路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【中山知子の取材備忘録・05.29】:細田博之衆院議長のスキャンダル 「一丁上がり」のポストでも超重職だからこそ深刻 

2022-07-04 00:03:00 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【中山知子の取材備忘録・05.29】:細田博之衆院議長のスキャンダル 「一丁上がり」のポストでも超重職だからこそ深刻

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・05.29】:細田博之衆院議長のスキャンダル 「一丁上がり」のポストでも超重職だからこそ深刻 

 国権の最高機関トップの職にある細田博之衆院議長(78)をめぐる問題が、自民が想定していなかった「火だね」になりつつある。元々、国会議員の定数見直しに関して持論を展開し、批判されていたところに、「週刊文春」が女性記者らへのセクハラ疑惑を2週にわたり報道。細田氏は事実関係を否定し報道に抗議、訴訟検討の意向を表明し、文春側は記事に自信があるとの声明を発表するなど、双方引く様子がない。永田町の関係者の間では「文春報道の第三弾が出るのでは」「音声データがあるのではないか」など、臆測レベルでさまざまな声が出ている。

かつて「細田派」だった安倍派のパーティーであいさつする細田博之衆院議長(2022年5月17日撮影)

 かつて「細田派」だった安倍派のパーティーであいさつする細田博之衆院議長(2022年5月17日撮影)

 細田氏の問題がここまで大きくなったのは、細田氏が衆院議長という重職にあるからだ。日本の三権分立制度において三権の長の一角を担う立場であり、その重さは誰もが知るところ。すさまじく大きな権限を持っているわけではないが、衆院本会議の開会を宣言するのも衆院議長。通路を挟んで本会議場の議長席のすぐ近くにある議長室の周辺は、国会内にある委員会室や各政党の控室などよりも、緊張感が漂う。

 2015年4月20日、故町村信孝元衆院議長が病気治療のため職を辞することになり、その会見を取材したことがある。議長室内の記者会見の部屋に入ると、私語もできないような、厳かで緊張感あふれる現場だった。病気治療でやむなく任期途中で辞任することについて少し弱々しい声で思いを語る町村さんの声が、しんとした部屋に響いていたことを覚えている。

 慣例で第1会派の党から選ばれる衆院議長は、重職であるがゆえに「一丁あがりのポスト」ともいわれる。議長を務めた人が首相になったこともない。ただ、当選を重ね、大臣や党の要職などを歴任し、高い見識を持ち、与野党の調整力に優れた議員が望まれるため、ベテランや重鎮しか候補に名前はあがらない。過去には土井たか子さんや河野洋平氏、伊吹文明氏らが務めた。細田氏の前任は、こわもてで「怖い顔」などといわれたこともある大島理森氏が、明治憲法下も含めて史上最長の2336日を務め、「議場の重し」(自民党議員)といわれた。

衆院議長時代、議長室で自民党の小泉進次郎氏(右)ら有志から国会改革の提言を受ける大島理森前衆院議長(2018年7月20日撮影)
衆院議長時代、議長室で自民党の小泉進次郎氏(右)ら有志から国会改革の提言を受ける大島理森前衆院議長(2018年7月20日撮影)

 その大島氏から衆院議長を引き継いだ細田氏は、官房長官のほか自民党三役の幹事長や総務会長を歴任。安倍晋三元首相が会長に就任するまでは、自民党最大派閥の清和政策研究会の「細田派」会長を務めた。経歴に不足はなく、昨年の衆院選後、すんなり決まった。それだけに「衆院議長にこのようなスキャンダルが出たことは、ないのではないか」(自民党関係者)といわれる今回のような事態は異例のことと受けとめられている。

 先週5月26日には、間の悪いことに、議長公邸で各党の国会対策委員長を招いた懇親会が行われたが、野党側は欠席。野党内では、衆院議長への不信任決議案提出への模索も始まっている。過去に、本会議での議事進行ぶりへの反発から衆院議長への不信任決議案が提出されたことはあるが、今回は「資質」(野党関係者)への反発も大きい。だからこそ深刻、ゆゆしきことだと、自民党内でも戸惑いが少なくないようだ。

 細田氏は、文春報道が出る前の5月17日に行われた安倍派のパーティーに、前派閥会長として出席しあいさつした。昨年の衆院選での支援への感謝、夏の参院選への支援を呼びかける一方、「日本は今たいへんな試練に見舞われています。世界平和の問題だけではなく、エネルギーや物価の面、先端産業も厳しい競争とインフレ圧力にさらされている」などと語ったが、自らも今、試練の立場に置かれていることになる。

 自民党内で、後任の議長候補者を探るような動きも出始めているとの情報もある。それでなくても、今の通常国会は6月15日の会期最終日まで2週間あまり。岸田文雄首相が臨む初の参院選を7月に控える中、今後は国会最終盤恒例の与野党攻防戦が本格化するタイミングでもある。細田氏は、はっきりした形で説明するような記者会見はまだ開いていないが、それを行うのだろうか。超重職にいる人物だからこそ、今後の流れ次第で想定されなかったような「政局」も引き起こしかねない、重い案件なのだ。【中山知子】

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2022年05月29日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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