【社説②・04.13】:訪問介護の苦境 報酬の引き上げも考えたい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・04.13】:訪問介護の苦境 報酬の引き上げも考えたい
「団塊の世代」は、全員が今年、75歳以上となる。介護の需要は今後確実に増えていくのに、訪問介護を担う事業者は、廃業が相次いでいる。
介護職員の処遇改善や人材確保に努め、誰もが必要な支援を受け、自立して暮らしていける社会を築かねばならない。
民間の信用調査会社によると、2024年に倒産や廃業に追い込まれた訪問介護事業者は529社に上り、過去最多だった。
目立ったのは地方の事業所の閉鎖だ。過疎化の影響でヘルパーの確保が難しかったとされる。また、ヘルパーは1日に何十キロも車で移動することが珍しくないため、燃料費などが経営を圧迫した。
そのうえ、政府が昨年、訪問介護サービスの報酬を引き下げたことが経営悪化に拍車をかけた。
介護職員の処遇改善のため、報酬全体は1・59%引き上げた一方で、訪問介護で行う入浴の介助などサービスの報酬は減額した。利用者が多い都市部の事業者の経営が安定していたためだ。
都会と地方の事業所では経営環境が全く異なる。そうした事情を考慮せず、報酬を引き下げた判断が誤っていたのは明らかだ。
地方の事業者を支えるため、ヘルパーが使う車の燃料費を補助するのは一案だ。27年に予定している介護報酬の改定を前倒しし、訪問介護の報酬を見直すなど、制度面の対応も不可欠だろう。
介護職員の平均月給は約30万円で、全産業の平均より6万円低い。介護職場は力仕事が多く、責任も重い。にもかかわらず、待遇が低ければ敬遠されるのも当然だ。
政府は、保険料や利用者の自己負担の引き上げの議論から逃げず、着実に介護職員の処遇を改善していく必要がある。
毎年数千億円を高校授業料の無償化に投じ、高所得の家庭まで支援するなら、高齢者を支える介護に税を充てた方が意義があろう。選挙でのアピールを狙った施策よりも、生活実態に即した対策を、与野党とも議論すべきだ。
政府は今月から、技能実習生や特定技能の資格で来日した外国人について、介護施設で1年以上の勤務経験があることを条件に、訪問介護に携わることを認めた。
外国人ヘルパーには当面、日本人が同行し、作業の習熟度を上げていくのが望ましい。日本語を学んでもらうことも大切だ。
事業者が外国人を「安い労働力」とみなしているようでは人は集まるまい。介護に携わる外国人の処遇改善もまた、重要な課題だ。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年04月13日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。








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