乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:

 在野の政治研究家乾龍が『漂流日本の闇』を斬る! 日々の政治・経済等の時事ニュースの深層を探る。

【社説】:②保護司制度 篤志家頼みでは限界がある

2018-04-12 06:05:20 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【社説】:②保護司制度 篤志家頼みでは限界がある

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:②保護司制度 篤志家頼みでは限界がある

 非行少年や刑務所を仮出所した人の更生を、地域の篤志家が支える。世界でもあまり例がない保護司制度を安定的に維持するには、国や地方自治体の支援が欠かせない。

 保護司の身分は非常勤の国家公務員だが、給与は支給されない。今年1月現在4万7641人で、10年間で1300人近く減った。特に都市部での不足が目立つ。

 平均年齢は65歳を超え、高齢化が進む。約3割が70歳以上だ。再任が認められるのは76歳未満で、近い将来、定年による退任が大量に見込まれる。若い担い手が育たなければ、更生保護の現場は立ちゆかなくなるだろう。

 保護司は月に数回、保護観察を受けている人と面接し、生活面での助言をする。就労先を探し、悩みの相談に乗ることもある。罪を犯した人を孤立させず、再犯防止に果たす役割は大きい。

 留意すべきは、ボランティアの善意に頼るだけでは、新たな人材の確保に限界があることだ。

 法務省が全国の保護司会にアンケートしたところ、9割が候補者への就任依頼を断られた経験があると回答した。「忙しい」「家族の理解が得られない」などのほか、「自宅に訪ねて来られるのが負担」との理由が多かった。

 保護司の面接は、家庭の温かみを伝えるため、自宅で行うのが一般的だ。だが、近年は女性の保護司が増えた。マンション住まいの人も少なくない。抵抗を感じる人がいるのは当然だろう。

 国は2008年度から、保護司の活動拠点となる「更生保護サポートセンター」の整備を進めている。公民館などを借り受け、面接や研修を行う。保護司同士の交流が活発になり、新任者の不安解消にもつながっているという。

 今年度には、全国800か所に増やす予定だ。賃料や人件費などの補助もさらに充実させたい。

 自治体の後押しも重要だ。

 東京都荒川区では12年から、区長の呼びかけで、地元出身の区職員が兼職の許可を得て、保護司として活躍している。現在は7人に増え、多くが退職後も活動を続ける意向だという。こうした取り組みを全国に広げられないか。

 裁判員裁判では、被告の更生を重視し、保護観察付きの執行猶予判決が目立つようになった。刑の一部執行猶予制度も始まり、保護司の需要は高まっている。

 保護司制度の原点は明治時代に遡る。時代に合った手直しが必要だ。保護司と協力し合う保護観察官の増員も検討すべきだろう。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年04月11日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:18歳成人国会議論へ 責任を背負う重さも

2018-03-14 06:10:55 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【社説①】:18歳成人国会議論へ 責任を背負う重さも

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:18歳成人国会議論へ 責任を背負う重さも

 成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる-。民法改正案を閣議決定した。国法上の統一が狙いだが、責任も丸ごと背負う。慎重な議論が必要だ。

 「大人」とは辞書にはこうある。「十分に成長した人。一人前になった人。成人」(広辞苑)

 大人になれば、自分の責任で何でもできる。選挙権も得るし、いろいろな契約も一存でできる。競馬も競輪もできるし、たばこも酒も…。そんなイメージだった。成人、すなわち大人には、分別があるという意味も加わっていたはずである、昔は。

 ◆成人を狙う悪徳業者

 だが、十八歳とは高校三年生のうちに達する年齢である。既に選挙権年齢は十八歳になった。成人年齢も十八歳に引き下げたら、もう大人になったのだからという口実で、高校生が酒を飲み、たばこを吸って、馬券を買うのか?

 まさか、そんなことにはならない。たばこや飲酒、競馬などの公営ギャンブルは二十歳以上を維持する。結婚年齢は男女とも十八歳に統一する法案が出ている。

 顕著に違いが出るのが、十八歳で成人になると自分の意思で契約できるようになることだ。

 身近なケースだと、未成年者は自分でアパートを借りる契約ができない。十八歳成年になれば自分で契約ができる。親の同意がなくても、一人で高額な商品などを購入する契約が可能になる。ローンやクレジットカードなどの契約もある。

 だが、実は契約ができる年齢を狙った消費者被害が多い。国民生活センターの二〇一五年の調査によれば、マルチ取引の相談件数は「二十歳~二十二歳」が「十八歳~十九歳」の一二・三倍。二十歳になったとたん若者がマルチ取引の勧誘にあっているわけだ。ローンなどでも、ほぼ同じ比率でトラブル相談が増加している。

 ◆「契約」に80%が反対

 十八歳成人になると、現在の「未成年者取り消し権」がなくなる。現行では未成年者が高価な買い物をするときは、原則、親の同意が必要で、同意がなければ、契約を取り消すことができる。だが、十八歳成人の場合は、成人なので取り消すことができない。

 内閣府が一三年に行った世論調査がある。「十八歳、十九歳の者が親の同意がなくても一人で高額な商品を購入するなどの契約をできるようにすること」について問うた。賛成はわずか18・6%。反対は79・4%だった。

 悪徳商法に狙われる-。それを敏感に感じ取った数字だろう。このため政府は改正消費者契約法案を出している。「困惑する状況で結んだ契約」を取り消せる規定を盛り込んだ内容だ。悪徳業者による消費者被害を防止するための法案である。

 果たして有効な対策になるか。他の対策もあろうが、深刻な事態を引き起こさぬよう政府はよほど慎重に考えないと、新たな被害を生みかねない。国民の懸念は極力払拭(ふっしょく)してほしい。

 また少年法への波及を恐れる。刑罰よりも保護が適切という精神で、少年の立ち直りを第一に考える法だ。だから少年事件は科学的見地から鑑別調査が行われ、家庭裁判所がその少年にとって最善の処遇方法を決める。法の趣旨から、今回の法案に同調するように、少年法の対象年齢も引き下げることには反対する。

 確かに諸外国では十八歳成人のケースが多い。日本の場合はまず国民投票法で十八歳ありきでスタートし、選挙権、そして国法上の統一性というテーマから成人年齢も引き下げる流れだ。少子高齢化の中で若い年齢の社会参加という意味もあろう。

 むろん十八歳を成人とすることで、大人の自覚を促す含意もある。それは期待したい。選挙権を持っているのだから、政治的な意見を持ち、意見を表明する権利ももちろんある。

 社会的に独立した人格であり、尊重されねばならない。そのような意味で、諸外国と同様に十八歳を成人とすることに賛同する気持ちも十分理解する。

 今や大半が大学や専門学校などへ進学する時代だ。経済的に十分自立していない若者をどう見るか。そんな論点もあろう。

 ◆二十歳とは徴兵の年

 二十歳成人のルールは、一八七六(明治九)年の太政官布告までさかのぼる。近代の国民国家で成人が持つ意味の一つに徴兵がある。成人になれば、兵役の義務が多くの国にあった。日本でも同じだった。

 「赤紙」と呼ばれた召集令状が来たのは二十歳の成人から。十八歳成人に若者の社会参加という明るいイメージを持つか、それとも-。成人のルール変更は、国民の意識や文化まで影響するテーマだ。拙速だけは慎みたい。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年03月14日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:十七世紀のスペイン最大の画家ベラスケスが描いた、

2018-03-14 06:10:50 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【筆洗】:十七世紀のスペイン最大の画家ベラスケスが描いた、「フェリペ・プロスペロ王子」の肖像画。

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【筆洗】:十七世紀のスペイン最大の画家ベラスケスが描いた、「フェリペ・プロスペロ王子」の肖像画。

 当時、二歳のハプスブルク家の王子が女の子の服を着ている▼魔よけの意味らしい。女児に比べ男児の死亡率が高く、女の子の服で悪魔の目を欺こうとしたようだ。中野京子さんの「『怖い絵』で人間を読む」にあった▼問題はその服。その時代の子供服は大人の服をそのまま小さく仕立てたものにすぎない。病弱な王子にとって不幸なのはコルセットで胸をきつく締めつけた服が当時の大人の流行だったこと。二歳の男の子にはその大人の服がいかに窮屈だったことか▼十八歳といえばまだ自由で気楽な服を着ていたいかもしれぬが、窮屈な大人の服を二年早く着ることになるのか。政府は成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法改正案を閣議決定した。成人を二十歳とした、一八七六年以来の見直しである▼投票年齢はすでに十八歳以上になっている。十八歳成人は世界の大勢であり、少子高齢化が進む中、若者の社会参加を早める意味もあろう。が、なんだか、この話、子ども時代という「夏休み」を二年短縮するようで、大人としては申し訳ない気もする▼「成人とは人に成ること」と谷川俊太郎さんが書いていたが、それがいかに難しいことか。その旅に二年早く追い立てられる。しかもお酒は今まで通り二十歳から。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2018年03月14日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【旧優生保護法】:強制不妊被害者 救済議連が発足 議員立法視野

2018-03-07 06:15:45 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【旧優生保護法】:強制不妊被害者 救済議連が発足 議員立法視野

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【旧優生保護法】:強制不妊被害者 救済議連が発足 議員立法視野

 旧優生保護法(一九四八~九六年)下で、障害などを理由に強制的に不妊手術が繰り返された問題で、被害者の救済策などを検討する超党派の議員連盟が六日、発足し、設立総会と勉強会を国会内で開いた。会長に就任した自民党の尾辻秀久元厚生労働相は会合後、議員立法での救済措置について「選択肢の中にある」と記者団に語った。 

 自民、公明、立憲民主、民進など与野党の国会議員約三十人が参加。総会では「われわれに何ができるのか考えていきたい」(塩崎恭久前厚労相)と、与党からも救済の必要性を訴える声が上がった。

 厚労省によると、旧優生保護法下で精神疾患や障害を理由に、本人の同意によらない強制的な不妊手術を受けた人は約一万六千五百人に上る。実態は不明な点が多いが、尾辻氏は「おおまかな数字は出ており、それを前提に議論はできる」と語った。

 今年一月、不妊手術を強制された宮城県の六十代女性が、国に損害賠償を求める訴訟を全国で初めて仙台地裁に起こした。原告側弁護団長の新里(にいさと)宏二弁護士は会合で経緯を説明した。終了後、記者団に「事実を解明し、被害者の声に政治がどう向き合うかが問われる」と政治的解決の必要性を訴えた。

 過去には政治判断による議員立法で被害者救済が図られた例がある。ハンセン病国家賠償訴訟では、二〇〇一年に当時の小泉純一郎首相が控訴断念を表明。その後、議員立法による補償が実現した。

 薬害C型肝炎訴訟では、〇七年に大阪高裁で和解の勧告が示された後、当時の福田康夫首相の主導で、全ての患者を一律に救済する議員立法が成立した。 (柚木まり)

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・旧優生保護法(一九四八~九六年)下で、障害などを理由に強制的に不妊手術が繰り返された問題】  2018年03月07日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:AV出演強要 被害救済の方策を急げ

2018-03-05 06:10:54 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【社説②】:AV出演強要 被害救済の方策を急げ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説②】:AV出演強要 被害救済の方策を急げ

 モデルの仕事などと勧誘された女性がアダルトビデオ(AV)への出演を強要される被害が絶えない。被害者を苦しめる映像が拡散する問題もある。加害者を野放しにせず、被害救済を急ぐべきだ。

 AV出演を強要されている多くは十代から二十代の女性たちだ。民間支援団体の「ライトハウス」(東京)などに寄せられた相談は昨年は百件に上った。背景に制作会社などの巧妙な手口がある。

 AVとは無関係を装ったネットサイトを使ったり、タレントやモデルにならないかと街頭で女性を誘う。個人情報を握り、契約書もまともに確認させずに署名させる。契約を盾にAV出演を迫り、拒めば違約金を払えと脅す。

 女性たちは苦しんでいる。性行為を強要されるだけでなく、意に反して撮られた映像が残る。拡散を恐れて販売や配信の中止を求めても業者は簡単には応じない。契約があると言うが、若い女性の立場の弱さや法的知識の乏しさに付け込む犯罪的行為ではないか。

 強要によって撮られた、犯罪の記録である映像が放置されたりしないよう、性暴力問題に取り組む人権団体などは新たな法整備を訴えている。

 政府は専門官を各都道府県警に置いて対策に乗り出した。加害者を処罰する動きが出ている。

 警視庁は一月、AV出演を強要された女性の訴えを受け、制作会社の男らを淫行勧誘の疑いで逮捕した。性犯罪を正面から問う姿勢がみえる。有罪ならAV出演を望まない女性を不当に勧誘して出演させ、性行為をさせた行為そのものを罰することになるからだ。

 だが、淫行勧誘罪も保護の対象が限定され、最高で懲役三年。女性の尊厳を傷つける被害の本質からみれば軽い。昨年の刑法改正で新設され、性犯罪では最も重い「強制性交(旧強姦(ごうかん))罪」も適用は難しい。加害者たちに囲まれてしまった被害者が立件に足りうる証拠を残すのは難しい。

 加害者が処罰されない社会は被害者を沈黙させる。現行法が被害の実態に合わないなら、見直しを進めるべきだ。

 被害者の救済は十分ではない。相談できる窓口も充実させたい。医療や警察相談にもつなぎ総合的に支援を受けられる「ワンストップセンター」は全国約四十カ所で運営されているが、民間のボランティアや寄付に頼るだけでは活動に限りがある。国は公費助成を増やし支援すべきだ。被害者を孤立させない社会でありたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年03月05日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【社説②】:選択的夫婦別姓 意識変化を受けとめよ

2018-02-24 06:10:30 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【社説②】:選択的夫婦別姓 意識変化を受けとめよ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説②】:選択的夫婦別姓 意識変化を受けとめよ

 選択的夫婦別姓の導入に賛成する人の割合が内閣府の調査で過去最高となった。結婚観や家族観が多様となる中で、選択的別姓も認める。そんな国民の意識変化を映した結果だろう。

 結婚の時に同姓とするか、別姓とするかを夫婦の希望で選べる「選択的夫婦別姓」。五年ぶりに実施された内閣府の調査からは、夫婦で別の姓を名乗ることに抵抗感が薄らいでいることが読み取れるだろう。

 選択的別姓を導入してもよいと答えた「賛成派」が過去最高の42・5%。二〇一二年の前回調査よりも7ポイント増加。一方、導入の必要はないと答えた「反対派」は29・3%。賛否が拮抗(きっこう)した前回よりも賛成多数が明確になった。

 全体でみると賛成は約42%だが、年代別では男女ともに結婚が身近な年代ほど賛成する割合が高い。六十歳未満は賛成が約48~52%で、反対の約13~19%を上回る。七十歳以上のみ反対が約52%で、賛成の約28%を上回った。

 初婚者だけでなく再婚者も増えた。夫婦どちらの姓とするのかは合意によって決めるとはいえ、カップルの96%は女性の方が姓を変えている。ということは結婚や離婚のたびに姓を変えているのも多くは女性ということだ。

 世界に目を移せば同性婚を認める国が増えた。そもそも結婚とは何かという根源的な問いもある。家族のありようも多様に変化していくなかで、選択制なら夫婦が別姓を名乗れる制度があっていいと肯定する人が増えていくのは自然なことではないか。

 法相諮問機関の法制審議会が一九九六年に選択的別姓の導入を求める答申をし、法務省が民法改正要綱をまとめて以降も法改正の動きはみえない。家族の崩壊を招くと主張する自民党保守派らの強硬な反対が背景にあるからだ。

 それでも改姓による名義変更の不便や職歴の断絶などを避けたいという声はある。「女性の活躍」を掲げる政府は、職場などで旧姓使用を認めることで対応しようとする。昨年からは裁判官が書く判決文や検察官が書く起訴状も旧姓使用が認められるようになった。

 だがそれらも根本的な解決にはならない。新たに選択的別姓を導入することは女性差別につながる法の見直しを出発にした、人権の課題である。姓をどう名乗るのか。その人らしさや尊厳にかかわる問題を、働く女性だけの問題に小さくすり替えてはならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年02月23日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:戸籍と番号制 費用と効果が見合うか

2018-02-22 06:10:40 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【社説①】:戸籍と番号制 費用と効果が見合うか

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:戸籍と番号制 費用と効果が見合うか

 戸籍事務にマイナンバー制度を導入する検討が法制審議会の部会で始まっている。個人のプライバシー侵害の危険性はないか。高額な構築費用とその効果が見合うのか。もっと検証されるべきだ。

 政府組織が抱える多くの情報がマイナンバー制度に組み込まれつつある。この共通番号制は規模が大きくなればなるほど、システムの運用費用がかさむし、いったん事故が起きれば、どんな深刻な被害が出るか予想がつかない。

 とくに戸籍は個人の出自を記録した情報である。出生、親子関係や「続柄」などが書かれており、極めてセンシティブな記録でもある。だから、戸籍の扱いは特別に慎重であらねばならないのは当然である。

 だから、税や社会保障など多様な個人情報と戸籍の情報を「ひも付け」して、データマッチングするという発想自体に疑問を覚える。個人のプライバシー侵害の可能性がある限り、立ち止まった方がよいと考える。取り返しのつかない事態を回避するためだ。

 そもそも戸籍は現在、市町村によってシステムはばらばらである。電算化前の死亡者の除籍記録などは画像データで保存されていて、これにマイナンバーを付けるのは膨大なコストがかかる。何かの手続きで必要性が出ても不可能である。だから番号制による効率化はできないだろう。

 また漢字の問題もある。例えば本家と分家との間で、字体を微妙に変える習慣もある。外字は百万字を超すともされる。これを一文字ずつ作成するのは困難な作業だ。かなり時間を要しよう。

 おそらく戸籍制度にマイナンバーを導入するとしても、親子関係や夫婦関係の証明、婚姻や離婚の年月日、日本国籍の有無-、この程度しか使い道はないだろう。具体的には児童扶養手当や老齢年金、年金分割の請求、旅券発給の申請だけだ。

 これら請求や申請を現行方式のままでしても、国民にそれほど負担がかかるとは思えない。逆に言えば、マイナンバー制度を導入するメリットが大きいと国民に説得できるか。

 莫大(ばくだい)な国費を投じるなら、それに見合う効果の証明をある程度は示すべきである。

 日弁連は「戸籍情報と個人番号はひも付けしないよう求める」と意見書を出している。法制審にはそれほどプライバシーに敏感なテーマだという意識を、まず持ってもらいたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年02月21日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:①相続法改正要綱 残された配偶者守る手立てに

2018-02-19 06:05:30 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【社説】:①相続法改正要綱 残された配偶者守る手立てに

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:①相続法改正要綱 残された配偶者守る手立てに

 高齢社会に対応した妥当な見直しだろう。

 法制審議会が遺産相続に関する民法改正の要綱を上川法相に答申した。残された高齢の配偶者の暮らしを守ることに、最大の狙いがある。政府は今国会に民法改正案を提出する方針だ。

 柱の一つは、自宅に住み続けられる「配偶者居住権」の創設だ。配偶者のみに認められ、遺産分割時の取り分として選択できる。

 この権利を取得すれば、自宅が子供や他人の所有になっても居を移さずに済む。居住権の財産価値は原則的に本来の所有権より低く評価されるため、その分だけ現金など他の遺産の配分が増えるという利点も見込まれる。

 高齢者が新たに住居を確保するのは容易でない。不自由な体に合わせて、自宅をバリアフリー構造にした場合などは尚更(なおさら)だろう。

 配偶者と死別した後の一人暮らしが長期に及ぶ高齢者も目立つ。住まいや生活資金を確保しやすくする意義は大きい。

 夫婦間の生前贈与や遺言で譲り受けた住居を遺産分割の対象から除外する制度も、配偶者保護の観点から導入される。

 相続税法上、居住用不動産の贈与に配偶者控除が適用される条件に合わせ、結婚後20年以上になる夫婦を対象にした。住居の所有権を有したまま、相続時の取り分が増える効果が期待される。

 答申は、相続人以外の親族にも配慮した。介護などに尽力していれば、応分の金銭を相続人に請求できるようにする。ヘルパーに介護を依頼した場合の費用などを基に、額を算定することになる。

 老親の介護を息子の妻が担ったケースなどを想定している。苦労に報いる仕組みは、多くの人に歓迎されるのではないか。

 新制度が有効に機能するかどうかは未知数だ。居住権の評価額や介護の貢献度の算定方法は、一般には分かりにくい。かえって争いが増えるとの懸念もある。

 様々な事例ごとに、目安が示されれば参考になるだろう。国民生活に深く関わる制度改正となるだけに、政府は分かりやすい説明に努めてもらいたい。

 今回の見直しで対象となる配偶者は、法的に結婚している人に限られる。法律婚に立脚した相続制度が社会に根付いている実情に照らせば、その土台を維持することは、うなずける。

 一方で、家族の形態が多様化しているのも事実である。時代の変化に対応できる相続制度の検討が、今後も欠かせない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年02月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【共同通信】:中絶資料13人分現存 旧優生保護法 千葉と広島に

2018-02-11 06:15:20 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【共同通信】:中絶資料13人分現存 旧優生保護法 千葉と広島に

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【共同通信】:中絶資料13人分現存 旧優生保護法 千葉と広島に

 旧優生保護法を巡る共同通信の調査で、障害などを理由に人工妊娠中絶を施された個人名記載の資料が千葉、広島の両県に十三人分現存していることが分かった。延べ約六万人とされる対象のごく一部にとどまるが、行政への提出資料は一時期を除き無記名が原則だったとされ、実態を知る上で貴重な資料といえる。旧法下での中絶には本人らの同意義務があったが、周囲の圧力による事例も疑われ、調査など国の対応が求められる。

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 日弁連によると、旧法下では約二万五千人に不妊手術が行われ、うち約一万六千五百人は強制だったとされる。共同通信の調査では、不妊手術では個人名記載資料が二十一道県に約二千八百人分現存していることが確認されており、今回は中絶分の保存状況も判明した。

 立命館大大学院の松原洋子教授(生命倫理)は「中絶手術に関しては、旧法施行から四年後の法改正により、行政への提出資料は原則無記名とされた。二県は自治体独自の運用などで記名資料が残っていたのではないか。実態に迫れる可能性がある」と評価。ほかに記名のカルテなどが医療機関に残っている可能性を指摘している。

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 「不良な子孫の出生防止」を目的に一九四八年から九六年まで存続した旧法は、女性や配偶者、親族が知的障害や精神疾患などだった場合の中絶手術を容認。日弁連は、国の統計などから中絶手術は延べ五万八千九百七十二人に実施されたとしている。

 旧法は経済的事情などがある健常者と同様に「本人および配偶者の同意」を規定していたが、日弁連は意見書で「自由な意思決定による真の同意とは言えず、憲法の自己決定権を侵害している。国の不当な働き掛けで胎児を死亡させる点も極めて問題だ」として当事者の救済を訴えている。

 共同通信は昨年十二月以降、全都道府県(担当部署と公文書館)に対し、旧法下での障害者らへの中絶手術に関する資料の有無や内訳を聞いた。

 その結果、手術を受けた人の氏名が記載された資料は千葉県で十二人分(五一、五二年度)、広島県で一人分(八〇年度)が確認された。手術の実施報告書などで、年齢や住所、手術の理由となる疾患名などが書かれている。広島の一人は未成年で、千葉は年齢層を「調査中」としている。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・旧優生保護法を巡る共同通信の調査】  2018年02月11日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【旧優生保護法下】:記名の中絶資料13人分が現存 千葉と広島に、

2018-02-10 18:26:30 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【旧優生保護法下】:記名の中絶資料13人分が現存 千葉と広島に、

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【旧優生保護法下】:記名の中絶資料13人分が現存 千葉と広島に、

 旧優生保護法を巡る共同通信の調査で、障害などを理由に人工妊娠中絶を施された個人名記載の資料が千葉、広島の両県に13人分現存していることが10日、分かった。延べ約6万人とされる対象のごく一部にとどまるが、行政への提出資料は一時期を除き無記名が原則だったとされ、実態を知る上で貴重な資料といえる。旧法下での中絶には本人らの同意義務があったが、周囲の圧力による事例も疑われ、調査など国の対応が求められる。

 千葉、広島の回答内容

 千葉、広島の回答内容

 立命館大大学院の松原洋子教授(生命倫理)は「2県は自治体独自の運用などで記名資料が残っていたのではないか。実態に迫れる可能性がある」と評価している。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題】  2018年02月10日  18:26:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:民泊新法 生活を脅かさないよう

2018-02-10 06:10:08 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【社説②】:民泊新法 生活を脅かさないよう

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説②】:民泊新法 生活を脅かさないよう

 住宅に旅行者を有料で泊める民泊を解禁する新法施行を前に、自治体が独自に条例を設けて規制する動きが加速している。民泊は違法な無許可営業が横行しており、住民生活への配慮は欠かせない。

 六月に施行される新法は住宅宿泊事業法。旅館業法に基づく営業許可がなくても都道府県知事に届け出れば、年百八十日を上限に宿泊事業ができる。周辺環境の悪化を防ぐ目的なら条例を定めて制限することも認めた。

 訪日外国人の増加に伴い、政府の規制緩和策として大阪市などの特区から始まった民泊事業が全国で解禁となる。こうした動きに対しマンションが集中する都市部ではとくに不安視する声が強い。

 規制を強める条例は東京都の新宿、大田区ですでに定められており、二月議会でも千代田区や名古屋市など約四十の自治体で検討されている。

 千代田区の条例案は、学校などが集中する文教地区では、常駐管理者のいない民泊営業を認めない。名古屋市の条例案は、住宅専用地域で月曜正午から金曜正午までは営業を禁じ、そのほかの商業地などでは終日認めるものだ。

 このような規制に対し、外国人客の来訪や滞在を促進する新法の目的に反するのではないかという懸念もあるだろう。だが民泊をめぐっては問題性が指摘され、対策が遅れてきた。生活環境を守るために規制するのは当然だろう。

 空き室の持ち主と旅行者をネットで仲介する業者に登録する国内物件は五万件余といわれ、民泊に使う方が収益が上がるとして投資物件も増えている。税の支払いを逃れるためか、届け出をしていない違法物件は少なくない。宿泊客が騒音を出したり、ゴミ出しのルールを守らないなどのトラブルが起きても家主が常駐していないために困ったというケースもある。無許可営業に対して自治体の監視も追いついていないのが実情だ。

 新法は無届け民泊などに罰則を強化する。違法物件を排除し、適正物件を増やすのが目的だ。

 居住用のマンションは見知らぬ人が頻繁に入れ替わり滞在することを想定していない。玄関をオートロック施錠したマンションは少なくないが、宿泊客がカギや解錠のための暗証番号などをどう扱うのかという防犯上の懸念もある。マンションによっては管理規約で民泊を禁止しているところも少なくない。新法施行後もトラブルが起きないよう事前にルールを確認しておくことが大切だ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年02月07日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【金口木舌】:旧優生保護法

2018-02-04 06:01:50 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【金口木舌】:旧優生保護法

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【金口木舌】:旧優生保護法

 ものすごく暗い気持ちになった。日弁連によると旧優生保護法に基づき、障がいを理由に不妊手術を施された人が全国に約2万5千人、うち1万6500人は強制だったとされる。最年少は9歳。胸が締め付けられる
 ▼国は「当時は適法だった」として補償や謝罪をしていない。判明した人数は氷山の一角だ。今回、宮城県の女性が国を提訴しなければ、闇に埋もれていた人権問題だろう
 ▼「不良な子孫の出生防止」が旧法の背景にあった。旧法が障がい者への偏見を助長してきた側面も否定できない。1996年に改正されたとはいえ、一昨年の相模原殺傷事件を考えると「優生思想」に基づく障がい者排除の考え方は今もある
 ▼米国の幼児番組「セサミストリート」では、ジュリアという自閉症の女の子が登場する。「自閉症への理解が深まってほしい」との思いが制作者にある
 ▼考えてみれば、テレビに出てくる人は多くが健常者だ。私たちは身近にいる障がい者にもっと気付く必要がある。幼児番組でジュリアが登場する意義は大きい
 ▼ダウン症などの疑いがあるかどうかを調べる新出生前診断について、日本産科婦人科学会は実施施設を拡大する方針だ。診断ニーズの高まりが背景にある。染色体異常の「陽性」と診断された妊婦の9割が中絶を選択している。中絶を選択しなくてもいい、共生社会が求められている。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2018年02月04日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:②法テラス拡充 司法と福祉の橋渡しに注力を

2018-01-30 06:05:20 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【社説】:②法テラス拡充 司法と福祉の橋渡しに注力を

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説】:②法テラス拡充 司法と福祉の橋渡しに注力を

 相談が来るのを待つのではなく、困っている人に積極的にアプローチする姿勢が求められる。

 日本司法支援センター(法テラス)の業務を拡充する改正総合法律支援法が施行された。判断力が低下した高齢者や障害者ら、法的サービスを自ら求めることが難しい人たちが、新たに支援の対象となった。

 福祉機関の職員らが申し込めば、弁護士や司法書士が自宅や施設に出向き、出張相談に応じる。経済的に苦しい人は、その後の裁判費用を立て替えてもらえる。

 独り暮らしの高齢者が消費者被害に遭うなど、トラブルに巻き込まれるケースは多い。財産管理で成年後見制度の利用が必要な人もいる。業務の拡充で、支援の手が届きにくかった人たちを救えるようになった意義は大きい。

 法テラスは、法務省所管の法人だ。「国民に身近な司法」を目指す司法制度改革の一環として、2006年に設立された。111か所に事務所がある。業務運営費の約7割が国費で賄われている。

 経済的な困窮者を対象にした無料の法律相談には昨年度、30万件近い利用があった。当初の2倍以上にまで増えている。

 トラブルを抱えたまま、誰にも相談できずに困っている人が多いことの証左である。

 相談のうち、10万件超は実際に裁判などの法的手続きに進んだ。法テラスの常勤弁護士や契約弁護士らが代理人となり、約6割で勝訴や和解に持ち込んだ。

 法テラスでは「司法ソーシャルワーク」も進める。弁護士が福祉や行政の関係機関と連携して、問題を解決する取り組みだ。福祉事務所で生活保護受給者の相談に乗ったり、成年後見の申し立てを助言したりしてきた。

 業務拡充を機に、法テラスは、司法と福祉の橋渡し役を今以上に果たしてもらいたい。

 改正法の施行で、配偶者からの暴力(DV)やストーカーの被害者も法律相談を受けられるようになった。刑事事件に関する案件はこれまで、原則対象外だった。

 熊本地震など、大規模災害の被災者からの相談にも応じている。業務の拡大に対応するため、地域の弁護士会との連携を強化し、多彩な業務を担う契約弁護士を増やす必要があるだろう。

 法テラスの存在が周知されているとは言い難い。「全く知らない」という人が、未(いま)だに4割を超える。業務拡充を実のあるものにするには、福祉機関などを通じて利用を呼びかけることが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年01月29日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:相続制度改正 もっと柔軟な知恵も

2018-01-28 06:10:30 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【社説①】:相続制度改正 もっと柔軟な知恵も

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【社説①】:相続制度改正 もっと柔軟な知恵も

 法制審議会の部会が相続制度改正の要綱案をまとめた。故人の配偶者が「居住権」を持ったり、親族が介護すれば金銭を請求できる。だが前提は法律婚だ。多様化の時代に即した知恵もいる。

 相続分野の民法改正は一九八〇年以来の見直しとなる。背景となる出来事があった。

 最高裁が二〇一三年九月の決定で、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を、法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分としていた民法規定を「違憲」と判断したのだ。

 これを受けて改正民法が同年十二月に成立した。そして自民党の一部から湧き起こったのが「家族制度が壊れる」との声だ。

 そこで、法務省は法律婚の配偶者優遇の検討を開始した。一五年、当時も法相だった上川陽子氏が法制審に諮問したのが、相続分野の民法改正だったのだ。

 法制審での焦点は、高齢の配偶者の家と生活資金だ。相続分は遺産の二分の一だ。評価額が高い自宅を相続すると、残る遺産の分割で得られる預貯金などが少額になり、生活費が不足する。

 だから、浮かび上がったのが、配偶者が家を出ていかなくても済む「居住権」を新設することだ。住宅を「所有権」と「居住権」の二つの権利に分けて、配偶者に居住権を与えるルールだ。居住権は相続されず、配偶者が居住権、子どもが所有権を取得する。

 高齢化社会の中で故人の配偶者にとって、有効な施策であるには違いない。これは評価できる。

 もう一点の重要な変更は、介護した親族にその貢献を認め、金銭を請求できる制度を新設することだ。相続する権利のない親族も含まれる。介護の尽力に見返りがある方が合理的だといえよう。

 ただ、法律婚でないと、相続の対象外という根本は変わらない。むろん法律婚が社会や家族の基礎をなすことは否定しない。一般的だ。だが、中高年になって配偶者と死別し、新しいパートナーと出会っても、あえて戸籍に記入せず、事実婚を選び、同居する人々も多いのである。

 ただ、パートナーが献身的な介護を尽くしても何の見返りも得られない。遺言がない限り、法律婚でないから、高齢なのに家から出ていかざるを得ない。この矛盾は放置していいのか。

 社会保障では事実婚でも遺族年金などの給付対象になる。社会は多様化が進む。柔軟な発想がいる時代なのではなかろうか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年01月26日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【法制審議会】:遺産分割、「配偶者居住権」を創設…民法改正へ

2018-01-16 23:59:30 | 【法務省、現行刑法・法定刑、法曹界】:

【法制審議会】:遺産分割、「配偶者居住権」を創設…民法改正へ

 乾龍の『漂流日本の羅針盤』・【最新ニュースから見え隠れする闇】:【法制審議会】:遺産分割、「配偶者居住権」を創設…民法改正へ

 法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会は16日、遺産分割の際、配偶者が自宅に住み続けることができる「配偶者居住権」の創設を盛り込んだ民法改正などの要綱案をまとめた。

 死別して残された配偶者が、その後も安定した生活を送れるよう配慮する狙いがある。法務省は22日召集の通常国会に民法など関連法の改正案を提出する方針で、成立すれば1980年以来の相続制度の抜本改正となる。

 遺産分割は、亡くなった被相続人が保有していた預貯金や不動産などの遺産を相続人で分ける制度だ。夫が亡くなり、妻と子どもが相続人の場合、2分の1ずつ分割することになる。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・法務省・ 法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会】  2018年01月16日  23:59:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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