昨日、天気も大荒れで外出する気分にならなかったので、テレビで見るとはなく「即位礼正殿の儀」を見ていた。何が行われているのかはよくわかなかったが、新たな天皇が内外に対して即位したことを宣言する儀式のようだ。
平安時代の絵巻物を見ているような格好をした人たちが、しずしずと実に厳かに移動している。僕のような粗忽者にはとても務まりそうにない。御付きの者たちは宮内庁の人たちだろうか。間違って着物の裾を踏んでしまわないだろうかとか、自分の裾を踏んででんぐり返しをしたら一生一代の恥だろうなとか、どうでもいいことばかり頭に浮かぶ。
そんな中、目を引いたのは宮殿の質素さだった。現在の宮殿は明治時代に焼失した宮殿跡に建てられ、1969年から使われているらしい。宮殿と言えば、西洋のきらびやかなお城だとか、イスラム圏のモザイクがあしらわれた宮殿だとか、トルコあたりの金ピカのものを想像してしまうが、それに比べると日本の宮殿の装飾を極力排除した宮殿は、体育館のように殺風景だと言えば殺風景だが、質素で神秘的で、いかにも日本を象徴する建物のような気がする。そして、即位を宣言した後も紙吹雪が舞うわけでも、楽団が壮大に演奏を始めるわけでもない。そういう映像をテレビで観ていて、あそこに出席している外国のお偉い人たちは何を感じただろうと想像した。
制度として天皇制がどうとかこうとか、いろいろ意見があるのかもしれないが、僕はあの宮殿の佇まいに、世界にはない日本人の個性を強く感じた。
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