粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

日朝と周辺国

2014-05-30 14:58:42 | 厄介な隣国

北朝鮮が日本人拉致被害者の再調査で日本と合意したという突然のニュースに接して、最近の日朝を取り巻く東アジアの情勢が急激に変動していることを実感する。中国との深いパイプを持っていた北朝鮮no2が処刑されたことで中朝関係はかつてない険悪な関係になった。中国から今年に入って北朝鮮へは重油の供給がストップして食料援助も大幅削減されたという。北朝鮮の政府幹部の間では今や中国を敵視する気運が強いといわれる。

一方韓国と中国はかつてない親密の関係になっており、今月韓国で行なわれた中韓外相会談ではその蜜月ぶりが際立った。年内には習近平主席の韓国訪問が予定されている。こうした中韓の関係を北朝鮮が快く思っていないことは確かだろう。

そこで北朝鮮は最近中韓が盛んに敵視し始めた日本に接近して、今回の合意がなされたものと考えられる。おそらく、中韓はこの合意にショックをうけているのではないか。こうなると東アジアの隣国関係は複雑にならざるを得ない。もちろん日本とて韓国を軽視して北朝鮮と友好関係を進展させるわけにはいかない。ただ北朝鮮をカードにして中韓関係を牽制することはできるだろう。

そして問題はアメリカだ。北朝鮮の核問題が解決していないのに日朝が親密になっていくことをアメリカは望まない。ただ北朝鮮が日朝関係改善のため軍事的な拡張を控えるとしたら、アメリカにとっても悪いことではない。さらに北朝鮮の最終的な狙いが平和的な米朝関係構築であればなおさらだ。

現在のところ、日米中韓朝5カ国が極めて微妙な関係にあり、ちょっとしてことで各国の関係が大きく変化することは充分あり得る。ただ客観的に見て北朝鮮が現在経済的に相当困窮していることは間違いない、中国を当てにできなくて日本に接近したことは間違いないであろう。そんな弱り目の北朝鮮が中国のくびきから離れることで逆に体制崩壊へと進むことも充分考えられる。今年の東アジアが激動の年になりそうな予感がする。