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インプラントだけが良い治療か?

2010年09月28日 | あべやま歯科クリニック
インターネットで『インプラント』と検索すると、ものすごい数の歯科医院がヒットしてきます。そのほとんどが、インプラント治療が最も最先端で良い治療であり、あとは、値段が安いとか痛くないとか、さあいらっしゃい!いらっしゃい!という感じですね。最近、歯科業界も競争が激しく、宣伝が多いのは仕方がないことと思います。
そこで、、、当院のホームページを読まれて、『おや?』と思われた方も多いと思います。当院は、グローバルスタンダードなインプラント治療を大学病院とほぼ同レベルで提供してきましたが、決して『さあ、インプラントが一番!いらっしゃい!』という感じのホームページではないことにお気づきになったのではないでしょうか?
我々は、大学病院での多くの症例や臨床研究報告を通じて、インプラントは万能ではないことを知っています。もちろん、多くの症例においてインプラントを使えば、これまでの治療法より、よく噛めて、不快感もなく、見栄えも良い歯が入ることは事実です。症例によっては、インプラントでないと、満足いく結果が得られないことも多いと考えています。しかし、、、しかしです。症例によっては、あせってインプラントをせず、まずはリジッドサポートのパーシャルデンチャーなどの保険適用外の『国際標準の入れ歯』を試してみた方が良い場合もあるのです。比較的年齢が若い方で、部分的に歯が無くなった場合、歯が無くなる度にインプラントを入れて行くと、数十年後にはとても多くの数のインプラントが口の中に入ってしまうことになります。それはそれで良いのかもしれません。しかし、症例によっては、まずは『国際標準の入れ歯』であるリジッドサポートのパーシャルデンチャーを試し、うまく行けば10年20年と使用できる可能性があるのです。ただ、残念ながら、『入れ歯』ですから残った歯の負担は少し増えますので、将来は残った歯がダメになることもあるでしょう。その時になって、インプラントを考えても遅くはないかもしれません。
先ほども言いましたが、『入れ歯』は残った歯を支えにしますので、バネのようなもの(維持装置と言います)がかけられた歯は負担が増えます。これをスゴく嫌う方がおられます。もちろん私たちも嫌いです(それがイヤで最先端のインプラント治療を導入したのです)。しかし、インプラントの場合、確かに隣の歯を支えにはしませんので、同じ顎(あご)の歯の負担は増えませんが、噛み合う相手のあごの歯(対合歯と言います)の負担は激増します。たとえば、下あごの歯をインプラントにすると、それと噛み合う上あごの歯の負担は増えるのです。天然の歯は歯根膜という柔らかい靭帯組織に囲まれていますので、正常な状態でも少し動くのですが、インプラントは骨に固定されて全く動かず、あまりにもしっかりし過ぎてしまうため、このようなアンバランスが生じてしまうことがあるのです。
従って、『インプラントは他の歯に負担をかけない良い方法』であり、『入れ歯は他の歯に負担をかける悪い方法』であるとは一概に言えるものではありません。場合によっては、インプラントで自分の歯をダメにすることもあります。このことを良く理解して頂きたいと思います。
今回のコメントでは、インプラントに期待をして読みに来られた皆様を混乱させてしまったかもしれませんね。要するに、インプラントは多くの症例において最良の選択肢である可能性が極めて高いのは事実ですが、場合によっては、他の方法が選択されても良い場合があるということです。私たちが一番心配しているのは、今の日本では、保険外の良い治療としてはインプラントだけしか選択肢がないようなイメージができつつあることです。
欧米に行けば、それは違うことが判ると思いますが、日本では、ネットを見る限り、インプラントに余りにも偏った説明、宣伝がされています。あるいは、全く逆に、インプラントは危険なダメな治療で、従来の入れ歯が一番良いという宣伝をされているホームページもあります。エビデンス(科学的根拠)から言うと、インプラントの有効性は明らかで、患者さんのQOLを向上させるというデータや良好な長期経過の医学論文は世界中から山のように出されていますので、インプラントがダメな治療であるというのは明らかに間違った主張ですが、インプラントしか有効な治療法がないというのも間違った主張/宣伝です。当院では、日本の保険制度を超えて、グローバルスタンダードな欠損補綴(歯を失った方に対する)治療を提供して行きたいと考えています。
今の日本のインプラント治療一辺倒の問題点に気づかれた方が一人でもおられたら、嬉しく思います。
みんなで、もっと幸せになりましょう。それが、私たちの願いです。

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