Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●そりゃぁ、東京電力原発人災以降を見ただけでも、「司法」にも絶望するよな

2012年01月25日 00時00分31秒 | Weblog


THE JOURNALの記事(http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2012/01/post_137.html)。videonews.comの神保哲生さん。

 井戸謙一氏と海渡雄一氏がゲスト。
 国や電力会社に楯ついて反原発の判決を下した稀有な裁判官が井戸謙一氏。井戸氏以外の裁判官は、東京電力原発人災を目の当たりにして、どんな気持ちだろう。是非聞いてみたい。冷徹に何も感じないほど冷めているだろうか。無辜の被告に、かつて冤罪死刑判決を出したことで苦しみ抜いた熊本典道元裁判官のようなまともな感覚を持った裁判官が日本にはどれほどいるのだろうか。市民感覚を取り入れるということで、最高裁がやらせタウンミーティングまで開いて導入した裁判員制度だけれども、そんなもので裁判官が変わるほど、司法はまともではない。

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http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2012/01/post_137.html

原発事故の裁判所の責任を問う

マル激トーク・オン・ディマンド
561回(20120114日)
原発事故の裁判所の責任を問う
ゲスト:井戸謙一氏(弁護士・元裁判官)、海渡雄一氏(弁護士)

被告は志賀原発2号機を運転してはならない

 
2006324日、金沢地裁の井戸謙一裁判長は、被告北陸電力に対し、地震対策の不備などを理由に、志賀原発2号機の運転停止を命じる判決を下した。しかし、日本で裁判所が原発の停止を命じる判決は、後にも先にもこの判決と20031月の高速増殖炉もんじゅの再戻控訴審の2しかない。それ以外の裁判では裁判所はことごとく原告の申し立てを退け、原発の継続運転を認める判決を下してきた。また、歴史的な判決となったこの2つの裁判でも、その後の上級審で原告は逆転敗訴している、つまり、原告がどんなに危険性を主張しても、日本の裁判所が最終的に原発を止めるべきだと判断したことは、これまで唯の一度もなかったのだ。
 水掛け論になるが、もしこれまでに裁判所が一度でも、原発に「待った」の判断を下していれば、日本の原発政策はまったく違うものになっていたにちがいない。その意味で日本では裁判所こそが、原発政策推進の最大の功労者だったと言っても過言ではないだろう。

 それにしても、なぜ日本の裁判所はそこまで原発を擁護してきたのだろうか。
 原発訴訟を数多く担当してきた弁護士の海渡雄一氏は、過去の原発訴訟でいずれも「専門技術的裁量」と呼ばれる裁判所の判断が、原告の前に立ちはだかった壁となったと指摘する。
 専門技術的裁量とは、原発のように高度に専門的な分野では、裁判官は技術的な問題を正確に判断する能力はない。そのため、裁判所は基本的には専門家の助言に基づいて行われている政府の施策を尊重し、そこに手続き上、著しい過誤があった場合にのみ、差し止めを命じることができるというもの。過去の裁判で、原発の耐震性や多重事故の可能性などが争点にのぼっても、裁判所は常にこの専門技術的裁量に逃げ込むことで、原発の本当の危険性を直視することから逃れてきた。
 また、女川原発訴訟の最高裁判決で、原発に関する情報を国や電力会社側が独占しているとの理由から、原発の安全性の立証責任は国や電力会社側にあるとの判断が示されているにもかかわらず、それ以降も裁判所はその判断基準を無視して、常に危険性の証明を原告側に求めてきた。
 要するに、裁判所としては基本的に政府や電力会社の言い分を信じるしかないので、もし原告がどうしても原発が危険だというのであれば、それを具体的に証明して見せるか、もしくは行政の手続きに著しい不正や落ち度があったことのいずれかを証明しない限り、原告には一分の勝ち目もないというのだ。
 その基準が唯一逆転したのが、冒頭で紹介した2006年の志賀原発差し止め訴訟だった。この裁判で裁判長を務めた井戸氏は、原告が提示した原発の耐震性に対する懸念に対して、被告の北陸電力が十分な安全性の証明ができていないとの理由から、原発を止める歴史的な判決を下している。しかし、この訴訟も上級審では原告の逆転敗訴に終わり、結果的に原発訴訟での原告の連敗記録をまた一つ更新してしまった。
 その後弁護士に転じた井戸氏は、過去の原発訴訟で最高裁が原発の停止につながるような判断を政策的な配慮からことごとく避けてきたため、それが下級審にも影響していると指摘する。国策でもある原発政策に、裁判所は介入すべきではないとの立場からなのか、原告が有利に見える場合でも、裁判所は専門技術的裁量だの危険性の立証責任を原告側に課すなどして、最終的には原告の申し立てを退け、原発の運転継続を後押ししてきた。
 その集大成とでも言うべき浜岡原発訴訟では、裁判所自ら原子炉が断層の真上にあることや、近い将来この地域で大規模な地震が起きる可能性が高まっていることを認めておきながら、「抽象的な可能性の域を出ない巨大地震を国の施策上むやみに考慮することはさけなければならない」として、あくまで国の政策に変更を求めることを拒否する姿勢を裁判所は見せている。
 ちなみにこの裁判で原告側が、地震によって2台の非常用ディーゼル発電機が同時に故障する可能性や、複数の冷却用配管が同時に破断する可能性などを指摘したことに対し、中部電力側の証人として出廷した斑目春樹東京大学教授(当時)は、「非常用ディーゼル二個の破断も考えましょう、こう考えましょうと言っていると、設計ができなくなっちゃうんですよ」「ちょっと可能性がある、そういうものを全部組み合わせていったら、ものなんて絶対に造れません」と証言している。そして、その後原子力安全の総責任者である原子力安全委員長に就いた斑目氏のもとで、2011311日、福島の第一原子力発電所でまさに複数の非常用ディーゼルが故障し、複数の冷却用配管の同時破断が起きたことで、メルトダウンに至っているのだ。
 「原発訴訟では原告側の証人を見つけることが常に最も困難な作業だった」と過去の原発訴訟を振り返る海渡氏は、311の事故以降、原発訴訟に対する裁判官の態度が変わってきたという。これまで原告が主張するような重大な事故はまず起こらないだろうと高を括っていた裁判官も、福島の惨状を目の当たりにして、ようやく目が覚めたのかもしれない。
 しかし、これまで原発を裁判所が後押ししてきたことの責任は重い。なぜ日本の裁判所は政府の政策を覆すような判決から逃げるのか。歴史的な原発停止判決を下した元判事の井戸氏と数々の原発訴訟の代理人を務めてきた海渡氏と、原発事故の裁判所の責任とは何かを考えた。
・・・・・・・・・。

<ゲスト プロフィール>
海渡 雄一(かいど ゆういち)弁護士
1955
年兵庫県生まれ。79年東京大学法学部卒業。81年弁護士登録。日本弁護士連合会(日弁連)刑事拘禁改革実現本部事務局長、国際刑事立法対策委員会副委員長、共謀罪立法対策ワーキンググループ事務局長などを歴任。2010年より日弁連事務総長。著書に『原発訴訟』、『監獄と人権』など。

井戸 謙一(いど けんいち)弁護士・元裁判官
1954
年大阪府生まれ。79年東京大学教育学部卒業。同年、神戸地裁判事補、甲府地裁、福岡家裁、大津地裁、金沢地裁、京都地裁、大阪高裁などで判事を歴任。2011年退官、同年より現職。

投稿者: 神保哲生 日時: 2012114 23:52 |

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●作られた袴田冤罪事件、理不尽極まる漸くの初の証拠開示

2011年12月23日 00時00分46秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121202000032.html)。もたもたと、腹立たしくてしょうがない。

 ようやく証拠の開示。初だ。あまりに理不尽ではないか。単なる冤罪ではない。味噌樽に仕込まれた、本人が履くこともできない服など、警察や検察に証拠が捏造された冤罪の疑いが濃い。それを正せなかった裁判所。一体どう責任を取るつもりか! 司法は、「スローな死刑」を待っているとしか思えない。司法関係者は、美談の男冤罪 袴田事件を裁いた元主任裁判官・熊本典道の秘密』を読んでくれ。
 袴田秀子さんによると、精神的にかなり問題が発生しているようだ。絶望感、毎朝が死刑に脅える恐怖で、まともな精神状態でいられるはずがない。しかも、作られた冤罪で・・・。

 asahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY201112220265.html)によると、DNAは不一致だったという。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121202000032.html

袴田事件 録音テープを開示
20111212 夕刊

 一九六六年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家四人が殺害された袴田事件の第二次再審請求で、静岡地検は十二日、静岡地裁の勧告を受け、袴田巌死刑囚(75)の取り調べを録音したテープや供述調書など百七十六点の証拠を、地裁で開かれた臨時の三者協議で新たに弁護団に開示した。

 弁護団は開示後に記者会見し、警察官が録音の承諾を求める部分などテープの一部を再生した。

 裁判所の勧告に基づく証拠開示は、同事件で初めて。福井の女子中学生殺害事件では、名古屋高裁金沢支部の勧告による証拠開示が再審開始につながったとされ、今回明らかになった証拠も、再審の可否をめぐる地裁の判断に影響を与える可能性がある。

 弁護団の西嶋勝彦団長は会見で「大きな前進」と評価。「証拠を基に論点を補充し一日も早く再審決定をしてもらえるようにしたい」と述べた。

 開示されたのは静岡県警が起訴後の六六年九月二十一日に取り調べ状況を録音したテープ一本と、起訴前後の同年七月四日~九月三十日に作成された供述調書など約三十通のほか、凶器とされた小刀に関する捜査報告書、血が付いているとされたパジャマの血液鑑定書など。

 地検はこれまで、弁護団が請求した捜査報告書など証拠の一部を開示したが、今回の証拠は「再審請求の内容に関連がない」と拒否していた。地裁は今月五日、全てを開示するよう勧告した。


取り調べ一部再生 小さな声「はい」 

 「今日はこれから、きみの話したことを録音しますが、承諾するかね」と質問する警察官。袴田死刑囚は小さい声で「はい、いいです」と答えた。弁護団が十二日、記者会見で再生した録音テープ。確定判決から三十一年、袴田死刑囚が取り調べに臨んだ際の肉声が初めて表に出た。

 「言いたくないことは言わなくていいし、嫌なら言わなくていい」と諭すように話し、録音していいか尋ねる取調官に、袴田死刑囚は「はい」と答えた。再生はされなかったが、この後に犯行を認める供述調書を読み上げたといい、弁護団は「自白の任意性を証明しようとしたのではないか」と録音の狙いを分析している。

 弁護団は開示された現場写真のネガも公開。小川秀世弁護士は「侵入方法の再現実験など、あるべき写真が欠けている警察がいかにいいかげんな捜査をしていたのか分かる」と興奮気味に話した。
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http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY201112220265.html

20111222149
袴田事件、弁護側「DNA型不一致」 服の鑑定結果

 静岡県清水市(現静岡市清水区)で1966年にみそ会社専務一家4人を刺殺したなどとして死刑が確定した袴田巌(いわお)死刑囚(75)の第2次再審請求で22日、検察側と弁護側がそれぞれ推薦した鑑定人によるDNA型鑑定の結果が明らかになった。弁護団推薦の鑑定人による鑑定では、袴田死刑囚が犯行時に着ていたとされる「5点の衣類」に付いていた血痕と一致するDNA型は、被害者のものとみられる衣類からは検出できなかったとされた

 一方、検察側が推薦した鑑定人は「5点の衣類」の一つと、被害者のものとみられる衣類の一部から検出されたDNA型は「同一人に由来した可能性を排除できない」との結論を示しており、見解が分かれた。ただ、二つの鑑定とも被害者のものとみられる衣類から検出されたDNA型には血縁関係が認められるとした。

 鑑定結果は、静岡地裁(原田保孝裁判長)が同日、弁護団と静岡地検の双方に通知し、これを受けて弁護団が開示した。弁護団はこれまで「5点の衣類についた血痕は被害者のものではないから、袴田死刑囚がこの服を着て犯行に及んだと認定した確定判決は誤りだ」と主張。弁護側鑑定の結果はこの主張を補強する証拠になる可能性があるが、鑑定結果が異なることから、地裁は今後、鑑定方法などについて慎重に検証することになる。
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●〝犬〟になれなかった裁判官

2011年01月19日 04時58分55秒 | Weblog

魚住昭さんの『魚の目』に「安倍晴彦元裁判官独占インタビュー」(http://uonome.jp/movie01)が載っていました。

 5つのYouTube映像。
(1)差別を生み出す構造・・・「安倍元裁判官が受けた勤務地差別の実態」、
(2)検察官との癒着・馴れ合い・・・「検察官による法廷外弁論の実態」、
(3)給与体系による選別・ヒエラルキー・・・「裁判官の給与における3号俸問題」、
(4)最高裁による監視体制・・・「裁判官第三カードから見える人事統制」、
(5)検察官の怒鳴り込みによる良心的裁判官のつぶし方・・・「勾留請求を却下した安倍元裁判官」。

 勾留請求を却下する確率のはコンマ以下。安倍元裁判官や熊本典道さんは〝犬〟になれなかった裁判官ですので、松下竜一さんのガサ入れに見られるような捜査令状乱発を止められない裁判官のような〝犬〟ばかりなのでしょうか? 司法改革の名の下に、裁判員制度のように確実に司法制度が腐っていっています。これも、マスコミの創りだした〝民意〟の反映なのでしょう。宇都宮健児さんや安田好弘さんら良心的弁護士が少々頑張っても、どうしようもないのでしょうね。
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●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない

2010年12月11日 00時18分25秒 | Weblog

asahi.comからの記事をコピペ。

 『死刑のスイッチ』を押さなかったという安堵の半面、「遺族の方には申し訳ない」といった贖罪的な意識を持ってしまう、その裏返しとして、「証拠が不十分だった」といった被告人への猜疑的な心理の醸成・・・やはり裁判員制度には問題が多すぎるでしょう。〝素人〟裁判員にはあまりに過酷過ぎます。何度もいいますが、訓練を積んだ〝プロ〟としての職業裁判官がやるべきことです。たとえ〝プロ〟であっても、『死刑のスイッチ』を押すことに戸惑いのない〝プロ〟の職業裁判官はいないはずで、私は死刑存置には反対です。〝素人〟裁判員などまっぴら御免で、裁判員制度など即刻廃止すべきだと主張します。〝プロ〟としての職業裁判官だった熊本典道さんの苦しみを我々も理解すべきだと思います。熊本さんには、「死刑判決に4回関わり、そのすべての死刑囚と東京拘置所で面会したエピソード」があるそうですが、冤罪死刑囚の袴田巌さんと比較することは不適切でしょうが、袴田事件の死刑判決であれほど苦しんだのです。
 公判前整理手続き取調べの不透明さ、証拠開示上の不利など、公平で正確な裁判を受ける被告の権利を考えても問題が多すぎる制度です。
 今回無罪判決が出たことは、裁判員制度の導入に何らかの「意義があったと誤解されかねません。上記の通りで、何の意義もないです。さらに、本来、これまでの〝プロ〟としての職業裁判官がこういった裁判において公正な裁判をせずに、「無罪判決」を出してこなかったことに問題点があったわけで、ようは怠慢だったわけです。刑事裁判の原則を無視し、今回もその疑いがあるのですが証拠の捏造を見抜けず、あるいは、意識的に見逃すなどの怠慢があったわけです。熊本典道さんは「検察から届く拘留請求の、なんと3割を却下した」そうですが、そのような裁判官は極々稀な例です(「裁判長ってどんな人?」)。免田事件財田川事件狭山事件片岡晴彦さん高知白バイ事件布川事件氷見事件袴田事件名張毒ぶどう酒事件足利事件三井環さんの事件、毒カレー事件など職業裁判官の怠慢の例は数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にしてしまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です。今回の無罪判決、「裁判員制度の導入に意義」があったわけではないです。誤解されては困ります。

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http://www.asahi.com/national/update/1210/TKY201012100271.html

裁判員「中立の立場からこうなった」 鹿児島・無罪判決
                               
2010年12月10日13時35分

  「遺族の方には申し訳ないと思うが、証拠が不十分だったことが一番の原因」「中立の立場から、こうなった」
 鹿児島市の老夫婦殺害事件の評決に参加した6人の裁判員全員と補充裁判員2人の計8人は判決言い渡し後、記者会見に臨んだ。40日間の長期の裁判を振り返り、無罪判決に至るまでの思いを語った。
 一礼して着席した8人の表情はみな硬く、マイクを通しても、声が聞き取りにくい。
 冒頭、死刑の求刑で無罪が言い渡されたことをどう受け止めるかを尋ねられると、「判決通り。それだけだ」「同じく」「判決文の中に全部出ていると思います」。8人は言葉少なだった。
 法廷で行われた10日間の審理では、裁判員が被告人や証人に直接質問する場面がなかった。このことを問われると、裁判員の一人は「素人ですので。言葉がすごく大切。質問の仕方によっては検察に有利になったり、弁護側に有利になったりする。難しいので裁判官に任せた」。別の裁判員は「質問はけっこうあったが、内容の言葉は難しくて言い方一つで、どうとでもとれる。やっぱり慣れている方にお任せしようと判断した」と答えた。
 遺族の極刑への思いはどう受け止めたか――。その質問への裁判員の答えは様々だった。
 
 「遺族の方には申し訳ないと思いますが、証拠が不十分だったことが一番の原因」、「証拠に基づいて考えなければいけない。中立な立場で話をした」、「公正な立場で判断した。疑わしきは被告人の利益に、ということがありますので」。
 40日間の長期の裁判については、「家族にも迷惑をかけた。仕事上でも大変だった」との声があった一方で、「あっという間だった」「不安があったが、家族にも支えられた」などの感想も聞かれた。
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●『冤罪File(No.10)』読了

2010年11月20日 00時28分16秒 | Weblog

冤罪File』(冤罪ファイル)(No.10)、11月に読了。2010年6月号。

 「冤罪で苦しむ人たちを支えたい」(pp.2-5)。足利事件の菅家さん。三人の裁判官が謝罪。集う冤罪事件の関係者の皆さん。「布川事件」の桜井昌司・杉山卓男さん、「東電OL殺人事件」、「富山・氷見事件」の柳原浩さん、「仙台・北稜クリニック事件」の守大助さんのご家族、「狭山事件」の石川一雄さん、「免田事件」の免田栄さん、「袴田事件」の袴田巌さんの姉・秀子さん、「名張毒ぶどう酒事件」の奥西勝さんの支援者の皆さん。

 映画『BOX 袴田事件 命とは』の高橋伴明監督インタビュー(pp.8-19)。裁判員制度熊本典道さんの苦しみ。「マスコミが作り上げた冤罪事件も少なくないと思います」。

 裁判員制度は冤罪を見抜けるか? 「・・・絶対に無実の者を罰しないこと。刑事裁判の目的は「無罪の発見」にあるといわれる。/・・・さまざまな原則が定められている。裁判官の「予断排除の原則」、被疑者・被告人の「黙秘権」、有罪の立証があるまで無罪と推定される「無罪推定」、起訴された犯罪事実の存否が不明な場合の「疑わしきは罰せず」・・・」(p.31)。

 三宅勝久さん、「知的障害者は陥れられたのか?/「東金女児殺害事件」に浮かぶでっち上げ疑惑」(pp.33-45)。指紋の不一致や、濡れた手でレジ袋に指紋が残るのかなど、数々の疑問。また、取り調べメモの破棄などの「出したいものだけ出す」検察。

 柳原三佳氏、「「被害者」が「犯罪者」に!? 白バイ冤罪① 最新インタビュー」(pp.46-59)。でっち上げで禁錮1年4カ月の実刑判決を終えた片岡晴彦さん。最初から最後までずっと独居房というイジメ。

 池添徳明氏、「「横浜事件」刑事補償決定で実質無罪/「やっと勝ち取った」遺族の思い交錯」(pp.80-81)。

 三井環[元大阪高検公安部長]さん、「〝悪徳検事〟が検察の実態を完全告発!/情報リークと冤罪のメカニズム」(pp.88-100)。

 粟野仁雄氏、「一体、どういう捜査をしたらこんなことになるのか?/厚生省 村木元局長冤罪事件」(pp.101-109)。

 池添徳明氏、「中川博之裁判長ってどんな人?」(pp.112-119)。多くがヒラメ裁判長の中、「中川さんが無罪判決を書くと目立つというそのことが、実は問題なんです」。「大阪地裁の裁判長は全体的に常識的」。一方、「大阪高裁はひどい裁判官がほとんどで壊滅的」。また、大阪の「検察官の立証活動に最近は荒っぽさが目立つ」。
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●袴田事件: いい加減に誤まりを認めるべき

2010年11月18日 00時04分56秒 | Weblog

袴田事件について、東京新聞夕刊の記事です。

 このような捏造まがいの証拠をいまだに主張する静岡地検や静岡県警って一体どうなっているのでしょうか? もういいでしょう。一刻も早く釈放すべきです。熊本典道さんの苦悩の告白、懺悔にもなぜ耳を傾けないのでしょうか?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/
                         news/CK2010111302000189.html


袴田事件 『衣類写真、ねつ造の証拠』
                                        
20101113日 夕刊

 清水市(現静岡市清水区)で一九六六年、一家四人が殺害された「袴田事件」の第二次再審請求審で、袴田巌死刑囚(74)の弁護団が、証拠の評価見直しを求める補充書を静岡地裁に提出する方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。検察側が九月に初めて開示した袴田死刑囚のものとされる衣類のカラー写真に、不自然な血痕が写っているとして、証拠ねつ造を裏付ける「新証拠」に当たると主張するという。
 第二次再審請求審では、静岡地検が九月中旬、静岡県警の捜査報告書や関係者の供述調書のほか、犯行時に袴田死刑囚がはいていたとされるズボンやブリーフのカラー写真など、これまで未開示だった証拠を開示した。
 これらの衣類は事件発生から約一年二カ月後、被害者のみそ製造会社専務が営む工場のみそタンクから、従業員が偶然、発見したとされてきた。カラー写真には発見直後の衣類が写っている。
 弁護側関係者によると、みそタンクに長期間入っていたとされているのに、カラー写真の衣類には赤い血痕がはっきりと確認できるという。一方、弁護団と支援団体はさまざまな種類のみそを使って実証実験を続けているが、衣類に血液を付けてみそに漬け込むと、数日ほどでみその色と混じり合って不鮮明になるという。
 関係者は、写真と実験結果との比較から、「衣類は発見される直前に、みそタンクに入れられた可能性が高い。証拠がねつ造された疑いがより強くなった」と指摘している。

 <袴田事件> 1966年6月30日未明、清水市のみそ製造会社専務方から出火し、焼け跡から一家4人が遺体で発見された。静岡県警は強盗殺人の疑いで同社工場従業員、袴田巌死刑囚を逮捕。同死刑囚はいったん自白したが、公判で無罪を主張した。静岡地裁は68年、金目当ての犯行と判断し、死刑を言い渡した。80年に最高裁で死刑が確定した。
 同死刑囚は再審請求し、静岡地裁は94年に請求を棄却。東京高裁は2004年、最高裁は08年に抗告を退けた。姉の秀子さんが08年、静岡地裁に第2次再審請求を申し立てた。
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●『創(2010年7月号)』読了

2010年10月06日 05時02分52秒 | Weblog

『創』(2010年7月号)、7月に読了。

 「三井環[元大阪高検公安部長]の逆襲/2002年口封じ逮捕の日を「ザ・スクープSP」で再現!」(p.10)。
 「激しい抗議で一時は上映中止かと言われながらアカデミー賞映画「ザ・コーヴ」いよいよ公開!」(p.11)。

 綿井健陽「映画界の徹底研究/2つのドキュメンタリー映画が問いかけるもの」(pp.68-71)。「ベトナム戦争を描いた映画『ハーツ・アンド・マインド』やビルマのビデオジャーナリストが命がけで撮影した『ビルマVJ』が提起しているものとは・・・・・・」。
 若松孝二監督、「「キャタピラー」/正義の戦争はないということを伝えたい」(pp.84-87)。「・・・国家が映画のことに口出しするんじゃないと言いたい」。
 高橋伴明監督「「BOX袴田事件 命とは」/出発点は「人間は間違えるものだ」という確信だった」(pp.88-91)。熊本典道さん。
 袴田秀子さん「袴田巌死刑囚の姉が弟の無実と映画について語る」(pp.92-93)。

 佐高信さん「タレント文化人筆刀両断/覚悟のない芸人 島田紳助」(pp.98-99)。「・・・後藤組の組長だった後藤忠政が・・・。/「本来、慈善事業やボランティアなんてものは、人知れずやるもんじゃないのか。ああいうふうに自分の『善意を見せびらかすやつのことを、チンピラにもなれない小物、〝小チンピラ〟って言うんだよ」/・・・〝小チンピラ〟をのさばらせるのに手を貸した田原にこそ聞かせるべきかもしれない」。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/30年前の読書術」(pp.100-103)。「読書術」のトーク、斎藤貴男さんや森達也さん。

 森達也さん「極私的メディア論/第52回 広瀬健一からの問題集」(pp.108-111)。地下鉄サリン事件。「・・・彼を処刑することの意味は何だろうと。/『死刑』(朝日出版社)を上梓・・・」。「「A3」書籍化のための作業を続けている」。麻原氏について、「この秋には麻原処刑との噂がある。心神喪失の状態にあることを理由に、刑事訴訟法第479条「死刑執行の停止」を持ちだしてもむなしい。そんな正論が通るのなら、とっくに治療が施されているはずだ」。

 長岡義幸さん「いよいよ6月都議会が最大の山場に/マンガ性表現規制強化の都条例改定めぐる攻防」(pp.116-123)。「非実在青少年」なる陳腐な概念と、それを支持する元作家先生の都知事

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ放談/第13回 沖縄なん知らない!」(pp.130-137)。「明らかになった鳩山首相の沖縄に対する無理解」、「本土への複雑な思いの背景に「琉球処分」」、「本土とは異なる独自の文化の発信基地」、「対立構造を煽るマスメディアの無責任」。

 大川豊さん「月刊「壊(こわす)」/第85回 私を記者会見に連れてって」(pp.142-145)。オープン化された亀井郵政金融担当大臣の記者会見に出席。グラミン銀行。
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●『美談の男』読了

2010年09月28日 05時07分22秒 | Weblog

『美談の男/冤罪 袴田事件を裁いた元主任裁判官・熊本典道の秘密』、7月に読了。尾形誠規著。鉄人社。2010年6月刊、第1刷。

 本の帯、「私は無罪を確信しながら死刑判決を言い渡した―――。39年前の過ちを自ら告白した元エリート判事の転落と再生/酒……家族崩壊……自殺未遂……放浪……そして―――。逃れたくとも逃れられない袴田事件の呪縛」。
 「裁判員制度が始まろうとしているいま、いつ誰が熊本と同じ立場になってもおかしくない」(p.10)。「・・・最終的な合議の場で死刑に一票を投じる・・・。己が死刑判決を下した一員になること、その事実が生涯付きまとうだろうことに恐怖を覚えるに違いないのだ」(p.23)。

 「熊本は・・・。/・・・九州大学の法学部に進んだこと。在学中に司法試験を受けトップで合格したこと。・・・死刑判決に4回関わり、そのすべての死刑囚と東京拘置所で面会したエピソードだ」(p.23、89、92、125、138「正門」・「多々良川」、p.236「和白」)。

 罵声、棍棒での殴打、蹴ったり、殴ったりの取り調べ(p.60)。「冤罪王国、静岡」(p.61)の静岡県警の悪しき体質、4つの冤罪: 「幸浦[さちうら]事件」、「二股事件」、「小島[おじま]事件」、「島田事件」(pp.62-63)。免田財田川松山事件に続く、確定死刑囚再審で無罪になった初の事例が、島田事件。4事件全ての主任取調官は〝拷問王〟と評されることになる稀代の悪徳刑事。

 冤罪が判明(冤罪の疑いが濃厚)した三鷹事件、松川事件、八海[やかい]事件。下山事件、帝銀事件(p.90)。
 免田栄さんと足利事件菅家利和さん(p.219)。
 名張毒ぶどう酒事件(p.254)。

 「・・・熊本は・・・。検察から届く拘留請求の、なんと3割を却下したのだ。いま現在の却下率が1%にも満たないことを考えたら、驚異的な数字である。司法研修を終えたばかりのペーペーに、なぜそんな芸当ができたのか」(p.96)。
 「泣きながら書いた偽りの死刑判決文」(p.115)。「・・・熊本は断腸の思いで、死刑判決文を書き上げる。しかも、全くの〝作文〟である。自分がとんでもない過ちを犯していることに、震えながら怒りながら泣きながら、矛盾に満ち満ちた350枚を創作した。職を辞する決意は、既に固まっていた」。

 袴田巌さん。「産まれてまもない我が子と別れ、長年の拘留生活により精神にも異常をきたしている袴田死刑囚。なぜ、彼はこんな地獄を味わい続けなければならないのか。疑わしきは被告人の利益にの原則に従うなら、審理はやり直され、無罪確定の上、袴田は釈放されなければならない」(p.253)。
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●冤罪事件映画化: 袴田事件

2010年04月09日 07時54分49秒 | Weblog

袴田事件映画化の記事が出ていました。こちらもひどい冤罪事件です。「静岡地裁の熊本典道元判事」の件でもクローズアップされました。

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【http://www.zakzak.co.jp/entertainment/

      ent-news/news/20100405/
              enn1004051622018
-n1.htm】

【業界インサイド】映画化された袴田事件の意外な支援者  2010.04.05

 足利事件の「再審無罪」で改めて冤罪事件への関心が高まるなか、1966(昭和41)年6月30日未明に起きた静岡県清水市の一家4人殺害事件の「犯人無罪」を主張する映画が完成、5月下旬からユーロスペース(東京・渋谷)などで劇場公開される。
 犯人は元プロボクサーの袴田巌。静岡県警は、殺害された味噌製造会社専務一家に関わりがある従業員の袴田に、当初から目をつけて逮捕、拘留期限切れ寸前、自白に追い込んだ。公判で袴田は無罪を主張するものの地裁判決は死刑。以来、袴田は42年の長きにわたり死刑囚として獄につながれている。
 「BOX袴田事件 命とは」と、題されたこの映画の特異な点は、袴田を裁いた静岡地裁の熊本典道元判事が「無罪」を主張、映画製作に全面協力していることだ。
 「禅ZEN」の高橋伴明監督(60)がメガホンを取り、熊本役は中堅俳優として存在感を増す萩原聖人(38)、袴田役は若手注目株の新井浩文(31)。訴えているのは冤罪だが、物語は熊本の苦悩を描く形で進行する。

 「俺は殺人犯と一緒っちゃ…俺を死刑にしてくれんね」

 映画のなかで熊本はこう慟哭、実際、無罪を確信しつつも合議のなかで1対2で死刑判決が決まり、判決文は熊本が書かねばならなかった。良心の呵責から判決の7カ月後に辞職、精神に変調をきたして妻子とは離別、自殺未遂まで引き起こした。

 「袴田事件は無罪です」

 2007年2月の報道番組で熊本はこう語り、「40年目の裁判官の告白」は衝撃を与えた。
 この元裁判官の告白を、重く受け止め、広く世に知らしめるべきだと考えたのが、企画し、3億円といわれる製作費を出資した忠叡(ちゅうえい)こと後藤忠政元組長だ。武闘派で知られる山口組系の指定暴力団を率いてきたが、堅気となって、昨年4月8日、神奈川県伊勢原市の浄発願寺で得度(出家)、忠叡は法名である。
 大物右翼の故・野村秋介氏との交遊が示すように、もともと政治社会などへの関心が高かったが、除籍を機に社会貢献活動に力を入れるようになり、映画の企画制作はその一環で、取り調べを録画録音する可視化も、冤罪防止のために訴えている。また、後藤組の本拠が静岡県富士宮市であったことも、背中を押した。
 再審請求は認められず、熊本の告白、「袴田巌さんを救う会」などの支援活動も実ってはいないが、死刑囚の身で42年を過ごさせるという過酷な現実が、袴田を拘禁症にし、現在、精神に変調をきたしているという。
 元判事と元暴力団組長--立場も生きてきた背景も違うものの、冤罪への強い怒りで結ばれた。映画は完成、テーマは重いが、正義や権力の“正体”を問い、「命とは何か」を深く考えさせられる内容となっている。
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●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』

2009年07月16日 07時59分25秒 | Weblog

冤罪File』(No.06、2009年6月号)、6月に読了。

 巻頭インタビューは森達也さん、「死刑に本音で向き合うことを余儀なくさせた、冤罪死刑囚との「出逢い」」。(p.2-9)。4大死刑冤罪、免田栄さんの熊本での事件、財田川事件・松山事件・島田事件。「・・・存置派も廃止派も、「償い」という言葉をあまりにも安易に考えすぎている。/・・・社会全体がまるで被害者になり代わったような気分になって、加害者を死刑にしろ、と叫ぶ・・・/・・・他人がそんな簡単に共有できる訳がないんです。・・・被害者に対して不遜だし、失礼です」。裁判員制度について、「害悪をまきちらす以外にまったく意味がない制度になりかねないと思います。/・・・改革すべきことは他にいくらでもある。・・・/このまま見切り発車となれば、整備不良の車で高速に入るに等しいことです。/・・・冤罪を防止するための方策には全くなりえていません」。まったく同感。「・・・まず代用監獄から手をつけなければならないと思いますが、それは全く手付かずです」。「・・・公判前整理手続きが密室でおこなわれ、公判が始まれば弁護側の新たな証拠提出も認められない。一方で証拠を握っている検察は、その全面開示の義務はない」。裁判員制度下で死刑判決を出すということは、どういうことなのか? さらにそれにのしかかる守秘義務。冤罪事件であることが間違いのない袴田事件の一審裁判官だった熊本典道さんが、無罪心証を持ちながら死刑判決を出し、何十年も苦しんできたことに関連して、「彼は職業裁判官だったのに・・・苦しんできた。裁判員制度では、それを普通の市民が抱えることになるかもしれない。しかもそのつらさを妻にも夫にも言えないのです」。最後に、メディアも含めた組織的な構造の問題であることが強調。「・・・組織が病理をかかえていることを認識しないと冤罪がなくなる筈はないのです。/・・・悪い警察官や検察官がいるから冤罪がおきるのではない。組織がそういう構造になっているからです。・・・/さらに今のこの国は、メディアを媒介にしながら犯罪者への憎悪が深まることで、冤罪の構造が変わってきています。その典型が和歌山カレー事件の林眞須美さんです。自供もなければ物証も何もない。かつてならこれで死刑はありえなかったと思います」。

 片岡健氏「最高裁は果たして公正な判断を下せたのか!? 不明な動機、作られた目撃証言、疑惑の証拠「ヒ素」/あなたが裁判員だったら死刑判決を下せますか!? 「和歌山毒カレー事件」全真相」(pp.18-31)。

 江川昭子さん「名張ブドウ酒事件/死刑確定から37年・・・裁判所は誤りを正し、ただちに再審開始を決定せよ」(pp.18-31)。「こういう態度からは、裁判官たちの関心は、一人の無辜を救うより、過去に出された判決を維持する方にあると思わざるをえない。/最高裁も、・・・決定を支持。・・・断言した。/・・・裁判官の「常識」は、実にしばしば一般人のそれと異なる」。

 「1954年に山口県で起きた一家6人殺しの仁保事件と呼ばれる冤罪事件があります。岡部さんという当時37歳の男性が別件逮捕され、4カ月にわたる勾留の後に「自白」してしまいます。一審死刑でしたが、最高裁で差し戻しとなり、後に無罪が確定しています。/この事件は、取り調べの録音テープが残っているという点で、人がなぜ嘘の自白をするのか研究する上で貴重な資料です」(p.58)。松下センセの係わった事件。

 里見繁氏、「現役テレビプロデューサーの「取材現場発!」 冤罪・浜松幼児せっかん死事件/検察が隠し続けた自白テープ」(pp.62-81)。リード部、「冤罪に巻き込まれた一人の人間の人生を20年近くに亘って奪い続ける日本の司法制度は機能不全に陥っている。土台から腐っている」。交際中の男性を誤認逮捕。母親の折檻死事件と知りつつ、検察が隠蔽。母親の自白テープが法廷に提出されたにもかかわらず、裁判官は無視し、その後も詭弁を連発。その母親と、捜査に係る刑事との不可解な交際や、免停のもみ消し工作など無茶苦茶の連続。「「疑わしきは被告人の利益に」という刑事司法の建前は今や「風前の灯」だが、最近の科学鑑定について裁判所は「わからない理論は検察の利益に」という姿勢を貫いている。DNA鑑定などに対する裁判所の対応を見ていると、そう考えざるを得ない」。菅家利和さんの足利事件冤罪を見ても明らか。

 柳原三佳さん、「「高知白バイ死亡事件」最新速報/「本件事故は、高知県警の暴挙による重大な謀略事件である」(訴状より抜粋)/獄中で冤罪を訴える元運転手・片岡氏が、ついに県警を提訴!」(pp.92-93)。片岡さんの支援者は、「片岡さんに罪をなすりつけたことはもちろんですが、大人として、子を持つ親として許せないのは、一連の行為が22名の中学生の前で行われたということです。生徒達に警察や司法への不信感を植えつけた責任は問わなくてはなりません。大人として、同じ親として恥ずかしくはないのか!? と彼らに問いかけたいのです」。
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●『月刊誌3冊』読了(2/4)

2009年04月14日 07時20分51秒 | Weblog
【『紙の爆弾』・『冤罪ファイル No.04・『創』
 『冤罪ファイル No.04(200812月号)
 巻頭インタビューは、やく・みつるさん (pp.4-11)
 富山 (氷見) 冤罪国賠 (柳原浩さん) を支える会が発足 (p.2)。刑務所で服役し、出所後に真犯人が逮捕されて無実が明らかになったひどい冤罪事件。
 里見繁さん「現役テレビプロデューサーの「取材現場発!」/死刑囚の手紙――冤罪・袴田事件(pp.36-53)。「07年の3月に、元裁判官の熊本典道氏が」無罪の心証を告白。
 「高知 白バイ事件/最高裁「上告棄却」で実刑確定/冤罪を訴えるスクールバス運転手に、収監直前インタビュー」(pp.60-62)片岡晴彦さんがとうとう収監されてしまった。
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