《社説②・01.11》:神戸市の部活地域移行 先行例の知見広く共有を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.11》:神戸市の部活地域移行 先行例の知見広く共有を
神戸市教育委員会が市立中学校の部活動を2026年8月末で終了し、全面的に地域クラブに移行すると発表した。
少子化や教員の負担増に対応するため、文部科学省が進めている部活動改革の一環だ。平日、休日を問わず、完全移行に踏み切る先行例として注目される。
市教委の審査を通ったスポーツ・文化芸術団体やNPO法人などが、クラブの運営に当たる仕組みだ。保護者らが新たに団体を発足させることも可能で、活動内容は市教委や学校に報告する。

16日からは「KOBE◆KATSU(コベカツ)」という専用のホームページで、活動を引き受ける団体の募集が始まる。届け出の際には、責任者や会計担当者、指導者ら1団体当たり3人以上の登録が必要となる。
市教委によると、市内の生徒数は23年度で約3万4000人、部活動数は971部に及ぶ。これだけの生徒の活動を支えるには相当な数の人材が必要となる。
地域クラブに移っても、多くの場合、引き続き学校施設を使えるが、指導や運営に携わる人をどれだけ確保できるかが課題だ。教員も兼業許可を得て指導に当たることができるものの、地域住民の協力が欠かせない。
民間運営となるだけに、安全管理や指導者の質の担保は大切だ。家庭の費用負担が重くなることも予想される。経済事情で生徒が活動機会を奪われないよう、行政も支援しなければならない。
部活動改革を巡っては各地で試行錯誤が続いている。神戸市のように積極的に推進するのは静岡市だ。全面移行を当初予定の30年8月から前倒しするという。一方、熊本市は受け皿となる団体の確保が見通せず、部活動を継続する。
それぞれの地域の実情に応じた取り組みが必要だ。神戸市など先行例の知見を広く共有し、実現可能な方法を模索すべきだ。
引き受け先がなく、子どもたちの行き場が失われるようなことがあってはならない。地域社会と学校が連携して活動を支える態勢作りが求められている。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月11日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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