アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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偽りの国民保護なぞ百害あって一利なし

2017年04月26日 13時28分17秒 | 戦争法ではなく平和保障法を

 安倍政権が、自分たちの点数稼ぎに北朝鮮ミサイル騒動を利用するのは、別に今に始まった事ではありません。しかし、さすがに今回は呆れを通り越して憤りを覚えました。何故かと言うと、内閣官房国民保護ポータルサイトという、国民に避難を呼びかけるサイトを政府が立ち上げたのですが、その内容が余りにも人をバカにしたものだからです。

 同サイトいわく、「国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律)に基づき、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするための、国・地方公共団体等の責務、避難・救援・武力攻撃災害への対処等の措置」を定めたとあります。そして、北朝鮮のミサイルやIS(イスラム国)のテロ等に襲われた場合に、国や自治体や国民はどうしなければならないのか、という事が、事細かに書かれています。それによると、緊急事態が発生したら、緊急津波速報の時と同様に、個人の携帯に一斉に警報のサイレンと速報メール(Jアラート)が流れます。ご丁寧にも、どういう音のサイレンが流れるか、という事まで、解説されています。

 しかし、その内容たるや、まるでお粗末です。要約すると、「速やかに避難しろ」「正確・迅速に情報収集に努めろ」「行政の指示に従い、落ち着いて行動せよ」、たったこれだけの内容なのです。緊急事態と言っても色々あります。自然災害の場合もあれば、先述の武力攻撃やテロの場合もあります。このポータルサイトも、一応は類型別に対策(留意点)が書かれてはいます。しかし、そのどれもが、下記のように、判で押したように、ごく一般的、抽象的な、それこそ素人でも言える様な内容に終始しているのですから、お話になりません。こんな事、わざわざサイレン鳴らしてまで伝えなければならない内容ですか?いたずらにそんな事をしても、余計に不安をあおって国民をパニックに追いやるだけではないですか。

(1) ゲリラや特殊部隊による攻撃の場合
 突発的に被害が発生することも考えられるため、攻撃当初は一旦屋内に避難し、その後状況に応じ行政機関からの指示に従い適切に避難しましょう。

(2) 弾道ミサイルによる攻撃の場合
 攻撃当初は屋内へ避難し、その後、状況に応じ行政機関からの指示に従い適切に避難しましょう。屋内への避難にあたっては、近隣の堅牢な建物や地下街などに避難しましょう。

(3) (敵の)着上陸侵攻の場合
 攻撃が予測された時点においてあらかじめ避難することも想定されます。
 避難が必要な地域が広範囲にわたり遠方への避難が必要となるとともに、避難の期間が長期間にわたることも想定されます。避難の経路や手段などについて行政機関からの指示に従い適切に避難しましょう。

(4) 航空攻撃の場合
 攻撃の目標地を特定せずに、屋内への避難が広範囲にわたって指示されることが考えられます。屋内への避難にあたっては、近隣の堅牢な建物や地下街などに避難しましょう。その後、状況に応じ行政機関からの指示に従い適切に避難しましょう。

(5) 武力攻撃やテロなどの手段として化学剤、生物剤、核物質が用いられた場合

i.化学剤(化学兵器)が用いられた場合
 口と鼻をハンカチで覆いながら、その場から直ちに離れ、外気から密閉性の高い屋内の部屋または風上の高台など、汚染のおそれのない安全な地域に避難しましょう。
 屋内では、窓閉め、目張りにより室内を密閉し、できるだけ窓のない中央の部屋に移動しましょう。
 2階建て以上の建物であれば、なるべく上の階へ避難しましょう。
 汚染された服、時計、コンタクトレンズなどは速やかに処分する必要がありますが、汚染された衣服などをうかつに脱ぐと、露出している皮膚に衣服の汚染された部分が触れるおそれがあります。特に頭からかぶる服を着ている場合には、はさみを使用して切り裂いてから、ビニール袋に密閉しましょう。その後、水と石けんで手、顔、体をよく洗いましょう。
 安全が確認できるまでは、汚染された疑いのある水や食物の摂取は避けましょう。
 行政機関の指示などに従い、医師の診断を受けましょう。
 化学剤傷病者への治療は一刻を争います。あやしいと感じたらすぐに周囲に知らせる、速やかに警察や消防に通報するといった迅速な対応をとった方が、その後の対処も早くなり、救命率の向上につながります。

ii.生物剤(生物兵器)が用いられた場合
 口と鼻をハンカチで覆いながら、その場から直ちに離れ、外気から密閉性の高い屋内の部屋または感染のおそれのない安全な地域に避難しましょう。
 屋内では、窓閉め、目張りにより室内を密閉し、できるだけ窓のない中央の部屋に移動しましょう。
 屋外から屋内に戻ってきた場合は、汚染物を身体から取り除くため、衣類を脱いでビニール袋や容器に密閉しましょう。
 また、水と石けんで手、顔、体をよく洗いましょう。
 行政機関の指示などに従い、医師の診断を受けましょう。
 身近に感染した可能性のある人がいる際には、その人が使用した家庭用品などに触れないようにし、頻繁に石けんで手を洗いましょう。感染した可能性のある人も自らマスクをすることが大切です。
 米国で発生した炭そ菌事件のように不審な郵便物が送られてきた場合には、郵便物を振ったり、匂いをかいだり、中身を開けたりせずに可能であればビニール袋で包み、すぐに警察などに通報しましょう。もし開けてしまって不審物質がこぼれ出たような場合には、掃除をするべきではありません。不審物質を直ちに何かで覆い、その部屋を離れて汚染された衣服をできるだけ早く脱ぎ、手を水と石けんで洗い流してすぐに警察などに通報しましょう。

iii.核物質(核兵器)が用いられた場合
 閃光や火球が発生した場合には、失明するおそれがあるので見ないでください。
 とっさに遮蔽物の陰に身を隠しましょう。近隣に建物があればその中へ避難しましょう。地下施設やコンクリート建物であればより安全です。
 上着を頭から被り、口と鼻をハンカチで覆うなどにより、皮膚の露出をなるべく少なくしながら、爆発地点からなるべく遠く離れましょう。その際、風下を避けて風向きとなるべく垂直方向に避難しましょう。
 屋内では、窓閉め・目張りにより室内を密閉し、できるだけ窓のない中央の部屋に移動しましょう。
 屋内に地下施設があれば地下へ移動しましょう。
 屋外から屋内に戻ってきた場合は、汚染物を身体から取り除くため、衣類を脱いでビニール袋や容器に密閉しましょう。その後、水と石けんで手、顔、体をよく洗いましょう。
 安全が確認できるまでは、汚染された疑いのある水や食物の摂取は避けましょう。
 被ばくや汚染のおそれがあるため、行政機関の指示などに従い、医師の診断を受けましょう。

 以上、内閣官房国民保護ポータルサイト解説用パンフレット「武力攻撃やテロなどから身を守るために」の「武力攻撃の類型などに応じた避難などの留意点」ページより抜粋。 

 しかし、もし北朝鮮がミサイルで日本を攻撃したら、日本本土には10分余りで到達する事になります。そのうちで、ミサイル攻撃の兆候を在日米軍や自衛隊が察知し、関係機関に連絡するまでに、最低でも5分はかかります。そこから緊急警報のメールが一斉送信されるので、国民が実際に避難するのに使える時間は、わずか3~4分間しかありません。たったそれだけの時間で、一体どこに逃げられると言うのでしょうか。

 緊急警報の内容も、第一報は「速やかに避難しろ」「正確・迅速に情報収集に努めろ」「行政の指示に従い、落ち着いて行動せよ」というだけです。そんなメールが一斉送信されてくるのです。いくら「その後に送られてくる行政機関の指示に従え」とあっても、もうその時点で、国民がパニックに陥り、めいめい勝手な方向に逃げ出して、収拾つかなくなるのが目に見えています。それを統率するはずの行政機関も、ただでさえ公務員リストラで役所の人数がギリギリまで削減され、実際に窓口業務を担っているのは非正規雇用のパート・アルバイトが大半だという中で、誰が適切に対処できるでしょう?まともな指示なんか出せるはずないじゃないですか。こんなメールを送りつけられても、余計に混乱をあおるだけです。

 しかも、その内容たるや、上記にもあるように、核攻撃された場合でも「核攻撃を受けた時も火球を見るな、目や鼻をハンカチで覆い、風下を避けて屋内退避、窓をテープで密閉しろ」だけなのです。これでは、「行政なぞ当てにせず、自己責任で自分の身は自分で守れ」と言っているのと同じです。もっとはっきり言えば、「自分で自分の身も守れない奴は、焼け死のうが飢え死にしのうが、政府の知ったこっちゃない」と言う事です。

 ところが実際は、今更言うまでもない事ですが、そんな事は到底不可能です。それは、第二次大戦中に広島に落とされた原爆が、空中で炸裂してから直下の市街地を焼け野原にするまで、わずか10秒ぐらいしか無かった事からも明らかです。過去にNHKで放送された「原爆投下 10秒の衝撃」というテレビ番組が、その事を雄弁に物語っています。1998年に放送された1時間半ぐらいもある番組ですが、今見ても非常に為になる内容です。

原爆投下 10秒の衝撃(1998年)
 

 その動画によると、 1945年8月6日午前8時15分に広島市上空567メートルで炸裂した原爆「リトルボーイ」は、既に炸裂直前に始まった爆弾内の核分裂反応で致死量の放射線を市街地に撒き散らしています。そして炸裂0.2秒後には、直径310メートルに及ぶ火球が広島上空に出現し、6千度の熱線と15キロトンの爆風を市街地に浴びせます。その超高温の熱球と膨張した空気による衝撃波で、半径2キロ以内の構造物は、堅固なコンクリート造りの建物も含め、一瞬にして崩壊してしまいます。かろうじて残った建物の中でも、内部では衝撃波による火炎流が渦を巻き、机の陰に隠れた人々も机もろとも吹き飛ばしてしまいます。その間約3~10秒。爆心地から半径1キロ以内にいた人はほとんど即死です。かろうじて生き残った人や、運よく奇跡的に軽傷で済んだ人も、その後の放射能で、1年以内に10万人以上の方が亡くなりました。

 つまり、こんなパンフレットに書いてある事なぞ、何の役にも立たないのです。核攻撃は通常の自然災害とは全く違うのですから。何の役にも立たないどころか、嘘八百の内容なのですから、百害あって一利なしです。政府が本当に国民の保護を考えているなら、こんな嘘八百な「お為ごかし」のパンフレットを配るのではなく、もっと核兵器の悲惨さや、核兵器廃絶の為にどうすれば良いのかを、国民一人ひとりに広めようとするはずです。

 ところが、実際に政府のやっている事は、広島原爆資料館の被爆人形や漫画「はだしのゲン」を、国民の目に触れさせないように、こっそり撤去させたりしているだけじゃないですか。「子供にはショックが大きすぎるから」というのは、あくまで言い訳にしか過ぎません。いくら描写がショッキングだったとしても、あくまで人形や漫画です。その場で適切に解説すればそれで済む問題です。どんなにショッキングな内容であっても、伝えなければならない真実は誤魔化したりせず、きちんと伝えるべきです。

 そして、国連の核兵器廃絶決議に対しても、日本政府は毎年、米国に追従して棄権ないしは反対の態度を取っています。決議では米国だけでなく中国・インドや北朝鮮の核武装についても非難しているにも関わらず。その一方で、北朝鮮のミサイルや核の脅威を散々あおりながら、平気で海岸部に丸腰の原発を54基も林立させて、首相もその他の閣僚も、外遊や花見の宴やオリンピック・カジノ誘致にうつつを抜かしています。いずれも、とても被爆国の政府のやる事とは思えない事ばかり、まともな神経の持ち主なら真似のできない事ばかりです。

 第一、そんなに「国民を守る」と言うなら、日頃からもっと国民を大事にしているはずです。ところが、この政権の実際にやってきた事は一体何なのか?電通社員の過労死事件を教訓に「働き方改革」を口にしながら、過労死ラインとされる月80時間を超えて100時間まで時間外労働を容認したり。自民党政権時代にさんざん原発建設を推進しておきながら、福島原発事故の責任を当時の民主党政権だけになすりつけ、自主避難を余儀なくされた人に対しても「自己責任」と言い放ったり。「郷土を愛せよ」と言いながら、農薬まみれの農産物輸入を野放しにするTPP、FTAを推進したり。「親孝行しろ」と言いながら、介護や年金の保険料ばかり値上げして給付額をどんどん減らしにかかったり。「学力向上」を言いながら、少数のエリートだけを優遇し、高校無償化にも背を向け奨学金のローン化、サラ金化をどんどん推し進めたり。「育休推進」「女性活躍」を言いながら、女性を「保育所落ちた日本死ね」地獄や低賃金・無権利のパート地獄に追いやる一方だったり。

 もうお分かりでしょう。安倍政権にとっては、国民の事なぞ体の良い「捨て駒」ぐらいにしか思っていないのです。頭の中にあるのは、ひたすら自分の権勢欲を満たす事だけです。政権が二言目には口にする「郷土愛」や「愛国心」「国民を守る」などの美辞麗句は、それを誤魔化す詐欺トークにしか過ぎません。こんな政権、いつまで国民は支持しているのでしょうか?またもう一回、戦時中のような痛い目にあわなければ気がすまないのでしょうか?軍事技術は当時よりも格段に進歩しており、被害も当時とは比べ物にならないのに。迎撃ミサイルのPC3(パックスリー)も、ほとんど当てにはなりません。最強の矛(ほこ)を防ぐ最強の盾(たて)なぞ存在しません。もし、そんな物があれば、それは最強でも何でもない事は、矛盾(むじゅん)のたとえからも明らかです。少なくとも、こんな嘘八百のパンフレットや政府広報を読むぐらいなら、下記の「はだしのゲン」の動画を見ていたほうが、よっぽど役に立ちます。

Hadashi no Gen
 
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