一主婦の「正法眼蔵」的日々

道元禅師の著書「正法眼蔵」を我が家の猫と重ねつつ

「考えが浮かぶ」と「考えを追う」

2007年08月05日 | Weblog
 猫を見ていると、どんな時でもパッと基本の姿勢に戻ります。どんなに楽しそうに遊んでいる時でも、何か食べている時でも、少しでも危険な状態を察すると、遊ぶのも食べるのも止めて、基本姿勢に戻ります。
 坐禅も、基本姿勢に戻る訓練だと私は思います。「考えを追う」から「考えを浮かぶままにする」基本姿勢に戻る訓練です。
 坐禅の時、何か考え事をしているなと気が付くと、考え事が消えます。またすぐ考え事をしだしますが、また考え事をしているなと気が付くとまた消えます。だから「考えを追わない」で「考えを浮かぶままにする」状態に立ち返る訓練をしているのです。坐禅を毎日やっていると日常生活でも、あ、これは考えを追っているな、と気が付くようになります。そうすると考えに振り回されない客観的な目で日常生活を見ることができるようになるような気がします。けんかをして自分の感情をどうすることもできない時や、自分の考えのなかにはまってしまって抜け出せなくて苦しい時など、ふっと楽になります。
 「正法眼蔵 弁道話」の巻に「はなてばてにみてり」(注)という句があります。
私は考えでもって何かをつかむことを止めて、考えを放せば、人間に本当に必要なものが手の中に満ちることと解釈しています。

注:西嶋和夫「正法眼蔵を語る 弁道話」金沢文庫 23頁