Hippo日記

オーディオの事や感動した音楽の話し、お勧めの癒しの音楽など、徒然なるままに書いてみたいと思います。

コーヒーブレイク 時代遅れの振動板技術

2021年03月20日 | オーディオいろいろ

 

「何をナマイキな!」と思っていただければ、本日のタイトル名は成功です。(笑)

これまでDSSダイアフラムの開発をやっていて、実は私自身、やっと最近気が付いた事ですが・・・

 

副題として 板構造から殻構造へ

 

前振りとして、卵の殻にご注目を。軽くて頑丈なその理由は、正に ”殻形状” にあります。同じ卵の殻を平らに広げて板にしたとすると、ヘナヘナで強度のない単なる薄い板になります。

さて、ここで自動車のモノコックボディを取り上げます。最近は省エネのための軽量化技術が進歩しています。昔はアルミ(軽金属)製のボディを試作して、軽量化を実現!などと言っていましたが、現代は軽金属ではなく、 ”高張力鋼” というハガネ材の一種を使用しています。比重の重い金属を使っているのに、この方がかえって軽量化出来るのです。

重いのに軽いとは?

つまりこういう事です。板を組み合わせた(旧来の)構造体を作る場合は、その素材の ”板としての剛性” が重要なので、厚みのある軽金属を使った方が軽量化には有利です。常識ですね? ところが、プレス成型や溶接技術の進歩した現代のモノコックボディは ”殻” 構造であり、素材としての板剛性は重要ではないのです。殻構造は、板厚ではなく、”張力” で支えられるからです。即ち、硬さと強度の高い高張力鋼であれば、極薄材に加工して使用する事によってかえって軽量化が可能、という仕組みです。

それではスピーカーの振動板を見てみましょう。

コーン型振動板にせよドーム型振動板にせよ、その形状効果による剛性が重要な役割を果たしていますが、殻構造の様な閉じた形状ではありません。なので、形状効果のご利益にも限りがあるので、素材の板としての剛性は重要です。ですから比重の軽い素材で厚みを稼ぐ事が肝要でした。

さて、自動車は殻構造によって軽量化を図っているのに、スピーカーは構造改革なしに、未だに素材論ばかりで、これを売りにして商売をしています。時代遅れだと言わざるを得ないと思います。

※ 付け加えますが、コーン型スピーカーの技術は半世紀前に ”紙コーン” として完成されたものであり、高い完成度で完結していると思います。同じ構造のままハイテク素材の振動板に置き換えて性能が良くなったと言っても、私の問題意識からすると無理筋に感じられます。コーン型特有の宿命的問題点から逃れる事は出来ないので、延々と堂々巡りをしている様に思われます。食わず嫌いかもしれませんから、ビンテージの名器をお聴きになると良いと思います。音楽が楽しく聴ける、いい音がします。現代のトレンドは、低歪みでフラットな代わりに、死んだつまらない音(← コーン型特有の技術的トレードオフが原因)ではないでしょうか。

※ ドーム型や、波形状に加工された物も同様です。いずれも閉じた殻構造ではなくて開いた構造体なので、波型のトタン屋根と同じで、特定の方向には剛性がありますが、捩じる様な方向の応力には全く弱いのが根本的弱点です。2021/04/01追記

 

ところで、DSSダイアフラムという殻構造の振動板を喧伝する私ですが、頭は古いので、素材としては軽金属を疑いもなく使っていました・・・(^^;

ところが、試しに極薄のハガネ材を使ってみると・・・ムフフ!という展開になっています。

 

 

※ 日本語では、菱形・殻構造・振動板

 

 

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コーヒーブレイク f特フラットではダメな理由

2021年01月23日 | オーディオいろいろ

 

「周波数特性がこんなにフラットになりました。凄いでしょう?」という下りはオーディオマニアの間でいつも話題になる事ですね。

それでもって、当ブログはスピーカーの特殊技術について語っている割に、f特(周波数特性)の話を忌み嫌っている事は、ご高覧いただいている皆様におかれては既にお感じの事かと思います。

今日は、その決定的な理由について話題にしたいと思います。

一般的には、f特がフラットなほど自然な音になるというご理解かと思います。それでもこれを否定するのは何故だと思われますか? Mr. Hippoはひねくれているのでしょうか・・・

漠然とお気づきの方も多いかと思いますが、音色感のコントロールこそが本当の問題です。経験豊富な方ほど実感があるかと思いますが、例えば腰高な音色感で困っていても、f特をフラットにしたからと言っても、解決した試しがありませんでしょう? 反対にクリアー感に不満があっても、f特では解決できません。音色感が良くないと、バランスも悪く聴こえます。仕方がないので、腰高な場合は、例えばトゥイーターのレベルを意図的に下げる事で疑似的にバランスをとることになります。何でもかんでも ”f特フラット” ではダメなのです。

アマチュアのスピーカー自作において、でたらめなバランスにならないための指針として、f特測定は役に立つと? まあ否定はしません。それから、マルチシステムでの肩特性の調整作業では必須の道具です。しかし・・・

少し言い方を変えます。ユニットやシステムの出来上がった製品のf特に関心を示す方が多いようですが、これで音質が分かると考えるのはおやめになった方がよろしいかと思います。ご自宅のシステムのフラットネスを気にするのもお勧めしません。f特を変化させて、良くなったという話はよく聞きますが、時間が経つと気に入らなくなります。そして堂々巡りを繰り返す事になります。何故だと思われますか?

私の場合は、DSS-Diaphragmの開発で実感しましたが、従来型のスピーカーの振動板というものは、たとえ高剛性素材を使用していても、実は中音域から分割振動が始まっていて、f特をフラットにしても

・解像度が低い

・音が濁っている

という問題はまったく改善できないからです。前回のアップでこの様子を見える化した通りの事で、一旦鮮度の落ちてしまった素材は、煮ても焼いても美味しくならないのです。ウスターソースやマヨネーズをかけたりして、味が変わることで何となく満足しても、遅かれ早かれ「やっぱり美味しくない」という事に気が付くことになるのです。これが堂々巡りの原因という訳ですし、f特に拘っても無意味である事の理由です。

だから今後はDSS-Diaphragmにするべし、という宣伝は横に置いておいて、現実問題としては、やはり味付けでごまかす(人聞きの悪い表現で恐縮ですが)しか方法はありません。エッヂを立ててジャズ向きの音作りにして、その代わりクラシックは煩くて聴けない、といった ”割り切り” というものが必ず必要です。これを絶妙に行って、ハマる人に合わせて提供するという事がプロの音作りという事になります。

”音作り” と ”f特” は全く別の話です。f特とはあくまでも粗調整であり、音決めと混同してはなりません。

料理の世界は、お客さんが何を食べたいのか、暑い日で汗をかいていないか等、色々な状況を見て、最もおいしいと感じると思われる味付けで提供するのが味作りだと思います。オーディオでは、装置の”癖”、お客さんの好みのジャンルなど色々な要素を鑑みて音作りをして、「これが欲しかった」と言わせられれば大成功という事かと思います。

「もっと理論的な音作りは出来ないのか」と仰りたい方もおられますね? 残念ながら、特に従来のスピーカーは解像度が非常に低いので、色々な味付けは必須だと思います。理論派の音作りには魅力感が無い、聴く耳が無いのではないか、と言われる事があるのはこの事(味付けのスキルが無い事)に起因すると思います。

それで、私は上記の様な好みの有無に関わらず、とにかく素材(音源)そのものをダイレクトに再現したいと考えている訳で、根本問題の解像度の向上を主眼にDSS-Diaphragmの開発をやっている事になります。最後は宣伝になりましたが・・・(^^

追伸

でもやはり、最後の仕上げに隠し味は付けると思います。

 

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コーヒーブレイク 音の解像度とは?

2021年01月15日 | オーディオいろいろ

 

音の解像度とはどの様な物か、説明が難しいですよね。ですが、ことスピーカーに関しては重要な問題であると思いますので、見える化してみたいと思います。

ところで、映像の解像度については分かり易い話になっていて、信号周波数の帯域幅が広いほど詳細(高解像度)な画像が表示出来るという事になっていますね。

同じ原理で、音についても信号帯域幅が広いほど詳細な音が再現できる、という意味合いでハイレゾ(High Resolution)という言葉が登場しました。しかしここでご注意いただきたいのは、特にスピーカーというものは、使用帯域内に沢山の共振現象を含んでいるので、波形再現性が非常に悪く、再生帯域の広い狭いとは関わりなく「解像度が低い!」という問題があります。

当社で開発途上のDSS-Diaphragm(用語説明は →こちらから)の完成度が高まり、濁りの無い音が再生出来る様になって来ますと、従来のスピーカーの濁った解像度の低い音が非常に気になる様になって来ました。スピーカーの低解像度な音が常識となっていますので、多くの方々はもはや慣れっこになってしまっている事にも気が付きました。

結局のところ、低音がどうとか、高音がどうとか、調味料を濃くして味付けを濃くしないと、美味しい音楽が楽しめないという「高忠実度再生」に逆行した音作りをしなければならないという本末転倒な状況に陥っている現状は、根本的な音の解像度が不十分な事に起因しているものと考えます。

今日は、この状態を見える化してみたいと思います。

 

フランクフルトの朝市の風景です。この画質を基準としてみましょう。

 

↑ 解像度を1/3に落としたものです。ボケていてリアリティがありませんね。スピーカーの根本レベルは、私に言わせればこんなイメージです。

 

↑ 輪郭強調をかけてみました。オーディオ的には中高音域に強調感を付けて「エッヂを効かせた」状態です。メリハリ感が出ると言えばそうかもしれません。しかし解像度が上がっている訳ではなく、一番手前の角に盛られている野菜が ”カブ” である事は分かりませんし、その右手の細い人参の本数も数えられそうで数えられません。それにしても、ザラザラして、見ていて疲れる不自然さがあります。疲れる音です。(←意味分かりますね?)

 

↑ 楽器の様に共鳴するスピーカーBoxを利用して、”赤い音” や ”黄色い音” を強調してみました。鮮やかな音色感になったでしょうか?

 

それでは、弄っていない原音に戻ってみましょう。下の写真が「原音」です。

 

如何ですか? ホッとしますでしょう? メリハリ感? そんなものが必要ですか?オーディオは所詮好みの問題ですか? 好み論は構いませんけれど、とにかく原音の解像度を再現してからの話にしませんか? 私の場合は、原音そのものを弄らずに楽しむ事が演奏家に対する礼儀であると思っておりますので、好みでメリハリをつけるとか、そういう事には関心がありません。

という訳で、やれケーブルを変えると細かいノイズが聴きとれるとか、オカルトアクサリーを取り付けると解像度が上がるとか、素材の鮮度がそもそも悪ければ、なんぼ調味料を振りかけても、いい味にはなりません。音の出口たるスピーカーの解像度の根本改善が必要であると強く認識しつつ、DSS-Diaphragmスピーカーの開発を鋭意進めております。

 

 

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超硬振動板の音質・最前線

2020年12月18日 | オーディオいろいろ

※Monitor-061のキャビネットに搭載した実験室チャンピオンユニット

 

先週、最新の知見で試作した実験室チャンピオンユニット(6cm超硬振動板フルレンジ)ですが、その後色々な音楽を鳴らしてみて改めて気づいた点をまとめてみたいと思います。

このチャンピオンユニットは、聴感上は約9kHzまでは完全に分割振動を排除しました。但しベースユニットの仕様の都合でボイスコイルボビンが軟弱で、約9kHzでボビン共振を起こします。即ち振動板そのものの共振開始周波数は更に高い可能性があります。(面倒なので、ボビンに手を加えるつもりはありません。販売の予定もありません。)

もう少し付け加えますと、周波数特性の凸凹から分割振動の状態を判定するのは不可能です。勿論はっきり分かる様なピーク、ディップがあるのは論外です。ですが、特定の音高で音色に違和感があったり、ビリったりしますので、慣れると聴感でまったく簡単に判定できます。試聴用ソースには様々な音高が網羅される必要がありますので、結構沢山の曲を聴きます。

そして、分割振動を無くすると音質的に何が良いのか、という事が本日の主題でした。以前より、超硬振動板の音質については何度も話題にしましたので、ここでは省略させていただき、下記に新しい視点で述べたいと思います。

 

さて、このチャンピオンシステムを某専門家様宅に持ち込んで、試聴していただきました。

聴いていただいての第一声は、「えらく綺麗な(澄んだ)音ですね!」。そして、「低い音はあまり出ないはずなのに、しっかりした低音が出るのが不思議です」。そして20分程度いろいろと聴いた後に、ご自身のメインシステム(大型4wayマルチ)に戻して鳴らすと、「うわーッ、なんて汚い音なんだ!」・・・(^^;

以上に重要なポイントが全て含まれていますので、解説を加えてみたいと思います。

 

・ 超硬振動板の澄んだ音

まぁ、簡単な話、振動板の共振音というものが濁り音の原因です。周波数特性に現れないQの低い共振でもNGです。アンプの出口までは、低歪みな澄んだ音が出て来ているはずなのですが、出口のスピーカーが台無しにしているのです。皆様が当たり前にお聴きになっているスピーカーの音は、実は相当に濁っているのですが、何処に行って聴いても酷く濁っているのが常識なので、もはや慣れっこになってお気づきになっていないのです。本気の超硬振動板では、静電型ヘッドフォン並みの(或いはそれ以上の)澄んだ音が出ます。

「この音は奇麗すぎる。生演奏の音は案外汚いのだ」などと仰る御仁もおられそうです。ですがはっきり言っておきます。「それはプロの演奏家に失礼です。コンサートホールに行ってよく聴いてみて下さい。」

さて、この濁りの無さは非常に大切です。従来は家庭の音響装置でオケや合唱団のfffのリッチな音の醍醐味を愉しむのは不可能でしたが、超硬振動板にはこれを可能にするポテンシャルがあります。6cm口径と言わず、音量に余裕のある10~17cm口径にチャンピオン・グレードを適用出来れば実現可能と思っております。

「うわーッ、なんて汚い・・・」本当かよと思われますか?(笑) 超硬振動板のチャンピオン・グレードでは、従来型スピーカーシステムとは本当にあからさまな違いが出る事が確認出来ました。今後の10~17cm口径の超硬振動板の音質目標はこのレベルを目指しますので、ご期待ください。

 

・超硬振動板の太い音

低音のしっかり感のみならず、中音域のナチュラルで太い、地に足の着いた感じがより明確になりました。今回は、徹底的に中高音域の共振を追い出す事が出来ました。低音は振動板剛性であると単純に語る事は出来ない様で、中高音域に濁りがあると、中音も低音も痩せて聴こえる、という事がはっきりしました。チャンピオン・グレードでは、”綺麗だが痩せた音” ではなくて、”澄んでいて且つ太い音” になります。

 

 

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コーヒーブレイク アナログ vs デジタル

2020年11月21日 | オーディオいろいろ

 

先週のアップでアナログディスクの音質について話題にしました。録音そのものの違いなのか、或いは方式の違いが問題なのか、気になったので、CDで再販された物を購入して比べてみました。

CDプレーヤーはマランツSA-10、レコードプレーヤーはGT-2000+DL-103です。

 

・イツァーク・パールマンのクライスラー名曲集(1976年アナログ録音)

レコードの方が高音で歪みやすいが、しかしCDの方がむしろヒリヒリするとか、それぞれ持ち味はありますが、音色感の細かな違いは敢えて無視します。(木は見ずに森を見ます)劣化すると取り返しのつかない位相まわりや、演奏のリアリティを比較してみました。

CDだけを聴けば、空間や音像、演奏の表情はそれなりに説得力があり、現代の録音よりも自然でかつリアリティを感じます。録音そのものが秀逸だと思いますし、SA-10も高級機としての説得力はあると思います。がしかし、アナログディスクで聴いてみると、こちらの方が更にステージ感がリアルであり、自然な生演奏の空気感があります。高音は明らかにアナログディスクの方が大人しい(DL-103の個性?)のですが、しかしピントのぴったり合った立体映像を見るような感じです。CDですと、なんとも滲んだ感じになります。演奏の強弱の表情の違いが良く分かるので、中音域の分解能の違いだと思います。

 

 

・歌劇「ボエーム」、セラフィン指揮、ローマ聖チェチーリア音楽院合唱団&管弦楽団、ソプラノ:レナータ・テバルディ(1959年アナログ録音)

ステレオ録音初期のものと思われます。奥行きの非常に深いサウンドステージが構築されており、ボーカルが引っ込んで聴こえて、リアリティの出ない再生装置が多いのではないでしょうか。しかし、この様なオフなマイキングの音が本来の生の音であり、解像度や位相周りのしっかりしたスピーカーで再生すれば、本来の生の音楽を堪能できるのです。ボーカルはステージの奥で、手前のオーケストラボックスにオケが入っている定位感です。でも低い所からオケが聴こえる様でしたら、その再生装置の位相周りには問題がありますのでご注意を。

CDとレコードの違いは、上記のパールマンの場合と同じ傾向でした。アナログディスクの方が、先週行った東京文化会館でのライヴと違和感のない、生々しい空気感が再現されます。フォルテの音の表情がはっきり再現されるので、聴きごたえ感があります。CDでのフォルテは表情の違いが出にくく、何ともヒリヒリした感じになります。

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今回はアナログvsデジタルと言うよりもレコードvsCDと言った方が正しいかもしれません。しかしながら、PCオーディオでのハイレゾ音源でもCDと同じ傾向をいつも感じています。デジタル系の問題点については諸説あって、まだ結論の出せる段階ではないと思っていますので、私も結論は出さない事とさせていただきます。

しかし、録音技術というものは1960年代前後に既に完成されている事を改めて実感出来ましたし、位相周りの良好なシステムで再生すると、その良さが改めて明確になる事も確認出来ました。反対に最近のマルチマイク録音は、その利便性と引き換えに位相まわりの軽視というデメリットをもたらしたと思わざるを得ません。木を見て森を見ない音作り、演奏の音の”表情”ではなく、演奏”ノイズ”が聴きとれるかどうかに注視するハイレゾな音作りのなんとプアなことか・・・もっと生の当たり前な自然でリアルな音が王道ではなかったのか・・・

最近はコロナ対策で、コンサートの座席も一人おきになっていますので、以前よりも高SNかつ良い響きで楽しむ事が出来ます。音楽家の皆様も事業の持続化で困難な状況にありますので、用心しながら、しかし是非ライヴに行って良い音楽を堪能しませんか?

 

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