神楽

暇人です、文字ウチ書き間違え多、読み返すと内容変わるから読み返さない、読み方は皆様に甘えさせて頂きます。

僕があなたを探す理由

2022-12-30 15:36:00 | 短長編小説
いつもの昼下がり
緩やかな風に誘われ
ひなたぼっこをしていた

その日はなぜか
気持ちが落ち着かない

そんな僕をいたわる様に
周りの空気が優しく包んでくれた

そんな周りの雰囲気に誘われて瞼が重くなり

いつの間にか
眠りの中に入って行った

眠りは優しく
落ち着かなかった僕の心を癒してくれた

眠りの中で
何かはっきりしない
影らしきモノを見つけた

僕はその影に誘われる様に
側に行こうと歩きだした

なぜだろう
どれだけ歩いても
影との距離は変わらなかった

不思議な感覚と
どうしても
あの影の側まで
たどり着かなければいけないと言う思いが心に浮かんだ

だから歩みを早めた
それでも影との距離は縮まらない

だんだん不安になり
走り出していた

走っても走っても
影には追い付かず

走れば走るほど距離が広がって行くのを感じた

走れば遠退く
歩けば離れた距離は変わらず
ならば・・・後は立ち止まる

その場に立ち止まり暫く時を待った
どのくらいの時間が過ぎただろうか・・・・・

僕は忘れていた
これは全て夢の中の出来事だ

其れなのに何を追いかけ
何を待っているのだろうか?

夢の中で思わず笑いが込み上げた
全て夢何を勘違いしているのか?!

自分が眠る夢なら
追う事も待つ事も必要ないはず

全て自分の思いのままに
話を作り替える事も可能だろうに

ただ何も考えずに
夢に誘われ流されていただけだった

そう気付いた時
影は少しずつだが僕に向かってくる

だがその時思った
アレに囚われる!!

逃げなければ僕は2度と目が覚めない早く目覚めなければ!

だが立ち止まった場所で
なぜか自由を奪われていた

ココは僕の夢では無いのか?
するとどこからか声が聞こえた

「早く、早く思い出して、あなたは誰なのか?!、忘れないで、お願い早く思い出して、今あなたが、どこで何をしているのか、私が誰なのか・・・」

お・も・い・だす・・・・・
そうだ!!!!!!!!

僕はあなたを探す為に
夢の中に入ったのだ

全てが夢だ!!
あの影は夢の中に有る
心の闇の正体

アレを経ち切らなければ
現世に戻る事は出来ない

僕は大切なあなたを探しだす
その為に今ココに居る
あなたの声が聞こえる
あの影に見つかる前に
あなたを探し目覚めなければ
僕達の時間も止まる

・・・あなたはどこに
目に見えるこの世界は全て幻
なら瞳を閉じて心を研ぎ澄まし
感じるんモノを探す

・・・見つけた!!!!
僕の大切な・・・・・・

目覚めて最初に見えたモノは
・・・あなた



滅びへと

2022-12-30 07:12:00 | 短長編小説
昔々の何処か遠い場所に住む
貧しい青年が居た

夢を諦め・絶望だけを胸に
心を空っぽにした

何も望まず毎日・毎日
その日1回の食事の為に
働き続ける事しか出来ずにいた

青年には自由な時間が無く
明日は仕事にありつけるのか?

1日でも仕事を見つけられなければ
年の離れた小さな兄妹達の前に食事は並ばず

空腹を満たす為に溜めた雨水を口にする

その朝もいつもと同じように
青年は町の広場で
日雇い労働者を求める人達に声をかける

だが小柄の青年を雇ってくれる者は中々見つからず
青年は1人2人と消えて行く人々を見ていた

今日仕事が見つからないなら明日には家を失う食べる物も当然無し

幼い兄妹達を連れて屋根の無い道端で眠る事と成る
青年は広場の石に腰を降ろし絶望の淵にいた

もう全て諦めて空を見上げながら時空(とき)に身を委ねて終(しま)おうか…………

無意識に呟いた瞬間に青年は眩しい光を見て想わず立ち上がり光に向かい歩きだしたが
ふと我に帰り周りを見ると??
そこは確かにいつもの広場

青年は一瞬・夢を見たのだと思い
再び日雇いの人達に声をかけた
だがダメだった

肩を落とし次の人へ又次の人へと声をかけた
でも誰も青年に仕事をくれる者はいない

青年は仕方なく又石に腰を降ろし下を向き「野宿を選ぶしか無いのか」と呟いた

そんな時だった突然目に綺麗に磨きあげた靴が見えた青年はゆっくり顔を上げると
目の前に立って居たのは?!
綺麗な身形(みなり)をした紳士だった

紳士は青年に言った
「私の絵のモデルに成っていただきませんか?」

青年は??「モデル!?」紳士を見ながら呟いた

紳士は話し続ける
「1日3時間、お金は日払い、期間は1ヶ月、もし引き受けて頂けるなら、今から私に付いて来て頂けませんか?」

青年に断る理由は無いお金が貰えるなら何だってする!
「わかりました、宜しくお願いします」

そのまま紳士に付いて行くと
町外れに立派な高級車が止まっていた

青年は紳士の言われるままに車に乗り込んだ

車はドンドン町から離れ白樺の木々が並ぶ林へ

たどり着いた場所には
今まで見た事が無い大きな屋敷

屋敷の中に入りまず初めに
沢山の使用人に囲まれ
衣服を剥ぎ取られお風呂に入れられ綺麗な服を着せられた

それが終わり
紳士が待つ部屋へ連れて行かれた
その部屋は今まで見た事が無い
夢の世界だった

青年はどうすれば良いのか解らずその場に立ちつくしていると
メイドのひとりが青年に目配せをする
どうやら目の前に有る綺麗なソファー座れと指示をしているようだった

メイドの指示に従いソファーに腰を下ろすと

紳士は何も言わずキャンバスに向かい筆を動かしだした

青年は動く事をせずシバラクそのままの形でじっとしていたが
紳士が言った
「今日はココまでにしよう、続きは明日だね、帰る前にお茶を1杯飲みなさい」

気付けば目の前のテーブルに
1杯の飲み物が置かれていた

青年は紳士に言われるままにティーカップを手に持ち口に運びひとくち飲み込む

ソコで記憶が途絶えた
暫く眠っていたらしく目覚めた時
いつもの広場の石に腰掛けていた

あれは夢??だったのか?!
青年は夕日を眺めるながら独り言を呟いた

仕方ない明日はアパートを出て
弟と妹が眠れる場所を探そう
そう思いながら立ち上がった

その時だった青年は胸ポケットに違和感??ポケットに手を入れると
夢で言われた日当のお金が入っていた

あれは夢ではなかったのか?
本物のお金約束の金額にびっくりして一瞬頭が真っ白に成ったが

青年はお金を手に一目散に家主の家に行き家賃を払い
パンを買いアパートへ帰った

アパートでは待ちわびる弟妹が居る部屋に入る2人はパンを持つ青年に飛び付いて来た

嬉しそうに笑みを浮かべパンを口いっぱいに頬張った
その夜はお腹の鳴る音や空腹で眠れず夜中に水を求める者はいない

深い眠りの中にいた

次の朝目を覚まし朝食が有った
何年ぶりだろうこんなに幸せな朝は

そして青年は仕事を探しに出かける
もし今日あの紳士が居たら

卵を買ってミルクも買おう
青年はそんな事を思いながら広場へと急いだ
そして石に腰掛けてあの紳士を待つ事にした

すると青年が石に腰掛け約30分程経過した頃
昨日と同じあの紳士が現れた
「やあ青年、今日もモデルを頼めるかな?」

青年は
「はい」と二つ返事をした

昨日と同じ車に乗り
昨日と同じ白樺の林を抜け屋敷へ向かう

青年は夢気分で幸せが2日続きでやって来たと喜んだ

これで玉子とミルクが買える
そう思うと自然に口もとが緩んだ

屋敷に入り昨日と同じ風呂に入れられ綺麗な洋服を着せられ
後はソファーに座る

昨日と違うのは途中で紅茶を頂いた
ミルクに砂糖多めカップの中から
ミルクの優しい香りと砂糖の甘い匂いがした

青年は初めて紅茶を知った
口の中でとても良いリーフの香りが漂う

これだけ大きな屋敷には
このような贅沢なお茶が似合う

僕達が何10年かかっても手に入れる事は出来ないと感じていた………諦めの気持ちがここにも存在する

しばらくすると目蓋の緩みを感じた次の瞬間我に帰る…………?
えッ!?またいつもの広場の石に腰掛けていた

昨日と同じ服は元のままアチコチ破け汚れている服

昨日も今朝も代わり無い
ただひとつだけ違うのは胸ポケットに昨日と同じ金額がある事

青年は不思議に思いながらもそれ等を何も考えず受け入れる

今は考えるのを止めて家で待つ
弟と妹に早くミルクと玉子
それに今日は少し贅沢に軟らかいパンを買って帰る

青年の思いは笑顔をくれる家族へ向けられた

不思議な感覚を覚えながらも
その後も毎日青年はお金を手に入れた

そして約束の1ヶ月が間近に迫って来て初めて青年は考えた

少しだが貯えも出来た
弟妹を連れてもっと田舎に行って小さな家を手に入れてそれも良いかな

最後の日の朝いつもの様に
「行ってきます」と言うが
『行ってらしゃい』の声がない事に気づいていなかった

青年はいつもの広場へ足を運び
紳士と交わした約束最後の日

その日も同じやはり目覚めたのは?
いつもの広場とは雰囲気が違った

広場の中央には見た事が無い
大きな噴水??!

いつもの石の感触はするが何故か身体は自由を奪われた状態

青年は自分の身体にいったい何が起こっているのか理解出来ずにいた

仕方なく暫く様子を伺っていたが
夕日が沈み辺りが暗くなると見た事も無い街灯が灯(とも)り

夜外はとても明るくまるで昼間の様な賑わいをしている

街並みや外見は違っても道は同じ
街灯が消え街は暗闇に覆われた時
青年の身体が自由に成り慌てて家に帰った

だがその場所には街並みに似合った
綺麗なアパートが有った

中に入り階段を上り続けたがソコには綺麗な扉が沢山並んでいる

全て知らない物ばかり
何が起こっているのか解らず
パニック状態の青年は再び広場に戻った

全ての扉が閉ざされ闇と化した街で
ただひとつ開かれた扉が有った

青年は無意識にその扉を目指した
扉の中に入ると光輝く場所が有った

その光に導かれその場所へ向かった
するとソコには1枚の画が有った
随分古い画!?

だが何故か凄く懐かしい風景
その画の中のずーっと奥の方
石に座りまるで眠る様なあの時の風景が見えた

あなた(紳士)は私(青年)を見続けてくれていたのですね

全てが嫌で弟妹を手にかけ逃げた
そして私はあの場所で最後を迎えた

結局何処にも行けず
ずっとあの場所から動けずに

あなたはそんな私の咎を思い出させる為に目覚めさせたのですね

なら私は未来永劫罪を背負い石と成り闇に落ちます

楽しい夢をありがとうございました
青年は最後に画に1礼したが
眩しい光は青年の嘘に項垂れた

そして紳士は語った
君は嘘を嘘で上書きすれば気付かれ無いと本気で考えたのかな

本当に君がつぐなうべき罪は
自分勝手な君の行いだろ!!

君が命を殺めたのは・・・いつだ〆