《社説①》:北朝鮮のミサイル発射 日米韓連携をさらに強く
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:北朝鮮のミサイル発射 日米韓連携をさらに強く
北朝鮮が日本海へ向けて弾道ミサイルを発射した。国連安全保障理事会の決議に違反し、北東アジアの平和と安定を損なう行為だ。断じて容認できない。
韓国軍などによると、高い角度で打ち上げて飛距離を抑えるロフテッド軌道だった。飛距離は約1000キロだったが、通常軌道なら約5000キロになるとみられる。
発射時に出る火炎の広がり方や、ミサイルの上昇速度などから固体燃料式の可能性があるという。従来の液体燃料式より素早く発射でき、実用化されればより深刻な脅威となる。
改めて浮き彫りとなったのは、新兵器開発に突き進む金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記の姿勢である。
先月末に核兵器の増産を指示し、戦術核弾頭とみられる写真を公開した。長距離を潜航し、核爆発で津波を引き起こす「核魚雷」の開発をアピールするなど挑発を強めている。7回目の核実験の準備を完了したとみられる。
ロシアのウクライナ侵攻によって安保理は機能不全に陥り、金氏の暴走を許している。こうした状況の中では日米韓の連携がいっそう重要となる。
先月の日韓首脳会談に続き、今月下旬には米韓首脳会談が予定されている。5月に広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)の際には、日米韓首脳会談の開催が見込まれる。
日韓関係は、韓国による徴用工問題の解決策提示を機に改善しつつある。首脳外交で日米韓の連携を確認し、国際社会への働きかけを強めなければならない。
中国は、核兵器の「使用や威嚇」への反対を繰り返し表明している。そうであるならば、北朝鮮の核開発に歯止めをかける取り組みに協力するのが筋だ。
日本政府は発射直後、北海道周辺に落下するとみられるとして全国瞬時警報システム(Jアラート)で住民に避難を呼びかけたが、その後、落下の可能性がなくなったと「訂正」した。北海道では一時、列車の運行が止まるなど市民生活に影響が出た。
Jアラートを巡っては過去に、対象地域の設定ミスや発令の遅れなどの混乱が生じた。今回はきちんと機能したのか。訂正の経緯を含め点検すべきだ。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年04月14日 02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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