ADONISの手記

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アルトリア その三

2015年11月15日 22時57分23秒 | 小説

 転生者とは、二次創作小説でよく見かける神や女神などの超越者にチート能力を与えられて創作物の物語に転生する現代人の事だ。最も私を含めたこの世界の転生者たちは死神によって転生しているが、それはどうでもいい事だ。

 現在のハルケギニアにおいて彼ら転生者の存在は広く知れ渡っている。それは王侯貴族などの上層部においての公然の秘密というレベルではなく、本当に一般人でも転生者の事を当然の事として知っているのだ。

 何故そのような事になったのかというと、きっかけは一部の転生者たちがやらかした聖地奪還戦争だろう。その中心となったのは、ゲルマニアのファーレンハイト男爵家次男に転生したオットーだ。彼は国内の転生者の一部をまとめてエルフの住む砂漠に攻め込んだ。その数わずか37名。

 当初、この行動に周囲の人々は嘲笑した。というのもこの世界のエルフは強大で、ハルケギニア各国の人間たちはエルフの10倍以上の軍隊を用いなければエルフに勝利できない有様で、それを知る当時の人々からすればオットーの行動は無茶を通り過ぎて自殺行為以外の何物でもなかった。

 しかし、その彼らがエルフの国家であるネフテス国を滅ぼして、エルフ壊滅させた事を知った時、ハルケギニアの人々は愕然とした。

 その思いは敵手たるエルフたちもそうだっただろう。彼らが僅か37名の蛮族が攻め込んで来たとき彼らの多くは彼らを侮った。それは、かつての聖戦の経験からだろうが、その時の彼らにとってそれは致命的な過ちだっただろう。

 そもそも、彼らエルフはそこまで隔絶した存在ではない。ご自慢のカウンターにしてもちゃちな砲弾すら防げないようでは紙装甲でしかない。そんなものがオットーに通用するワケがなく、彼らのチート能力にからすれば児戯にも等しかった。

 オットーが一早く動いたのはやはり風石の問題を解決するためにさっさと聖地を確保しておきたかったからだ。タイムオーバー近くになってからバタバタするよりもさっさとやりたかったという考えは理解できる。

 ここでオットーたちがエルフと話し合いをするという選択肢を取らなかったのは、原作におけるエルフたちの言動が原因だった。人間を蛮族と呼び蔑視するエルフと話し合いなど不可能で、やるだけ時間の無駄だと、オットーたちが判断するのは間違ってはいないだろう。

 こうしてオットーたちは邪魔なエルフを一掃していき、この結果エルフはほぼ全滅状態(砂漠を捨てて東方やハルケギニアに逃げ込んだ者がいた)になった。

 ちなみの一連の戦闘でオットーは腕から黒い龍を出すだけでなく、髪の毛と全身が金色の光に包まれて髪が逆立ったとかもしていたらしい。チートなんてもんじゃないよ(汗)。

 紆余曲折の結果、教会と三王国(始祖の血を引いていないゲルマニアは除け者にされた)が聖地を調査していったが、肝心の風石をどうにかする魔法装置が完全に壊れていた。これには彼らも大慌て右往左往する事になった。

 それを見てオットーたちが動いた。オットーが有する転生特典の一つには【めだかボックス】の大嘘憑き(オールフィクション)があった為に、彼は風石をなかったことにしてしまった。

 こうして、エルフ打倒もハルケギニアの救済も転生者がやってしまったのだ。

 

 ここまで派手にやってオットーたちが問題にならない筈がない。ここで問題になったのはオットーたちが邪気眼を患っていた事だった。

 元々怪我をしていないのに腕に包帯を巻いていて、痛いワケでもないのに、『俺の腕よ、静まれ』とかやっていた彼らである。ハルケギニアの衆目を浴びた彼は見事にはっちゃけた。

 オットーは『自分たちは異世界の神から力を与えられて、この世界に生まれ変わった転生者である』と堂々と転生者の存在をハルケギニア全土に暴露してしまう。おまけに数多の転生者たちの存在や、私の存在まで妄想垂れ流し状態で喋りまくった。

 そうした行為で、私は『最初の転生者』、『多くの転生者を統べてこの世を支配する転生者の中の転生者』などと言われて、かつての『不可視のアルトリア』という痛い二つ名から『転生王アルトリア』や『魔王アルトリア』(化け物じみた転生者たちを率いるアルトリアの存在に恐怖した各国の権力者たちがそう言い出した)にジョブチェンジした時には軽く鬱になったのは私だけの秘密である。

 

 まあ、そんなこんなで時間は流れて、現在は原作開始の半年前になりましたが、ハルケギニアではオットーの暴走によって各地で転生者が少数ギルドを作り上げて活動を開始しており、原作が完全に崩壊してしまいました。

 これによって真っ先に潰されたのがロマリアであった。ロマリアといえば、二次小説ではよくオリ主が革新的な事をすると一々邪魔になる老害というイメージがあり、それは実際間違いとは言い切れない存在だった。

 そんなロマリアを攻撃したのが、『神の右席』という転生者ギルドの一つだった。彼らは元々キリスト教徒だったらしく、平民を虐げるブリミル教が不満だったらしい。

 それまで彼らが自重していたのは風石の問題からロマリアを潰すのは拙いという事情があったからだが、オットーたちの暴走によってその問題が解決した為にロマリアを残す理由はなくなった。

 この転生者たちの攻撃でロマリアは呆気なく崩壊して、現在ではローマ共和国と国名が変更されている。 

 次にガリアだが、こちらでは『テニスコートの誓い』という転生者ギルドが民主共和政の実現を目指して大々的に活動していた。どうも彼らはハルケギニアの貴族の横暴に我慢できなくなったらしく、民衆の、民衆による、民衆の為の政治をスローガンに掲げている。

 ガリアは花壇騎士団を初めとする戦力があるが、テニスコートの誓いに所属する転生者にはまるで歯が立たず劣勢になっていた。こうした苦境もあってか、この世界ではジョセフはレコンキスタを結成させていない。おまけにアンドバリの指輪も転生者の妨害で入手できなかったようだ。

 そして現在転生者たちに追い詰められているのがアルビオンだった。こちらは『黒の騎士団』が派手に暴れている。どうもレコンキスタの代わりにやっているらしい。実際スローガンは違うがやり口は似ているし(笑)。

 原作のレコンキスタは貴族による共和制と聖地奪還をスローガンにしていたが、黒の騎士団はテニスコートの誓いと同じく王政と貴族を打倒して民主共和政の実現させる事をスローガンにしていた。

 そんな黒の騎士団を構成するのは不思議な事にアルビオンの貴族たちだった。本来ならば黒の騎士団は貴族たちの敵でしかないのに彼らは黒の騎士団に加担して王党派と戦闘を行っていた。余談であるが黒の騎士団のリーダーはゼロと名乗る仮面の男らしい。 

 そんなカオスな状況ですが、肝心のトリステイン王国は静かな物だったが、やはり今年のトリステイン魔法学院は多くの留学生が来ているらしい。例年の倍以上というからその異常性は明らかであるが、私からすれば当然の事だった。なにしろ原作に関わろうとするならばトリステイン魔法学院に入学するのが手っ取り早いのだ。

 

解説

■オットー・フォン・ファーレンハイト
 ゲルマニア(ゼロの使い魔)のファーレンハイト男爵家の次男として転生したトリッパーの一人。邪気眼を患っており、その言動から精神病を疑われるほどで様々な妄想を吐きまくる痛い人であるが、反則的なチート能力を三つも持っており、その強さはトリッパーの中でも有数である。オットーの暴走が引き金なってハルケギニア各国在住のトリッパーたちは自重しなくなり、ゼロの使い魔の世界を大混乱に導く事になった。

◇転生特典
①超サイヤ人ベジットの能力(ドラゴンボール)
②飛影の能力(幽☆遊☆白書)
③大嘘憑き(めだかボックス)

 


7 コメント

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駄文 (ADONIS)
2013-08-22 22:26:59
オットーを初めとして転生者が好き勝手していますが、チート能力を持つ転生型トリッパーが1000人以上もいたらこうなると思います。それにしてもエルフ涙目です(汗)。
Unknown (サカイ)
2013-08-23 03:52:25
>オットー・フォン・ファーレンハイト
>ガリア(ゼロの使い魔)のファーレンハイト男爵家の次男として転生したトリッパーの一人。

明らかにドイツ語名なのに、ゲルマニア貴族ではなく、ガリア貴族なのですか?
いいね! (がろうでん)
2013-08-23 05:20:29
死亡フラグの世界に野菜人の特性は必須でしょうね。

祝!ロマリア滅亡。

Unknown (yamamon)
2013-08-23 06:00:13
乙です。

大嘘憑きですかwこれまたチートな能力を選択しましたねw
さすがにトリッパーの特性上、自動蘇生は無理なんでしょうが、それでも強い。

ふむ、転生者にも割と民主派って多いんですね。
後世のブリタニアやアトラスとか見ていると、その辺保守的にも見えたんで意外でした。

転生者たちは好き勝手やってますが、まあまだ平穏な気もしますw
せいぜい既存の権力者層がヤバイことになっているだけで、人類絶滅とか世界滅亡とか文明崩壊とかには発展してないわけでw(例えばシドゥリがやらかしたことと比較すれば全然平穏w)
返信 (ADONIS)
2013-08-23 07:09:04
>サカイさんへ
ゲルマニアをガリアと記載していました。誤字だから修正しておきます。

>がろうでんさんへ
転生者にとってロマリアは邪魔みたいなので排除しまいた。

>yamamonさんへ
あの世界のトリッパーに民主派が多いというよりも、転生者たちは王侯貴族や神官の腐敗が酷過ぎて世直しをしたくなっただけです。
一方、ブリタニアやアトランティスは民主主義ではありませんが、現代日本よりもいい国になっているので、不満が少なかったワケです。
まぁ誰しも現状で上手くいっていて幸せなのに社会を変えようとはしませんから。
Unknown (Unknown)
2014-04-04 21:48:55
民主制の場合、民衆の知識レベルやモラルに左右されるんですが、識字率が低いハルケギニアの場合だとorzなことになる可能性がw
実際、今の日本でもアレなことになってるしねえ。 プリベルの南の魔王のところの学校みたいに小学校から議論の授業やってるとかくらいしないと上手くいかせるのは難しいでしょ。
返信 (ADONIS)
2014-04-06 10:38:10
>Unknownさんへ
そういえばフランス革命直後のフランスも色々と荒れてしまいましたから、ハルケギニアがいきなりそうなると大混乱になりますね。
最もこの世界では民主主義うんぬん以前に、トリッパー達の争いでハルケギニア諸国はかなり酷い事になっているけど(汗)。

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