Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「シャーロック伯父さん」

2021-01-16 09:19:47 | 読書
ヒュー・ペンティコースト, 熊木信太郎 訳 論創社 論創海外ミステリ (2020/5).

出版社の内容紹介****平和な地方都市がはらむ悪意と謎。レイクビューの "シャーロック・ホームズ" が全てを見透かす大いなる叡智で難事件を鮮やかに解き明かす!****

平和な地方都市とは,コネティカットの架空の小さな町のことで,都市ではない.このあたりに20代で留学したので懐かしかった.
図書館で借りるときにはタイトルから,甥 (姪?) がいるという設定の似非ホームズものかと思ったが,外れだった.
探偵役は町の名家の出で,優秀な成績でハーバードを出て州検事になるが,電気椅子に送った被告が無実であったとわかってから,森の小屋で犬を相手に世捨て人のように暮らしている.彼の甥っ子とのコンビでいろいろな事件を解決する.射撃の名手とか,ちよっと設定がスーパーマン的かな.伯父・甥の関係が気に食わない甥っ子の父親,息子を愛し(兄=伯父) を尊敬する賢い母親 という人物設定もよい.

短編8,中編1.「シャーロック伯父さん」というタイトルの短編もあるが,総じて本格とは言い難い.
起こる事件にはどれも多少の社会性が感じられる.最後の中編は,プライベートな復讐の是非という問題をはらんでいるのだが,最後は安易なハッピーエンドで腰砕け.巻末に「一ファンの感想記」を書いている萩巣泰紀氏は,この著者の作品にはこういう腰砕けケースが多く,それもご愛嬌ととらえているようだ.

とにかく伯父・甥 + 犬のコンビが微笑ましく,楽しく読める.
著者はエラリー・クイーンに,そして萩巣氏にも「プロ中のプロ」と評価されている.確かにこの本は安心して読め,職人のいい仕事という感じだ.



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