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チラシの裏

カーとキャロライン・ウェルズ その4

2017年12月05日 | JDカー
キャロライン・ウェルズ(カロリン・ウエルズ)の1921年発表「The Luminous Face」を
プロジェクト・グーテンベルグ・オーストラリアでちょい読み。
なんていったって、この作品第1章名が「Doctor Fell」。
ええ、フェル博士が出てくるの!
と思ってちょっと読んでみましたが、フェル博士が出てくるわけではなく、
例の「フェル博士、あなたを好きじゃない」の4行詩を引用しているだけでした。
作者のウェルズは詩人でもあったので、この4行詩のオリジナルであるラテン語詩も載せて
教養のあるところも見せています。
薩摩守みたいに、冒頭とラストだけ読んでみました。

クラブでいつものメンバーが殺人の動機について話し合っていると、
最近メンバに加わったロバート・グリースンがやってきた。
婚約者がいる云々という自慢話をして去っていったグリースンを、メンバーたちが「嫌い」だと言う。
その後メンバーのダヴェンポート医師のところへグリースンから「撃たれた、助けてくれ」と電話がかかる。
ダヴェンポート医師がグリースンのところへ駆けつけると、鍵のかかった自室で撃たれていた。

いいですね。典型的な状況で。どうなるのか、と本編をすっ飛ばして解決編へ。

ネタばれ
双子が服を取り換えてアリバイを作る二人一役。
犯人のほうは地位も教養もある完璧なマナーの持ち主。片方は無学でマナーも知らない田舎者。
なので、身代わりとなった兄弟が燕尾服姿に腕時計をして偽物と見破られるというオハナシ。
燕尾服には腕時計をつけないんですね。その腕時計が流行ものの「ラジウムウオッチ」。
なんと文字盤の文字にラジウムが使ってあり、夜でも光って時間が分かるというモノ。
その光に照らされた顔が題名につながっているわけです。「The Luminous Face」(「輝く顔」?)。

発表された年代(1921年)を考えると、トリックは斬新ではないものの、
通俗ミステリとしては上出来だったのでは。
冒頭の殺人動機の話は展開のさせ方では別の方向へ行けるようにも思えます。
似たような話がクリスティの某長編にありました。



Jackie Gleason & His Orchestra 「Moonlight Becomes You」 (1957)

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