路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説】:骨太方針案 またも財源論先送りなのか

2023-06-11 07:00:45 | 【国家戦略特区・成長戦略・新しい経済特別区域構想・地域を限定した大胆な規制...

【社説】:骨太方針案 またも財源論先送りなのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:骨太方針案 またも財源論先送りなのか 

 政府が提示した、今年の「骨太方針」の原案は何ともお粗末だった。防衛費、少子化対策に巨費投入を打ち出しているのに、その財源を示さずに議論を年末に先送りしたからだ。

 国の一般会計歳出は2019年度以降、5年連続で100兆円を超す。過去最高の税収が確保されているのに、財政赤字が拡大する状況が続く。原案には新型コロナウイルス禍から平時へ歳出構造を縮小する方針も明記されている。

 この状況下で大幅な歳出増を掲げるならば、裏付けとなる財源を示して国民の理解を得ることが前提になる。予算規模を派手に打ち上げながら、財源を語らないのは不誠実だ。

 岸田文雄首相が、少子化対策の財源を「骨太方針までに将来的な子ども予算倍増に向けた大枠を示す」と言明したのは今年の年頭会見だった。国会でも同様の答弁を何度も繰り返してきたはずだ。

 にもかかわらず、首相はおとといの参院委員会で「先送りでは」との指摘に「徹底した歳出改革を先行し、実質的に追加負担を生じさせないことを明確にしている。指摘は当たらない」と反論した。歳出改革だけで数兆円が確保できるとは与党でさえ考えていない。詭弁(きべん)だろう。

 首相は13日に少子化対策の記者会見を行う予定だ。財源も含め、しっかりと説明責任を果たしてもらいたい。

 税ではなく、社会保険料などの上乗せで財源を確保することが検討されているという。だが、税も保険料も国民に負担を強いる点で違いはない。

 医療も年金も少子高齢化で運営状況は厳しい。「社会保障費は削減すべきでない」との意見が与野党から噴出しているのはもっともだ。政府は幅広く負担を求める「支援金制度」の構築を模索しているが、結局は加入者の負担増になるだけだ。

 早期の衆院解散もささやかれている。岸田政権が負担増を封印して選挙戦に臨み、選挙後に増税や保険料増を持ち出そうともくろんでいるとすれば、国民への背信行為ではないか。

 そもそも骨太方針は、官僚主導の政治から脱却する目的で運用されてきた。政権が政策遂行の大方針を示すことで、国益より省益を優先するような政治に風穴をあけた点は評価できる。

 しかし、今回は、政府の意のままに予算枠を膨らませた挙げ句、足りない分をどう確保するかにしか力点が置かれていないように映る。官僚機構を束ねて政策実現を図る議論の場が、国民に新たな負担を強いる理由探しの場に堕してはいないか。

 少子化対策が重要なことに異論はない。だが、これまで示されたメニューは従来の政策に色を付けたようなものばかりで、目新しさも思い切りも感じられない。精査すべきはその政策の中身だろう。予算額だけを膨らませて胸を張られても困る。

 政府が少子化対策を「最も有効な未来への投資」と位置付けるのであればなおさらだ。その投資内容をきちんと示し、国会で議論を深めた上で、国民の理解を得ることが必要だ。

 経済財政諮問会議に出された資料によると、子どもを1人増やすのに1億円から2億円かかる計算だ。そんな重要政策が、財源論先送りのまま安易に進められるはずがない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年06月10日  07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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