【社説②・04.26】:消費税の減税 与野党の幅広い合意で
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.26】:消費税の減税 与野党の幅広い合意で
立憲民主党が、物価高への対応策として食料品の消費税率を時限的に0%に引き下げることを、夏の参院選公約に盛り込む方針を決めた。これにより、主要野党と公明党は消費税減税の方向で足並みがそろい、自民党内でも減税論が強まっている。
時限的な消費税減税は、食料品を中心とする物価高に賃金上昇が追いつかず、実質賃金の低迷が長期化している現状ではやむを得ない。実現に向けて与野党が協議を進めるよう求める。
立民の野田佳彦代表は記者会見で、減税期間は1年、延長も1回可能とし、最長2年と法律に定める方針を表明。年5兆円程度とされる財源の確保策も公約に明記する考えで「過剰に積み上げた政府基金も使える」と述べた。
野田氏は首相在任中の2012年、自公両党と消費税率10%への引き上げに合意した経緯もあり、減税には慎重だった。方針転換は妥当な判断である。
消費税を巡っては、日本維新の会が食料品を2年間0%に、国民民主党は時限的に一律5%にする減税を政府に提言した。れいわ新選組、共産党は廃止を目指す。公明党も食料品の消費税減税を含む減税を打ち出す構えだ。
自民内では税制調査会幹部らに減税反対論が根強いが、参院執行部が全参院議員を対象に今月行ったアンケートでは消費税減税を求める意見が8割を占めた。参院選に向けて与野党の多くが減税を主張する中、自民だけが税率維持を続けるのか否かが焦点となる。
消費税収は社会保障の財源に充てられている。税率引き下げが時限的でも赤字国債の安易な発行で財源を賄えば、財政規律が緩み、将来世代に負担を押しつけることになる。時限的なはずが長期間に及び、将来世代の不安が増す事態は避けなければならない。
そうした観点からも、消費税減税は幅広い与野党の合意に基づいて、代替の財源を確保し、物価安定後には税率を元に戻す責任を分かち合うことが必要だ。
トランプ米政権の高関税政策で世界経済は不透明感を増し、日本経済への悪影響も想定される「国難」と位置付けられている。
与野党は参院選で示される民意も踏まえ、国会審議や政党間協議を行い、国民の暮らしの安定と将来不安の解消に誠実に取り組むよう求めたい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月26日 07:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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