『半島へふたたび』(蓮池薫著)に韓国の女性作家孔枝泳(コンジヨン)さんが紹介されていた。訳者の蓮池薫さんは「訳者あとがき」で、「この小説を訳す間、とても幸せな時間に浸ることが出来た」と締めくくっていますが、私には、すでに1ヶ月以上前に読み終えたにもかかわらず、短い感想文1つ書けないほど、重く、気持ちが沈み込む小説でした。
『私たちの幸せな時間』のテーマは殺人とレイプと死刑です。「国家による合法的な殺人」という論理矛盾を指摘するにとどまらず、著者は主人公に託して、「犯人の生を短くする意味はあるのか」と、根本的な問題を問うています。
物語は、レイプ被害を受けて、自殺未遂を繰り返し、生きる力を失っている女性を主人公にして、面会する死刑囚との対立・対話を描き、その中で死刑を考えるという筋書きです。
主人公は、被害者(殺人の場合は家族)の苦しみを加害者の共通認識に昇華することが加害者と被害者に課せられた関係だと考えるようになり、加害者がその罪を認識する前に、国家が処刑することは被害者にとって無意味だという結論に達します。
女性にとって、レイプは「精神的な死」といわれています。一度死んだ被害者が生き返るためには加害者の真摯な謝罪を不可欠とします。被害者には加害者の変革が必要であり、それを成し遂げなければ、被害者は死を生きつづけなければならない。
そして、主人公が叔父さんとのたたかいを決意する過程を、情と理を交錯させながら、細やかに描かれています。
『私たちの幸せな時間』のテーマは殺人とレイプと死刑です。「国家による合法的な殺人」という論理矛盾を指摘するにとどまらず、著者は主人公に託して、「犯人の生を短くする意味はあるのか」と、根本的な問題を問うています。
物語は、レイプ被害を受けて、自殺未遂を繰り返し、生きる力を失っている女性を主人公にして、面会する死刑囚との対立・対話を描き、その中で死刑を考えるという筋書きです。
主人公は、被害者(殺人の場合は家族)の苦しみを加害者の共通認識に昇華することが加害者と被害者に課せられた関係だと考えるようになり、加害者がその罪を認識する前に、国家が処刑することは被害者にとって無意味だという結論に達します。
女性にとって、レイプは「精神的な死」といわれています。一度死んだ被害者が生き返るためには加害者の真摯な謝罪を不可欠とします。被害者には加害者の変革が必要であり、それを成し遂げなければ、被害者は死を生きつづけなければならない。
そして、主人公が叔父さんとのたたかいを決意する過程を、情と理を交錯させながら、細やかに描かれています。