないかと思います。今、安倍政権は、「秘密保護法」「戦争法」に「共謀罪」法案と、国民の権利を制限する事に躍起となっています。「秘密保護法」制定で、何でも好き勝手に国家機密に指定して、都合の悪い情報は全て国民の目から覆い隠す事ができるようになりました。「戦争法(安保法制)」制定で、それまでは日本の本土防衛にしか使えなかった(専守防衛)自衛隊を、海外の戦争にも派遣できるようになりました。そして、今また「共謀罪(テロ等準備罪)」法案提出で、一般市民を「テロ共謀犯」に仕立て上げる事が可能になる法律を制定しようとしています。

 でも、おかしいと思いませんか?ISのテロや北朝鮮のミサイル、中国の領海侵犯から日本を守る為に、それらの法律が必要だと政府は言います。でも、そんなに北朝鮮が怖いなら、なぜ日本海沿岸にあんなに無防備の原発を作ったのでしょうか?なぜ、その中国が日本の貿易相手国トップに君臨しているのでしょうか?なぜ、北朝鮮や中国やISとは何の関係もないアフリカの南スーダンにまで自衛隊を派遣しなければならないのでしょうか?なぜ、国民にはテロの脅威をあおりながら、閣僚は外遊ばかりしてオリンピックやカジノに入れ揚げているのでしょうか?実際は、それらの脅威をあおりながら、それらとは無関係な地球の裏側にまで、アメリカの主導する戦争に渋々付き合わされているだけじゃないですか。一握りの軍需産業を儲けさせる為に。

 それらの悪法の総仕上げが「憲法改正」です。安倍は、2020年のオリンピック開催までに、「憲法改正」を実現すると言っています。もし、そんな事になったら、一体どうなるでしょうか?それでも、今の平和主義や基本的人権は、形だけは残るでしょう。でも、実際は、自衛隊が憲法の上で合法化される事によって、戦争放棄(憲法9条第1項)も戦力不所持(同第2項)も、完全に「絵に描いた餅」になってしまいます。そして、形は徴兵制でなく志願制であっても、今以上に国内に格差が広がり、低賃金で不安定な仕事にしかありつけなくなれば、たとえ戦争で死にたくないと思っても、公務員の身分や官舎や奨学金などのエサと引き換えに、泣く泣く応募せざるを得なくなる人が増えるでしょう。若者は自衛隊に、中高年は福島原発の廃炉作業にでも就くしかない…。

 現に、米国がそのような社会になってしまっています。「経済的徴兵制」で、黒人やヒスパニックの貧しい若者が、アフガニスタンやイラクの戦地に派遣され、PTSD(戦争後遺症)で精神に支障を来し、除隊後も職にありつけずホームレスに転落する事例が相次いでいます。それに抗議しようにも、2001年の9.11テロを機に制定された「愛国者法」で、国家は個人のメールも好き勝手に盗聴できる監視社会になってしまいました。今や米国では、自由や民主主義は、ただの「絵に描いた餅」に過ぎません。その事を告発したスノーデンやアサンジ(ウィキリークス創始者)も、海外に亡命しなければならなくなりました。

 今までの感覚だと、もうそこで一巻の終わりです。しかし、今はもう、たとえ外国語が喋れなくても、海外に逃げようと思えば逃げる事ができるのです。現に、日本語が全然できないベトナム人も、日本人から邪険に扱われながらも、何とか日本で生活しているじゃないですか。だったら、日本人も同じように、海外で生活する事もできるんじゃないでしょうか。もちろん、それは「いばらの道」ですが、電通の女の子みたいに自殺するぐらいなら、まだ万に一つの可能性に賭けるほうが、まだマシではないでしょうか。

 「36計逃げるにしかず」ということわざもあります。今風に言えば、さしずめ「逃げるは恥だが役に立つ」という表現になるのでしょうか。もちろん、逃げてばかりではダメですが、「押してもダメなら引いてみよ」という事もあります。スノーデンやアサンジのように、亡命先で捲土重来(けんどちょうらい)を期す事もできるのではないか。海外には日系人のコミュニティーもあるではないか…。そう考えると、日本語が全然出来ず、それを好い事に私語や仕事の手抜きばかりするベトナム人バイトに対しても、また別の違った見方ができるのではないでしょうか。

 そういう意味でも、せっかくベトナム人と一緒に仕事するようになったのですから、これをきっかけに、何とかベトナム語をモノにして、少しでも「海外亡命先」の選択肢を増やしておきたいところです。しかし、このベトナム語が一筋縄ではいきません。発音が日本語とは全然違うのです。同じ外国語でも、そこがドイツ語やスペイン語と違うところです。ドイツ語やスペイン語は、たとえ言葉を喋れなくても、アルファベットのつづりがローマ字のそれと非常によく似ているので、その通りに読めば一通り発言できます。それに引き換え、フランス語はアルファベットのつづりが非常に複雑です。つづりだけをいくら見ても、どう発音して良いのか皆目見当がつきません。ベトナム語もそんな感じです。ベトナム語のアルファベットは、フランス人の宣教師によって考え出され、植民地時代に普及させられました。同じアルファベットでも、文字の上や下に付けられた山型やアクセント、コロンなどの声調記号の内容によって、微妙に発音が変わります。ベトナム人バイトに発音してもらったりしていますが、いまだにその違いが分かりません。何とかならないものでしょうか?

※なお、冒頭で紹介の動画は、あくまで期間限定の公開です。もし、公開期間が過ぎて観れなくなったら、外国人労働者100万人時代、見落とされる「言語難民」の子どもたちという元記事の方も参照してみて下さい。

  

コメント (3)
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