ACE KIDS ACADEMY

ACE KIDS ACADEMYは岡村ゼミナールの園児・小学生向けの珠算・習字・英会話部門です。

外国人材活用の条件(下) 多文化共生政策の推進を

2019-03-15 03:54:11 | 日記
外国人材活用の条件(下)

多文化共生政策の推進を
                                               山脇啓造 明治大学教授
経済教室

コラム(経済・政治)
2019/3/14付
日本経済新聞 朝刊

ポイント
○国は多文化共生政策への取り組み遅れる

○言語、教育、医療、住居など課題は幅広い

○基本法の制定や担当組織の設置が不可欠

2018年12月、改正入管法が成立し、政府は新たな外国人労働者受け入れのための在留資格「特定技能」を創設し、出入国在留管理庁を設置することとなった。

併せて同月下旬には「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」を取りまとめた。

法務省の統計によれば、18年6月末時点で約264万人の外国人が住んでいる。

在留外国人は特に1990年代以降増えた。

08年の世界金融危機と11年の東日本大震災の影響で一時期減ったが、13年以降は再び大きく増えている。

外国人受け入れに関する政策は、どのような外国人の入国をどの程度の規模で認めるかに関わる「出入国管理政策」と、入国した外国人を支援し社会の構成員として受け入れる「多文化共生政策」に分かれる。

後者は海外では「統合政策」とも呼ばれる。出入国管理政策と多文化共生政策は外国人受け入れの両輪だ。
18年の国会審議では、新たに受け入れる外国人労働者を「移民」と呼ぶかどうかが論争となった。

その呼び方にかかわらず、新たな外国人労働者受け入れが成功する鍵は多文化共生政策にある。

滞在が長期化するほど多文化共生政策のニーズは増し、短期の滞在だとしても就労・生活環境が良ければ外国人の満足度が上がり、社会との摩擦やあつれきが起きにくいからだ。

◇   ◇

出入国管理政策は国(日本では法務省)の所管だが、多文化共生政策は国と地方自治体が連携して取り組むべき分野だ。

しかし日本では長く自治体の取り組みが先行し、国の取り組みは遅れてきた。

自治体の外国人住民施策が進んだのは70年代以降だ。

当時、在日コリアンが多く居住する自治体で外国人を住民として受け入れる施策が進んだ。

一方、80年代に外国人労働者が増え、90年代に東海地方などで南米系日系人の定住化が進んだ。

外国語での情報提供や相談を受け付ける自治体が増えたが、外国人が急増した公営住宅ではゴミ出し、騒音、路上駐車などに関わる住民間のトラブルが起きた。

この状況を受け、00年代には総合的に外国人住民施策を進める自治体が増えた。

その時のキーワードが「多文化共生」だ。

総務省が05年度に設けた研究会は、地域での多文化共生を「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」とした。

そして多文化共生を国際交流、国際協力に続く「地域の国際化」の柱と位置づけた。

10年代になると、浜松市や東京都のようにグローバル都市をめざして外国人の活躍を支援する自治体が増えた。

また広島県安芸高田市(人口約3万人)のように外国人の移住・定住を促進し、地方創生の観点から多文化共生に取り組む小規模自治体も現れた。

これらの自治体では「多様性(ダイバーシティー)」がキーワードとなっている。

生活支援を中心とするそれまでの取り組みに対し、新しい観点に立った取り組みを、筆者は「多文化共生2.0」(バージョンアップした多文化共生)と呼んでいる(表参照)。

◇   ◇

政府の総合的対応策では、情報提供や相談の多言語対応と日本語教育が強調されている。

来日間もない外国人には情報を多言語で提供し、定住者には日本語教育を推進することが望ましいだろう。

一方、滞在の長短にかかわらず、医療や災害など命に関わる情報は多言語化のニーズが高い。

総合的対応策では、8~11言語による情報提供や相談をすることとなっている。

一部の自治体では以前から多言語対応が進んでいるが、最近注目されているのが「やさしい日本語」だ。

日本語を学習している外国人にわかりやすいように、簡単な語彙や文法で、短くはっきりと話す日本語のことを指す。

政府には「やさしい日本語」の普及に努めることを期待したい。

一方、日本語教育に関しては、超党派の国会議員連盟が日本語教育推進法案を準備して、今国会での成立を目指している。

定住外国人のための日本語教育の体制整備は喫緊の課題といえる。

現在ドイツや韓国など多くの先進国で、移民のための言語学習プログラムが用意されている。

次に生活環境の整備に関して、教育と医療は外国人住民にとって特に関心の高い分野だ。

文部科学省によれば、日本の公立学校で学ぶ外国人児童生徒は約8万人だ。

日本人児童生徒も合わせると、約4万4千人が日本語指導を必要としているが、その4分の1が日本語指導を受けていない(16年5月時点)。

一部の自治体では、独自の施策により外国人児童生徒などの支援に取り組んできた。

近年注目に値するのが横浜市だ。

17年度に日本語指導を集中的に行う拠点施設を設置した。

また以前から学校と地域が連携して、外国人児童生徒などを支援している(拙著「新多文化共生の学校づくり―横浜市の挑戦」参照)。

文科省には「多文化共生の学校づくり」を全国に広げることを期待したい。

また文科省は現在、外国人児童生徒などの教育を担う教員の養成・研修モデルプログラムの開発を進めている。

そうした教員の資格の創設も望まれる。

医療については、命に関わる情報として医療通訳体制の整備が大きな課題だ。

00年代以降、神奈川県や愛知県など30近い自治体などが医療通訳システムを立ち上げている。

国はそうした既存の地域システムの活用を前提に、全国の都道府県が医療・コミュニティー通訳の拠点を置くように支援すべきだ。

外国人住民にとって住居の確保も重要だ。

国が初めて実施した外国人住民実態調査の報告書(法務省、17年3月)によると、住居を探した外国人の約4割が外国人であることを理由に入居を拒否されている。

また前述したように、90年代に外国人の入居が集中した公営住宅でトラブルが起きたが、今後も同様な問題は起きるだろう。

そうした地域では、日本人住民と外国人住民を仲介し、共生社会づくりを担う人員の配置が必要だ。

10年代前半には外国人に対するヘイトスピーチの問題が大都市を中心に広がった。

前述の実態調査でも、住居探しや仕事探しの時にも差別を受ける実態が明らかになった。

国として人権の観点に立った多文化共生の意識啓発を推進するとともに、自治体が地域の多様な団体と連携した取り組みを進めるべきだろう。

筆者の大学では毎年学生たちが中心となり、キャンパスのある中野区と連携し、住民や区長をはじめ区の職員が参加するイベントを催し、共生の意識づくりに取り組んでいる。

◇   ◇

やまわき・けいぞう 東大法卒、コロンビア大修士(国際関係論)。
専門は移民政策、多文化共生

最後に、コミュニケーションや教育、医療、住居、意識啓発など様々な課題に取り組むための体制整備が重要だ。

国と自治体、企業や市民団体などがビジョンを共有し、連携・協働して多文化共生社会づくりに取り組むには、多文化共生を推進する基本法の制定と担当組織の設置が不可欠だ。

先進国の多くは、移民の統合を進める法律を制定している。

ドイツでは05年1月に移住法を施行するとともに、内務省に連邦移住難民庁が設置され、移民のためのドイツ語学習を中心とする統合コースが始まった。

韓国も07年に在韓外国人処遇基本法を制定し、法務省に出入国・外国人政策本部を設置し、09年から社会統合プログラムを運営している。

諸外国や国内の自治体が積み重ねてきた取り組みを参考に、日本も体制整備を進めていく必要がある。

以上
ジャンル:
ウェブログ
この記事についてブログを書く
« 3月14日、CJAにとり貴重な「... | トップ | 3/15(金)現在の 201... »
最近の画像もっと見る

日記」カテゴリの最新記事