粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

反基地と反原発

2011-12-28 12:21:25 | 国内政治

報道によると「普天間飛行場から辺野古への移転に関する環境影響書」を載せた配送車が、県庁前で移転反対派のグループによって配送を阻止されたという。そもそもこの環境影響書提出は政府から沖縄県庁への単なる行政手続きにすぎず、知事も書類の受理そのものは承諾していて、その内容に同意するかどうかはあくまでも仲井真県知事が決めることだ。

人間バリケードさながらの実力阻止は、全く民主国家のルールを逸脱している。行使したのは100人ほどの市民グループらしい。原発事故以来何度も登場する「市民グループ」だ。これを沖縄県民の総意とはとても信じられない。県民でもたとえば辺野古周辺の住民は賛成派が多いと聞く。県民の意見もさまざまだ。一部「市民」の過激な行動が目立つためにややもするとそれが全体を代表していると思い込むのは危険なことだと思う。

それは原発事故から発生した諸々の反対運動で既に経験済みだ。京都五山送り火、あるいは日進市の花火、最近では被災地の瓦礫引き取りを巡る騒動など市民グループの奇怪な反対行動が目立つ。これらは「反原発」であって決して「脱原発」ではない。単に原発依存から脱却を望むという穏健な国民全般の思いではなく、何が何でも原発そのものが悪で放射能は危険極まりないという極端な思想である。

同じように沖縄の「市民グリープ」による阻止行動も、いわば「反基地」であって穏健な「脱基地」とは一線を画している。「反基地」とはすなわち反米、反安保を旨とした極めて思想色の強いものだ。もちろんこれは沖縄県民の総意ではない。一部本土の「反基地」グループも加わっていると聞く。原発再稼働の説明会で周辺住民とは関係ない市民グループが大挙押し寄せる構図に近い。

政府としてはそんな反基地グループの行動に振り回されることなく粛々と基地移転を進めるべきだ。そもそも民間の配送業者に書類移送を代行させること自体、逃げ腰だ。防衛省の幹部が堂々と県庁を訪れるべきものだ。仲井真知事も内心は基地移転賛成なのだが、表向き移転反対の声が強いため今は静観していると思う。政府の逃げ腰の態度にはやきもきしているはずだ。政府はもちろん沖縄県民の声を充分に汲取る謙虚さと努力が必要だ。しかしその真意はどこにあるかは間違ってはならないと思う。