デラシネ(deracine)

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土田世紀が亡くなりました。

2012-04-27 21:43:39 | weblog
漫画家の土田世紀が亡くなりました。
大好きな漫画家でした。
43歳、あまりに早すぎる。ひとことで言えば、ショックです。

同郷・秋田の人だと知ったのは土田氏の漫画を読むようになってから以降で、
何よりその漫画が面白かったので好きになりました。

大学生の頃にビッグコミックスピリッツを買うようになりましたが、
その時に代表作『編集王』が連載されていて、衝撃を受けました。

『編集王』のマンボ好塚篇は漫画史に残る名作と言ってもいいでしょう。
実は編集王は最近文庫版でまとめ買いして、毎日のように読んでいたんです。それだけに…
漫画業界の裏を丁寧かつ激しく描いた、傑作でした。

その後映画化もされた『同じ月を見ている』でまた感動し、
ホストの世界を描いてドラマ化もされた『ギラギラ』もよく読みました。

それ以降は私は土田氏の漫画をほとんど読んでいませんが、
上記代表作以外にも短編でも面白いものは数多く、『水の中の月』『鯱』とかも名作です。
全体的に比較的アウトローな、ヤクザやギャンブル、麻雀などの世界が多いですが、すべて熱い作品ばかり。

でも私が一番好きなのは作家・宮本輝の小説を漫画化した『春の夢』です。
『死に様は生き様なんだ』というフレーズに衝撃を覚えました。
名作です。


秋田出身(生まれは県南、高校はタイガースにもいた藤田太陽と同じ新屋高校)で秋田とおぼしき風景もよく出てくるほか、
東北関連の場面や登場人物、言葉なども出てきます。
特に編集王、同じ月を見ているでは、宮沢賢治の詩が効果的に使われています。
同じ月を見ているのラストは「雨ニモ負ケズ」が使われていて、涙無しでは読めません。

とにかく熱い、そして泥臭い作品が多かったと思います。
悪く言えば「クサイ」んだけど、それを熱さに変えてしまえる作風。
私の心には非常に響くものがありました。

最近の作品を読んでいなかったので、今後読んでいきたいと思います。
ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。