粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

魔法の力

2011-12-31 14:24:51 | 震災全般

今年の世情を振り返るとやはり大震災とそれに伴う原発事故が今になっても深く影を落としている。震災による公私の行事自粛、節電の日常化は、景気後退を一層際立たせた。原発事故による大量の放射能汚染は、パニックともいえる大騒動を引き起し、理不尽な風評被害が蔓延している。

この社会不安を解消しプラスに転ずるのようなものが生まれただろうか。なでしこジャパンの世界制覇は数少ない慶事といえるだろう。塞がれた人々の心を再び結びつけるものを今国民は渇望しているのではないか。

ベートヴェンの第九交響曲最終楽章で有名な「歓喜の歌」の一節に次のような箇所がある。

あなたの魔法の力は再び結びつける

世の中の時流が厳しく分け隔てていたものを

全ての人がみな兄弟になる

あなたのその柔らかな翼が憩うところで

ここでいう「あなた」は西洋でいう「神」に相当する。引き裂かれた人々の心を再び結びつけて皆が兄弟となる神の魔法の力はあるのだろうか。そういえば今年流行ったCMにも「魔法の言葉」というのがあった。

まほうのことばでたのしいなかまがぽぽぽぽ~ん。

CMでいう「言葉」とは主に挨拶を指している。何気ない日常の言葉が、人の心と心を結びつける。そんな人間の原点が求められているのかもしれない。