acc-j茨城 山岳会日記

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八ヶ岳西面・無名峰北稜(中退)、小同心クラック

2012年01月16日 02時51分03秒 | 山行速報(雪山・アイス)
八ヶ岳西面・無名峰北稜(中退)、小同心クラック

1/6.7で八ヶ岳西面。
去年は結局、冬らしい冬は那須岳東南稜だけで終わってしまった。
3月後半、八ヶ岳の計画もあったが、災禍でそれどころではなくなったわけだ。

ということで二年ぶりの八ヶ岳。
新年登山としては良いスタ-トだ。

今年の八ヶ岳は雪が少ないらしい。
年始パ-ティ-情報では赤岳鉱泉で例年の半分以下などとも聞く。
その寡雪ならばと計画では初日に無名峰北稜、二日目に小同心右稜~小同心北壁というマイナ-チョイス。

しかし、山行前にまとまった降雪があったらしい。
美濃戸口で10数センチの積雪。
暗がりをヘッデンの灯りで切り裂き歩くこの感覚がいい。空には冬の星座が瞬く。



このたびの山行はGRさん、sak、東京のARさんという3名。
赤岳鉱泉で幕の準備を整えたら、小同心ルンゼを目指す。
沢筋に入るとラッセル。この先の石尊稜は人気ル-ト。柳川右俣はひざ下程度でかすかなトレ-スもある。
しかし、小同心ルンゼへと入ると途端に股下~腰ラッセル。



途中、掻きだした雪の中からヘルメットが・・・。
「だれか埋まってんじゃねえの?」
凍りつく三人。

慎重に掘り下げると、結局はヘルメットだけ。
少しホッとした。

さらに進むと沢が開ける。
どうやら左岸の尾根に上がるらしい。



しかしこのあたり、ふわふわの新雪は足元が固まらず際限ないと思わせるほど沈み込む。
傾斜も増してきて、途端に胸ラッセル。
地道に高度を上げて最後は岩とのミックスをアイゼンとダブルアックスで稜上まで。



そこから薮と雪をかき分けると北稜の下部岩稜。
一見、薮も多く容易に見えるが、明瞭な支点はない。
3:10。
1ピッチザイルを伸ばすが、今日はここで時間切れ。往路を戻る。

さて、こうなると翌日の計画を考えてしまう。
当初は今日のトレ-スを再利用して小同心右稜へと進める予定であったが、この新雪ではマイナ-ル-トの右稜も苦戦を強いられることが容易に想像できた。
ましてや、小同心北壁など、最近登っているのかどうかも不明。
ということで、翌日は大同心稜~小同心クラックとする。

さすがの八ヶ岳。夜は冷え込んだが、豊富なツマミと飯をたらふく食べて、ガスをガンガンたいて凍えることなく眠りについた。

二日目。
どんよりとガスがかかってモノト-ンの世界。
しばらく様子を見て、結局8:30の出発。

少しばかり期待していた大同心稜のトレ-スも下部で大同心ルンゼへと消えて行った。
交代で膝ラッセル。急登にペ-スも落ちるが、昨日のアリジゴク的精神負担がないのでまだいい。
大同心基部からトラバ-ス、小同心北壁を観察しながら取付きへと進むが、結構きわどい場面も。
以前来た時のイメ-ジとは大分違う。やはり積雪量で難度も変わるのだろう。







小同心クラックはアバタ状の岩壁に新雪を蓄え、それが時に綿毛のようにフワリフワリと風に舞う。
このころには天気も回復。
12:00。太陽燦々、登攀開始。





小同心クラックは顕著な凹角~チムニ-を大胆に足を開いて登っていく。
足が決まれば快適に高度を上げていくことができ、高度感はスバラシイ。
1.2ピッチが醍醐味で3ピッチは容易。
終了点こそペツルがあるものの、中間支点はプアな場面も。

途中、大同心稜を登ってくる後続を見る。おそらくは、我々のトレ-スを踏襲してきたはずだ。
そうなると、ほんの少しだけ気分がいいものだ。
それなりきの苦労は伴うものの、雪山に初めにつけるトレ-スにはそれだけの価値がある。
昨日、今日の奮闘はなかなかシンドイ場面もあったが、今になって改めてそう思う。



小同心の頭からはコンテで横岳直下まで。
そこから2ピッチで横岳山頂。さすがに稜上は風が強い。
15:20。

ブロッケンの怪物が出るが、この強風下、決して余裕の時間帯ではない。
休憩もそこそこに、装備を畳むだけとして下山。
大同心稜を行く計画であったが、寡雪と強風を理由に上部大同心ルンゼ通過を回避し、硫黄岳経由。
しかし、途中、エネルギ-切れ顕著でペ-スが落ちた。



結局ヘッデンのお世話になって赤岳鉱泉。
荷物をまとめて18:40発。美濃戸~美濃戸口に20:45。

ラッセルに汗し、快適な登攀、強風に叩かれ、最後の最後に長い林道歩き(笑)。
実に冬の八ヶ岳らしい山行であった。
入山のときのように、冬の星座を見上げる。
そしてあの歌を口ずさむ。息は白く、暗闇に映える。


sak



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