Hippo日記

オーディオの事や感動した音楽の話し、お勧めの癒しの音楽など、徒然なるままに書いてみたいと思います。

デスクトップ・スピーカー 試作中その8

2018年08月29日 | 製品紹介

 

 

今晩は。デスクトップ・スピーカーのキャビネット量産のためのレジン注型型の製作中で、まだ時間がかかります。待っている間に、手作りスピーカーユニットの仕込み製作をやっています。

さて、このスピーカーシステムの全般的な話やもう少し突っ込んだお話など、まだ書き足りなかった事があるので、今日はそのご紹介をしたいと思います。

 

<<< 技術的特長について >>>

 

・ 曲面キャビネット

音波回折現象による歪み音の低減効果については、実はそれほど重視していません。しかし、曲面形状により、キャビネット鳴きの癖が低減されて、ナチュラルな音質になる事は重視しています。本機では、底板についても凹み形状にして、平らな板面を無くしています。

 

・ 超軽量吸音材

スピーカーユニットが如何に正確に音を出しても、キャビネットが余計な響きを付け加えたら本末転倒です。本機の特製ユニットは、それ自身でしっかりした音力を出せますので、キャビネット内部の雑音は徹底的に除去する必要があります。また、本機の曲面キャビネット内部には定在波は立ちませんが、残響が無くなる訳ではありませんので、吸音は必須です。(平行面を無くしたキャビネットには吸音材が不要であるというのは、完全に誤解です)超軽量吸音材は、高品位な水鳥の綿毛のみを使用しており、非常に軽く、且つ超緻密でしなやかですので、これをキャビネットにたっぷりと充填しても、音が重くなったり、癖が出たり、覇気が無くなったりはしません。

 

・ 大型フレアー付きバスレフダクト

超小型スピーカーではダクト径も小さくなるので、動作時の風切り音が大いに問題になります。ダクト開口のフレアー化は欠かせません。(試作Box写真↑では小さなR面取りですが、製品版では大型フレア化します)ところで、「バスレフは低音が遅れる」というのは誤解がありますので、詳しくは→ こちらをご覧ください。

 

※ 写真↑は振動系をまとめて製作している様子(肝心な部分は見えませんが悪しからず)
※ この写真には著作権があります。無断使用、転用は固くお断り致します。

 

・ 特別仕様の手作りスピーカーユニット(6cmフルレンジスピーカー、F60A型)

① フローティングマウント+グランドマス一体型ユニット
写真(↑↑)の黒い樹脂製フレームの内側にクッション材をかませて、ユニット本体(+グランドマス)を機械絶縁しています。お尻の灰色の部分がグランドマスです。このところ振動系の話ばかりしていましたが、周辺技術も超贅沢な内容です。小口径ユニットほど効果度が高くなります。大口径ユニットと比較すると、SPLの割には振動系質量が大きくなるので、駆動力の反力処理の重要性も高くなります。雑味のない高解像度、柔らかいのにパンチの効いた音、しっかりした低音感が特長です。磁気回路直結のグランドマスが効率良く反力をロックし、共振もないので、硬く重いキャビネットでは実現できない低歪み高SNな音質が可能です。

※ 以下普通に言えば「高剛性アルミコーンを採用」という言い方になりますが、当社の場合は、”高構造剛性の振動系”を採用したユニットとなります。何が違うのか、下記にてご理解いただければと思います。

② 高強度ボビン
重いボイスコイルと振動板の間をつなぐ構造物であり、強い応力がかかります。しかもコーンの変形による応力も支えます。ところが、本機の様な小口径ユニットでは、ボビンを意図的に(指で押すとペコペコする様な)薄い紙で作って、ピーキーな音にならない様に、力を吸収する構造にしたりします。高剛性アルミコーンなどと謳いながら、見えない部分では軟構造になっていたりするので、メーカーの言う事は鵜呑みにしてはなりません。勿論F60Aでは、アルミシート材を含む複数の素材をエポキシで一体化した鳴きにくい厚肉高強度材(肉厚は大切!)で構成しています。ボイスコイルの駆動力をダイレクトに振動板に導きます。音力、解像度が違います。ピーキーな音にならないかですと? 普通にやったらそうなります。ここでは高度な制振技術を併用する事で真価を発揮します。

③ 厚肉コーンネック
普通のコーンは内周から外周まで同じ厚さの一枚シートをプレスして作りますが、それでは応力の集中するコーンネックの剛性が不足します。F60Aでは、ボビンとコーンの接合部を一体形状として非常に分厚く作り、コーン外周に向かって徐々に薄くなるという、製作の難しい構造となっています。量産ラインでは、この様な凝った作り込みはまず出来ません。当社手作りならではの贅沢な作りです。生々しい肉質感が本機の真骨頂です。マッシヴでしっかりした音力が得られ、応答が良くてパンチも効きます。混声合唱やオーケストラでも、破綻したり混濁したりしません。

④ 超軽量コーンダンプ処理
軽量高損失な発泡粘弾性材を適量に手貼りして、コーンに重量負担をかけずに、制振を行っています。金属臭い響きを徹底排除し、柔らかいのにクリアーな音質を得ています。

⑤ 超軽量エッヂダンプ処理
上記と同様にして、エッヂダンプも行っています。ハイエンドな高SN再生に寄与します。ゴムエッヂ自体にプレスで凹凸を付けるよりも高い制振効果があります。これも手作りならではの贅沢仕様です。

⑥ 超軽量スーパー制振システム
大袈裟な名前にしてみましたが、秘伝中の秘伝なので詳細についてはご容赦願います。上の写真では見えないところに仕込まれています。硬い構造体では大幅に内部損失が不足します。なので、高性能な制振装置は車の両輪のごとく、欠く事の出来ない要素です。共振点の分散した構造なら制振は不要? まぁ、やわな振動系では成り立つ話ですが、本気で構造剛性を高くすると、制振の方も高度な工夫が必要になります。

 

以上にて、相対的には、やはりユニットそのものに重点が置かれていることになりますが、とにかく組み立てるのが大変なのです。米粒の様な部品を30個近く、虫眼鏡とピンセットや注射器を使って根気よく組み込みます。光悦のレコード針とまでは言いませんが、ボトルシップの組み立ての様な感じです。結局のところ、ずっと高価な上級機種と同じくらいの手間がかかります! それなりの価格設定を予定していますが、それでも合わない仕事になりそうな・・・(涙) それでもハンチクな仕事は提供しない、という意地でやっております。

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信頼できるスピーカーとは?

2018年08月21日 | オーディオいろいろ

 

・・・音楽を作る上でも、聞く上でも信頼できるスピーカーとはどんなものなのでしょうか?

 

先日Summit_Ridge様よりコメントをいただきました。(ありがとうござます)

それで、周波数特性がフラットで低歪みで・・・といった毒にも薬にもならない教科書の様な回答は期待されていませんよね? よろしい、それでは、煩い説教じじいの様な回答をさせていただきます。あしからずお付き合いください。(^^

なにげに深いテーマですね!

ところで、日本塗料工業会の色見本帳というものがあります。見本帳の中から希望の色を探し出して、その色番号を指定すれば間違いなく希望の色の塗料が手に入ります。ひるがえって、スピーカーはどうでしょうか? 音色はいろいろなので、正しく録音/再生されているのかあてにならない!! 赤だと思っていたのにオレンジ色だった、という程度の違いは日常茶飯事です。スピーカーが登場して1世紀近いのに、なぜ未だにこんなことになっているのでしょうか? それは、装置としての完成度が非常に低いから、としか言いようがありませんね。(8/23追記→)音色感というものは、周波数特性(静的な正弦波応答)がフラットかどうかとは別次元の(複合信号による)動的特性の問題であると考えます。現状は高度な聴感判定と手探りが必要です。難しい話が敬遠されるのは分かりますが、この問題に本気で向き合わないと、スピーカーの本質的進歩はないと考えます。この点ではヴィンテージオーディオ時代よりも現在の方が退廃しているように感じます。

それで、最近私が吠えているのは、振動系そのものの作りが悪すぎる・・・という話になりますが、今日はこの話題はしません。

 

<<< まずは耳を肥やしましょう >>>

 

良いスピーカーが有るにせよ、無いにせよ、耳(センス)がなければ良い音は作れません。最上級のモニターを使用したとしても、作り手/聞き手の認知を超えた音作りは、所詮不可能なのです。

それから、クラシックが好きでなかったとしても、修行だと思って是非聞いて下さい。CDを聴くという事ではなくて、(オーケストラ等の)生演奏を聴いて下さい。クラシック以外のジャンルでは、生演奏でもスピーカーから出る音を聴くことになりますが、大規模なアコースティック楽器の生音では、他のジャンルとは桁違いの質と情報量がありますので、音の魅力感とは何かについて学べるものがあるはずです。但し、素人の無料演奏会等ではなくて、お小遣いを貯めて、大枚をはたいて一流の演奏家のコンサートを聴いて下さい。音のクォリティには雲泥の差がありますから。

そうして、自分の出したい良い音をはっきり持っていれば、必要なスピーカーは自分で選ばざるを得なくなります。正しい選択かどうかは気にしないで下さい、その時自分が正しいと思ったものを選択するしかないのです。問題意識が変化すれば選択も変化する事になります。評論家が褒めているとか、沢山売れているとか、その様な価値観で選んでいたら、自分の求める音が判らなくなってしまいます。いつも良い音とは何かという問題意識を持つことが大切なのです。

如何でしょうか? 「あんたに食わすものはないよ」と、ラーメン屋の頑固オヤジが言うセリフよりはずっと丁寧にお話し出来たつもりですが・・・(^^

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平板型とコーン型どちらが良い?

2018年08月17日 | オーディオいろいろ

 

平板型については、大手の某S社では音質的にNGと結論付けて、撤退したと伝え聞いています。私も同じ見解ですが、注目すべき重要点があるので、これについて話題にしてみたいと思います。

<<< 平板型は平面波が出る? >>>

平面波と球面波どちらが音が良いかという実験はした事がないし、実際のところ不可能だと思います。但し静電型等の膜型スピーカーは音色感も構造も大きく異なるので、ここではあくまでも一般的なボイスコイル駆動のコーン型と平板型の比較という話題に絞らせていただきます。

まずは、平面波を出すためには、波長に対して極めて大きな直径の振動板が必要になります。少なくとも一般的な小口径のスピーカーは、コーン型、平面型問わずに球面波と考えて差し支えないと思います。

もう一つ注意点があります。波長の短い高音域でも、今度はボイスコイル(ボビン)周辺だけが振動して音を出しますので、ますます球面波に近くなると思います。

要するに、振動板は分割振動からは逃れられないので、振動板の見た目が平面だとかコーン型だとかで波面の形を論じてもあまり意味がない、というのが私の結論です。

<<< 音質的な問題点はどこにあるか >>>

要は見た目が平らかどうかではなくて、振動板固有の機械的な音色が最大の問題点であると考えます。そうすると、いつも話題にしている構造剛性の問題になります。

コーン型とかドーム型というのは、形状そのものが構造剛性を作り出しますので、無理、無駄のない自然な(軽くて硬い)形状なのです。昔からのスタンダードには、それなりの理由がある訳です。

さて、平板でも分厚いサンドイッチ構造にすれば剛性が高くなりますが、重量も思った以上に重くなります。いつも剛性の話しかしませんでしたが、正確には剛性と質量の比が大切で、硬くても重ければ意味が無くなります。それから、サンドイッチ材を厚く作ると、コア材自体の音質が問題になるので、決して扱いやすい素材ではありません。この点では、コーン型やドーム型を超えるのはかなり難しいと思われます。

そして、以下私のいつもの話題になってしまいますが、コーン型にせよ、ほとんどの市販品では(いろいろと事情があって)剛性不足です。剛性不足の振動系では、細身の奇麗な音は出せても、音力とか、肉質感、或いはしっかりした低音感が出ないのが特徴になります。また、混声合唱やオーケストラでは、混濁したり、耳を刺すような歪みが出ます。この事は、現在進行中の僅か6cm口径のフルレンジでさえ同様です。振動系というのは、極限まで軽く且つ硬く作る必要があって、無理、無駄のある形状や構造はご法度なのです。

※ 高構造剛性の振動系では、制振構造も非常に重要になりますが、話が混み入るので省略しました。

 

 

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吸音材は必要悪か?

2018年08月10日 | オーディオいろいろ

 

吸音材は最小限にすべし、というのが一般論でしょうか? 今日は最新の私の知見をご紹介してみたいと思います。

<<<< 何故吸音材を沢山入れてはいけないのか? >>>>

この話題に入る前に、「何故吸音材が必要なのか」が先ですね。

吸音材の扱いを解りにくくしているのは、複数の異なる役割やデメリットを含んでいる事が原因かと思います。教科書的には、スピーカーユニット低音特性(Q)の調整機能とキャビネット内の反響音(=ノイズ)の吸収です。これら二つの異なる機能を、吸音材の充填量で調整するのですから、たしかに解りにくい話ですね。しかし、吸音材はあまり低音を吸音しないので、適当に多めに入れれば、本来はそれほど難しくなくまとまるはずです。

ところが!ですね。

沢山充填して起こる主な問題点とは、

・ 低音が薄い、或いは厚み感が出ない。音に力がない。

・ 音が死ぬ(覇気のない音になる)

さて、これら二つの事柄は全く違う問題点なのですが、一般にはごちゃまぜにされていて、「音が死ぬ」という言い方になっているような気がします。

 まずは音が死ぬ問題について。

これはアコースティック・サスペンション方式のデメリットとしてお馴染みの話ですね。私も確認のため、吸音材を力を込めてぎゅうぎゅうと充填して試したことがあります。この時の音は、中高音域にコンプレッサーをかけた様な状態になって、音量設定を上げても、音圧が上がらない様な状態になりました。まったく音が伸びない、フン詰まりで聴いていて嫌になる音でした。中高音が抑えられるので、相対的に低音が残る感じです。

実はこの事は、超軽量吸音材を考案する際に参考になったエピソードでもあります。この死んだ音の非線形な応答感の原因は、吸音材の質量がユニットの振動板に対して空気を介した質量負荷となり、振動板の動きを阻害しているものと想像しています。理想の吸音材は、質量ゼロの音響抵抗だけの物体ではないか?という問題意識です。

話がそれましたが、アコサス方式は既に歴史的評価が下されたと言ってよろしいかと思いますので、普通にたっぷり吸音材を入れるところ迄で考えれば、音が死ぬという事はどちらかと言えば高度で微妙な話しかと思います。

さて、次が本当の問題点だと思いますが、厚み感や音力が出ない問題です

これには非常に根深い問題があると思います。吸音材を入れると低音が薄くなるというのは間違いで、私に言わせれば「低音がしっかり出ないユニットの問題があらわにされてしまう」という事です。キャビネットの板鳴りや空洞共鳴を利用しないと、厚み感や音力が出ないという現実に疑問を感じませんか? 実は、ちゃんとしたマッシヴ・ウーファーではこの様な問題は本質的に起こらないのです。

その様な訳で、私の結論としては、

吸音材はたっぷり入れて、キャビネット内部の反響音をしっかり除去するのが、本来の高忠実度再生です。そして、吸音処理によってボロの出てしまう様なユニットはもうやめにしましょう! 良いスピーカーシステムのためには、ユニット(デカイ磁気回路とか立派なフレームではなくて、振動系そのもの!)にもっとコストをかけるべきです。吸音材の問題は吸音材にあらず。実はユニット(振動系の構造剛性)の問題なのです。

 

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超軽量吸音材が扱い易くなりました!

2018年08月03日 | 製品紹介

 

超軽量吸音材とは何ぞや? →こちらをご覧ください

非常に軽くて緻密な吸音材(特選ダウン100%)なので、振動板の負担にならずに、キャビネット内の反響音を抑えることが出来る吸音材です。当社で特許を出した肝いり製品ですが、ダウンを直接キャビネットに充填するために、ダウンが飛散したり、ユニットの背面に防塵カバーを付けたりと面倒な手続きがありまして、自社の完成品システムでも作業が大変で困っていました。

さて、そこで登場させたのが、上の写真の様な不織布パックにダウンを充填した製品です。既に完成品システムでは採用しているのですが、ホームページにアップする時間が取れなくて、やっとご紹介となった次第です。

また、大型Boxに大量に充填する場合は、目の細かいタイプの洗濯ネットに詰めて使用すると大変便利です。

上記の処理をすれば、通常のスピーカーユニットについては、防塵カバーが無くても問題ありません。但し、磁気回路部に通気穴があって外から直接中が見える様なタイプや、ベントホールに防塵カバーが付いていない物については、従来通り防塵ネットを装着してください。バスレフダクトには、やはり防塵ネットを付けた方が良いです。微小ダウンの僅かな漏出も、ほぼ完全に無くせます。

製品の詳細は →こちらから

 

お知らせ
来週の8/6~8/10の間、スタッフ研修のため休業させていただきます。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

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