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●《炎上を恐れずに、地雷を踏みに行く――。…小田嶋隆さんの鋭い批評》《安倍政権は「ヤンキー的」…『一つになろう』って空気が大嫌い》

2022年07月03日 00時00分27秒 | Weblog

(20220626[])
毎日新聞の訃報記事【コラムニスト・小田嶋隆さん死去 65歳 政治や社会を鋭く批評】(https://mainichi.jp/articles/20220624/k00/00m/040/074000c)によると、《政治や社会を反権力の立場から鋭く批評したコラムニストの小田嶋隆(おだじま・たかし)さんが24日、病気のため死去した。65歳。葬儀は近親者のみで営む。東京都生まれ。早稲田大卒。食品メーカーを退社後、ラジオ局アシスタントディレクター、作詞家などを経験する。雑誌「噂の真相」(2004年休刊)でコラムを連載し幅広い支持を得た。最近ではツイッターでも積極的に発言。19年に脳梗塞(こうそく)を公表し、その後入退院を繰り返していた。今月、自身初の小説集「東京四次元紀行」を刊行したばかりだった。著書に「日本語を、取り戻す。」「小田嶋隆のコラムの切り口」「超・反知性主義入門」など多数。》

 とても、とても残念だ。ご冥福をお祈りいたします。


   『●『1984年のビーンボール ~オダジマタカシ スポーツコラム大鑑~』読了
   『●『テレビ霊能者を斬る ~メディアとスピリッチュアルの蜜月~』読了(1/3)
   『●『テレビ霊能者を斬る ~メディアとスピリッチュアルの蜜月~』読了(2/3)
   『●『テレビ霊能者を斬る ~メディアとスピリッチュアルの蜜月~』読了(3/3)
   『●『人はなぜ学歴にこだわるのか。』読了
    「小田嶋隆著。《…旧弊な身分制度社会の桎梏から近代の人間を
     解放する役割を果たしてきたはずの学歴システムが、いつの間にやら
     階級固定の道具になっている現実…》。《…子供の学力は、低年齢で
     あればあるほど、親の教育水準および経済状態をストレートに反映…》。
     《…学歴における機会均等なんてものは、もはや建前でさえない…》。
     斎藤貴男さんの『機会不平等(※1) と同じ指摘。」

   『●『テレビ救急箱』読了 (1/2)
   『●『テレビ救急箱』読了 (2/2)
   『●「生まれた環境に縛られる、子どもたちの夢」
               (『カナエール福岡応援ページ』)

     「番組を見て、そして、そのWPの一つのフレーズ
      「生まれた環境に縛られる、子どもたちの夢」を見て、
      小田嶋隆さんの本の言葉を思い出しました……
      「子供の学力は、低年齢であればあるほど、
      親の教育水準および経済状態をストレートに反映
      学歴における機会均等なんてものは、もはや建前でさえない…」
      http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/2a1cb2eb9e660199cf4fcdc12a4a8d1f

   『●小田嶋隆さんの『偉愚庵亭憮録』
   『●新手の愉快犯?…と言えば、言い過ぎか
   『●アベ様らが《霞が関官僚》を支配して堕落させ、《国会の質疑、
     ひいては、国権の最高機関たる国会の存在価値それ自体を貶め》た
    「日経ビジネスのコラム【小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」
     ~世間に転がる意味不明/「募集」と「募る」の違いはどうでもいい】」
    「#募ってはいるが募集はしてないの両者の違いよりも、小田嶋隆さん、
     《募集に応じて応募した人間はどこからどう見ても「選ばれた人」
     ではないからで、とすると、「安倍事務所の募集に応募して会に
     参加した後援会のメンバーは、言葉の正確な意味において絶対に
     「招待客」ではあり得ないからだ。当たり前の話だが、
     「招待客を募集するという言い方自体が、そもそも矛盾している》、
     そりゃぁ~そうだ。」

   『●『超・反知性主義入門』の小田嶋隆さんインタビュー、
            「そういう政権を選んだ国民にも危険な兆候」
    《反知性主義という言葉が流行している。立憲主義を否定し、
     学者の声も黙殺した安倍首相に対して向けられたもの……
     そこで話題なのが「超・反知性主義入門」(日経BP)の
     著者・小田嶋隆氏(58)だ。反知性主義なのは野蛮政権のトップ
     だけではないそういう政権を選んだ国民にも危険な兆候
     広がりつつあるという》
    「アベ様らだけが「反知性主義」者ではなく、《そういう政権を
     選んだ国民にも危険な兆候》を見てとる小田嶋隆さん。
     青木理さんや内田樹さんが仰っていることも、
     そういうことなのかもしれない」
    《ユネスコの記憶遺産に南京大虐殺が登録された時、菅官房長官は
     分担金を減らすことを示唆しました。驚天動地の発言で、昔だったら
     クビが飛んでいると思う。虐殺した数についての議論はあってしかるべき
     だが、虐殺の事実そのものを否定したり、分担金を減らしてユネスコに
     圧力をかけるのは別次元の話でしょう。しかし、菅官房長官がああ言うのは、
     国民の方に『ユネスコはケシカラン』という応援の声があるのを感じたから
     だと思う。ああいう発言ができちゃう空気が、すでに存在しているんですよ》

   『●「俺様王国」ニッポン、「俺様王国」大阪「ト」を
            造りたい強権的政治手法好きな二人
    「…う ん ざ り。「反知性主義者たちが「反日」といって
     思考停止してしまうように安倍晋三やその支持者たちを
     反知性主義者だと非難するだけでは思考停止してしまう
     ことは分かっているのだけれども…。
      青木理さんも仰ってます、
     「薄っぺらで反知性的なタカ派が増殖している
      高橋源一郎想田和弘小田嶋隆は、反知性主義に
     ついて語ることのむずかしさを指摘している」

   『●アベ様お得意の《政治の私物化》の極致…《「桜を見る会」…
            公的イベントを支援者接待と政治資金集めに利用》
    「アベ様の私的文化的?な《安倍総理のサクラになる会》(©小田嶋隆さん、
     https://twitter.com/tako_ashi/status/1178523901380317184)」
    「「桜を見る会」前夜祭という立派な政治資金パーティーについて、
     《政治資金規正法違反の疑い》だそうですよ。あぁ、でも
     《自民党の最近のルールは「返せば問題ない」と、なかったことに
     できるというもの》でしたねぇ。あれぇ~、もし「資料は破棄した
     といったことになると、「返し」ようもないですよね…」

   『●萩生田光一文科相《テロ予告や脅迫で「表現の不自由展」を
     中止させた勢力に加担する行為…表現の自由を圧殺する暴挙》
    「《萩生田氏自身のゆがんだ歴史観や嫌韓感情、憲法が保障する
     表現の自由への無理解…「表現の不自由展」を中止に追い込んだ
     勢力と同じ思想・感情》…《検閲国家》へと着々と。《文化庁の
     補助金7800万円全額》不交付の一方で、アベ様の私的文化的?な
     《安倍総理のサクラになる会》(©小田嶋隆さん、…)には
     《予算3倍…5700万円もの血税》が飲み代へとドブガネ。」

   『●アベ様案件…(武田砂鉄さん)《近場から放たれる「病人なんだから」
       という、勝手に設けられた除外規定を素直に受け止め過ぎでは》?
    「【安倍政権が残したもの/類を見ない「言葉」の空疎さと不誠実さ
     小田嶋隆さんが見た7年8カ月】…《コロナ対応などでは適切な判断を
     する自信がないのに、後継者選びに関しては判断ができる、というのは
     矛盾しています。つまり、次にどんな政権ができて、自分をどう断罪する
     のかを見極める余力を残しての辞任だったということです》」

   『●小田嶋隆さん《行政の担当者としてのあたりまえの習慣を、
     安倍晋三氏とその追随者たちは…この8年の間に完膚なきまでに破壊》
   『●武田砂鉄さん《小田嶋隆さん…予言めいたもの…〈日本学術会議から
     学術を追放すると日本会議になることからも、学術の必要性は明らか〉》


 毎日新聞の記事【「炎上恐れず、地雷を踏みに」 小田嶋隆さんの発言振り返る】(https://mainichi.jp/articles/20220624/k00/00m/040/161000c)によると、《社会や政治、そして世相を絶妙な文章技でバッサ、バッサと斬ってきた小田嶋さん。その数々の発言を毎日新聞に掲載された記事から振り返った》。

 今のこの悲惨な「政」小田嶋隆さんの素晴らしき結論…《結論を述べる。安倍政権は外交と経済をしくじり、政治的に失敗しただけではない。より重要なのは、彼らがこの国の文化と社会を破壊したことだ。私はそう思っている。一刻も早くこの国から消えてもらいたいと思っている》。
 最後の言葉《上から目線で他人の命の価値を測るな》という言葉も重く、勁い。

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https://mainichi.jp/articles/20220624/k00/00m/040/161000c

「炎上恐れず、地雷を踏みに」 小田嶋隆さんの発言振り返る
毎日新聞 2022/6/24 17:25(最終更新 6/24 22:02)

     (インタビューに答えるコラムニストの小田嶋隆さん=
      東京都千代田区で2015年11月30日、小出洋平撮影)

 炎上を恐れずに、地雷を踏みに行く――。6月24日に65歳で亡くなったコラムニストの小田嶋隆さんの鋭い批評を、毎日新聞の見出し(2015年10月20日東京本社夕刊)はこう表現した。社会や政治、そして世相を絶妙な文章技でバッサ、バッサと斬ってきた小田嶋さん。その数々の発言を毎日新聞に掲載された記事から振り返った。【デジタル報道センター】


安倍政権は「ヤンキー的」

 17年7月、東京都議選の街頭演説で「辞めろ」コールを浴びた自民党の安倍晋三首相(当時)は「こんな人たちに皆さん、私たちは負けるわけにはいかない」と言い放った。この発言を、小田嶋さんは「国会で民進党(当時)や共産党を相手に言うのとは意味が違います。自分に賛成しない人間を『国民とは別のカテゴリー』に分けたようなものですから」と強く批判。そんな安倍政権の姿勢を「ヤンキー的」と表現した。

     (都議選で自民党候補者への支持を訴える安倍首相
      =東京都千代田区のJR秋葉原駅前で2017年7月1日
      午後5時3分、藤井達也撮影拡大)

 そのうえで「最近の若い人たちは『雰囲気を壊さず、仲間を大切にしよう』という考えを重んじる傾向が強い。仲間内では意見を主張せずに、我慢して秩序を保とうという気分と『ヤンキー志向』は無縁ではないと思っています」と指摘してみせた。

 その安倍首相が20年8月に辞任を表明すると、「病気の再発を辞任の理由として挙げているが、『今、逃げるしかなかった』というのが実情ではないか」とバッサリ。

 「アベノミクスでは株価をつり上げることで好景気を演出してきたが、新型コロナウイルスの影響で不況が本格化すれば、フェイクだったことが国民にばれてしまう。東京オリンピックの開催も見通せない。『森友問題』もくすぶったままで、河井克行前法相(当時)らの選挙違反事件買収の原資を巡って自身に飛び火する恐れもあった。政権が火だるまになることが分かっていたのではないか」


菅氏は「一貫した『麦踏み』の発想」

 安倍氏の後任として首相になった菅義偉氏についても手厳しかった。21年9月に菅氏が退陣の意向を表明すると、在任時の所信表明演説などで目指す社会像として「自助・共助・公助」と強調したことについて、自らの病気の体験も踏まえてこう語った。

 「何か困ったときや、苦しいときに公である国が手を差し伸べてくれることが、国が国としてあり、私たちがその国の住人であることの意味じゃないですか。そこを、まず自助、つまり転んだら自分で起きろよと言うんだったら、その国の住人である必要はありません

     (自民党総裁選不出馬について表明する菅義偉首相
      =首相官邸で2021年9月3日、竹内幹撮影拡大)

 「菅さんに一貫していたのは、弱い立場の人への感受性の乏しい『麦踏み』の発想ではないでしょうか。弱い麦は踏んでいるうちに死ぬけれど、強い麦は生き残る。だから麦畑全体の麦の強度はやがて上がるんだと。だけど、それを人間社会に応用したらダメなわけで、だから国民皆保険制度があって、年寄りだって病人だって生きている限りは面倒を見ますよ、という建前で今まで動いてきたわけです。人が生きるってそういうことじゃないですか。でも菅さんは、そういうところに対する感受性が非常に乏しい人なのかなと思ってしまいます」


「『一つになろう』って空気が大嫌い」

 批判を恐れずに、鋭い批評を繰り返した小田嶋さん。「一つになろうって空気が大嫌いなんです」。安倍政権が掲げた「1億総活躍」という言葉も「まるっきり戦前的なキャッチフレーズ」と批判し、こう案じた。「今の日本には個人主義に対する嫌悪感のようなものが徐々に広まっている。元来、周囲の空気から浮き上がることを嫌い、周囲と同じように振る舞うことを内面化している国民です。多様性より秩序の方が心地よいという人が増えているのではないか」

 「音楽に政治を持ち込むな」。16年にこんな批判がネット上でわき起こり、大きな論争になった時にはこう言った。「音楽は純粋なもので、政治はあしきもの、忌まわしいもの、場違いな場所で持ち出してはいけないもの、という空気が背景にあるのではないか。皆が楽しんでいるところで政治的な主張をすると、葬式にアロハシャツで来たヤツみたいな扱いを受けてしまう」

 そして続けた。「自由や平和や憲法や人権など党派色とは無縁と思われていたものが段々と『政治的』『偏っている』と受け止められる時代になっている」「怒りや異議申し立ての歌より『人生賛歌』が好まれる。人とのあつれきを極度に避けようとし、論争や異議申し立て自体が嫌われる風潮も強まっている。しかし過度に『中立性』を求め、論争的な話題を避けることは結局、表現の豊かさや意見の多様性を狭めてしまう


「上から目線で他人の命の価値を測るな」

     (小田嶋隆さん=東京都千代田区で2020年10月6日、
      武市公孝撮影拡大)

 16年のリオデジャネイロ五輪。日本選手団主将でレスリング女子53キロ級の吉田沙保里選手が決勝で惜敗し、「主将として金メダルを取らないといけないところだったのに、ごめんなさい」と泣いて謝罪したことについては、こう指摘した。

 「実績があって、ある程度年齢が高く責任感のありそうな人が主将になるが、本人に要らぬ重圧を与えている印象を受ける。アテネ五輪で主将を務めた井上康生さんも負けるはずのないところで負け、すごく責任を感じていた。4年後の東京五輪では、主将はまったく要らないと思う」

 「安楽死」を希望する難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に頼まれ、薬物を使って殺害したとして、医師2人が20年に嘱託殺人容疑で逮捕・起訴された事件についても発言。「最近は『生きているだけで価値がある』『弱者に寄り添おう』『人権を守ろう』などの正論が『偽善』とされ、反発を受ける場面が目立って増えている。ポリティカルコレクトネス(政治的公正さ)が広まり、差別的な発言をしにくくなった社会に、人々が閉塞(へいそく)感を覚え、反発しているのかもしれない」

 そのうえで語った。「そもそも、一度や二度、死を考えた経験のある人は少なくないだろう。それでも、自死をしなかった人には『あの時死ななくてよかった』と振り返る機会がありうる。自死を願う人に死を提供することは、その機会を永遠に奪う、取り返しのつかない行為なのだ」「健康な人の物差しで、病と闘う人生を測ってはならない。『寝たきりでかわいそう』『さぞやつらいだろう』と上から目線で勝手に推し量り、他人の命の価値や意味を勝手に判定するのはとても暴力的な行為だ
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コメント
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●立法府の自公お維議員による土地規制法案 ――― 《何のための国会か》《内閣委員のお一人お一人が問われている》(馬奈木厳太郎弁護士)

2021年07月01日 00時00分08秒 | Weblog

[↑ 辺野古破壊反対広告 (2021年06月06日、朝日新聞)]


(2021年06月20日[日])
野尻民夫氏による、リテラの記事【国会延長拒否しコロナ対策から逃げた菅政権が土地規制法案だけドサクサ強行採決へ! 沖縄の基地周辺から恵比寿・目黒まで監視対象】(https://lite-ra.com/2021/06/post-5920.html)。

 《さらに、法案を先取りするような事件も沖縄では起こった。米軍北部訓練場の返還跡地である「やんばるの森」に米軍の廃棄物が残っていることを指摘、その廃棄物を米軍基地ゲート前に並べるという抗議活動をおこなったチョウ類研究者の宮城秋乃さんに対し、沖縄県警が威力業務妨害の疑いで家宅捜索に入ったからだ。…だが、問題はメディアにもある。「土地規制法案」について、その危険性を力を入れて伝えてきたのは琉球新報と沖縄タイムスの沖縄2紙としんぶん赤旗くらい。とくに在京テレビ局は最近になるまでほとんど報じてこなかった。この体たらくだと、たとえ法案に反対する立憲民主党と日本共産党が徹底抵抗して深夜国会に持ち込まれても、法案の問題点が報じられることもなく、「また野党が税金の無駄遣いをしている」という批判にすり替えられていくのだろう絶望的と言うほかはない。(野尻民夫)》

 まごまごしてる間に、土地規制法成立。またしても、反対するタイミングを逸してしまった…。それにしても、アベ様の政以来、ロクなことをしない政府、自公お維。《これはようするに、ひとたび調査対象者となれば、名前や住所、国籍のみならず、交友関係から思想・信条にいたるまで丸裸にされ、市民が日常的に監視されるということだ。そして、この「土地規制法案」によって狙い撃ちされるとみられているのが、米軍新基地建設や原発などに反対する市民たちだ》…よくこんな法律を作れるよな、全く。《見せしめの過剰捜査…、人権侵害行為》が頻発すること、必至。
 立法府の自公お維議員による違憲な立法。明らかな憲法違反。《何のための国会か》《内閣委員のお一人お一人が問われている》(馬奈木厳太郎弁護士)。

 沖縄タイムスの【社説[土地規制法成立へ]人権侵害の懸念消えず】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/770796)によると、《私権制限の伴う罰則付きの法案にもかかわらず、政府・与党は会期内成立を優先し、数の力で採決を強行した。肝心の罰則の対象となる行為や対象区域は、依然としてはっきりしない。疑問や懸念は膨らむ一方である。自衛隊や米軍基地など安全保障上の「重要施設」周辺や国境に近い離島などの土地利用を規制する法案が、参院内閣委員会で可決された。「重要施設」の周囲1キロや国境近くの離島を「注視区域」に指定し、土地の利用状況を調査する。「重要施設」の「機能を阻害する行為」が判明すれば、中止勧告や命令を出せるだけでなく、従わなければ刑事罰が科される。自治体に対し、土地利用者に関する情報の提供を求めることもできる。不動産登記簿や住民基本台帳など行政機関が持つ情報を収集することが可能になるのである。極めて危険な要素を秘めた法律だと言わなければならない。表現の自由、市民活動の自由、プライバシー権、財産権などの人権を侵害する恐れがあることは明らかだ。最大の懸念材料は、法案に盛り込むべき重要な項目が盛り込まれず、肝心な部分が、政府の作成する基本方針や政令などに委ねられていることだ。国会は、人権侵害が懸念されるにもかかわらず、チェック機能を十分に果たすことができなかった条文の恣意的な解釈が行われるのを拭い去ることはできない》。

   『●《陸上自衛隊と米海兵隊が、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブに、
          陸自の離島防衛部隊「水陸機動団」を常駐させる…極秘合意》
    《同訓練場返還地の米軍廃棄物問題などを調査しているチョウ類研究者の
     宮城秋乃さんは「仮にヘリパッドとして使うのであれば、
     高江の負担はより重くなる」と訴えた》

   『●《官邸の意に沿わない記者を排除…
     明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭める…》
    「琉球新報の【<社説>基地にドローン規制 沖縄を狙った報道弾圧だ】…
     によると、《政府方針が盛り込まれれば、自衛隊基地や米軍基地への
     取材が大きく制限される。国民の知る権利を著しく侵害する方針に、
     新聞協会が反対を示したことは当然といえる》…そうです。
       どこまでも《卑(ミーン)》なアベ様ら」

 この辺り(ドローン規制)も伏線だったのかな…。
 琉球新報の記事【住民が基地の犠牲「戦前逆行の悪法」反戦地主・照屋さん 土地規制法成立】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1339020.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=carousel)によると、《「戦争につながるものに加担してはいけない幸せのために使いたい」―。反戦地主会会長の照屋秀伝さん(83)=沖縄市=は、祖父がハワイでの出稼ぎを経て手に入れ、その後父から譲り受けた土地がある。1972年、その土地の軍用地としての賃貸契約をきっぱり断った。「基地は住民を守るためにあるのか、いや違う。基地の安全を守るために住民が犠牲になって…》。

 野党サイドのもう一人の参考人半田滋さん。
 デモクラシータイムスの映像資料【狙いは住民監視か 強行採決!?土地取引規制法案【半田滋の眼 NO.35 】20210615】(https://www.youtube.com/watch?v=O9FV3Aa-kF4)によると、《にわかに注目を浴びる安保目的の土地取引規制法案。今日、6月15日には参議院でも採決が強行されようとしています。14日に国会で参考人として意見を述べた防衛ジャーナリスト半田滋さんに、安全保障政策を深堀してきた記者の目から問題点を指摘していただきます。対象も調査の対象も、手法も「内閣総理大臣」に丸投げされている条文からは、日本全体がもれなく対象地域になり、誰でも情報収集の対象にすることが可能なことがわかります。こんな法律をコロナ禍の混乱の中で強行採決しようとする政治って何なんでしょう。収録は2021年6月15日》。


【デモクラシータイムス 狙いは住民監視か 強行採決!?土地取引規制法案【半田滋の眼 NO.35 】20210615】
https://www.youtube.com/watch?v=O9FV3Aa-kF4

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https://lite-ra.com/2021/06/post-5920.html

国会延長拒否しコロナ対策から逃げた菅政権が土地規制法案だけドサクサ強行採決へ! 沖縄の基地周辺から恵比寿・目黒まで監視対象
2021.06.15 08:26

     (首相官邸HPより)

 野党から要求された会期延長を拒否した与党が、明日の閉会を前に暴挙に出た。問題だらけと指摘されている「土地規制法案」を本日、強行採決しようとしているからだ。

 「土地規制法案」は自衛隊や米軍基地、原発など政府が安全保障上、重要だと判断した「重要施設」周囲約1キロや国境離島を「注視区域」に指定し、土地や建物の借り主らの利用状況について調査できる、というもの。さらに、施設の機能を妨げる行為に対しては、中止勧告・命令が可能で、罰則も科せる

 政府は同法案の必要性について、外国資本による不透明な土地買収によって基地周辺などの「機能を阻害する恐れ」があるためなどとしてきたが、この間の国会審議では、立法事実がないことが明らかに。小此木八郎・領土問題担当相は、外国資本による土地取得の取具体例として、航空自衛隊千歳基地(北海道千歳市)や海上自衛隊対馬防備隊(長崎県対馬市)の周辺の土地を例に、地元の自治体から土地の管理を求める意見書が提出されているなどと説明していたが、実際には千歳市の土地購入事例は1キロ圏外で同法案の規制対象外であり、さらには千歳市と対馬市からは意見書は出されていなかった。その上、土地取得によって自衛隊の運用に支障があったという事例も確認されていなかったのだ。また本日の朝日新聞によると、防衛省が自衛隊と米軍の関連施設の隣接地を8年かけて調べた結果、名前や住所から外国資本の所有と類推される土地は全国約6万筆のうち7筆のみだったという。

 与党議員やネトウヨは「外国勢力の土地買収によって日本の安全保障が脅かされている!」などと叫ぶが、その事実を肝心の政府が掴んでいないだけではなく、千歳市の事例からもわかるように、「土地規制法案」は外国資本の土地買収を防ぐ内容にはまったくなっていない。むしろ、「土地規制法案」の目的は、住民の監視や不当な調査にあることは明白だ

 実際、この法案が施行されれば、自衛隊基地などの「重要施設」が「注視区域」に指定されれば、その1キロ圏内に住む住民は誰もが調査対象になりうる危険極まりないものだが、政府が「注視区域」などに挙げる候補地は防衛関連施設だけでも全国で約500カ所以上、海上保安庁の関連施設でも174カ所にものぼる。

 だが、「土地規制法案」がもっとも危険なのは、この「重要施設」にどんな施設が含まれるのかを「政令で定めるもの」としており国会の承認が必要なく、時の政権が恣意的に運用することが可能になっていること。さらに、調査対象者になる者は「利用者その他の関係者」となっているため広範囲におよぶことが指摘されている。


■沖縄では法案先取りの事件 米軍が「やんばるの森」に捨てた廃棄物を基地前に並べた研究者を強制捜査

 それだけではない。どんな調査や情報収集がおこなわれるのかも条文上には限定がまったくないばかりか、調査対象者となって収集された情報を内閣情報調査室や公安調査庁などと共有する可能性について国会で問われた際、小此木領土問題担当相はそれを否定しなかった。これはようするに、ひとたび調査対象者となれば、名前や住所、国籍のみならず、交友関係から思想・信条にいたるまで丸裸にされ、市民が日常的に監視されるということだ。

 そして、この「土地規制法案」によって狙い撃ちされるとみられているのが、米軍新基地建設や原発などに反対する市民たちだ。

 そのことを証明したのは、自民党の杉田水脈衆院議員の国会質疑だ。5月21日の衆院内閣委員会で質疑に立った杉田議員は、沖縄の米軍新基地建設に反対する市民を槍玉に挙げ、「(基地反対に)派遣された人たちに支給されているお弁当のごみなどが風に飛ばされるなどして基地のなかに入ることも十分に考えられる」などと発言。新基地建設に反対する市民にこの法案を適用することを求めたのだ。

 さらに、法案を先取りするような事件も沖縄では起こった。米軍北部訓練場の返還跡地である「やんばるの森」に米軍の廃棄物が残っていることを指摘、その廃棄物を米軍基地ゲート前に並べるという抗議活動をおこなったチョウ類研究者の宮城秋乃さんに対し、沖縄県警が威力業務妨害の疑いで家宅捜索に入ったからだ。

 「やんばるの森」といえば世界自然遺産登録が予定されている土地だというのに、なんと放射性物質を含んだ金属部品さえ放置されたままになっている。宮城さんがおこなった抗議活動は、米軍がその森に廃棄したままの物をわざわざ返しに行ってあげたようなもので、原状回復しようとしない米軍および防衛省はむしろ感謝すべきだというのに、まさか家宅捜索に入るとは。これはあきらかに、見せしめの過剰捜査であり、人権侵害行為だ

 そのうえ、沖縄県警は今回、宮城さんが廃棄物を基地ゲート前においた行為を「機能を阻害する」と認定した。つまり、これは基地周辺の「機能阻害行為」を禁じる「土地規制法案」の先取りであり、法案が施行されれば同じように、いかに恣意的に運用されるかがはっきりしたとも言えるだろう。


■土地規制法が成立すると、恵比寿や中目黒など人気の街の住民や店舗も監視・調査対象に!

 言っておくが、これは決して他人事ではない。たとえば、陸上自衛隊目黒駐屯地は、目黒川に隣接して置かれているが、中目黒や、目黒駅や恵比寿駅までが1キロ圏内に入る。土地規制法が成立し、目黒駐屯地が「注視区域」に指定されれば、これらのエリアにある住宅の所有者、マンションの住民、駅周辺の店舗やビルの関係者もすべて監視対象になるのだ。

 そして、この法案があまりにも恣意的運用を可能にする曖昧な条文になっていることに対しては、与党推薦の有識者でさえ懸念を示す事態となっている。

 それは昨日14日におこなわれた参院内閣委員会での参考人質疑でのこと。与党が推薦した東京財団政策研究所研究員の吉原祥子氏は、「条文案を読むだけでは様々な憶測が広がる恐れがあることを痛感した。しっかりと議論をしていかなければ、国民の様々な解釈を呼んでしまう」と懸念を示したのだ。

 与党が推薦した参考人さえ懸念を示した、穴だらけの欠陥法案。前述したように立法事実もなく、本来であれば法案を取り下げるのが筋だ。ところが与党は、“身内”の参考人からも疑義が呈されるという異例な事態に対し、参考人の意見をもとに法案を見直そうとするでもなく、むしろ昨日の参院内閣委員会でそのまま採決を強行しようと画策。野党が自民党の森屋宏内閣委員長の解任決議案を参院に提出してこれを阻止したが、本日夕方、この解任決議案も否決された。与党側は本日中の可決・成立を狙っているという。

 時の権力が市民の監視、弾圧をおこなうことを可能にする、“治安維持法の復活”と呼ぶべき内容の「土地規制法案」。そもそも菅政権は新型コロナ対策として十分な支援策も打ち出しておらず、いま国会を閉じようということ自体がありえないというのに、その国会閉会を前に、菅政権はまさしくいま、どさくさ紛れでこの危険法案を成立させようとしようとしているのである。

 だが、問題はメディアにもある。「土地規制法案」について、その危険性を力を入れて伝えてきたのは琉球新報と沖縄タイムスの沖縄2紙としんぶん赤旗くらい。とくに在京テレビ局は最近になるまでほとんど報じてこなかった。この体たらくだと、たとえ法案に反対する立憲民主党と日本共産党が徹底抵抗して深夜国会に持ち込まれても、法案の問題点が報じられることもなく、「また野党が税金の無駄遣いをしている」という批判にすり替えられていくのだろう絶望的と言うほかはない

野尻民夫
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 最後に、【取り返しのつかない土地規制法案――参院で参考人として意見を述べました/馬奈木厳太郎 弁護士】(https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021061500001.html)の一部抜粋。

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https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021061500001.html

取り返しのつかない土地規制法案――参院で参考人として意見を述べました
国会は何のためにあるのか。立法事実もなく国民に大打撃の法案は廃案しかない
馬奈木厳太郎
 弁護士
2021年06月15日
原発|土地規制法案|安全保障|強行採決|沖縄

■与党が衆院強行採決した法案。参院内閣委の参考人質疑に出席

 土地規制法案について、論座でこれまで2回にわたって論じてきました。

欠陥だらけの土地規制法案――政府の裁量濫用で市民活動制限の恐れ(4月26日)」
矛盾深まる土地規制法案――数百万人の私権制限の恐れ。入管法に続き廃案しかない(6月2日)」

 衆議院内閣委員会で与党が強行採決した5月28日頃から、メディアの報道が増え、法案の問題点も徐々に知られるようになってきました。

 そうした状況の変化も受けて、参議院では、6月14日に法案を審議している内閣委員会が参考人質疑を行い、吉原祥子氏(東京財団政策研究所研究員)、半田滋氏(防衛ジャーナリスト)とともに、私も参考人の一人として出席しました。そこで、本稿では、参考人として意見陳述した内容と質疑のやりとりをご紹介するとともに、質疑を終えて思うところを述べたいと思います。

 では、まずは参考人質疑の際に述べた内容をご紹介します。以下が全文となります。

………。

■内閣総理大臣の内閣総理大臣による内閣総理大臣のための法案 …
■「官製風評」で不動産に大打撃。政府は冗談のような答弁 …
■根拠欠落、現場感覚もない政府答弁 …
■なぜ原発が対象なのか。理由明かさぬ政府 …
■周辺住民は被害者、被害をもたらすのは施設。事故当事者の政府は考え改めよ …
■首相に限定のない権限、地方自治体は下請け機関扱い …
■強制収用のおそれ。大戦の反省による原則覆すな …
■だれも止められず、事後検証もできない …
■政府が国民を監視できる内容。立憲主義の原則と正反対 …
■沖縄を丸ごと監視下に置く発想 …
■沖縄の民意や自治を、またも踏みにじるのか …
何のための国会か。まだ間に合う。いったん取り下げを


■質疑で法案の理不尽さ次々に

 意見陳述のあと、各委員の方から、何点かにわたって質問をいただきました。主なやりとりとしては、立法事実(法整備を必要とする事情があるかないか)に関するもの、実行行為の以前から処罰対象とする考え方についてのもの、特定の外国勢力を脅威と扱うような考え方に関するもの、処罰の明確性が充分ではないことについてでした。私からは大要以下のように述べました。

     (拡大土地規制法案を巡り参考人質疑をした参議院内閣委員会。
      中央が筆者=2021年6月14日、筆者提供)


■立法事実がないのは明白。法整備のそもそも論が問われ続けたのは異例

 まず、立法事実についてです。

 「いったいいま私たちの社会がいかなる状態にあるから、こうした規制が正当化されるというのか、というのが私の第一印象です。政府は、外国資本による防衛施設周辺の土地購入が安全保障上のリスクだとして、この法案の提案理由を語っています。立法事実があるのかと、質疑でも多くの時間が費やされてきました。法整備を必要とする事情があるのかというそもそも論が、これだけ問われた法案も、あまり例がないと思います。
 すでに衆議院段階で、立法事実がないということは明らかになったと思われますが、念のため申し上げておくと、立法事実は、法案の内容がその法整備を必要とする事実に対応し、充足するものである必要があります。仮に、政府が述べるように、防衛施設の周辺土地が外国資本に購入された事実が何らかの安全保障上のリスクだとして、それに対応するためにここまでの規制を及ぼし、ここまでの権限を与えなければならないのでしょうか。
 リスクとされるものの程度に比して、規制内容が完全にバランスを崩していると考えます。それはすなわち、立法事実足りえないことを物語っています」と述べました。


■実行行為以前から処罰対象、際限なく拡大の恐れ。予測可能性の大原則に抵触

 次に、今回の法案では、実行行為の以前から処罰対象としていることをどう考えるかという点についてです。

 「おそれを理由に規制を始めると、どこまでもそのおそれは尽きることがありません。時間軸がどこまでも前倒しにされ、範囲が際限なく拡大される危険性があります。勧告や命令を出す根拠として、機能を阻害するとかその明らかなおそれという風に定めていますが、この機能という用語をキーワード・鍵概念としたことが、行為の特定を大変曖昧なものにしてしまっています。これまでの日本の法律で、罪となる事実を機能に着目するという曖昧な形で規定したものはないのではないかと思います。
 では、そうなのになぜ今回は機能としたのか。それは、行為に着目する形ではとらえきれない、行為とは評価できないものも含めて対象にしたかったからと考えざるをえません。共謀罪がその一つの先例ですが、実行行為の前の準備行為や計画であっても処罰対象としています。今回の場合、電波を飛ばす前の段階、偵察行為と評価できる以前の段階とか、そうした段階で何らかの規制をかけたい、そういう考えから、保護法益を機能という形に整理したのだと思います。
 しかしながら、こうした可視化しづらいものを保護法益とするやりかたは、罰則を予定する場合の大原則である予測可能性と抵触することになりかねません。今回の法案は、まさに抵触していると思います」と述べました。


■憲法と相容れないゼノフォビアやヘイトの発想

 3点目の、特定の外国勢力を脅威かのように扱うという発想についてです。「そもそもが、外国資本がどうのこうのという発想そのものが、実態としては行為に着目するのではなく属性に着目する発想です。しかも、国籍という大括りの属性に着目し、特定の国を潜在的な脅威であるかのように扱うものですが、この発想自体が、ゼノフォビア(外国人嫌悪)であり、ヘイトです。その前提には、日本の社会がホモソーシャルだという誤った認識があります。
 こうした考え方は、個人主義を基調とする日本国憲法とは相容れるものではありません。運用に支障がないとされているなか、抽象的なおそれで、それこそ具体的な支障の例の1つも挙げないで、これだけの権利制限や規制を行おうというのはありえないです。
 必要なのは立法ではなく、そうした認識を変えることです。多様な価値観が認められ、多文化社会となっているときに、ホモソーシャルでゼノフォビア的な発想は克服されなければなりません。今国会では、LGBT法も同じですが、議員の方々のそうした意識が、非常に浮き彫りになったのではないかと感じています」と述べました。

     (拡大土地規制法案を与党の強行採決により可決した
      衆議院内閣委員会=2021年5月28日)


■全てを閣議や政令に委ねる法案。できてしまうと止めるのが大変

 明確性が充分ではないという点については、「一つ条文をご紹介します。『何人といえども要塞司令官の許可を得るにあらざれば要塞地帯内水陸の形状を測量、撮影、模写、録取することを得ず』。これは要塞地帯法の条文です。戦前の法律ですが、何をしてはいけないのかが明確に書いてあります。
 いまは戦後です。全てを閣議決定、政令、府令に委ねる。それなら国会はいらないと思います。
 こうした法律は、いったんできてしまうと止めるのはなかなか大変です。いまならまだ間に合います。内閣委員のお一人お一人が問われている」と述べました。


■参考人全員が法案に懸念示す。廃案しかありえない

     (拡大参議院内閣委員会に出席した3人の参考人。
      左が筆者=2021年6月14日、筆者提供)

 参考人質疑を終え、職場である法律事務所に戻ると、委員会が散会ではなく休会となっており、14日中の委員会採決を与党が求めているというニュースが入ってきました。参考人質疑というのは、採決を行うための通過儀礼にすぎないのだとしたら、審議はいったい何のためにあるのかということになるのではないかと思います。

 その後の報道によりますと、与党が14日中の採決を提案しましたが、野党側は応じず、立憲民主党と共産党は委員会運営を問題視し、参議院内閣委員長の解任決議案を提出しました。これに対し、与党は15日の参議院本会議で解任案を否決して同日中に法案を委員会採決する方針と伝えられています。15日中の本会議可決、成立も視野に入れている模様です。

 今回の参考人質疑では、3人の参考人のいずれもが法案に懸念を示し、規制自体は必要だとの立場の委員も、法案によって新たな懸念を生み出すようなことがあってはならないと指摘していました。

 私は、廃案しかありえないと考えています。
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●『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著)読了…《あなたの政治的ポジションを見つけて…》

2018年08月19日 00時00分04秒 | Weblog

[筑摩書房WP(http://www.chikumashobo.co.jp/photo/book/large/9784480689665.jpg)↑]



『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著、ちくまプリマ―新書257)読了(2018年8月12日)。株式会社筑摩書房、2016年7月25日初版第二刷(2016年7月10日初版第一刷発行)。税別¥820。

 是非、本書の目次を見てみて下さい。以下のWPからのコピペには、章のタイトルしか出ていませんが、本体の目次の節の詳細を見てみると、読んでみたくなるはずです。

 第2章から第5章まで、二つの対立軸について分かりやすく説明されています。
 特に大事なのは、第4章《国家と個人》だと思います。全体主義個人主義。後者は利己主義とは別物。その次の章で説明される右翼と左翼にも関連。憲法の重要な一つである基本的人権を抑制しようとする自民党の壊憲草案…。世界の潮流で、個人主義を捨て、全体主義になびいている国は稀で、我がニッポンは…。

   『●「平成の治安維持法」で、室井佑月さんや
       斎藤貴男さん「なんて、最初から一般人扱いされないだろうしな」
    《斎藤 …しかも、共謀罪は安倍首相ととくに相性がいい。安倍首相の
     究極の願望は国民が一丸となり同じ方向を向くのは当然という
     全体主義だから、それを実現するには格好の道具になる》

   『●アベ様や自公お維も厭、小池氏やトファ・キトも嫌…
         民主主義・平和主義を愛する「こんな人」達が結集を!
   『●壊憲・専制政治・独裁反対、立憲政治を!  
       「頭の乏しい…こんな人たち」呼ばわりされた皆さん、結集を!
   『●高江破壊: 「沖縄・地域住民弾圧隊」による
      「市民に対する暴虐としか言いようのない異常な光景」
    《沖縄はとやかく言うな黙って犠牲となれ
     政府も、安倍首相や小池百合子氏といった
     極右議員も、ネット右翼も、結局は沖縄を戦中と変わらない「捨て石」だ
     と見ている。それは「国に、権力に楯突くな」という全体主義の空気と
     密接につながっている問題だ》

   『●ニッポンは民主主義国家? 《明白な事実や数字を権力者が
                   都合のいいように変え、信じ込ませようと》…

    《ジョージ・オーウェル 『1984年』だ。これは1949年に出版された
     近未来小説で、高度な全体主義が張り巡らされたディストピア
     (反ユートピア)がテーマとなっている》

   『●「安倍政権が旗をふる「極右プロパガンダ映画」が  
       世界中に発信されるという恥ずかしい事態が現実に」!?
    《■町山、想田が反論!“助成金もらったら国の批判するな”は全体主義
     ソ連と同じ …安倍政権が推し進める愛国心歴史修正主義植え付けの
     “明治”国策映画 その頭の悪さには呆れ返るしかないが、しかし、
     こうした発想をもっているのは彼らだけではない。安倍政権じたいがいま、
     映画のプロパガンダ化を推し進めようとしている

   『●本物を見分ける目
   『●『超・反知性主義入門』の小田嶋隆さんインタビュー、
            「そういう政権を選んだ国民にも危険な兆候」
   『●「あとの祭り」: 「巨泉氏の警告も虚しく、
     「アベノミクス」を釣り餌に圧倒的な議席数を獲得した」アベ様
    《特に日本国は危ない。民主主義、個人主義の発達した欧米では、
     戦争になっても生命の大事さは重視される。捕虜になって生きて帰る
     と英雄と言われる。日本では、捕虜になるくらいなら、自決しろと教わった。
     いったん戦争になったら、日本では一般の人は、人間として扱われなくなる
     それなのに安倍政権は、この国を戦争のできる国にしようとしている

   『●「ト」な自民党壊憲草案の「新たな三原則」…
      「国民主権の縮小」「戦争放棄の放棄」「基本的人権の制限」
    《基本的人権についても、日本の風土には合わないと説明した上で、
     「いきすぎた『個人主義』を見直します」と宣言している…都内で講演し
     「草案は個人主義目の敵にしている国家より個人を大切にしたら
     戦争はできないからだ」と訴えた》

 二つの各対立軸で、政治的「中立」などはあり得ないこと。もちろん、本書では、斎藤美奈子さんの立ち位置が示される。
 エピローグ《リアルな政治を学ぶには》から、重要な一節を(pp.205-206)。《だいたいみんな、このごろ、まちがえてんのよね。「偏らないことがいいことだ」「メディアは中立公正、不偏不党であるべきだ」「両論を併記しないのは不公平だ」。そういう寝言をいっているから、政治音痴になるのよ、みんな。》《あのね、政治を考えるのに「中立」はないの。メディアの役目は「中立公正、不偏不党な報道」ではなく「権力の監視」なんです。それ、常識。》《党派性をもたずに政治参加は無理である。》

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http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480689665/

学校が教えないほんとうの政治の話
斎藤美奈子


若者の投票率は低いのは「ひいき」がないからだ。「ひいきの政治チーム」を決めるにはまず「地元」を確かめよう。実践的政治入門。

シリーズ:ちくまプリマー新書
定価:本体820円+税
Cコード:0231
整理番号:257
刊行日: 2016/07/05
判型:新書判
ページ数:208
ISBN:978-4-480-68966-5
JANコード:9784480689665

この本の内容
選挙に行って誰に投票すればいいのか、わかりますか? 若者の投票率が低い理由、それは、「ひいきのチーム」がないからです。政治参加への第一歩は、どっちがホームで、どっちがアウェイか決めること。この本を読んで、あなたの政治的ポジションを見つけてください。

この本の目次
プロローグ 「選挙に行け」っていわないで!
第1章 二つの立場:体制派と反体制派
第2章 二つの階級:資本家と労働者
第3章 二つの思想:右翼と左翼
第4章 二つの主体:国家と個人
第5章 二つの陣営:保守とリベラル
エピローグ リアルな政治を学ぶには


著作者について
斎藤美奈子
サイトウ ミナコ
1956年新潟生まれ。文芸評論家。94年、『妊娠小説』(筑摩書房/ちくま文庫)でデビュー。文芸評論、社会評論、書評などを幅広く執筆。2002年、『文章読本さん江』(筑摩書房/ちくま文庫)で第1回小林秀雄賞受賞。他の著書に『読者は躍る』『モダンガール論』『文学的商品学』『誤読日記』『それってどうなの主義』(以上、文春文庫)、『紅一点論』『趣味は読書。』(ちくま文庫)、『物は言いよう』(平凡社)、『冠婚葬祭のひみつ』(岩波新書)、『たまには、時事ネタ』『ふたたび、時事ネタ』(中央公論新社)、『月夜にランタン』 (筑摩書房)など。
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●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない《病的な嘘つき》アベ様…全てのアベ様の「政」のデタラメさ

2017年09月28日 00時00分35秒 | Weblog

[※ 報道特集(2017年7月8日)



前編はコチラ:

   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
       《病的な嘘つき》アベ様…前川喜平氏の人間性と彼我の差


 リテラの対談記事の後編。【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第7回ゲスト 前川喜平(後編)/前川喜平・前文科次官が安倍政権の愛国教育、親学を痛烈批判! 室井佑月に立候補を薦められた前川氏の答えは…】(http://lite-ra.com/2017/09/post-3473.html)。

 《その官邸から受けた圧力が具体的に語られ、安倍政権の推し進める戦前回帰政策親学についても前川氏の鋭い批判的分析が飛び出した。さらに、前川氏が貧困問題に向き合うきっかけになった幼少期の体験や、今後、前川氏がどんな活動をしていくつもりなのか、という話題も》。


 前編を読んで、まず感じたことは、大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない病的な嘘つき》アベ様…事務次官としての自分の責任を明言する前川喜平氏の人間性と彼我の差、ということ。《室井  やっぱり人間の品格が違うんだな》、全く同感。
 その後編では、壊憲し、(非)特定秘密保護法戦争法平成の治安維持法、そして、「森友捜査ツブシ」のための我欲選挙…文部行政・教育破壊に係わる、ここで議論されている《戦前回帰政策親学》などなど、全てのアベ様の「政」のデタラメさであり、危険さ。反アベ様政治派・反自公政権派としては、なぜ自公お維トファが支持されるのか、理解に苦しむ。アベ様の関わる全ての事柄がオゾマシイのだけれど…。

   『●「裸の王様」アベ様大好きなニッポン臣民…
      「戦争やりましょうよ! 死の商人へ!」で内閣支持率アップ…
   『●やるべきは「解散・衆院選挙」ではなく、まずは、
         アベ様の大見得・啖呵「議員辞職」の有言実行だ

   『●「森友捜査ツブシ」: 大阪地検特捜部、いま直ぐに動け!  
                 マスコミも、いま「黙秘」してはいけない!!
   『●《推定ウン千万〜1億円弱も払って出した》「ト」な広告…
                出稿側も「ト」なら、掲載側も「報道」の放棄
   『●メディアの仕事を見失い、「自制心と自浄作用を
       失ったマスコミ権力」=「下足番」・読売、広報紙・産経
   『●本来国会を去るべき、「戦争ゲームに興じる子ども」
        「病的な嘘つき」がアジアやニッポン「国民の脅威」
   『●室井佑月さん、「民進党のせいで負けたってこと、
      民進党の人たちだけがわかってないのか?」

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http://lite-ra.com/2017/09/post-3473.html

室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第7回ゲスト 前川喜平(後編)
前川喜平・前文科次官が安倍政権の愛国教育、親学を痛烈批判! 室井佑月に立候補を薦められた前川氏の答えは…
2017.09.24

     (前川喜平氏と室井佑月)

 前川喜平・前文科事務次官をゲストに迎えた室井佑月の連載対談「アベを倒したい」。前編では、加計問題の経緯、安倍政権のお友だち優遇政治と官僚支配のやり口を改めて振り返った後、「加計問題以外に官邸から圧力を受けて教育行政が歪められたと感じたことがありますか」という室井の質問に、前川氏が「あります」と答えたところで終わった。
 後編では、その官邸から受けた圧力が具体的に語られ、安倍政権の推し進める戦前回帰政策親学についても前川氏の鋭い批判的分析が飛び出した。さらに、前川氏が貧困問題に向き合うきっかけになった幼少期の体験や、今後、前川氏がどんな活動をしていくつもりなのか、という話題も。「政治家かコメンテーターになって!」と迫る室井に、前川氏はどう答えたのか。
 安倍政権の問題点と、前川氏の誠実な人柄が伝わってくるこの対談、ぜひ最後まで読んでほしい。
(編集部)

********************

室井 加計学園問題以外にも、圧力を受けて行政が歪められたというのは、具体的にどういう件でのことだったんですか。
前川 いくつかあるんですが、ひとつは文化功労者や文化勲章受章者を選ぶ審議会の委員の人選です。委員を選任するには閣議の了解が必要なので、官邸に相談した。すると審議会の委員候補者を2人差し替えられて。その1人はあきらかな理由がありました。それが「安保法制に反対する学者の会議に入っているから外せ」というものでした。しかし、その人の専門知識が必要だから、委員にしようとしただけです。安保など何も関係ない話なのに、反対の人間は入れるな」なんて言われました

室井 政府の審議委員とか第三者委員とかは、思想チェックがあるとは思ってましたが、やっぱりね。政府や政策に批判的だと入れないんだ。怖い。思想や政策とは関係ない、文化系の専門家なんですよね。政治に関してモノが言えなくなるってことですから、本当に怖い。
前川 もうひとつは、2015年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」です。世界遺産への推薦案件は通常、文科省の外局である文化庁の文化審議会で審議するのですが、2013年は審議会で「長崎の教会群とキリスト教関連遺産を推薦」という結論となった。これを押しのけて軍艦島などの「明治産業革命遺産」が出てきたんです。しかし、安倍首相の地元・山口県の松下村塾は八幡製鉄所(福岡県)や軍艦島との関連性はないし、軍艦島は保全措置さえ取られていない。ところが、これを加藤康子さんという女性が中心になって、官邸と一体になって強力に進めたんです。

室井 加藤さんって、亡くなった加藤六月議員の娘で安倍さんの幼馴なじみなんでしょ。それで安倍ちゃんが「俺が(世界遺産登録を)やらせてあげる」と約束しちゃったという。


安倍政権の道徳教育は、戦前の国体思想、教育勅語につながるもの

前川
 そのようですね。内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の産業革命遺産を推薦する」と言ってきた。最後は官邸主導の政治決断となり、「長崎教会群」ではなく「明治産業革命遺産」が選ばれたんです。初めから結論は決まってたんですよね。そのときに官邸で中心になって進めた人物が、和泉さん(洋人・首相補佐官)。そして一緒になって進めた内閣官房参与が木曽(功)さん、文科省で私の先輩なんですけどね。これは官邸が強力に推し進め、あらゆる政治力・外交力を駆使して勝ち取った行政が歪められた、かなり怪しい案件です。

室井 それに抵抗した西村さん(幸夫・日本イコモス委員長)が辞めさせられたんでしょ。それも和泉首相補佐官が「外せ」と圧力をかけて。
前川 詳しいですね(笑)。和泉さんの横やりで、西村さんは文化審議会の委員から外されたんです。「産業革命遺産」を推進したのは、当時の内閣官房の地域活性化統合事務局で、その局長が和泉さんです。世界遺産は、ユネスコの諮問機関であるイコモスが審査するんですが、その審査はかなり厳しいことで知られているんです。富士山を指定するときも、難儀したくらい。明治産業革命遺産は普通に考えるとまだ登録できる状態じゃなかった。それでもかなり強引に推し進めた。和泉さんにとっては、日本イコモスはただの邪魔者だったんでしょう。

室井 理由はお友だち優遇ともうひとつ。“明治”をクローズアップさせ、美化、正当化したい安倍さんの趣味もあったのかな。大日本帝国はよかった、みたいな
前川 そう思います。戦前日本の植民地主義的な膨張主義の根っこは松下村塾にあると言ってもいいし、日本の膨張主義政策を支えたのが産業遺産。それで韓国が大反対した。軍艦島は徴用工が強制労働させられた場所で、それを無視して世界遺産登録するなんて、批判があるのは当然でしょう。

室井 「産業遺産」にしても根っこでは全部つながっていると思います。安倍さんの思想と一致するもの。日本会議が「明治の日」をつくろうとしたり、明治をテーマにした映画なんかを支援すると言ったり、福井国体に「明治150年」と付けようとしたり。それと前川さんの専門だと思うんですけど、安倍政権は道徳教育愛国教育教育勅語の問題など、すごい力を入れてきてるじゃないですか。
前川 教育基本法改正道徳の教科化ですね。もうひとつ大きな問題があります。それが家庭教育の重視です。国民はまだはっきりと問題として認知していないと思いますが、家庭での教育こそが大事なんだという考え。

室井家庭教育支援法案」もありましたね。これまた安倍ちゃんが言い出したみたいですけど、親が国を敬うよう教育しろとか、子育ての喜びを実感しろとか家の教育に介入しようとしている
前川 その背景には日本の復古的な家庭教育、そして親学がある。親学というのは、子どもに問題があるのは「親がしっかりしてないからいけない」という考え方です。しかし、いくら「しっかりしたい」「がんばりたい」と思っていても、余裕のない親はたくさんいる。そういう問題を解決しないで「親がいけないんだ」と親の責任にして押し付ける。結局、それでは貧困や母子家庭であえぐ子どもたちを救うことにならない“親がしっかりすればいい”なんて論理は、つまり社会的なケアなど必要ないと言うのと同じです。しかも親学は、「家族が大事なんだ」という考え方でもある。私は個人主義だから個人が社会の単位だと思っていますが、しかし親学は“家族が社会の単位”という考え方です。個人であることよりも家族の一員、一族の一員であることが大事だという。この家族主義的考え方は、じつは、戦前の国体思想でもある。戦前の教育勅語で示されている考え方です。そして、そのベースには家父長制の家制度があった。そこでは親孝行こそ最大の美徳になる。家族なんだからという理屈ですべてを吸収してしまう。そして日本国は、大きな一つの家族だその本家の本家の総本家が天皇家で、辿れば天照大御神。すべての国民は天照大御神の子孫であり、天皇家の分家の分家の分家だ、みたいなね。こうして「孝」と「忠」が一本につながるこういう家族国家観に基づく教育が安倍さんが進めたい道徳教育なんだろうと思います。


現在の日本社会では、新自由主義と国家主義が補完しあっている

室井
 ってか、家庭のなかのことまで国に命令されたくないよね。親孝行しろとか、虐待したり育児放棄する親にどうして孝行しなくちゃいけないの? 想像力がないんじゃない? しかもいま「2分の1成人式」なんてのもあるし。10歳まで育ててくれてありがとう、なんて親に感謝させる作文を読ませるんですよね。そんなこと強制されるなんて、すごい気持ち悪い。しかも全部家庭でなんて、国民に対する政府の義務放棄でしょ。だから民間やボランティアで「子ども食堂」なんかをやる必要が出てくる。前川さんもボランティアで貧困の子どもたちの学習支援をしてるんですよね。でも、それって本来、政治や行政がやらないといけないはずだとも思います。
前川 そうです。子育ては家庭がするもので、社会的なケアは必要ないという考え方は、弱い家庭は崩壊していい、崩壊した家庭から子どもが放り出されるのは仕方がないと言っているのと同じです。弱肉強食の競争で負けたのは自己責任だという新自由主義的な考え方です。さらに新自由主義と国家主義的なものが補完しあってしまっているのが現在の日本社会です。しかし弱肉強食では格差は広がるばかりですし、人権もないがしろにされるそうした国民の権利を守るためにこそ、政府があるはずなのですが。

室井 新自由主義と愛国心。最悪のコンビですね。子どもや弱者のケアを放棄したら国の仕事って何もないじゃない。でも、文科省はやっぱり弱いですよ。文科省は子どもの教育を管轄する省庁でしょ。それなのに、安倍ちゃんの弱者切り捨てや愛国教育や思想を止められていない。それに教育費も世界レベルで考えて下の下でしょ。子どもやその教育にお金を使っていない。前川さん、これも専門でしょ。たとえばフランスでは子どもをいっぱい産むと税金安くなるじゃないですか。日本もそうそればいいじゃないですか? 育児手当とかもいいけど、3人以上子どもを産めば無税とか。そして大企業と金持ちがきちんと適正に税金を払う
前川 本当にそう思います。先進国のなかで比べても、公財政支出教育費という国と地方の教育に対する支出が最低レベルです。特に高等教育。大学や専門学校に行くのに、個人のお金がかかりすぎる。さらに貧困も進み、税金を納める水準に達してない人も多い。いま、子どもの6人に1人はシングル家庭です。とくに母子家庭の半分の家庭は貧困ラインの下だと言われています。

室井 私もシングルで子育てしましたけど、稼げたのはたまたま運に恵まれてラッキーだっただけ。だから、手っ取り早く大企業から税金を取って、困っている人に回してほしい子どもって国の財産じゃないですか。そこにスポットが当たっていないのはおかしい。政府の役割って、弱者のことを考えることだと思うんです。でも安倍政権がやってることは、それと真逆じゃないですか。
前川 私もそう思います。室井さんのように考える人が増えるといいんだけど、やはり強い人、大企業からはお金を取らなきゃいけない。日本は小さな政府になりすぎているんです。政府に役割を果たさせるためにも税金は取らないと。

室井 いまは大企業は税制で優遇されて、ほとんど税金を払っていない。安倍さんのお友達にはバンバン補助金を出す。企業や富裕層、お友だちだけ優遇っておかしいです一方で弱い人からはむしり取ろうとしているし
前川 政治権力も世の中もお金で動いていますから。お金を持ってる人が政治を動かして、自分たちに都合のいい政治する。メディアも同じ。ですからいま一番必要なのは、所得や富の再配分だと思います。この30年間ずっと、新自由主義的な経済政策、財政政策が続いていて。中曽根さん(康弘・元首相)のころからですね、金持ち優遇は。法人税を下げ、所得税も相続税も最高税率を下げてきた。金融資産を運用して得た所得には低い税率しか適用されない。お金持ちや大企業はどんどん儲かるようになっている。さらにいま、金持ち優遇にほかならないと思っているのが「教育資金一括贈与制度」です。祖父母が孫の教育費を贈与するという、一見もっともらしいものですが、孫1人に1500万円をぽんと無税で贈与できるんです。孫4人なら6000千万円。さらに結婚子育て資金の一括贈与制度もある。これも上限1000千万円。この2つの一括贈与制度を使うと、ひとりの子どもや孫に、2500万円まで贈与税も相続税もなしに財産を分けられる。こんなことができるのはお金持ちしかいないわけで、金持ちの相続税節税対策にフル活用されているんです。

室井 お金持ちの祖父母がいれば潤沢な教育費をもらえるけど、貧乏ならダメってことですよね。ますます格差が広がるし、貧困が世代間で連鎖するという典型じゃないですか! 
前川 その通りです。


恵まれた家庭に育ったことで、生まれながらの格差はおかしいと感じるようになった

室井
 前川さんって、出会い系バー通いは貧困の実地調査で、夜間中学支援も貧困の問題でしょ。日本の最大の問題は貧困の格差だっておっしゃってもいます。私も本当にそう思いますが、いつごろからそんな風に考えるようになったんですか?
前川 この30年間ほどです。それは政府が格差拡大の政策を取り続けてきたことにある。教育に関してもそうです。国立大学の授業料はすごい勢いで高額化してきました。私が東京大学に入った1973年の授業料は1年間で1万2千円で初任給1カ月よりも少ないくらい。その2年後には3倍の3万6000円になり、いまや53万5800円です。かつては、お金はないけれど優秀な人は国立大学に行けた。しかしいまでは、貧困家庭は塾にも行けないなどの環境面からも、なかなか学力向上ができない。私立より国立大学に行っている学生の親の方が金持ちだったりする。教育にお金をかけられる親の子どもたちしか国立に行けない。これは地方の高校にも言えることなんです。地方の公立高校はお金があって学力が高い子が行き、落ちた子が私立に行く。そして私立のほうが授業料は高い。私立に行っている子の親のほうが年収は低い。そういう逆転現象が起きているんです。

室井 わかる。私にも高校2年生の息子がいるけど、その友だちを見ていてもそういう傾向はあります。でも、前川さんは官僚トップの事務次官まで登りつめたエリートなのに、なぜそんなに弱者に寄り添う、まっとうな考え方になったんですか?
前川 それは幼少期の体験にあるかもしれない。私の生まれは奈良県のど田舎の秋津村(現・御所市)というところなんですが、そこの地主の家だったんです。よく覚えているエピソードがあって。小学1年生1学期の成績が、体育以外全部5だった。そうしたら、私のばあさんが校長のところにねじ込んでね。「なんで体育が4やねん!」と。すると2学期から、体育が5になっちゃった。秋津村での一強体制です。しかもばあさんは同級生が私を「きへいちゃん」って呼んでいるのを聞いて、その親に「おまえの息子はけしからん。きへいちゃんって馴れ馴れしい。ぼんぼんって言わせろ」と怒ってね。でも子ども心に「これはおかしい」と思いましたよ。ばあさんの行動に対して批判的な目を向けていたんですね。周囲には被差別もたくさんありますから、その人たちが不当に扱われているのも目の当たりにして。そういう社会構造の矛盾みたいなものを、小さいときから感じていました。それって、おかしいなと。子ども同士で喧嘩しているのに、親が謝りにきたりね。生まれたときから小さい世界だけど、カーストの上だった。生まれながらの格差はおかしい。そんな感覚が小さいときからありました。どうもその辺から目覚めていったんでしょうね。

室井 同じような恵まれた環境にいても、安倍さんとは全然発想が違う! 安倍さんはちっちゃいころから自分が特別な人間だと勘違いしてたのに、前川さんは逆に社会構造の矛盾に気がついたわけでしょう。やっぱり人間の品格が違うんだな。その違いって、話しぶりにも出てますよね。安倍さんなんて、自分に都合の悪い質問されたら、すぐ逆ギレするけど、前川さんはどんなに意地悪なことを言われても冷静に毅然と答える。国会で話しているのを見て、こんなにちゃんとした受け答えをする大人がいるんだ、と感心したもの。同じように思った人は多いはずです。露出すればするほど、どんどん好感度が高まってファンが増えてますよ。
前川 それは怖い。イメージと実態は違いますからね(笑)。私はこんなふうに“時の人”と言われるようになるとも思わなかったし、等身大で事実を発言しただけです。英雄のように見られたり、偶像化されるのは困ります。「あの人は立派な人だ」と偶像化されちゃうと、その後に「偽善者だ」とか、「エッチなことをしている」とか、また出てくるかもしれないし(笑)。

室井 前川さんは会った人から嫌われないでしょうね。あったかい感じがするもん。嫌いだって言ってる人って、高橋洋一さん、八幡和郎さん、岸博幸さんとか、安倍応援団か国家戦略特区の利権に関係している人たちばかりですもんね。


室井「前川さん、報ステのコメンテーターやって!」前川「官邸から番組に…」

室井
 それはそうと、前川さんってこれからどうするんですか?
前川 いまは週2回ほど夜間中学でボランティアをやっていて、高校生の学習支援もやってましたが今はお休みしてて、そのくらいです。今後のことはあまり考えてないんです。何しようかな。

室井 政治家になったらどうです? あたし、絶対に応援しますよ。
前川 それだけは無理です。自分の名前を連呼するなんて、そんなバカなこと……。室井さんこそ、やったらいいじゃない。

室井 私、不倫とかなんとも思わない女ですよ。リーダーにも向いてないし。いま日本に必要な政治家って、みんなの前できちんと頭下げて謝って納得させる正直で上品な人だと思う。それ、前川さんでしょ。人徳もあるし。前川さんのためにどれだけ熱い涙を流した男が多かったか。寺脇研(元文部省官僚で前川氏の先輩)さんなんて、テレビで前川問題の解説しながら涙目になってましたよ。
前川 あくびしたんじゃないですか? 前の夜に飲み過ぎたとかで(笑)。とにかくいまは世間が私の“顔”を忘れてほしいし、早く匿名のなかに紛れ込みたい。

室井 じゃあ、コメンテーターがいいんじゃないですか? いま、教育や文科省関連のコメンテーターといえば、寺脇さんしかいないし。前川さんもテレビコメンテーターやればいいのに。落ち着いているし信頼感もあるし、声も素敵です。個人的には『報道ステーション』に出てほしい。
前川 寺脇さんも、いろいろと心配してくれてるんだけど、コメンテーターなんてとてもとても(苦笑)。『報ステ』に出たら、きっと官邸あたりから番組に強い風当たりがあるでしょうし。

室井 2〜3回出て突然いなくなって「圧力か?」なんて大騒ぎになるもの面白いかも。
前川 でも、ラジオはいいですよね。顔が出ないから。じつは室井さんとご一緒させていただいた『大竹まこと ゴールデンラジオ』も、最初はどうしようかと躊躇していたんです。言わなくてもいいことまで言って、舌禍事件を起こすんじゃないかと心配で。でも、寺脇さんもその前に出ていたんでしょ? 「前川さんにも出てくれって言ってるよ」と言われて。この対談をお受けしたのも毒を食らわば皿まで、という感じですかね。あっ、いや、別に室井さんが毒だと言っているんじゃないですよ。

室井 毒でいいんです。毒でもこうやって出てくれたんだから。今度、寺脇さんも誘って作戦、練りましょう!

(編集部)
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●「ト」な自民党壊憲草案の「新たな三原則」…「国民主権の縮小」「戦争放棄の放棄」「基本的人権の制限」

2016年10月02日 00時00分10秒 | Weblog


東京新聞の安藤美由紀記者による記事【自民改憲草案を皮肉込め解説 パロディー本に注目】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201610/CK2016100102000265.html)。

   『●争点は「壊憲」: 「ト」な自民党改憲草案は
      「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」
    《それは、自民党の憲法改正草案とはずばり「国民主権、平和主義、
     基本的人権の尊重」の3つをことごとく否定する中身だからだ
      先日発売された自民党改憲草案の批判本『あたらしい憲法草案のはなし』
     (太郎次郎社エディタス)は、〈憲法草案、すなわちあたらしい憲法の三原則〉
     について、その本質をこう指摘している。
      〈一、国民主権の縮小
       一、戦争放棄の放棄
       一、基本的人権の制限〉》

 《「あたらしい憲法草案のはなし」…草案の根底にある考え方を痛烈な皮肉を交えて分かりやすく解きほぐしている現行憲法の三原則…を、「国民主権の縮小」「戦争放棄の放棄」「基本的人権の制限」という新たな三原則に改めると解説》。

 「ト」な自民党壊憲草案の「新たな三原則」…「国民主権の縮小」「戦争放棄の放棄」「基本的人権の制限」、あ~あ。与党自公や「癒(着)」党に投票できる方々は、本当にオメデタイ。アベ様は、与党に、対案を出せだってさ? 「現行憲法の三原則」で良いじゃない、何が御不満なの? またしても、押し付け憲法論ですか? ウンザリ。自らは安全地帯で肥え太り、他人を「人殺し」に行かせたいものかね? 「強く美しい国」ですか、呆れる。

   『●「憲法九条…戦争放棄はGHQの指示ではなく、
       当時の幣原喜重郎首相の発意だったとの説が有力」
   『●花森安治さんの「「武器を捨てよう」は
      憲法押し付け論を批判し、9条の意義を説く一編」
   『●壊憲派の沈黙、押しつけ憲法論という思考停止: 
       「二項も含めて幣原提案とみるのが正しいのではないか」
   『●「ト」な自民党改憲草案の押し付け…
     押し付けられた「押し付け憲法論は、賢明なる先人に対する冒涜」
   『●壊憲…「緊急事態という口実で、憲法が破壊される恐れが…
                  ヒトラーは非常事態を乱用して独裁を築いた」
   『●壊憲反対の不断の声を:  
     「戦後の歴史の岐路かもしれません。不断の努力こそ求められます」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201610/CK2016100102000265.html

自民改憲草案を皮肉込め解説 パロディー本に注目
2016年10月1日 夕刊

     (注目を集めている「あたらしい憲法草案のはなし」)

 臨時国会で再開される見通しの憲法審査会での議論を前に、注目を集めている異色の本がある。自民党の改憲草案について、起草者の気持ちになりきって解説した「あたらしい憲法草案のはなし」。終戦直後に文部省(現文部科学省)が発行した「あたらしい憲法のはなし」のパロディー版だ。草案の根底にある考え方を、痛烈な皮肉を交えて分かりやすく解きほぐしている。 (安藤美由紀

 「草案のはなし」は、参院選公示日に合わせて六月二十二日に発売。出版した太郎次郎社エディタスによると「『改憲もいいんじゃないか何となく思っている人たちに、改憲をやりたい人たちが何を考えているのか知ってほしい」という狙い。改憲派と護憲派のどちらが書いたのか分からない方が興味を引くと考え、著者は伏せ「自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合自爆連)」とした。予想以上の売れ行きで、現在六刷(計三万部)を発行。

 文体もイラストも「憲法のはなし」を踏襲。公布から七十年となる日本国憲法は「しゅうりが必要です」とし現行憲法の三原則国民主権」「戦争放棄」「基本的人権の尊重」を、「国民主権の縮小」「戦争放棄の放棄」「基本的人権の制限という新たな三原則に改めると解説している。

 憲法九条は戦勝国による「こらしめ」だったとして「はずかしい条文です」と断言。草案の通り、国防軍がつくられると、武力や脅しによる紛争解決が可能となり、今まで以上に日本の平和は守られる上、「アメリカがはじめた戦争にも、正々堂々と武器をもって参加でき」るとしている。

 基本的人権についても、日本の風土には合わないと説明した上で、「いきすぎた『個人主義』を見直します」と宣言している。

 石川県のエッセイスト水野スウさんは「自民党の考えを深く知るために最適の本」と百冊注文。自宅で開く草案を学ぶ会「草かふぇ」で活用している。九月二十二日に都内で講演し「草案は個人主義を目の敵にしている。国家より個人を大切にしたら戦争はできないからだ」と訴えた。

 「あたらしい憲法のはなし」の抜粋、現行憲法と草案の全文も収録。四六判、九十六ページ。税別七百四十一円。

あたらしい憲法のはなし> 1947年5月3日の日本国憲法施行から3カ月後の8月2日、文部省(現文部科学省)が発行した中学1年生の教科書。平和主義や基本的人権の尊重など、新しい憲法の意義を挿絵入りで説いた。



(↑すいません、コピペさせてもらいました。
 【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201610/images/PK2016100102100238_size0.jpg】)
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●「あとの祭り」: 「巨泉氏の警告も虚しく、「アベノミクス」を釣り餌に圧倒的な議席数を獲得した」アベ様

2016年08月06日 00時00分49秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の新田樹氏の記事【大橋巨泉の遺言「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」がテレビの追悼特集でことごとくカットに! その政権批判を改めて聞け】(http://lite-ra.com/2016/07/post-2432.html)。

   『●大橋巨泉さんの「最後の遺言」…
      日本を『戦争ができる国』に変えてはいけない…は届かず

 《アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との国会決議に民主党でたった1人反対、戦争へ向かおうとする姿勢を断固拒否したエピソードが有名》。

 2016年7月参院選の直後に亡くなっていた大橋巨泉さんの「最後の遺言」は、選挙前には語られず。選挙後、訃報時のテレビでもほとんど語られることは無かった。野党は善戦したが、選挙戦の結果は空しいもので、《巨泉氏の警告も虚しく、「アベノミクス」を釣り餌に圧倒的な議席数を獲得し》てしまった。三度目のアベノサギ。「戦争できる国」へと着実に進んでおり、子や孫を「人殺し」に行かされても、与党・「癒(着)」党に投票した人や選挙に行きもしない「眠り猫」な人たちは、後悔することも、「あとの祭り」と感じることさえないのでしょう。ニッポン、救い無しの状況です。

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http://lite-ra.com/2016/07/post-2432.html

大橋巨泉の遺言「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」がテレビの追悼特集でことごとくカットに! その政権批判を改めて聞け
安倍晋三 新田樹 2016.07.21

     (大橋巨泉オフィシャルウェブサイトより)

 以前より体調の悪化を心配されていたタレント・司会者の大橋巨泉氏が、今月12日に急性呼吸不全で亡くなっていたことが明らかになった。82歳だった。

 本サイトでも以前、紹介したように、巨泉氏は「週刊現代」(講談社)7月9日号掲載の連載コラム「今週の遺言」最終回で、すでに病が身体を蝕んでいることを綴っていた。だが、それでも巨泉氏は〈このままでは死んでも死にきれない〉と綴り、直後に迫った参院選について、読者にメッセージを送っていた。

〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事情けない事恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです〉

 まさに、このメッセージが巨泉氏にとってほんとうに最後の遺言となってしまったわけだが、しかし、ワイドショーやニュース番組はこの巨泉氏の遺言をことごとく無視。ベテラン司会者としての仕事を紹介するに留め、『報道ステーション』(テレビ朝日)でさえ最後のコラムの〈今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずなことが連日報道されている〉という部分までしか紹介しなかった。安倍首相について言及した部分まで報じたのは、『NEWS23』(TBS)だけだ。

 たしかに、『11PM』(日本テレビ)や『クイズダービー』(TBS)、『世界まるごとHOWマッチ』(MBS)といった人気番組の司会を数々こなし、一方でお茶の間ロックやアングラ演劇などのサブカルチャーをテレビにもち込んだり、クイズバラエティを定着させたりといった巨泉氏の功績が大きいのは言うまでもないが、最後の遺言にも顕著なように、巨泉氏は自民党の強権性にNOの姿勢を貫きつづけた人であったテレビはそこから目を逸らしたのだ。

 巨泉氏といえば、民主党議員だった2001年に、アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との国会決議に民主党でたった1人反対、戦争へ向かおうとする姿勢を断固拒否したエピソードが有名だが、すでにセミリタイア状態だった巨泉氏が政界へ進出しようとしたのは、そもそも当時人気絶頂だった小泉純一郎首相の進めようとする国づくりに対する危機感があった。

 周知の通り、小泉首相は新自由主義的な政策を押し進め、この国は弱い者にとって非常に生きづらい国になってしまった。巨泉氏は「週刊現代」の連載コラムで小泉政権がつくったこの国の在り方をこう批判している。

   〈冷戦終了以降、アメリカ型の新自由主義経済がわがもの顔の現在、
    それに歯止めをかける思想や組織の存在は必須なのである。
    でないと「負け組」や「新貧困層」が拡大し、その中からテロリズムが
    増殖するのである。(中略)小泉やハワードが目指しているのは、
    「強者の論理でくくる社会。自由主義経済なればこそ、
    弱者のための政党や組合は必要なのだ。何万人とリストラする大企業に
    対し個人でどう戦うのかね!?〉(「週刊現代」05年12月10日号より)

 周知の通り、その後、巨泉氏は議員を辞職し、再びセミリタイア状態に戻る。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを転々とする悠々自適な生活を送るのだが、第二次安倍政権の時代に入ると再び社会的なメッセージを発信するようになっていく。それは、安倍首相は経済を最優先にすると口当たりのいいことを言っているがその本音は憲法を変えて国民から権利を奪い、日本を再び戦争ができる国へと戻そうとしていることを見抜いていたからだ

   〈彼にとって「経済」はムードを煽る道具に過ぎず、本当の狙いは
    別のところにあるからだ。(中略)

     安倍は先日、「国づくり」に関する有識者会議で、「ふるさと」や
    「愛国心」について熱弁をふるった。曰く、「日本人は生れ育った地を愛し、
    公共の精神や道徳心を養って来た。ふるさとをどう守ってゆくかを
    考えて欲しい」。見事なウソツキと言う他ない。(中略)
    「公共の精神や道徳心」を強調することで、現憲法が保障してくれている、
    「個人の権利(人権)に制限を加えたくて仕方がないのだ。
    それでなくても「知らしむべからず」なのに、もっと制限を加えて、
    政権の思う通りにあやつれる国民にしたいのである。そのためには
    現在の憲法が邪魔なので、これを改正するために、まず人気を取り、
    その勢いで改正してしまおうという訳だ。(中略)
     そもそも憲法とは、国民が守るの変えるのという法律ではない
    国家権力(時の政府)の公使を制限するためにあるものだ。軍部が
    暴走して、数百万人の国民の命を奪った戦前戦中のレジームへのタガ
    として現憲法は存在する。それを変えて戦前への回帰を計る現レジームは、
    禁じ手さえ使おうとしている。止めようよ、みんな〉
    (「週刊現代」13年5月4日号より)

 巨泉氏はさらにこのようにも語っている。

   〈ボクの危惧は、4月にウォール・ストリート・ジャーナルに、
    麻生太郎副総理が述べた言葉によって、裏うちされている。
    麻生は「参院選で安倍政権が信任された時、首相の関心は
    おそらく経済から教育改革と憲法改正に向うだろう」と言っていた。
    要するにボクの持論通りなのだ。“経済”とか“景気”とかいうものは
    あくまで人気(支持率)を高めるための道具であり、本当の目的は
    教育と憲法を変えて、「強い日本」をつくる事なのである。この鎧を
    衣の下に隠した、安倍晋三は恐ろしい男なのだ〉
    (「週刊現代」13年6月22日号)

 しかし、巨泉氏の警告も虚しく、「アベノミクス」を釣り餌に圧倒的な議席数を獲得した安倍政権は横暴な国会運営を開始。周知の通り、昨年はまともな議論に応じず、国民の理解を得られぬまま安保法制を強行採決させてしまった。

 そんな状況下、巨泉氏は「週刊朝日」(朝日新聞出版)15年9月18日号で、自身の戦争体験を語っている。1934年生まれの彼が実際にその目で見た戦争は、人々が人間の命をなにものにも思わなくなる恐ろしいものだった。それは安倍政権や、彼らを支持する者たちが目を向けていない戦争の真の姿である。

   〈何故戦争がいけないか。戦争が始まると、すべての優先順位は
    無視され、戦争に勝つことが優先される。
    昔から「人ひとり殺せば犯罪だけど、戦争で何人も殺せば英雄になる
    と言われてきた。
     特に日本国は危ない。民主主義、個人主義の発達した欧米では、
    戦争になっても生命の大事さは重視される。捕虜になって生きて帰る
    と英雄と言われる。日本では、捕虜になるくらいなら、自決しろと教わった。
    いったん戦争になったら、日本では一般の人は、人間として扱われなくなる
     それなのに安倍政権は、この国を戦争のできる国にしようとしている
     (中略)
     ボクらの世代は、辛うじて終戦で助かったが、実は当時の政治家や軍部は、
    ボクら少年や、母や姉らの女性たちまで動員しようとしていた
    11、12歳のボクらは実際に竹槍(たけやり)の訓練をさせられた。
    校庭にわら人形を立て、その胸に向かって竹槍(単に竹の先を斜めに
    切ったもの)で刺すのである。なかなかうまく行かないが、
    たまにうまく刺さって「ドヤ顔」をしていると、教官に怒鳴られた。
    「バカモン、刺したらすぐ引き抜かないと、肉がしまって抜けなくなるぞ!」
     どっちがバカモンだろう。上陸してくる米軍は、近代兵器で武装している。
    竹槍が届く前に、射殺されている。これは「狂気」どころかバカであろう。
    それでもこの愚行を本気で考え、本土決戦に備えていた政治家や軍人が
    いたのである。彼らの根底にあったのは、「生命の軽視」であったはずである〉

 しかし、立憲主義を揺るがすような国会運営をし、メディアに圧力をかけて「報道の自由度ランキング」が72位にまで下がるほどの暗澹たる状態に成り果てたのにも関わらず、先の参院選では改憲勢力が3分の2を超えれば遂に憲法改正に手がかかるという状況になった。

 そんななか、巨泉氏の体調は悪化。3月半ばごろから体力の落ち込みがひどく、4月には意識不明の状態に陥り2週間ほど意識が戻らなくなったことで、5月からは集中治療室に入っていた。そして、前述した「週刊現代」の連載も、4月9日号を最後に休載となっていたのだが、家族の助けを受けて何とか書き上げたのが、7月9月号掲載の最終回。ここで巨泉氏は本稿冒頭で挙げた〈安倍晋三に一泡吹かせて下さい〉という「最後のお願い」を読者に投げかけたのだ。

 だが、残念なことに改憲勢力が3分の2を越え、現在政権は選挙中に争点隠しをつづけていたのが嘘のように、したたかに憲法改正への動きを進めようとしている。最後の最後まで、平和を希求するメッセージを投げかけつづけた巨泉氏の思いを無駄にしないためにも、我々は政権の悪辣なやり方に断固としてNOを突きつけつづけなくてはならない。

   〈「戦争とは、爺さんが始めておっさんが命令し、若者たちが
    死んでゆくもの」。これは大林素子さんの力作
    「MOTHER 特攻の母 鳥濱トメ物語」の中で、特攻隊長が、
    出撃してゆく隊員に、「戦争とは何か」を告げるセリフであった。
     現在にたとえれば、「爺さん」は、尖閣諸島の国有化のタネをまいた
    石原慎太郎維新の会共同代表だろう。「おっさん」は当然、“国防軍”を
    平気で口にする安倍晋三首相である。彼らはおそらく死なない筈だ。
    扇動したり、命令したりするだけで、自分達は安全なところに居る
    前の戦争の時もそうだった。そして実際に死んでゆくのは、
    罪もない若者なのだ。それを知っていたからこそ、9条改正に6割以上の
    若者が反対しているのである。おそらく前の戦争のことは、
    学校で教わったに違いない。安倍政権は、この“教育”さえも改悪しよう
    としている。怖ろしい企みである〉
    (「週刊現代」13年5月11日・18日合併号より)

新田樹
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●争点は「壊憲」: 大橋巨泉さん「最後の遺言」…日本を『戦争ができる国』に変えてはいけない

2016年07月04日 00時00分35秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の新田樹氏による記事【大橋巨泉が臨死の床で綴った“最後の遺言”「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」しかしテレビは巨泉の思いを一切報じず…】(http://lite-ra.com/2016/07/post-2380.html)。

 《〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事情けない事恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい最後のお願いです〉》。

   『●争点は「壊憲」: 公明党と共に《(戦争への)「この道を。
               力強く、前へ。」(選挙後に壊憲)―自民党》

 大橋巨泉さんの「最後の遺言」。その真意はマスコミではほとんど報道されなかったそうです。「日本を『戦争ができる国』に変えてはいけない」ということ。
 与党・「癒(着)」党が「2/3」をとる情勢だと言われています。アベ「ドアホノミクス」=「アベドアホノ丸」の虚飾を喧伝し、選挙が終われば、公約にもしない「壊憲」を始める、すなわち、三度目のアベノサギを直ぐに始めます。選挙に行かなければ、そのリスクが異常に高まります。《7月の参院選挙、野党に投票して下さい最後のお願いです》。

   『●「平和と憲法を守る決意をもった著名人」菅原文太さん:
             「政治の役割は・・・絶対に戦争をしないこと」
    「日刊スポーツの記事『大橋巨泉、愛川さん訃報「日本にとって大マイナス」』
     (http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1463027.html)によると、
     「菅原文太さんに続いて、平和と憲法を守る決意をもった著名人が
     他界した事は、日本にとって大マイナスである。ボクも簡単には
     死ねないなと考えている」。
      「絶対に戦争をしないこと!」、この一点を死守したい。「アベ様のNHK」を
     はじめとしたマスコミの堕落、そして、「”テレ朝は今日、死んだに等しい
     と思います”」状態。何度も引用するが、俳優や芸人の矜持の無さ。

      『●『佐高信の新・筆頭両断』読了(2/2)
        「権力に立ち向かうような俳優や芸人が日本には少ない。
         成田三樹夫は、「最近の役者・・・いやらしいのが多すぎる
         ・・・総理大臣主催のナントカ会・・・ニコニコして出かけて行って
         握手なんかして喜んでるだろ。・・・情けなくなっちまうね
         権力にへたへたする役者じゃ意味がない
         ・・・バカがどんどん図にのるんだよ、ハハハ」」

      これまた、いつも引用している・・・・・・城山三郎さん「戦争待望論を
     唱える若い文士がいると聞いて、鳥肌の立つ思いがする。
     平和の有難さは失ってみないとわからない
     (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/46cffbbda63235587e36a8f40865b28b)、
     「日本は先の戦争で、ほとんどすべてを失ってしまった。
     唯一、得られたのは、憲法九条だけだ
     (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/07980877a3742cbd8a23034f725a7386)。」

 記事に出てくる《桜を見る会》について、asahi.comに当時、【「桜咲くように賃上げ実現」 安倍首相、桜見る会で語る】(http://www.asahi.com/articles/ASH4L358RH4LUTFK001.html?iref=comtop_list_pol_n02)という記事に、《芸能人やスポーツ選手ら約1万5千人の招待客を前に…》とありました。成田三樹夫さん風に言えば、《いやらしいのが多すぎる…情けなくなっちまうね権力にへたへたするバカがどんどん図にのるんだよ、ハハハ》。

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http://lite-ra.com/2016/07/post-2380.html

大橋巨泉が臨死の床で綴った“最後の遺言”「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」
しかしテレビは巨泉の思いを一切報じず
安倍晋三 新田樹 2016.07.01

     (大橋巨泉オフィシャルウェブサイトより)

 大物司会者の大橋巨泉氏が、一時意識不明状態に陥り、5月下旬より集中治療室に入っているとの報道があった。巨泉氏自身が、20年近く続けてきた「週刊現代」(講談社)の連載コラム「今週の遺言」で、明らかにしたものだ。

 巨泉氏は2005年に早期の胃がんが見つかったのを皮切りに、13年には中咽頭がんが見つかり摘出手術。また、14年にはリンパ節、15年には右肺、16年には左鼻腔内にもがんが見つかるなど、長らく闘病生活を続けてきた。連載によると、3月半ば頃から体力の落ち込みがひどく、4月には意識不明の状態に陥り、2週間ほど意識が戻らず、5月からは集中治療室に入っていたというのである。

 そのためこの「週現」の連載も、4月9日号を最後に休載となっていたが、今週発売の7月9月号をもって最終回とするという。その最終回の原稿でも、

   〈体力が戻ってこず衰えた〉
   〈何時まで生きられるかわからない〉
   〈老いた体をベッドに横たえ、たまに車椅子で外に出れば
    直ぐに高熱を出す始末である〉
   〈ボクにはこれ以上の体力も気力もありません〉

と、死をも意識する重篤な病状にあることを繰り返し綴っている。巨泉氏の豪放磊落なイメージからは想像できないほど、深刻な状態にあるようだ。この最終回の原稿も、妻と弟のサポートを受けて何とか完成までもっていけたものだという。その最終回の原稿の最後は、こんな文章で締められている。

   〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。
    だが今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずな事が
    連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほど
    あるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも
    死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。
    安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に
    一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい
    最後のお願いです

 「何時まで生きられるかわからない」「ボクにはこれ以上の体力も気力もありません」と死を意識する壮絶な状況のなか、巨泉氏がまさに最後の力を振り絞って綴った、「最後の遺言」。それは、「改憲」を争点からひた隠しにして参院選を行い、着実に日本を戦争へと向かわせている安倍政権への痛烈な批判だった。

 巨泉氏の状況を思えばその言葉の重みもより増すが、もちろん巨泉氏は突然こんなことを言い出したわけではない。民主党議員だった2001年に、アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との表明に民主党でたった1人反対するなど、巨泉氏は徹底して反戦を掲げ続けてきた。安倍政権に対しても、第二次政権が発足した当初より、安倍首相の危険性を訴え続けている。

   「僕は、ポピュリズムの権化のような安倍首相をまったく信用しない。
    (略)本当にやりたいのは憲法改正であり、日本を
    『戦争ができる国』に変えることでしょう。実際、ニコニコして、
    口当たりの良いフレーズを並べておきながら、国民の過半数が
    反対した特定秘密保護法を強引に通してしまった。
    法衣の下に鎧を隠しているような男の言動にだまされてはいけません」
    (「日刊ゲンダイ」/2014年5月12日)

 また、昨年4月19日には『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ)にゲスト出演し、安倍首相主催の「桜を見る会」に言及。自身も招待を受けていたがそれを断ったと告白して、さらに、巨泉氏とは逆に出席する道を選んだ太田光こう批判している。

   「お前利用されてるんだよ。今日のスポーツ紙に出てたよ。
    『ああ、安倍さんって心の広い人だなあ』って(大衆に)思われちゃうんだよ」

 さらに同番組では、テレビ朝日とNHKが自民党に呼び出された一件についても「とにかく、自民党に呼ばれて行ったテレ朝とNHKはいかん。なんで一政党に呼ばれて、言論の自由を守らなければいけない放送局が出て行く? これが陰ながらの圧力なんだ」「俺は戦いたい。(略)言論の自由っていうのはね、命をかけて守るべきものなんだよ」と発言。政権に忖度して自粛を繰り返すメディアの姿勢を痛烈に批判した。

 また、同じく15年の「週刊朝日」(朝日新聞出版)9月18日号では、1934年生まれで実際に先の戦争を見てきた自身の経験を踏まえ、戦争がいかに人の命を軽んじるものであるかを痛切に訴えている

   〈何故戦争がいけないか。戦争が始まると、すべての優先順位は
    無視され、戦争に勝つことが優先される。
    昔から「人ひとり殺せば犯罪だけど、戦争で何人も殺せば英雄になる
    と言われてきた。
     特に日本国は危ない。民主主義、個人主義の発達した欧米では、
    戦争になっても生命の大事さは重視される。捕虜になって生きて帰る
    と英雄と言われる。日本では、捕虜になるくらいなら、自決しろと教わった。
    いったん戦争になったら、日本では一般の人は、人間として扱われなくなる。
     それなのに安倍政権は、この国を戦争のできる国にしようとしている。
    (中略)
     ボクらの世代は、辛うじて終戦で助かったが、実は当時の政治家や
    軍部は、ボクら少年や、母や姉らの女性たちまで動員しようとしていた
    11、12歳のボクらは実際に竹槍(たけやり)の訓練をさせられた。
    校庭にわら人形を立て、その胸に向かって竹槍(単に竹の先を斜めに
    切ったもの)で刺すのである。なかなかうまく行かないが、
    たまにうまく刺さって「ドヤ顔」をしていると、教官に怒鳴られた。
    「バカモン、刺したらすぐ引き抜かないと、肉がしまって抜けなくなるぞ!」
     どっちがバカモンだろう。上陸してくる米軍は、近代兵器で武装している。
    竹槍が届く前に、射殺されている。これは「狂気」どころか「バカ」であろう
    それでもこの愚行を本気で考え、本土決戦に備えていた政治家や軍人が
    いたのである。彼らの根底にあったのは、「生命の軽視」であったはずである〉

 このように巨泉氏は、いかなる戦争も個人の尊厳を破壊するものとして一貫して反対する姿勢を貫き、「戦争のできる国作りを画策する安倍政権に対し批判を続けてきた。その姿勢は、病に倒れた後も決して変わることはなかったのだ。

 大橋巨泉が集中治療室に入り、長らく続けられていた「週刊現代」の連載が終了したことは各テレビ局でも大きく報道された。しかし、巨泉氏が最も伝えたかった安倍晋三の野望はおそろしい〉〈選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さいというメッセージを放送した番組はひとつたりともなかった巨泉氏が危惧していたメディアの萎縮は残念なことにここでも起きてしまったのだ。

   〈書きたい事や言いたい事は山ほどある〉
   〈このままでは死んでも死にきれない〉

 と自身でも綴っているように、現在の閉塞した言論状況にあって巨泉氏は貴重なリベラル論客であり、まだまだ語ってほしいことがたくさんある。巨泉氏の「最後の遺言」を胸にきざむと同時に、なんとか回復しまた舌鋒鋭い批判を繰り出してくれる日が訪れることを祈りたい。

(新田樹)
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●『超・反知性主義入門』の小田嶋隆さんインタビュー、「そういう政権を選んだ国民にも危険な兆候」

2015年11月16日 00時00分05秒 | Weblog


nikkan-gendaiの記事【コラムニスト小田嶋隆氏 「言論弾圧は自主規制から始まる」】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168014)。

 《反知性主義という言葉が流行している。立憲主義を否定し、学者の声も黙殺した安倍首相に対して向けられたもの……そこで話題なのが「超・反知性主義入門」(日経BP)の著者・小田嶋隆氏(58)だ。反知性主義なのは野蛮政権のトップだけではないそういう政権を選んだ国民にも危険な兆候が広がりつつあるという》。

 アベ様らだけが「反知性主義」者ではなく、《そういう政権を選んだ国民にも危険な兆候》を見てとる小田嶋隆さん。青木理さんや内田樹さんが仰っていることも、そういうことなのかもしれない。

   『●『「非国民」のすすめ』読了(3/6)
    「「小泉首相をはじめ、与党議員の態度や物言いが、
     どうにも我慢できない・・・薄ら笑いを浮かべながら、
     木で鼻をくくった不誠実極まりない回答だけを繰り返してくる」。
     同感。「私語に雑談、薄笑い。汚い野次」。
     「人々の知性を破壊」する「反知性主義」、
     「それを許したのは誰あろう、私たち自身(※6※7)なのである」」

   『●「俺様王国」ニッポン、「俺様王国」大阪「ト」を
            造りたい強権的政治手法好きな二人
    「…う ん ざ り。「反知性主義者たちが「反日」といって
     思考停止してしまうように安倍晋三やその支持者たちを
     反知性主義者だと非難するだけでは思考停止してしまう
     ことは分かっているのだけれども…。
      青木理さんも仰ってます、
     「薄っぺらで反知性的なタカ派が増殖している
      高橋源一郎想田和弘小田嶋隆は、反知性主義に
     ついて語ることのむずかしさを指摘している」

   『●内閣法制局は最後の一線を越えていた: 
      アベ様達と何を協議したのか「内情」をどう検証?
    「《…その議事録がないとは、反知性主義政権の正体を
     むき出しにするものだ》。
      2014年7月1日「7・1クーデター」、その議事録さえ
     ないそうです。歴史の検証もすることが出来ない
     「7・1クーデター」。 反知性的タカ派なアベ王様による
     独裁政治……アベ王国国王様の「人治主義国家
     「「薄っぺらで反知性的なタカ派が増殖している」…
     …アベ様達からして
」」


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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168014

 反知性主義という言葉が流行している。立憲主義を否定し、学者の声も黙殺した安倍首相に対して向けられたもので、社会学者の上野千鶴子・東大名誉教授は「立憲主義の危機だけではない。知性の危機、学問の危機、大学の危機だ」と訴えた。そこで話題なのが「超・反知性主義入門」(日経BP)の著者・小田嶋隆氏(58)だ。反知性主義なのは野蛮政権のトップだけではない。そういう政権を選んだ国民にも危険な兆候が広がりつつあるという。


――この本は小田嶋さんの連載コラムをまとめられたものですが、もうバサバサというか、日本人の反知性主義が「これでもか」と出てきますね。生贄を求める社会、絆思考の危うさ、言論の自殺幇助……。世の中、全体が思考停止というか、反知性主義に毒されたというか。

 言論の自殺幇助でいえば言論弾圧って、憲兵がやってきて、言論の自由を掲げる闘士をしょっぴくみたいなイメージがあるじゃないですか。でも、実際は違って、公安や警察が直接手を出すことなんてまずあり得ない戦前もそうだったけど、自主規制なんですよ。このテーマを書くと編集長がいい顔しないよ、読者の抗議はがきが殺到するよって。こんなふうに外側からやんわりと圧力がかかって書きにくくなる。ある種、言論に対する民意が言論の自殺幇助になる。


――本の中には戦前の息苦しさを描いた「言論抑圧」(中公新書・将基面貴巳著)の引用が出てきます。〈いかなる官憲も、軍人も、私自身に向かって、この原稿が悪いとか、こういうことを書くなと命じ、または話してくれたこともない。すべてが雑誌記者もしくは新聞記者を通じての間接射撃であった〉という馬場恒吾氏の言葉です。この間接射撃をしている主体は国民なんですね?

 戦前の言論弾圧だって、そんなことを言うのは非国民だ、お国のためにならない、許すなって、そういう民衆がたくさんいたと思うし、今がまた、同じような社会になっていると思います。


――よく安倍政権の言論弾圧が話題になるけど、それをやらせているのは、国民であると?

 ユネスコの記憶遺産に南京大虐殺が登録された時、菅官房長官は分担金を減らすことを示唆しました。驚天動地の発言で、昔だったらクビが飛んでいると思う。虐殺した数についての議論はあってしかるべきだが、虐殺の事実そのものを否定したり、分担金を減らしてユネスコに圧力をかけるのは別次元の話でしょう。しかし、菅官房長官がああ言うのは、国民の方に『ユネスコはケシカラン』という応援の声があるのを感じたからだと思う。ああいう発言ができちゃう空気が、すでに存在しているんですよ。


■「政治家はタカをくくっているんです」

――戦前の「欲しがりません」みたいな国策標語も、むしろ民衆が率先したような気がします。

 標語にあおられて戦争が泥沼化したのではなく、民衆にこびるような標語が作られた。順序として国民の熱狂の方が先だったように思います。


――五輪招致の時も、賛成しないと「なんで水をかけるんだという空気がある」と言われてましたね。

 五輪招致に賛成ではないという国民が2、3割はいるんじゃないですか? でも少数派の意見は控えろみたいな。こういうのが言論の不自由の最初の兆候です。会議は全員一致、会社は全社一丸。これがよき社会の在り方であると。シラけるような行動はやめなさいって。


――そういうところ、本当にありますね。

 最初は招致活動に反対だったのが、始まっちゃうと、やるんだったら勝ちたいよね、となる。招致に成功すると、決まった以上、みんなで頑張ろうねとなる。戦争もそうなんです。誰も戦争なんかしたくないけど、始まったら、戦争反対の声はかき消されて、国策標語の世界になる


――危ない国民性ですね。

 だから、政治家はタカをくくっているんですよ。反対運動が多くても断固として信念を貫き通せば、日本人の場合、賛成に転じると思っている。安保法制もそうだと思います。


――お上のやっていることだから、しょうがねえかと?

 主体性がないんです。サラリーマンもそうです。これはおかしいと思って会社批判をしながら、しかし、最後は社の方針だからとかいって、黙ってしまう。理屈じゃなくて、最後は「だっておまえ、日本人だろ」「だって、同じ社員だろ」ってのが殺し文句みたいになる。


――集団になると、理性的な判断を棚上げしてしまうんですかね?

 日本人は集団になると変わってしまう。揃いのユニホームとか着ると、2割くらい下品になるじゃないですか。祭りの法被、慰安旅行での浴衣。そういうの着ると、途端に乱暴になったりするでしょう。個々の日本人は普段、控えめで温かいのに、チームになると、とても残酷になったりする。これがスポーツ観戦ならいいんです。あれはチケット買って、選手と同じユニホームを着て、人工的な一体感を買うゲームのようなもので、2時間くらいすれば覚めるから。しかし、この残酷さが社会の中で出てくると怖いと思う。お国のための一体感、陶酔感で、人が変わってしまった国民が、非国民探しを始めたりするんです。


――みんなで生贄を求めるような社会風潮も気になりますね。これも反知性主義として、ご本で取り上げられている。

 端的なのは佐野研二郎氏叩きですね。彼の仕事の中に、若干、コピペ、パクリを疑われる事例があったことは事実ですが、膨大な仕事の中から、疑わしいものを拾い集め、叩く。擁護すると「グルか?」となる。この先、新しいエンブレムができても、ネット検閲のゲシュタポが出てくると思いますよ。


■助け合う社会が美しいという勘違い

――お話を聞いていると、集団になると人が変わって残酷化する日本人と安倍政権の組み合わせが怖くなります。くしくも、この政権は個を否定しようとしている。1億総活躍とかいって、個人の利益よりも公共の利益を押し出そうとしている。それに対して、国民は反発するかと思ったら、のほほんとしている。
 国民の側も、自分たちが独立した個であることをそんなに望んでいないじゃないですか。歴史を振り返ってみても日本人ってそうでしょう。


――お上の言うことを聞いて、付和雷同の方が楽だから?

 戦後民主主義は人間が個人として尊重されるべきであり、それはいいことであると。アメリカから輸入した憲法にそう書かれていて、それをうのみにして信じてきた人は多いけど、そうした考え方は、日本の伝統を分断する悪の思想だと思っている人も決して少なくないと思います。


――最近はそういう人が増えてきた。あるいは目立つようになってきた。そこに安倍政権が登場して、個よりも国家を押し出している。

 キッカケは景気が悪くなったことでしょうね。景気がいい時は個だとか公だとか、どっちを優先すべきかなんて考えない。どういう原則で国が動こうが、おおむねうまくいっていればOKになる。しかし、20年、30年と不況が続くと、何がいけないんだろう? と考える。もしかしたら個人主義が国をむしばんでいるんじゃないか。そう思う人が出てくる。1億総活躍という言葉は「活躍」じゃなくて、「総」に力点が置かれている。1億人が一塊になるべきだという思想ですよね。私は活躍も嫌だけど、1億って言葉の方がもっと嫌です。その下にどんなすてきな言葉が入ろうが絶対に嫌ですが、そうじゃない人々が安倍さんの「日本を取り戻す」という考え方に変なところで呼応しているように感じます。


――「ALWAYS三丁目の夕日」の世界? みんなで助け合って頑張れば、もう一度、高度成長時代が来るって妄想?

 安倍さんは新著で、あの時代の日本は貧しかったけど人々のつながりがあったと書いていますが、この人は何も知らないなと思いました。あの時代、貧乏だから、助け合わなければ社会が回らなかった。相互扶助を本来の地域社会の美しい姿だというのは違いますよ。助け合わないのが悪いんじゃなくて、困れば、みんな助け合います。干渉しないで生きていけるようになったんだから、それはそれでいいんです。しかし、個人の利益よりも公の助け合いを強調すれば、息苦しい社会になる。町の治安を守るために隣組が監視するようになる。みんなと違う意見を言う人は黙れと言われる。そんな社会のどこがいいのかと思います。


▽おだじま・たかし 1956年生まれ、58歳。小石川高校から早大教育学部卒。ネトウヨを恐れない辛口コラムニストとして大活躍中
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●自民党の武藤貴也衆院議員: 赤紙を送る側の(非)論理、人殺しに加担させる側の(非)論理

2015年08月06日 00時00分45秒 | Weblog


東京新聞の記事【「戦争に行きたくない」は利己的 学生らの活動を自民議員批判】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015080402000134.html)。
nikkan-gendaiの記事【自民・武藤貴也議員 「憲法が日本精神を破壊」の暴言で大炎上】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162357)。

 「自民党の武藤貴也衆院議員、滋賀4区、当選二回=が自身のツイッターで、「彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく」と非難」。

   『●高校生による壊憲法案反対デモ:
      赤紙を受け取る側の論理、人殺しに加担させられる側の論理


 自民党の武藤貴也衆院議員の戦争法案反対・壊憲法案反対デモに対する「批判」の件、赤紙を送る側の(非)論理、あるいは、人殺しに加担させる側の(非)論理。
 「武藤氏はフェイスブックで「法制に反対するのは真の平和主義に忠実とは言えない」と反論。「世界中が助け合って平和を構築しようと努力している中に参加することは、日本に課せられた義務であり、正義の要請だ」と説明」・・・・・・無残です。番犬様の行う戦争・侵略に油を注ぐことが、「平和を構築しようと努力」だそうです。

 「ブログでは〈日本国憲法によって破壊された日本人的価値観〉と題し、憲法の三大原則(国民主権基本的人権の尊重・平和主義)を批判。〈戦後の日本はこの三大原理を疑うことなく『至高のもの』として崇めてきた。(略)私はこの三つとも日本精神を破壊するものであり、大きな問題を孕んだ思想だと考えている〉と持論を展開しているのだ」。

 自民党の武藤貴也衆院議員は憲法の三大原則を真っ向否定し、「日本精神を破壊するもの」とまで言い切っています。氏が目指している「世界」「社会」を想像するだに、恐ろしい。自民党の武藤貴也衆院議員に、滋賀4区で60460票を投じられた皆さんのご意見を、是非、聞いてみたいもの。 

   『●類は「ト」を呼ぶ、朱に交われば「ア」になる
        ~三原じゅん子議員「八紘一宇」予算委発言~


 ついでに、「類は「ト」を呼ぶ、朱に交われば「ア」になる」アベ様の取り巻きの御一人・・・「3日午後、参院の安保法案の特別委員会に参考人招致された礒崎陽輔首相補佐官」の天に唾する行為について。
 原文にあたっていただくとして、nikkan-gendaiの記事【野党時代は「法律守れ!」と絶叫…礒崎首相補佐官の“二枚舌”】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162358)によると、・・・

   「更迭や辞任で「幕引き」とはならない・・・・・・
    よりによって首相側近の安保法制担当者が、
    「法的安定性は関係ない」と公言したのだ。
    それだけでアウトだが、一方でこの男は、
    野党時代に民主党政権に対し「法律を守れ」
    と叫んでいたのだからトンデモない二枚舌・・・・・・
    礒崎発言は法律や手続きを一切無視して
    「憲法破壊」に突き進む安倍政権の体質そのものを
    表している・・・・・・礒崎補佐官は質疑の後半、
    こう締めくくっている。 〈法律を守らない内閣は
    一刻も早く辞めてください〉 礒崎補佐官も政治家の
    ハシクレなら、自分の発言をよ~く思い出し、補佐官に
    任命した安倍首相と一緒に議員辞職すべきだ」

・・・だそうです。「類は「ト」を呼ぶ、朱に交われば「ア」になる」。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015080402000134.html

「戦争に行きたくない」は利己的 学生らの活動を自民議員批判
2015年8月4日 朝刊

 安全保障関連法案への反対デモを国会前で続ける学生グループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」に対し、自民党の武藤貴也衆院議員、滋賀4区、当選二回=が自身のツイッターで、「彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく」と非難していたことが分かった。

 投稿は七月三十日付で、インターネット上で「国に言われたら戦争に行くのが正しい姿だと言ってるに等しい」などと批判が集まっている。これに対し、武藤氏はフェイスブックで「法制に反対するのは真の平和主義に忠実とは言えない」と反論。「世界中が助け合って平和を構築しようと努力している中に参加することは、日本に課せられた義務であり、正義の要請だ」と説明した。

 武藤氏は、報道圧力発言が出て批判された六月の自民党若手議員の勉強会に出席していた。

 民主党の枝野幸男幹事長は三日、国会内で記者団に「民意を受けとめて政治に反映させるべき衆院議員としての見識を疑う」と批判した。維新の党の柿沢未途幹事長も「権力を持つ政党の議員としてはもってのほかの発言だ」と述べた。自民党の谷垣禎一幹事長は記者会見で「舌足らずな発言だ」と述べるにとどめた。


◆「シールズ」学生ら反発 「みんなの思い」「全体主義見えた

 シールズのメンバーは主に10代から20代前半の学生。国会前でラップ調のリズムに乗って「民主主義って何だ」「立憲主義って何だ」とコールするなど、若者が参加しやすいスタイルが注目され、各地で呼応する動きも出ている。

 「戦争が嫌だというのは、個人の考えだけでなく、みんなの思いでもあるのに」。中心メンバーの国際基督教大4年、元山仁士郎さん(23)があきれる。「個人が重んじられる社会が許せないんでしょう。自民党の改憲草案にある全体主義的なものが垣間見えた気がする」

 同じく中心メンバーで明治学院大4年の奥田愛基(あき)さん(23)は「怒りもあるが、それ以上に権力を持つ政治家が語る言葉なのか。私たちは平和主義の下で誰も戦争に行かせたくないと主張していて、利己主義とは違うのだが」と首をひねった。
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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162357

自民・武藤貴也議員 「憲法が日本精神を破壊」の暴言で大炎上
2015年8月3日

     (安倍チルドレンにまともな議員はいない(武藤貴也議員のHPから))

 「マスコミを懲らしめろ」発言の自民党3国会議員といい、“安倍チルドレン”にはホント、ロクな人間がいない。自民党の武藤貴也衆院議員(36=滋賀4区)が、安保法案に反対するデモ活動を行っている学生たちの「SEALDs」を「極端な利己的考え」などとツイッターで批判し、大炎上している。

 問題の書き込みは7月30日。武藤議員は「SEALDs」のデモに対し、こうつぶやいたのだ。

   〈彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』
    という自分中心、極端な利己的考えに基づく〉
   〈利己的個人主義がここまで蔓延したのは
    戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ〉

 呆れるほど、トンチンカンで低レベルな書き込みだが、仰天書き込みはこれだけじゃない。7月23日のブログでは〈日本国憲法によって破壊された日本人的価値観〉と題し、憲法の三大原則(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)を批判。〈戦後の日本はこの三大原理を疑うことなく『至高のもの』として崇めてきた。(略)私はこの三つとも日本精神を破壊するものであり、大きな問題を孕んだ思想だと考えている〉と持論を展開しているのだ。

 よく国会議員になれたものだ。どんな人物なのか。

   「北海道出身で、高校卒業後、5年間のアルバイト生活を
    経て東京外大に入学。京大大学院在籍中に
    滋賀県議会会派の地域政党の政策スタッフになり、
    政治に関わるようになった。この地域政党は当時の
    嘉田知事を支持し、自民党と対立していたのですが、
    09年の総選挙に自民党候補で出馬して周囲を
    呆れさせました。12年の総選挙で初当選し、
    現在2期目。ちなみに『マスコミ懲らしめ』発言が
    出た党文化芸術懇話会のメンバーにも名を
    連ねています」(政治ジャーナリスト)

 こんな連中ばかりだから、安保法案は廃案にしないとダメなのだ。
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●本物を見分ける目

2011年03月24日 04時52分37秒 | Weblog


二つ紹介します。自戒を込めて、本物の言説を見分ける目を持ちたいものです。今だからこそ。そして、手遅れでなければ、未来のために。

 一つ目は、一昨日に続き、NPJ(News for the People in Japan、http://www.news-pj.net/index.html)に出ていました弁護士の方の二つの抗議文http://www.news-pj.net/comment/2011/sawafuji-20110321.htmlhttp://www.news-pj.net/comment/2011/sawafuji-20110322.html)をコピペさせていただきます。

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http://www.news-pj.net/comment/2011/sawafuji-20110321.html

社会不安を奇貨とした妄言を許すな
                     弁護士 澤藤統一郎 (2011年3月21日)

  大災害は社会不安をもたらす。多くの人々の不安の心理に付け込んで、妄言を吐く輩が跋扈する。牽強付会(けんきょうふかい)に災害の原因を解釈して見せ、都合の良いように人心を誘導しようとする。混乱のさなかには、時に大きな影響をもたらす危険ある言説として警戒を要する。石原慎太郎の「天罰発言」 もその例に洩れない。

  彼によれば、震災・津波の原因は、「我欲」 と 「ポピュリズム」 にある。つまりは、国民が我欲にとらわれ、政治がポピュリズムに陥っているから、天が罰を下して、震災と津波の被害をもたらした。したがって、「津波をうまく利用して、我欲を一回洗い落とす必要がある。日本人の心のあかをね」ということになる。彼の人心誘導の方向は、「我欲を洗い流す」 ことにある。

  彼のいう 「我欲」 の内実は必ずしも明確ではないが、「我」 の 「欲」 とは、「全体の利益」 「社会の調和」 「国家の繁栄」 などと対峙する個人の権利主張と理解するほかはない。「我欲を洗い落とす必要がある」とは、全体の利益ために個の抑制を求めるもの。何のことはない、滅私奉公・尽忠報国の焼き直しイデオロギーでしかない。ささやかな庶民の願いを 「非国民の我欲」 呼ばわりして圧殺した、ほんの少しの昔を思い起こさねばならない。

  もっとも、「ささやかな」 と限定することのない我欲を正当と認める立場が、経済制度としての資本主義であり、政治思想としての個人主義ないし自由主義である。国家は個人の我欲を抑圧する必要悪と位置づけられる。現行の制度は、我欲の衝突を調整する仕組みをそなえつつ、我欲を基本的に肯定している。

  これに反して、個人の我欲を否定し、国家・社会・民族の利益を第一義とする立場が全体主義である。石原を 「弱者に冷たい新自由主義者」 とするのは、実は褒めすぎ。「全体のために個人を否定する全体主義者」と評し直さなければならない。

  恐るべきは、石原の全体主義的言動に喝采を送る一定層が存在することである。その支持のうえに、3期12年もの都政のあかがたまった。これを一気に押し流す必要がある。「天罰発言」を石原ポピュリズム清算の天恵としよう



http://www.news-pj.net/comment/2011/sawafuji-20110322.html

都民は被災地の声に耳を傾けよう
                     弁護士 澤藤統一郎 (2011年3月22日)

  本日の毎日新聞 「記者の目」 の欄。釜石を故郷とする、社会部記者が地元に入って、災害の惨状を生々しく報告している。
  その中に、次の1節がある。

  「浜町の高台にある児童公園の物置小屋で、地元の消防団員らと夜を越す。ろうそくを囲み、気付けに回す日本酒に思いが噴き出す。『石原慎太郎(都知事)のばかたれが。何が天罰だ。おだつなよ(ふざけるなの意味)』。
  傍らから声が続く。『こんな時こそ、人間性や生き方が問われんだべよ』」

  激しく厳しい叱正と、冷静な人間評。いずれも何という痛烈な石原批判であろうか。石原は、「馬鹿たれ」 「おだつな」 と怒りをぶつけられているだけではない。人間性や生き方そのものを、根底から見すかされ否定され軽蔑されているのだ。

  この声は、一児童公園の物置にたまたま集まった人の声ではない。三陸全体の、いや東北関東被災地全土の声である。今は声を出すこともかなわない2万余の犠牲者の声であり、30万避難者の声でもある。日本全国の心ある人々の真っ当な声でもあろう。

  今、東京都民の民度が問われている都民は、このような恥さらしの人物を、またまた首長に選出するのであろうか

  政治家は、聖人君子である必要はない。しかし、庶民の悩みや苦しみを理解する能力のない者は、政治家失格である。苦悩する被災者に、「天罰」 と悪罵を投げつける石原を知事に選出するようなことがあれば、こんどは都民が日本中に恥を晒すことになる

  首都の首長選びには、全国の目がそそがれている。とりわけ、被災地から見つめられ姿勢を問われていることを忘れてはならない。投票行動によって都民の「人間性や生き方が問わている」 のだ
  石原が 「馬鹿たれ」 「おだつな」 と酷評を受けることは当然としても、都民が石原同様の批判を受けるようなことがあってはならない

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 もう一つは、THE JOURNALhttp://www.the-journal.jp/)に出ていました金平茂紀さんの記事http://www.the-journal.jp/contents/kanehira2010/2011/03/post_3.html)の一部をコピペさせていただきます。元文には現地のルポなどもあります。

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http://www.the-journal.jp/contents/kanehira2010/2011/03/post_3.html

私たちは大震災と原発惨事のさなかで何を考えるべきなのか? 

 人間の歴史には「切断点」がある。その出来事の前と後とでは、まるで風景が違って見え、価値観が変容し、情況が一変するような「切断点」がある。いま私たちはそのような「切断点」のただなかにいる。そのような「切断点」はかつてヒロシマの8月6日にあったかもしれない。あるいは1945年の8月15日にあったかもしれない。僕にはいま論理立てて今回の出来事を整序するだけの余裕がない。だから以下の文章は論理に裏打ちされたものではなく、目の前で進行している事象の素描を記すに過ぎない。だが何を記すかによって見えてくる風景はおのずと異なるだろう。

 ・・・・・・。

 福島第一原発の事故はこれまで世界で起きた原発事故のなかでも最悪級に近い様相を呈している。原子力工学とか原子炉設計とか、「原発に詳しい」専門家、学者たちが僕らのテレビ局のスタジオにやってきた。出演交渉したのは僕らの仲間だ。ある人は饒舌でまるでニュースキャスターのようだった。その後、危機が深刻化し、発電所近辺で放射線量が基準を超えるような事態になったあとも、それらの人々は「ただちに健康に害を及ぼすような量ではない」「全く健康には問題がない」などと繰り返していた。彼らにも家族がいるのだろうに。
 インターネット系のメディアは「御用学者」とストレートな表現で彼らを非難した。「御用学者」「御用マスコミ」をつくりだしたのは僕ら自身だ。原発の安全性については長く異議申し立てが行われていた事実が厳然としてある。故・高木仁三郎の残した言葉に耳を傾けてみよう。何人かのメディア学者や小説家がパニックに陥り、関西地方に家族ともども避難した。マスコミは電力会社と結託して真実を隠している、と彼らは発信している。原子力委員会や原子力安全委員会の人々はなぜか固い沈黙を守っている。有名シンガーたちがコンサートをキャンセルし、同じく関西地方に長期滞在するためのホテルを押さえたという醜悪な話が飛び交う。16日からの来日公演ステージをやりとげたシンディ・ローパーの方がよほど偉い。
 この事態に誰が何を言い、どのような行動をとるか、僕らはしっかりと見よう。誰が本物で誰が偽物かを凝視しよう。
 岩手県石巻市出身の作家・辺見庸は大震災のおそらく数週間前に『朝日ジャーナル』増刊2号に寄稿した文章「標なき終わりへの未来論」のなかで、こんなことを記していた。

すさまじい大地震がくるだろう。それをビジネスチャンスとねらっている者らはすでにいる。富める者たちはたくさん生きのこり、貧しい者たちはたくさん死ぬであろう。階級矛盾はどんどん拡大するのに、階級闘争は爆発的力をもたないだろう。性愛はますます衰頽するだろう。テクノロジーはまだまだ発展し、言語と思想はどんどん幼稚になっていくであろう。ひじょうに大きな原発事故があるだろう。労働組合はけんめいに労働者をうらぎりつづけるだろう。多くの新聞社、テレビ局が倒産するだろう。生き残ったテレビ局はそれでもバカ番組をつくりつづけるだろう。
                              (辺見、上記文章より)

 辺見は予言していたのだ。
 日本が大打撃を受けたことを見越して投機マネーがハイエナのような動きをみせて、円はあっさり戦後最高値を更新した。資本の論理とはそのようなものだ。日本の地震被害に哀悼の意を表したその同じ頭と手で、米・英・仏はリビアを空爆し(彼らは何にでも作戦名をつけるのを好む。「オデッセイの夜明け作戦」という傲慢で自己陶酔的な作戦名がつけられたそうだ。)、内戦状態にある国の一方に肩入れし、政体をひっくリ返そうとしているそれが民主主義なのだという日本の民主党政権はただちにその空爆を支持した。それを伝えるNHKの解説委員が「時間との戦いです」などと空爆全面支持をテレビでさらけ出していた。ちなみに、アメリカ政府の日本震災支援特別チームの調整役は、あの「沖縄はゆすりの名人」発言で更迭されたはずのケビン・メア国務省元日本部長がつとめており、その作戦名は「トモダチ作戦」だとか。これが僕らが直面している同盟国アメリカの支援のひとつの現実だ。
 もう一度記しておこう。この事態に誰が何を言い、どのような行動をとるか、僕らはしっかりと見よう。誰が本物で誰が偽物かを凝視しよう。
                      (大震災発生から10日目に記す。)

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