【筆洗】:エレキギターの「エレキ」ブームは一九六五年一月のザ・ベンチ…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:エレキギターの「エレキ」ブームは一九六五年一月のザ・ベンチ…
エレキギターの「エレキ」ブームは一九六五年一月のザ・ベンチャーズ来日がきっかけだそうだ。映画「エレキの若大将」もこの年である▼当時の高校生を描いた、芦原すなおさんの小説「青春デンデケデケデケ」。「デンデケデケデケ」とはベンチャーズの「パイプライン」のイントロをエレキギターで奏でる音。小説の中にギターに夢中になる高校生に理解を示す英語の先生が出てくる。「寺内先生」▼おそらく、その先生の名は作者のあるギタリストへの思い入れと無関係ではあるまい。寺内タケシさんが亡くなった。八十二歳。日本のエレキギター普及に貢献した「エレキの神様」である▼エレクトリックギターの神さまは世界中に大勢いるかもしれないが、「エレキ」という日本独特の言い方をした場合なら、神さまはこの方しかいないだろう。津軽三味線にヒントを得た独特な演奏技術。海外アーティストのまねではなく日本人の心をエレキに乗せた人でもある▼エレキを弾くと不良になる。今では考えられないエレキ禁止の動きに対し、学校を回って演奏会を開き、その偏見を解きほぐした人でもある。寺内さんの取り組みがなければ、日本のエレキはひいては日本の若者の音楽はどうなっていたことか▼個人的に一曲挙げるなら「太陽の花」(六八年)のファズ・ギター。当時の言い方を借りれば本当にシビれちゃう。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2021年06月22日 08:29:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます