粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

将来のラストエンペラー

2013-09-16 13:59:31 | 厄介な隣国

「ネット規制しているのは日本の方。中国はしっかりしている」上杉隆。これは、原発事故の2011年、5ヶ月後8月にあの上杉氏が発したツイート、つぶやきだ。彼がいう 「中国がしっかりしている」ことの意味合いが今もって自分自身よくわからない。ウィキペディアでは「元ジャーナリストを自称する」と上杉氏を紹介しているが、これまたよくわからないのと同様に。

よくわかるのは、上杉氏の言葉に反して、中国が世界で稀に見る「ネット規制社会」であることだ。これまでの一連の中国関連報道をみれば、ほとんどの日本人なら皆、納得できるはずだ。ネットで上杉氏を揶揄する「ウソスギ」の面目躍如?

そんな中国にあって、最近さらに言論統制の激しさを伝える報道が入ってきた。9月15日サンケイ「中国、知識人を続々拘束、『温和派』対日関係者・記者ら」とある。

従来の言論弾圧に加え、体制をほとんど批判しない温和派とされる対日関係者や、企業家、記者をも次々と拘束し、15日までにその数は100人を超えたといわれる。「外国人と親しい関係にあったり、人権の尊重など、欧米の価値観に共感を持ったりする知識人が集中して狙われている」といい、強い懸念の声が上がっている。

7月に一時帰国中の東洋学園大学朱建栄教授が拘束されたのもその一環だといわれる。朱教授は日本のメディアに頻繁に登場する最も有名な中国人の一人である。しかし、その発言内容は中国当局の声を代弁しているといってよいほど中国べったりである。だから、中国で拘束されるなど全く信じられなかった。

少しでも外国の自由な空気に触れた中国人は、中国当局にとっては「危険分子」扱いされるようだ。記事にある通り「外国の立場や価値観を理解し、それを国内で説明する知識人は邪魔な存在だ。」ということになる。それだけ中国当局の疑心暗鬼ぶりが高まっている感じがする。

思うにこれは、中国政府の国民に対する自信のなさを反映しているのではないか。すでに中国の高度経済成長は終焉し、今や本格的な経済崩壊が始まっているとされている。これまで成長の陰で隠れていた矛盾がいっぺんに露呈する可能性が強い。国民を繋ぎ止めてきた中国共産党への信頼が地に堕ちて、国民を苦しめる圧政者として憎悪の対象になりかねない。それが目に見える形で現れる時こそ、現政権の破滅になりうる。

ある日本の評論家は習近平自身が中国共産帝国の「ラストエンペラー」になるのではないかと予言している。新政権になっても、これまでの厳しい報道規制を緩めるどころか一段と強化する後ろ向きの政策をとっている。しかし一時的に糊塗しても、決して国内の矛盾を解決することはできないだろう。清王朝のラストエンペラーは、一時勾留の後一般市民として生涯を終えたが、習近平皇帝の今後はどうなるか。